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『ROCKIN’ON JAPAN』の新世代先取りプロジェクト、「JAPAN’S NEXT Vol.15」完全レポート!

JAPAN’S NEXT | 2016.11.18

 次世代のロック、次世代のアーティストをサポートし、オーディエンスを巻き込みながらともに一丸となって盛り上げてシーンに新たな地平を拓く。そうした志のもと展開されているのが、音楽メディア・ROCKIN’ON JAPANが手がける新世代先取りプロジェクト、すなわち“JAPAN’S NEXT”だ。通称“ジャパネク”として親しまれている今プロジェクト、その最大の柱とも言うべきライブイベントがこの日開催第15回を迎えた。初回開催から3年足らずでのこの数字が物語っているのは次世代のたしかな息吹、“次なる何か”を渇望する音楽ファンの期待値の高さに他ならない。会場を代官山UNITから恵比寿LIQUIDROOMにスケールアップして早くも4回目、当然ながらチケットはソールドアウト。今回も見逃せない注目の5バンドが勢揃い、熱戦と呼ぶにふさわしい迫力のステージを繰り広げた。

 先陣を切って登場したのは大阪は寝屋川市を拠点にじわじわと勢力を拡大中の2ピースバンド、yonigeだ。オープニングは「センチメンタルシスター」。明るく歯切れのいいサウンド、弾むようなテンポ感に乗せて訥々と吐きだされる歌には気怠げな乾いた叙情性が宿り、そうでありながら、ある瞬間にはグワッと感情の蓋を開いて内なるマグマを覗かせるような生々しさがある。平熱と情熱の不安定なバランス。おそらくは牛丸ありさ(Vo・Gt)のあどけなくもハスキーな歌声によるところも大きいのだろうが、いい意味での据わりの悪さが聴く者の心をざわつかせ、気づけば鷲掴みにしてしまっている、そんな印象だ。「嫌いなヤツにイイ顔して好きなフリしなくていい。せめて私は面と向かって嫌いって言える覚悟を持ってあいつのことを嫌いになった」、独白のようなMCを挟んで演奏された「あのこのゆくえ」に潜む軽快な毒にも痺れる。途中、ギターの弦が切れるハプニングもあったが動じることなく「さよならアイデンティティー」までやり切り、初参戦のジャパネクに無二の爪痕を残した。

 独特のローファイな余韻を、続くDizzy Sunfistがラウドに刷新する。SEはランシドの「フーリガンズ」。パンクロックを標榜する男女混成3ピースバンドの登場にフロアが沸きに沸く。「ウチらのことを初めて観るヤツも多いかもしれねぇ! 曲知ってる知らねぇ、関係ない! 伝説の“ジャパネク”に一緒にしようぜ!」、ステージに現われるなり、ノド全開で叫ぶあやぺた(Vo・Gt)に応えてオーディエンスも一斉に拳を突き上げた。もあい(Dr・Cho)が叩き出す弾丸のごときビートに、あやぺた、いやま(Vo・B)が奏でるエッジの立った轟音と前のめりなツインボーカル、のっけの「Dizzy Beat」から場内の興奮を容赦なく加速させる。「Joking」で「ウチらは大好きなパンクロックで日本のロックシーンに名前を残したい。あなたたちの心を熱くして帰るから、かかってこい!」と真っ直ぐに心意気を表明、「To True」では「みんなと一緒に歌いたい! ファースト、セカンド、サード、ホーム、全員でホームランしようや!」と力ずくで客席にシンガロングを求め、熱狂を引き起こして全9曲を一気に駆け抜けた。

 グッドミュージック、グッドバイブレーション。正統派の実力でイベント中盤の要をめ組が支える。昨年12月に豊洲PITで大々的に開催された“JAPAN’S NEXT TURBO”、今年3月の“JAPAN’S NEXT vol.12”、そして今回、と通算3回目の出演とあって、そのパフォーマンスは盤石のひと言に尽きた。キーボードを擁した5人編成で織りなされる音の物語が、ここまでの削ぎ落とされたソリッドな音像に馴染んだ耳に新鮮に響く。楽器の音ひと粒ひと粒がまるで陽光に輝く水しぶきのごとくキラキラとはじけ、フロアを自ずと跳ねさせた「ジュゴンの背中に乗って」。軽やかなジャズテイストが心地よい「余所見」から、ギターを下ろした菅原達也(Vo・Gt)が「悪魔と一緒に踊れるかい?」と客席に呼びかけて自身も激しくサウンドに身を委ねた「悪魔の証明」と、持ち前のポップネスにタフさも加わった圧巻のステージングでオーディエンスを魅了する。さらには「今日はラスボスみたいなバンドばっかりなので、怖くなって新曲を作ってきました」と12月14日に配信限定でリリースする新曲「放課後色」も初披露。いよいよ確立された感のある、め組ならではの世界観を存分に見せつけた。

