前へ

次へ

SUPER BEAVER、Zepp DiverCity(TOKYO)公演の模様をレポート!

SUPER BEAVER | 2016.11.15

 SEが鳴り響く中、所属するレーベル[NOiD]ロゴが入ったタオルを頭上に掲げて登場した柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原”28才”広明(Dr)。彼らに続いて渋谷龍太(Vo)も現れ、メンバー全員が集合。青色のライトに包まれているステージ上で、4人が掌を重ねて気合入れを行っている姿が見えた。そして、1曲目「27」がスタート。観客の手拍子がみるみる内に加わり、会場全体が1つになるのを感じた。そして、大合唱を巻き起こした「東京流星群」。イントロが奏でられるや、フロア全体でたくさんの拳が突き上げられた「じぶんまかせ」……オープニングを飾った3曲によって、早くも圧倒的な盛り上がりが生まれていた。

 今年の4月10日にもワンマンライブを行ったZepp DiverCityに再び立てる喜びをMCで語った渋谷。前回はチケットがソールドアウトするとは思っておらず、「2度目となる秋に、ついにソールドアウト」という美しいドラマを作るつもりだったのだという。予期せぬ嬉しい誤算となっただけでなく、今回のツアーも全会場のチケットがソールドアウトしたことに対する感謝が伝えられた後、心がこもった演奏はさらに続いた。「あなたの声を聴かせて!」と呼びかけられたのに応えて、観客がエネルギッシュな歌声を響かせていた「うるさい」。その次の曲「言えって」で巻き起こった大合唱の一体感も素晴らしかった。SUPER BREAVERの曲で歌われている言葉の1つ1つは、集まったファンにとってかけがえのないものとなっているのだろう。そんなことを改めて感じる場面の連続であった。

 各地を回った今回のツアーを振り返った渋谷。「北は北海道、北は九州」という奇妙な言い間違いをした彼に対してメンバーたちからすかさずツッコミが入る。「俺は沖縄の人だ!(※渋谷は本当は東京出身)」と言い返して観客を大爆笑させた彼は、「限られた時間の中で何ができるのか?」とよく考えるのだとも語った。そして、「答えなんて出ないんだけど、今日は今日の答え、正解を出す」と言い、スタートさせたのは「それでも世界が目を覚ますのなら」。ピンスポットを浴びながら、柳沢のギターのみのバッキングで一心に歌い上げる姿が凛々しかった。やがて、上杉のベースと藤原のドラムも加わり、奥行き深いアンサンブルが構築されていく。その次の曲「運命」も、温かいメロディがじっくり届けられ、うっとりと耳を傾けていた観客……穏やかなサウンドが広がる2曲を披露し終えると「今のセクション、緊張した? 俺らも緊張した(笑)」と、渋谷がリラックスした表情で微笑んでいた。

 「すっかり大人になりまして、あと半年くらいで30歳。次にやるのは、大人になって柔軟になった部分の曲」と言い、渋谷がタンバリンを叩きながら歌った「赤を塗って」の後に迎えたインターバル。「アルバム聴いた? ゲストを招いた曲が1曲あるんだよ。出てくると思ってる? じゃあ、スペシャルゲスト!」、渋谷の紹介でsumikaのキーボードプレイヤー・小川貴之が登場。彼の演奏が加わって披露された「ひとつ」は、リスペクトし合っているミュージシャン同士が醸し出す瑞々しいエネルギーに満ちていた。そして、この曲を届け終えた後、11年近く歩んで来たSUPER BEAVERについて渋谷は語った。「人と真正面に向き合うのが大事」という考えが希薄だった彼らだが、様々な経験をする内に変化していったのだという。「もっと密に繋がりたいと思った。足を運んでくれるあなたたちと意志の交換をしたいと思った。人と向き合うことの大切さを、俺らはいつも人から教わる。こうやってあなたたちの前でこの光景を見ると“良かった!”と思う」……このMCを噛み締めつつ聴いた「人として」には、たくさんの出会いを繰り返しながら活動を重ねてきたSUPER BEAVERの想いが、たっぷりとこめられているのを感じた。

