2013年12月、「絶対、武道館でワンマンやります」と誓った、渋谷O-WESTワンマンから約３年。ついに夢の日本武道館のステージへと立ったBLUE ENCOUNT。会場に集まった11,000人の大きな拍手と歓声に迎えられ、４人がついにステージへと登場。薄暗いブルーの照明に照らされた田邊（Vo&Gt）が「opening」を静かにゆっくり歌うと、「準備できてる？ 武道館でBLUE ENCOUNT始めます！」の声を合図に、特効と共に１曲目「DAY×DAY」でライブがスタート。観客が手拍子を合わせる中、高村（Dr)の勢いあるドラム、辻村（Ba）のヘヴィなビート、江口（Gt）の鋭いギター、そして田邊の渾身のボーカルが武道館に響く。まさに歌詞通り、全身全霊を掛けた歌と演奏で幕を開けた夢のステージ。ギラギラとバックライトに照らされて、始まった２曲目はインディーズ時代の代表曲「HALO」。現状をもがき苦しんでいたあの頃から歌い続けている、激しくエモーショナルな歌と演奏が強い説得力を持って胸に飛び込んでくる。

　２曲を終え、「ヤバいね、来たね。みんなの夢が詰まった場所、ライブハウス武道館にようこそ！すごい景色だぜ！！」と、満面の笑みを見せる田邊。「まだ奇跡じゃないかと思ってるけど、宣言してからの３年間は間違いじゃなかったと思ってます」と武道館までを振り返ると、「俺らとあなたで最高の日にしましょう！」と叫び、高村のカウントで「MEMENTO」が始まる。辻村の煽りに観客の大きな声が上がった「声」、辻村の高速ベースと江口のライトハンドによる激しい掛け合いで魅せた「Survivor」と続き、熱量を増していく会場。この頃には４人にステージを楽しむ余裕も見え、田邊も「最高に楽しいです。今のところ、ライブハウスと同じくらいみんなの楽しい顔が見えて嬉しいです」と笑顔を見せたり、観客からのヤジに「俺が喋ってっから！」とムキになって返して笑いが起きたりと、いつものライブハウスと変わらないアットホームな空気が武道館を包む。

　「絶対、そこまで歌を届けっからな！」と会場奥の観客に宣言した「アンバランス」で始まり、楽しくノビノビとした歌と演奏で魅せた中盤戦。全員がジャンプを合わせて武道館が揺れた「JUMP」、軽快な曲調に全員が掛け声を合わせた「HEEEY！」と、みんなで遊んでいるような雰囲気を作ると、田邊が「今日の俺は武道館のベタをやり尽くす！」と言い出し、会場中を巻き込んでのウェーブで盛り上がる。「やっと俺ららしくなってきた！」と満足そうな笑顔を見せ、江口、田邊、辻村が並んで背面弾きを披露した「ONE」では、前のめりな演奏と真っ直ぐなメッセージで観客との距離をさらに詰める。「今日まで楽しいことたくさんあったでしょ？ それ以上に悲しいこともいっぱいあったでしょ？ でも、今日は俺が胸張って言います、『安心してくれ』って。今日、俺が答えを出してやるよ」と始まった「ANSWER」では、会場にいる全ての人の喜びも悲しみも受け止め、全肯定しようと本気で願い、歌う田邊の姿に胸が熱くなる。しかし、ここでカッコつけきれないのもブルエンの良いところ。続く、MC高村による“タカムラップ”のコーナーでは、「もうラップでもなかったよね！？」とメンバーもツッコんだ、高村の脱力ラップで再び会場にアットホームな空気を作り、ライブは後半戦へと突入する。

　ライブ後半戦、アットホームな雰囲気を一変するような弦楽器の美しい調べが響き、ステージ上にはストリングス隊が登場。ストリングスにたくましいバンドサウンドが重なり始まった、バラードソング「YOU」が観客を魅了する。奥行きと深みのあるサウンドに田邊の温かく感傷的な歌声が映え、楽曲の世界観を壮大に映し出したこの曲。続いて、たっぷり気持ちを込めて披露した「はじまり」の演奏を終えると、「ストリングス隊と演奏するのも夢でした。一個ずつ夢を叶えてます」と感慨深げに田邊が語る。さらに「武道館でもいろんな夢を叶えていきたい」と始まったMCでは、「高校の時に約束したことがあるよね？」と江口に尋ねる田邊。高校時代、江口のギターを壊した田邊が「武道館の時に返してやるよ！」と言ったというデタラメなエピソードを語り、「高校の時はスマンかった！」と新品のギターをプレゼント。さらに10月より「LAST HERO」で主題歌を担当している、ドラマ『THE LAST COP』への出演を客席のドラマスタッフに直訴し、その場で快諾を貰ったりと次々に夢を叶えていく。話の流れから、パワフルなイントロで始まった新曲「LAST HERO」は、キャッチーで華やかな楽曲で沸かせ、再び勢いをつける。

　本編終盤戦は「JUST AWAKE」～「THANKS」とライブ定番曲を畳み込むと、この日のサブタイトルでありファンのテーマ曲とも言える「LIVER」、会場中が手拍子を合わせた「ロストジンクス」と続き、ライブもいよいよクライマックスに突入。「一年前だったら、ウソみたいな光景がここに広がってるんだ！ このままじゃ終われねぇんだよ。力貸してくれ！ お前の力が必要なんだよ！！」と田邊が一人ひとりに訴えかけ、「俺らは待ってたんだよ、お前らも待ってたんだろ？」と始まった「だいじょうぶ」に、会場中の大合唱が起きる。さらに本編ラストのMCでは、死ぬ気で夢を置い続けてきた12年間を振り返り、両親、スタッフ、そしてファンに「ここまで連れて来てくれてありがとうございます」と涙ながらに感謝の気持ちを語った田邊。「でも、終わりたくないんだよ、ここで！ ここで終わりじゃねぇんだよ！」と叫ぶと、来年３月に幕張メッセでワンマンライブを行うことを発表。大きな夢を叶え、さらなる夢を語った田邊は、「泣き虫って言われてもいいんだよ。お前らと見た夢の先で泣ければそれでいいんだよ！」と号泣すると、「歌おうぜ！」と本編ラストとなる「もっと光を」を歌い始める。彼らの想いを受け止めたファンの熱いシンガロングがメンバーと会場中のファンに強固な繋がりを生んだこの曲は、さらなる夢を指し示す強い光を放っていた。

　観客による「もっと光を」の大合唱で始まったアンコールでは、現在、アルバムを製作していることを発表。「凄いアルバムが出来そうです！」と語ると、アルバムに収録されるというできたての新曲を披露。ブルエンにありそうでなかった、しっとりしたミディアムチューンに新作への期待が高まる中、ファンへの熱い気持ちを込めた「NEVER ENDING STORY」、「HANDS」を続けて披露。手のひらを掲げて大合唱するファンに「その手、絶対離しませんから」と力強く告げ、アンコールを大団円でフィニッシュ。新しいアルバムのタイトルが『THE END』であること、アルバムリリース後にはバンド史上最大のツアーが敢行されることが告知され、夢の向こう側への期待も高まる中で、ブルエン初の日本武道館公演は終演。ライブハウスのような熱さと激しさ、近しさと温かさ、そしてたくさんの笑顔と涙に溢れた、実にBLUE ENCOUNTらしい日本武道館公演だった。

【撮影：浜野カズシ】
【取材・文：フジジュン】