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カラスは真っ白、「『バックトゥザフューチャー』レコ発ワンマンツアー」東京公演をレポート!

カラスは真っ白 | 2016.11.10

 ステージに最初に登場したのは男性陣――シミズコウヘイ(Guitar、MC)、オチ・ザ・ファンク(Bass)、タイヘイ(Drums)、サポートプレイヤーの工藤拓人(Keyboards)、山田丈造(Trumpet)。彼らによる「ジョニー・B・グッド」の演奏がオープニングを飾った。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の劇中でマイケル・J・フォックスがプレイする有名なロックンロールナンバーだ。この曲がダイナミックに鳴り響く中、パンダのぬいぐるみを手に現れたヤギヌマカナ(Vocal、Guitar)。全員が集合したところで、「ハイスピード無鉄砲」がスタートした。疾走感たっぷりのサウンドに誘われて、観客は夢中になって手拍子。そして、「メニー・メアリー」「9番目の「?」」「正義とアクチュエータ」「ニュークリアライザー」……鳴り響くサウンドの数々が気持ちいい。飛び跳ねながら手拍子をする観客の笑顔が、どんどん輝きを増すのを感じた。

 「いっぱい来てるぞー! 来てくれてありがとう! ツアーのセミファイナルですが、気持ちの高ぶりが半端ない!」、興奮気味のシミズの挨拶を挟んで、気合いたっぷりの演奏がさらに続いた。ピアノ伴奏+ヤギヌマの歌でしっとりと幕開け、爽やかなファンクサウンドを躍動させた「魔法陣より愛を込めて」を皮切りに、最新アルバム『バックトゥザフューチャー』のナンバーを連発。アンニュイなメロディをじっくり届けた「Let it die~You shall die~」。観客が大喜びで踊っていた「浮気DISCO」。轟く重低音とヌケの良いメロディのコントラストがドラマティックだった「サヨナラ!フラッシュバック!」……多彩なサウンドの切れ味が抜群であった。

 「fifth blues」が始まると、一旦ステージから姿を消したヤギヌマ。黒を基調とした服装だった彼女が、真っ白な衣装に着替えて戻ってくると、「カーネーション」がスタート。観客はジャジーなサウンドに耳を傾け、身体を穏やかに揺らし始める。続いて届けられた「night museum」は、ヤギヌマのウィスパーボイスと瑞々しい伴奏が絶妙に融合。ソウル、ファンク、ジャズなど、ブラックミュージックのエッセンスを程よく採り入れ、洗練されたポップミュージックを生み出すカラスは真っ白の魅力を再確認させられた。

 温かいダンスの輪がフロア一杯に広がった「そまって」や「シャイ・ルック・ホームズ」を経て突入した「アセトアルデッドヒート」。曲の途中でシミズがハイテンションなトーンで「前の方、盛り上がってるか~?」 と呼びかけた。通常であればここで「イエ~イ!」という元気一杯な声が返ってくるところなのだろうが、なんとまさかの無反応! 楽器隊の音にかき消され、シミズの声が届かなかったから起こった現象なのだが……予想外の展開となり、ショックを受けてうなだれたシミズ。その姿を見て、メンバーたちや観客は大爆笑。「この流れ、ヤバイよ(笑)」とタイヘイが言い、演奏がストップするという事態へと至ったのであった。しかし、気を取り直して再開された演奏とシミズの煽りによって無事に盛り上がりは復活。熱いコール&レスポンスも交わされ、会場は最高の一体感に包まれた。その次に放たれた「YASAI FUNK」のインパクトは、ものすごかった。言葉遊びに満ちたこの曲は、なかなかハードコアな内容となっている。歌詞と絶妙にリンクした様々な映像が背景に流れ、観客を大いに沸かせていた。

 振り付けを踊りながら歌うヤギヌマの姿と爽やかなサウンドによって、どこか懐かしい歌謡曲テイストを醸し出していた「Oh my sugar」。そして、「スカート・スカート・スリープ」でも彼女のダンスが華やかな魅力を振りまいたあと、バンドのマスコットキャラクター「からしくん」がスペシャルゲストとして登場。彼が加わって披露された「革命前夜」は、シミズやオチがダンスをする場面も交え、観客の喝采を浴びていた。この曲は「からしくん」がオリジナルグッズのパスケースをフロアに投げ入れてエンディングを迎える予定だったのだが、短い手と巨体が邪魔をして上手く投げることができず……という流れも含め、実に楽しいパーティータイムであった。

 「ヒズムリアリズム」を演奏したあとに迎えたインターバル。大学のサークルバンドから始まったカラスは真っ白がこうしてワンマンライブをやれるようになった喜びを語ったシミズは、「これからもっともっと楽しいことをしたい。いろんな挑戦をしたいと思います!」と、今後への意欲を熱く表明した。そして、「fake!fake!」と「みずいろ」が披露されて本編は終了したが、観客の間から手拍子が起こり、アンコールへ。「HIMITSUスパーク」をまず届けたあと、シミズがスケッチブックを取り出した。「フリップ芸やるの? 見せて!」とヤギヌマに促された彼が始めたのは、ツアーグッズ売れ筋ランキングの発表。3位がラバーバンド、2位がからしくんパスケース。そして1位はなんと、シミズのグッズであるシミTシャツ、通称“シミT”!誇らしげな様子の彼であったが、「お前がいなかったらやってけないよ~」「お前、顔もギターもすごいよな~」「大好きだよ~」と、異様なテンションで持ち上げ始めたメンバーたち。褒め殺し攻撃を突然浴びたシミズは、「びっくりするくらいの悪意! 泣きそうだよ、怖いから(笑)。上げて落とすいじめ、絶対ダメ!」と頭を抱えていた。

 「からしくん」を交えた記念撮影を経て「雨傘パレット」も披露され、ピースフルなムードと共に一旦終了したアンコール。タイヘイがセットリストを紙飛行機にしてフロア目がけて飛ばしたりしつつ、メンバーたちはステージをあとにしたが、観客の興奮は、全く収まる気配がない。熱気に応えてダブルアンコールが行われた。しかし、ステージに戻ってきたのは4人……あれ? 2人足りない! ベースのオチとトランペットの山田は、お手洗いに行っているのだという。そんな彼らを待つでもなく、早速演奏を始めた4人。力強い演奏が鳴り響く中、ステージに飛び込んで来たオチと山田。そして、始まったのは「サニー・サイドアップ」。サンバ風のリズムと観客が打ち鳴らす手拍子の一体感がものすごい。開放的なダンスに溢れたフロアを眺めながら演奏をするメンバーたちは、とても嬉しそう。パワフルに盛り上げつつも、どこかほのぼのとしたムードも醸し出すのがカラスは真っ白のライブだが、そんな魅力を改めて噛み締めたエンディングであった。

【取材・文:田中大】

tag一覧 カラスは真っ白 ライブ 女性ボーカル

リリース情報

バックトゥザフューチャー

バックトゥザフューチャー

2016年09月21日

SPACE SHOWER MUSIC

01.魔法陣より愛を込めて
02.浮気DISCO
03.Let it die~You shall die~ ※PS4『LET IT DIE』公式参加ソング
04.サヨナラ!フラッシュバック!~hard mode ver. ~※『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』EDテーマ
05.fifth blues
06.カーネーション
07.Oh my sugar
08.YASAI FUNK
09.みずいろ

お知らせ

■ライブ情報

『2017年冬のワンマンツアー』
2017/02/12(日)名古屋 APOLLO BASE
2017/02/17(金)大阪 DROP
2017/02/24(金)東京 渋谷WWW X
2017/03/02 (木)札幌Sound Lab mole

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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