 「改めまして、来てくれてありがとうございます。ここにたくさんの人生が集まってる。言ってしまえば他人。でも、1つのチームになってる。ロマンです!」と渋谷が言った後、ツアーの感想を語り合ったメンバーたち。「あのね。親父が観に来てます。初めてのワンマン以来なんだけど」、普段は無口な藤原も嬉しそうに話していた。そして、「もっと楽しめますか? 後半戦行くぞ!」、熱い言葉と共に「愛する」へ突入。この曲を皮切りに「歓びの明日に」「→」「361°」……パワフルなナンバーが連発され、観客もメンバーたちも汗だく。激しいジャンプを巻き起こした「ルール」で会場がグラグラ揺らぐ様は壮観だった。

 熱い場面の連続を経て雪崩れ込んだ終盤戦の盛り上がりも素晴らしいものであった。会場内にいたあらゆる人々が夢中になって手拍子をしているのを感じた「青い春」。「両手を見せてくれますか?」という渋谷の言葉を受けて、フロア全体で観客の腕が掲げられ、頭上で激しく両掌が打ち鳴らされた「証明」。そして、力強い歌声の交わし合いと大合唱が湧き起った「秘密」で本編は終了。メンバーたちは手を振りながらステージを後にしたが、観客はアンコールを求めて歓声を上げ続けた。

 ステージ上のスクリーンに突然浮かび上がった「緊急告知」という文字。「2017年1月にシングルをリリース」「シングル発売記念ライブ決定(2017年4月8日・岡山CRAZYMAMA KINGDOM、4月30日・日比谷野外大音楽堂、5月13日・大阪城野外音楽堂)」……嬉しいニュースが発表され、大喜びしている観客の前にメンバーたちが再登場。「野音決まりました! 少しずつキャパが大きくなってるけど、そのキャパでしか見せられない景色を大事にしたいと思ってます。でも、ライブハウスでもやろうね。フロム・ライブハウスだから、俺ら。大きいところの景色も見たい。でも、ライブハウスでもやりたい。これからもついてきてください!」、メンバーを代表して渋谷が想いを語っていた。

 アンコールでまず披露されたのは、タイトルが決まっておらず、レコーディングもまだ終わっていないのだという新曲。爽やかな疾走感、甘酸っぱいメロディ、人間同士が繋がり合う喜びを描いている歌詞が印象的だった。そして、ラストは「素晴らしい世界」。《心配しないで 大人は楽しいよ 大切が増えていくんだ》《独りでは意味がない わかってるかい あなたがいなきゃ意味ない》……歌われる言葉の数々が、優しく観客に降り注いでいた。共に歌う人々の笑顔が眩しい。明るい昂揚感が漂う会場内を眺めながら演奏をするメンバーたちも、心底嬉しそうな表情を浮かべていた。こうして終演を迎えた『SUPER BEAVER 『27』Release Tour 2016 ~27こぶ、ラクダ~』の東京・Zepp DiverCity公演。SUPER BEAVERとファンの間にある絆が一層深まっているのを感じたライブであった。

【取材・文:田中 大】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル SUPER BEAVER

リリース情報

SUPER BEAVER「27」

SUPER BEAVER「27」

2016年06月01日

[NOiD] / murffin discs

01.27
02.秘密
03.ことば
04.うるさい
05.赤を塗って
06.ひとつ
07.じぶんまかせ
08.本音
09.まっしろ
10.運命
11.青い春
12.人として
13.素晴らしい世界

セットリスト

SUPER BEAVER 『 27 』 Release Tour 2016 〜27こぶ、ラクダ〜
2016.11.5@Zepp DiverCity

  1. 01.27
  2. 02.東京流星群
  3. 03.じぶんまかせ
  4. 04.うるさい
  5. 05.らしさ
  6. 06.言えって
  7. 07.本音
  8. 08.まっしろ
  9. 09.それでも世界が目を覚ますのなら
  10. 10.運命
  11. 11.赤を塗って
  12. 12.ひとつ
  13. 13.人として
  14. 14.愛する
  15. 15.歓びの明日に
  16. 16.→
  17. 17.361°
  18. 18.ルール
  19. 19.青い春
  20. 20.証明
  21. 21.秘密
<ENCORE>
  1. EN-01.(新曲)
  2. EN-02.素晴らしい世界

お知らせ

■ライブ情報

都会のラクダSP〜ラクダキングダム〜
2017/04/08(土) 岡山CRAZYMAMA KINGDOM ※ワンマン

都会のラクダSP〜ラクダビルディング〜
2017/04/30(日) 日比谷野外大音楽堂 ※ワンマン

都会のラクダSP〜ラクダキャッスル〜
2017/05/13(土) 大阪城野外音楽堂 ※ワンマン

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る