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Bentham、「Get the ExP~ベンサムがあらわれた!ライブにきてほしそうにこっちをみている~」をレポート!

Bentham | 2016.11.15

 これまでBenthamというバンドを語るとき、あえて彼らがKEYTALKを輩出したKOGA RECORDSの所属であることに触れてきた。それは少しでも今のロックシーンに興味がある人に届いてほしいという想いからだが、いよいよその前置きが必要ないぐらい、Benthamはバンドとしての知名度を上げてきたと思う。経験値=「ExP」と名付けたアルバムを引っ提げたバンド初の全国ワンマンツアー「Get the ExP~ベンサムがあらわれた!ライブにきてほしそうにこっちをみている~」。9月2日の下北沢SHELTERを皮切りに全国9ヵ所を回ったツアーは、バンドにとって最大規模のキャパシティとなる恵比寿LIQUIDROOMでファイナルを迎えた。ライブ中、小関竜矢(Vo、Gt)が「少しずつだけど前に進んでいると思う」と、噛み締めるように言ったのが印象的だった。その言葉は決して独りよがりなどではない。彼らの着実な進化は会場にいた誰もが賛同できるものだった。

 オープニングはメンバーがゾンビに扮したB級感溢れる映像からスタートした。この映像を作るにあたり、メンバーは「3時間ぐらいで出来ると思ったら、丸1日かかった」と、ミュージックビデオを1本撮影するぐらいの労力をかけたという。そんな苦労の成果がフロアの大爆笑という形で報われたところで、紗幕にメンバーのシルエットが大きく映し出されると、いよいよライブのスタートだ。須田原生(Gt、Cho)による鮮烈なギターリフが口火を切った「サテライト」から、大音量で鳴る、疾走感溢れるバンドサウンドがフロアの熱量を一気に跳ね上げた。「クレイジーガール」「タイムオーバー」と、息もつかせぬアップナンバーの連続攻撃。メンバー全員の個性が強くぶつかり合うBenthamの楽曲のなかにあって、小関のハイトーンボイスがなぞるポップなメロディは痛快にフロアに響き渡る。

「東京に戻ってきました。ただいまー!」。須田の挨拶は手短に、そのまま2nd EP「NEW LIFE」からのナンバー「Undulate」へと雪崩込んだ。インディーズながら、すでに4枚のEPをリリースしてるBentham。豊富なレパートリーをまんべんなく織り交ぜたセットリストは、これまでの集大成のようでもある。メンバー同士の息の合ったキメ、サビでのダイナミズム。リリース音源からぐんと進化したサウンドは、年間にとんでもない本数のライブを重ねるバンドの努力が結実したものだ。「TONIGHT」は、須田と辻 怜次(Ba)が笑顔で向き合う余裕も見せながら披露。バンド初期からライブの定番曲として重要な役割を果たしてきたこの曲を今はライブ中盤に使ってもいいぐらい、持ち曲の層も厚くなった。

 MCでは須田が、恵比寿LIQUIDROOMという会場は2年前にKEYTALKのオープニングアクトとして出演したこと、そのときに会場の階段で1st EP「Public EP」のデモ音源を配布したことに触れて、「ここでできることが感慨深いです」と言うと、ライブはエモーショナルに聴かせるゾーンへと突入。降り注ぐ雨のような光が優しいメロディとシンクロした「雨と街」に続けて、小関が「ライブハウスは決して逃げるための場所ではなく、明日を迎えるための夢と力を与える、(場所にしたい)と思って音楽をやってます」と語りかけて届けたのは「夜明けのうた」。《♪知らず知らず飛んじゃって 僕のせいにしてくれよ♪。そんなふうに歌う、包容力のあるミディアムバラードを、気がつけば最初は踊ることに没頭していたお客さんも静かに聴き入っていた。Benthamには良いお客さんがついている。
 
