これぞロック!GLIM SPANKY、超満員の新木場スタジオコーストで迎えた『Next One TOUR 2016』ファイナル
GLIM SPANKY | 2016.11.09
GLIM SPANKYにとって初の本格的な全国ワンマンツアーとなった『Next One TOUR 2016』最終日は、彼らにとって憧れの舞台である新木場スタジオコーストが会場だ。たくさんのアーティストが演奏するのを見てきたステージに、松尾レミ(Vo,Gt)と亀本寛貴(Gt)が立つ。満杯のオーディエンスとともに、彼らは最高の夜を迎えた。
お馴染のスティーライ・スパンの曲が流れると大きな拍手や歓声に迎えられ、バンドと共に二人が登場。ギターを肩にかけた亀本が頭上で手拍子をするとオーディエンスが即座に合わせた。オープニングナンバーは「NEXT ONE」。松尾はいつにも増して力強い声で歌い、亀本もダイナミックなギターで惹きつける。まさにここが彼らの目指した次のステージであることを示すような幕開けだった。 「こんばんは、GLIM SPANKYです」松尾は挨拶すると大きく息を吸い、ゆったりと歌い出す「焦燥」へ。進むほどに熱を帯びるこの曲から、畳み込むように「褒めろよ」を続けると、サビのコーラスを促すまでもなくオーディエンスも歌いだす。亀本も気持ち良さそうにギターソロを弾き、早くも場内の温度が上がった。亀本のギターとオーディエンスの掛け合いから「ダミーロックとブルース」へと雪崩れ込み、ヘヴィでサイケデリックなブルース・ロックに空気を染めていく。GLIM SPANKYが最も得意とするところだ。
そんな空気をMCで乱さずに松尾は歌い続ける。「闇に目を凝らせば」はブルージーなメロディと幻想的な歌詞が魅力的な曲。ミステリー映画『少女』の主題歌になったことは記憶に新しいが、この曲のイメージはさらに大きく広がっている。「NIGHT LAN DOT」「grand port」と最新作『Next One』の曲が続いたのは、彼らの”GLIM"な面、すなわち幻想的なサイケデリアを描き出した時間。窓から夜へと抜け出して、港から船出をする、という趣向か。じっくりと歌い上げる松尾の声を聴いていると、そんな物語を紡ぎたくなった。旅はまだ続く。亀本が特徴的な音色のギターを弾きダンサブルなビートで進む「時代のヒーロー」は、Amazonオリジナルドラマ『宇宙の仕事』の主題歌。松尾の歌も弾んでオーディエンスの腕が上がる。いつのまにかアグレッシヴな”SPANKY"ワールドに移っていたようだ。そしてこれもGLIM SPANKYらしいビートで揺れる「いざメキシコへ」。サイケデリックなサウンドと四つ打ちが絡み合い、松尾の憧れの地に辿り着いた。
「改めましてこんばんはGLIM SPANKYです。みんなありがとう。今日はファイナルです」と、ここで松尾は話し始めた。初の全国ツアーへの不安があったが、始まればそれも払底。「初日から今日まで、最高に楽しく最強のコンディションで臨めました。みんなが来てくれて私たちの背中を押してくれて、私たちもみんなの顔を見ながら背中を押したいと思ってライヴしてきたから。今日もマジ最高、ありがとう!」と笑顔を見せた。そして「次の曲はこのツアーで、皆と歌えたらいいなと思って。みんなの声とみんなが乗ってる波を想像して書きました」
アコースティックギターを弾きながら歌いだした「風に唄えば」は、伸びやかな松尾の声が響き渡り、その響きに合わせてオーディエンスがあげた腕が左右になびいて、松尾が見たかった波になっていた。続けてアコースティックギターで歌った「話をしよう」は、率直な松尾の歌に亀本のスライドギターがフォーキーな色を添え、じっくり聴かせる曲になっていた。一息入れて、再び松尾が話し始めた。 「新木場スタジオコースト、やりたかったんです。1回だけイベントでやったことがあって、すごく気持ちが良くて。(フロアの)床が木で、横にバルコニーがあって、外国っぽいなと思って。外国のアーティストも来るから私もよく見に来てたんだけど、まさか自分たちがソールドアウトでできるなんて!やったー!ありがとう!」松尾が話していると亀本が合図をしたらしく、交代して話し出した。 「僕は次の曲の話の担当。『トランスフォーマービーストウォーズ』知ってる人?僕らの前作『ワイルド・サイドを行け』に入っている曲が、僕の好きなこのアニメの生誕20周年記念イベントのテーマソングになっていたんです」そして再び話のバトンを松尾に渡すと、 「私はミュージシャンだから、音楽で世界をひっくり返してやると、ずっと思い続けていました。だから私は攻め続けているの、絶対やりたいことがあるから。みんなもあると思うんです。小学生でも私の親ぐらいの世代でも。だから私たちが世界をひっくり返す、私たちが主役になれる。みんなの歌です、聴いてください」
