Czecho No Republic ツアーファイナルのZepp DiverCityライブレポート
Czecho No Republic | 2016.11.22
Czecho No Republicがニューアルバム『DREAMS』と共に、リリースツアー『Welcome to the Hotel Flamingo Tour』を行った。全国15か所にも及んだ今回のツアー。その締めくくりとなったのが、このZepp DiverCityであった。そこで彼らは見事に終始、「終わらない夏休み」を享楽してくれた。
パラソル、チェアー、ステージ両サイドに用意されたランウェイにはヤシの木…。加え、ステージのバックには「Welcome To The Hotel Flamingo」のネオン管まである。そんな南国のリゾートチックな舞台装飾が施された今回の彼らのステージ。外の気温の低さなど、すっかり忘れてしまうぐらい、会場の中は雰囲気もオーディエンスの熱量も開演前からかなりホットだ。
ポリネシアンなSEに乗ってメンバーが一人ひとり登場してくる。いつもとは違ったファンファーレチックなイントロから1曲目の「Amazing Parade」へ。早速の一体感が<ライブ>という名の彼らのパレードへの参列を促してくる。これまでで最もブレイブ感や生命力を感じた同曲。元々ライブを観る毎にスピードが上がっている印象を受けていた同曲だったが、この日は、これまで観てきた中で最も速かった気が…。それぐらい気持ちも勢いも前傾姿勢だったということだろう。
続いて、こちらもいつもよりもアッパーに感じた「ネバーランド」に。間に恒例の3拍子を交え、再び本道へ。それがことさら後のスピードへと繋がっていく。ドラムの山崎正太郎のフロアタムを活かしたドラミングが更に同曲の擁する生命力を引き出していく。ポリリズムを交えたイントロからエレクトロ度の高い「Dream Beach Sunset」へ入ると、武井優心(Vo.&B.)もベースを置き、ハンドマイクとシェイカーを持ち、歌う。頭の3曲で、ただでさえ熱気あふれる場内に更なる熱量が加わっていく。
ここで一発目のMC。
「みなさん今日は遊びに来てくれてありがとう。当ホテルは年中無休でやってるんで、楽しい夏休みの想い出を作って帰って下さい」と武井。「僕らの曲は、みんなの声を足して曲が出来上がるものが多い。今日もみんなの力を借りて、壮大な曲を一緒に作っていきたい」と、ニューアルバムからスタジアムアンセムナンバー「Forever Dreaming」に入る。ライブでの同曲は、まさに会場の呼応を交えることで壮大な1曲として完成していく体を見せた。それがことさら<ライブを一緒に作っている>感を我々に与えてくれる。下手(しもて)ギターの砂川一黄も左右に用意されたランウェイでギターソロをキメ、盛り上がりの火に油を注いでいく。
続く2曲は、タカハシマイ(Vo.& Syn)の面目躍如でもあった。彼女の天空系のボーカルが雲の上まで引き上げてくれた、上昇感と爽快感に満ちた「MUSIC」、ここではない素敵などこかへと誘ってくれた「ゴッホとジョン」と、彼女の歌声でライブの次章が次々と綴られていった。
中盤ではゲスト・パーカッションを加え、よりライブに躍動感が寄与されていく。
「今回のアルバムのテーマが夏だったんで、全国を常夏にしてきましたよ」とは武井。南国の浜辺を思い浮かばせるようなメンバー各位によるイメージワードから、「ビールが飲みたくなるね。ビールの曲を演ろうか」(武井)と、「P.I.C グアム」に。同曲ではメンバー全員がメキシカンハットかぶりプレイ。同曲の後半でのテンポアップが会場全体を並走させる。また、この辺りでは、ニューアルバムからの曲が連続で披露される。不思議なサイケデリック感が会場を包んでいった「ヘンリー・ジョーと海の城」、少ない音階ながらも、曲がゆっくりジワジワと物語を広げていった「Blue Holiday」、再びタカハシがメインボーカルをとった「Shiny Girl」等が次々と披露されていく。
他のメンバーに促され、武井が珍しく、「かかってこいやー!!」と、自分たちの士気を露わにした会場への煽りを発する。それを経て突入した後半戦。ここからは新旧交え、カラフルな曲たちが次々と飛び出していった。
再びライブを上昇気流へと乗せていった「No Way」、こちらもオリジナルに比べ、アップテンポに体感したニューウェーヴィーな「Festival」、上手(かみて)ギタリスト八木類が作詞作曲し、自身の歌唱まで披露した「JOB!」では、八木がハンドマイクを片手に左右のランウェイに移動しつつ歌い、場を盛り上げた。
この日の沸点は、EDMナンバー「Firework」で迎えた。高騰する会場。高揚感と一体感を伴ってフロアのバウンスが会場中を揺らす。
「出来た瞬間に、ニューアルバム(『DREAMS』)の核となる曲になる予感がした」との武井のMCの後、タカハシがボーカルをとる「Electric Girl」へ。トランシーなEDMナンバーながら、ミディアムテンポとダイナミズムを擁している分、けっしてウェーイでパリピに仕上げないところが、いかにも彼ららしい。
本編ラストは、グワッと高い所まで引き上げてくれては、パーッとした晴れやかな気持ちにさせてくれた「Oh Yeah!!!!!!!」。会場中一体となって、一緒に歌い、楽しそうに幸せそうに呼応しているフロアの光景も印象的であった。
アンコールでは、先にステージに再登場した山崎と砂川による、このツアーでのグッズ紹介を挟み、年末に、リクエストに応じたスモールクラスの会場でのワンマンライブを行うことが発表され、会場中から驚喜の声が上がった。
アンコール1曲目は新曲であった。
「これまでバンドをやってきた想いを込めた新曲です」との武井からのイントロデュースの後、モータウンサウンドを変形させたような60’sビートポップスが会場に広がっていく。バンドを始めた頃の気持ちや、今も変わらない気持ち、今では変わってしまった気持ちが入り交った、彼らの中ではこれまでになかった、リアルな自身の胸中が歌われたかのような歌だ。この曲は会場中に、自身の続けてきた中で変わったもの、変わらないものを思い返させるのと同時に、それでも今も残っている各々の信念や気持ちを大切にしていこう的な、新たな決意をも促してくれるように響いた。
ラスト2曲は明るく締めた。アップテンポのカウパンクナンバー「RUN RUN TIKI BANG BANG」では、メンバー紹介と各人のショートソロも交え、ハイテンションに会場も巻き込み進んでいき、ラストは代表曲「ダイナソー」がブレイブに気高く、まるでみんなの歌のように会場中に響き渡った。
彼らのライブは終始、会場中を笑顔と幸せそうな顔にさせてくれる。そして、会場を出る際には、まるで<良い旅>をし、帰宅した際のような、いい意味での心地良い疲れと安堵、そしてまたすぐにでも再び旅に出たくなる渇求な気持ちにさせてくれる。
新曲にて自身を見つめるような曲が現われた今回。これまでアウターとして、ここではないどこかへと誘ってくれる曲が多かった彼らだったが、次への方向性は、もしかしたら、よりインナーへのトリップになるかも...なんて、早くも次の作品への邪推を始めてしまいたくなるライブでもあった。
【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:山川哲矢】
リリース情報
DREAMS
2016年07月20日
日本コロムビア
02. Forever Dreaming
03. Electric Girl
04. Dreamer
05. BB
06. ゴッホとジョン
07. ヘンリー・ジョーと海の城
08. Blue Holiday
09. Shiny Girl
10. パニック
11. Born Again
12. エンドロール
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※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。