 終盤戦はバンドの中で最年長の鈴木 敬(Dr、Cho)のドラムソロから始まった。キレのある鈴木のドラムは、派手な上物が耳を引くBenthamのサウンドを底からどっしりと支えている。「手の鳴る方へ」では、「おいおい、リキッド、まだいけるよな?」と、汗を飛び散らせながら煽る小関。この曲では須田がギターで繰り出すコール&レスポンスが恒例だが、この日はファイナルということで、ラップで盛り上げた。「オゼ、スダ、ツジに、タカシで、ベンサム!」。クールなギタープレイとは違い、可愛らしい雰囲気のラップに、メンバーも含めて会場みんなが笑った。そしてテンションの上がった小関がギターを抱えたままダイブした「パブリック」から、ラストソングは「僕から君へ」。鈴木が叩き出す8ビート、いつも笑顔のベーシストが辻が弾くファンキーなベースラインに、長身でギタリスト然とした須田の雄弁なギター、そして小関が想いを込めて届けた真っ直ぐな歌。それはバンドがこれまで歩んできた道のりは間違っていなかったことを確信する感動的なフィナーレだった。

 アンコールでは今回のツアー中に見事禁酒を貫いた鈴木を讃えて、ステージ上でアルコールを解禁。初期からBenthamのプロデューサーを務めるTGMXが小ぶりの酒樽をステージ上に用意すると、鈴木のいちばんの飲み仲間だという辻が一緒に乾杯。リズム隊コンビが良い気分になったところで演奏へ。会場がハンドクラップで一体になったポップソング「ハイルーフ」を経て、「スローモーション」ではこの曲で唯一ハンドマイクで歌った小関。♪綺麗な服着るよ♪というフレーズで辻の服をつまんだり、♪寝癖を直すから♪というフレーズでは須田の髪を整えたり、それぞれの歌詞に合わせて動くラフな感じも良かった。そして、ラストナンバーは「fine.」。ステージに掲げたフラッグのBenthamの文字に電飾の光が照らすなか、盛大なラララなシンガロングを起こしてライブを締め括った。

 ライブの最後に小関は、最後にひとつだけと前置きをして、「“2016年Benthamは必ず売れます!”と、声高らかに宣言して……まあ、徐々にきてるんですが(笑)。きてるよね? でも本当にあともうちょっとなんだよ。これからもBenthamをよろしくお願いします!」と締めた。2010年結成のBenthamは今年で活動6年を迎えた。“そろそろ”という想いもあるだろう。そうやって強い想いを胸に、何度でも“転び直して”“転び続けて”ここまできたBentham。彼らの望む未来はもう目前まできている。

【取材・文:秦 理絵】
【撮影:白石達也/梅田慎之介】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル Bentham

リリース情報

ExP

ExP

2016年07月06日

KOGA RECORDS

1. サテライト
2. 恋は白黒
3. 僕から君へ
4. KIDS
5. AROUND
6. カーニバル
7. fine.

お知らせ

■ライブ情報

NECOKICKS pre.「ゆとり爆発ツアー」
2016/11/22(火) 福岡 Queblick
2016/11/23(水・祝) 周南LIVE rise
2016/11/25(金) 広島BACK BEAT
2016/11/26(土) 高松TOONICE
2016/11/27(日) 静岡UMBER

下北沢にて2016
2016/12/03(土) 下北沢ライブハウス

ZARIGANI$ presents 「今夜はベイベー ~初心忘レルベカラズ~」
2016/12/08(木) 下北沢ろくでもない夜

Day on Umbrella 1st EP 「NONFICTION E.P.」Release Party 「犬も歩けばノンフィクション」
2016/12/10(土) 渋谷LUSH

午前四時、朝焼けにツキ「飴玉泣イタ」RELEASE TOUR~前橋編~
2016/12/22(木) 前橋DYVER

MERRY ROCK PARADE 2016
2016/12/24(土) ポートメッセなごや 1号館~3号館

COUNTDOWN JAPAN 16/17
2016/12/28(水) 幕張メッセ国際展示場

ミソフェス2017
2017/01/08(日)
DIAMOND HALL/APOLLO BASE/SPADE BOX/Heart Land

~GREENS×空きっ腹に酒presents2マンシリーズ~「改めてよろしく。」
2017/01/24(火) 京都磔磔
2017/01/26(木) 神戸VARIT.

ドラマチックアラスカツアー「ロッククライミングツアー」
2017/02/04(土) 高松DIME
2017/02/05(日) 福岡DRUM Be-1
2017/02/19(日) 仙台JUNK BOX

TENJIN ONTAQ 2017
2017/03/11(土) 福岡市 天神地区ライブハウス 全8会場
2017/03/12(日) 福岡市 天神地区ライブハウス 全8会場

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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