 「“JAPAN’S NEXT”、初めまして! わざわざ土曜日にライブハウスに来てくれてありがとう。遊ぼうぜ!」。転換後、サウンドチェックを終えるやジャギジャギとギターをかき鳴らし、フロアのさざめきをねじ伏せるようにして椎木知仁(Vo・Gt)が声を張ると、そのままバンドはライブをスタートさせた。終盤に差しかかった空気に登場したMy Hair is Bad、新潟県上越市出身のこの3ピースバンドからとめどなく横溢するエモーションはまるでカンフル剤のごとくオーディエンスを奮い立たせる。「アフターアワー」「元彼氏として」「ドラマみたいだ」と矢継ぎ早に畳み掛けられる楽曲はもれなくヒリヒリとしてまるでかさぶたを張ることなくいつまでも血が滲み続ける擦り傷みたいに赤裸々で、「今日集まってくれた若者に」と捧げられた新曲「告白」は救いがないくらいに心情がむき出しだ。「俺らが今日、ここに立たせてもらってできること、それは100点じゃなくて100%出していくことです。この現場で、今日観に来てくれたあんたらの前でいいライブができなきゃ全部嘘だ!」、そう言い切ったあと長めの弾き語りから突入したフリースタイルナンバー「フロムナウオン」になす術もなく撃ち抜かれた。

 あのときの“NEXT”が今、時代の顔となって帰ってくる。それはこのプロジェクトにとって何よりの願いの成就に違いなく、BLUE ENCOUNTは見事それを成し遂げた。昨年2月の“JAPAN’S NEXT vol.2”から約2年。10月9日に初の日本武道館ワンマン公演を大成功に収め、“JAPAN’S NEXT”のステージに再び姿を現わした彼らは、武道館に立っていたとき以上に大きく頼もしく見える。「始めるよー!」の掛け声一発、「Survivor」「ロストジンクス」とオーディエンス目がけて叩きつけるアンサンブルがまた分厚いこと!

 「オマエらの固定概念、全部ぶっ壊せ。俺はただの汗かきメガネ、オマエらもバンT着てるただのパリピでいいだろ? ちょっとだけでもオマエらが幸せだったっていう時間が作りたいんだ!」と田邊駿一(Vo・Gt)のMCもいつにも増して闘志がみなぎっている。その熱は瞬く間にオーディエンスにも伝播、この場に全員が笑顔で汗にまみれているのがとても綺麗だと思えた。しかしながら、この日のブルエンは想像以上にアグレッシブ。「LIVER」を曲の途中で止め、「ただ楽しみたいとか、みんなでいい景色作りたいとかだったら他のところに行ってください。そんなんじゃないからここに来たんだろ?」とフロアに本気を問いかけてバンド史上初の2回戦になだれ込んだほどだ。音楽を心から愛し、その力を信じているからこそ予定調和の盛り上がりはいらない、常に全力で生身を晒してきたBLUE ENCOUNTの矜持を改めて知る思いがした。

  「このイベントに出たことは誇りです。俺らを呼んでくれて、そして今日出た全バンドをここに立たせてくれてありがとうございました」

 出演バンド全員の想いと感謝を代表するように田邊が言う。アンコールは最新シングル「LAST HERO」だった。この日、この会場で鳴っていた5つの音もきっと誰かにとってのヒーローだ。そして、この先も次世代が新たなヒーローを連れてくる。それは途轍もない希望だと思えた。

【取材・文 : 本間 夕子】

お知らせ

■ライブ情報

yonige

yonige presents 売上折半 vol.1
2016/12/02(金) 寝屋川VINTAGE

COUNTDOWN JAPAN2016
2016/12/30(金) 幕張メッセ

yonige presents 売上総取 vol.1
2017/01/08(日) 心斎橋BRONZE

yonige presents 売上総取 vol.2
2017/02/05(日) 渋谷O-Crest


Dizzy Sunfist

RAZORS EDGE 20th Anniversary Tour 2016 ”THRASH ’EM ALL!! vol.90"
2016/11/19(土) 下北沢SHELTER