足取りも軽く虎視眈々とチャンスを狙う「BOYS&GIRLS」から、少年少女が憧れる冒険アニメ映画『ONE PIECE FILM GOLD』の主題歌になったアグレッシヴなナンバー「怒りをくれよ」と続くと、フロアから腕を突き上げながらのオイコールが湧き起こった。こうした彼らの姿勢は初期から変わっていないことを思い出させたのはインディーズ時代の1stミニアルバム『MUSIC FREAK』収録の「Gypsy」だ。松尾のハスキーヴォイスが”尖った方へ歩いて行くのさ”と導いていく。旅の友であるバンドのメンバーを歌いながら紹介し、最後に松尾の名を亀本が叫ぶと歌も佳境。エンディングを亀本のギターが決めると、フロアから次々に二人の名を呼ぶ声が飛んだ。 「なんていい景色なんだろう。私もライヴを見てる時は自分の顔なんて見えないんだろうと思ってるけど、けっこう見えてるからね。みんなが笑顔で聞いてくれたり、時には目をつぶって聴いてくれたり」
松尾は自分の体験に重ねて、次の曲に込めた思いを語った。 「音楽で食べていくなんてあり得ないと周りの大人から言われたけど、私はやりたいことがあるからGLIM SPANKYを高校の頃からやってる。同世代の人たちの背中を押す曲を歌いたいと思ったし、大人たちにも届く曲を歌いたいと思って書いた曲です」
松尾は大きく息を吸い込むと、「大人になったら」を歌い始めた。タメを効かせた弾き語りから、バンドが入りテンポを上げていくこの曲は、GLIM SPANKYの歩みそのもののようだ。大きく広がる翼のようにスケールを感じさせた後半は、松尾の思いそのままに聴くものを包み込んで行った。 「ありがとう東京!」と松尾が叫んだラストナンバーは「ワイルド・サイドを行け」。手拍子と歓声、高く突き出される腕とオイコール、これぞロックという光景の上を松尾の声が大きく広がり、亀本のギターが空気を切り裂いた。ロックという荒野を進むことを選んだGLIM SPANKYは、今確かに自分たちの道を地球に刻み続けている。
曲が終わっても途切れない拍手と歓声に応えたアンコールは、「リアル鬼ごっこ」。”私たちは いま輝きの中”と歌う松尾たちは、未来から射す光の中に立っていた。
【取材・文:今井 智子】
リリース情報
Next One(初回限定盤(CD+DVD))
2016年07月20日
ユニバーサル ミュージック
2. 怒りをくれよ (7月23日(土)公開 映画『ONE PIECE FILM GOLD』 主題歌)
3. 闇に目を凝らせば
4. grand port
5. 時代のヒーロー(福田雄一監督Amazonオリジナルドラマ『宇宙の仕事』主題歌)
6. 話をしよう(高橋留美子原作 NHK Eテレアニメ「境界のRINNE」第2シリーズエンディングテーマ)
7. NIGHT LAN DOT
8. いざメキシコへ
9. 風に唄えば
10. ワイルド・サイドを行け
セットリスト
「Next One TOUR 2016」
2016.10.30@新木場STUDIO COAST
- 1.NEXT ONE
- 2.焦燥
- 3.褒めろよ
- 4.ダミーロックとブルース
- 5.闇に目を凝らせば
- 6.NIGHT LAN DOT
- 7.grand port
- 8.時代のヒーロー
- 9.いざメキシコへ
- 10.風に唄えば
- 11.話をしよう
- 12.BOYS&GIRLS
- 13.怒りをくれよ
- 14.Gypsy
- 15.大人になったら
- 16.ワイルド・サイドを行け
- Encore.リアル鬼ごっこ
お知らせ
レッドシューズ生誕35周年記念プレミアムイベント「SHEENA WAS A PUNK ROCKER」
2016.11.23(水) RED SHOES
a flood of circle 10th Anniversary Climax “X’mas Party!!!”
2016.12.01(木) Billboard Live TOKYO
the pillows presents「世界の始まりをワイルドサイドで確かめにいこう」
2016.12.03(土) なんばHatch
MAGICAL WEEKEND PARTY vol.1
2016.12.08(木) 原宿アストロホール
MAGICAL WEEKEND PARTY vol.2
2016.12.09(金) 東京キネマ倶楽部
年末調整GIG 2016
2016.12.23(金) 名古屋CLUB QUATTRO
COUNTDOWN JAPAN 16/17
2016.12.30(金) 幕張メッセ国際展示場1〜11ホール、イベントホール
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