S.M.N. new album「BAD HOP」rerease tour 2016〜2017
2016/11/20(日) 心斎橋 新神楽

NORVER presents [ATTACK FROM THE BACKYARD vol.18] SHIMA 1st Full Album -WRAINBOW- Release Tour
2016/11/23(水) 熊本Django

SHIMA 1st Full Album -WRAINBOW- Release Tour
2016/11/26(土) 宮崎SR BOX
2016/11/27(日) 鹿児島SR HALL

it is WHAT it is” TOUR
2016/12/07(水) 岡山CRAZYMAMA 2nd ROOM

MOROHA"MOROHA? RELEASE TOUR"
2016/12/11(日) 大分club SPOT

BAKEMONO TOUR 2016
2016/12/12(月) 広島 CAVE-BE
2016/12/14(水) 高松 DIME

EVERLONG “willco” Release Tour “キミ!キミ!キミ!史上最大の進撃作戦” ENTH & All Found Bright Lights "Hike" Release Tour "Go Hitch Go
2016/12/16(金) 神戸太陽と虎

ポルノ超特急2016
2016/12/24(土) 京都パルスプラザ

rockin’on presents『COUNTDOWN JAPAN 16/17』
2016/12/31(土) 幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール

SECRET 7 LINE presents THICK FESTIVAL 2017
2017/01/07(土) CLUB CITTA’ 川崎
2017/01/08(日) CLUB CITTA’ 川崎


め組

rockin’on presents『COUNTDOWN JAPAN 16/17』
2016/12/31(土) 幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール


My Hair is Bad

ハイパーホームランツアー
―2016―
2016/12/03(土) 新潟上越EARTH
2016/12/05(月) 渋谷TSUTAYA O-CREST
2016/12/07(水) 名古屋HUCK FINN
2016/12/09(金) 心斎橋BRONZE
2016/12/11(日) 広島福山Cable
2016/12/13(火) 福岡Queblick
2016/12/26(月) 神戸太陽と虎

―2017―
2017/3/01(水) 新潟GOLDEN PIGS BLACK
2017/3/03(金) 高田馬場club PHASE
2017/3/07(火) 山口周南RISING HALL
2017/3/09(木) 出雲APOLLO
2017/3/11(土) 大分T.O.P.S Bitts HALL
2017/3/12(日) 松山SALON KITTY
2017/3/19(日) なんばHatch
2017/3/21(火) 千葉LOOK
2017/3/23(木) 福島郡山#9
2017/3/24(金) 仙台MACANA
2017/3/26(日) 山形酒田MUSIC FACTORY
2017/3/28(火) 新潟三条ROCKET PINK
2017/3/31(金) 静岡UMBER
2017/4/03(月) 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
2017/4/05(水) 京都MUSE
2017/4/08(土) 高知X-pt.
2017/4/12(水) 水戸LIGHT HOUSE
2017/4/13(木) 宇都宮HELLO DOLLY
2017/4/15(土) 盛岡the five
2017/4/16(日) 秋田SWINDLE
2017/4/18(火) 青森弘前Mag-Net
2017/4/22(土) 北海道札幌cube garden
2017/5/04(木) 日比谷野外大音楽堂
2017/5/11(木) 金沢vanvan V4
2017/5/13(土) 名古屋DIAMOND HALL
2017/5/20(土) 沖縄桜坂セントラル
2017/5/25(木) 広島QUATTRO
2017/5/27(土) 福岡BEAT STATION
2017/5/29(月) 高松DIME
2017/6/01(木) 長野松本ALECX
2017/6/03(土) 仙台JUNK BOX
2017/6/06(火) 横浜F.A.D
2017/6/10(土) 宮崎FLOOR
2017/6/11(日) 小倉FUSE
2017/6/15(木) 甲府KAZOO HALL
2017/6/18(日) 新潟LOTS


BLUE ENCOUNT

BLUE ENCOUNT 2017 TOUR
2017/03/12(日) 高松festhalle
2017/03/20(月) 幕張メッセ国際展示場
2017/04/02(日) Zepp Sappro
2017/04/08(土) 仙台PIT
2017/04/09(日) 新潟LOTS
2017/04/15(土) Zepp Osaka Bayside
2017/04/16(日) BLUELIVE HIROSHIMA
2017/04/26(水) Zepp Nagoya
2017/04/27(木) Zepp Nagoya
2017/05/07(日) 福岡国際センター

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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