BURNOUT SYNDROMES恐るべし! 3ピースバンドの限界に挑戦した、自身初の渋谷クラブクアトロワンマン公演をレポート!
BURNOUT SYNDROMES | 2016.12.06
3ピースバンドの限界に挑戦しているような演奏力とスケール感に圧倒された。加えて、メンバーのキャラクター性も際立っているのだから、BURNOUT SYNDROMES恐るべし!と言うしかない。ある意味ツッコミどころ満載の人間臭さも持ち合わせているのだが、その振り切れ具合が半端じゃないから、もはや立派な個性であり、強烈な武器である。一度ライブを観たら二度と忘れられないインパクトを放つバンド・・・音楽シーンを見渡しても、そんな人たちはなかなか見当たらない。
大阪発のBURNOUT SYNDROMESが1stフルアルバム『檸檬』を発表し、それに伴うワンマンツアー「ヒカリアレ~未来への祈りを合図に火蓋を切る~」5本目にあたる東京公演を観てきた。19時10分、スクリーンに情熱大陸風のナレーションが流れ、熊谷(Vo/Gt)の制作風景と共に「一人の人生のベクトルを動かせたら・・・」と語る様子が映し出されると、多くの観客が食い入るように映像を観ていた。それから廣瀬(Dr/Cho)の力強いドラミングが鼓膜に飛び込んでくると、「Bottle Ship Boys」で火蓋を切った。裏声を駆使した熊谷の伸びやかな歌声が会場いっぱいに広がり、いきなり目の前の風景がパーッと開けるような印象を受けた。それから疾走感抜群の「エアギターガール」に入ると、会場の熱もグングンと上がっていく。ヘッドマイクを付けた"総合司会"役を担う石川(Ba/Cho)が「俺たちのキラーチューン、一緒に歌おうぜ!」と元気に呼びかけると、「FLY HIGH!!」をプレイ。緻密かつ重厚なバンド・アンサンブルで一気に攻め込み、途中で「キミたちの曲、サビはあげる!」と親密なMCで呼びかけ、大きなシンガロングを巻き起こす。3曲を終えた時点で、既に会場はBURNOUT SYNDROMES色に染め上げられていた。
そして、「君は僕のRainbow」、「君のためのMusic」とフォーク調の牧歌的なメロディを配した柔らかな曲調が続く。シンプルなアレンジゆえに、歌メロの良さがダイレクトに伝わり、彼らのソングライティング能力の高さをひしひしと感じた。後者ではキャップにサングラスを付けた石川がラップを挟む大胆不敵な展開を見せ、こうした遊び心に富む鮮やかな裏切りも魅力のひとつだ。
スラップ・ベースを含む熱きセッションから、次は「エレベーターガール」に突入。メンバー3人がリレー形式でラップを紡ぐパートもあり、アッパーな曲調をさらに華やかに彩る。しかもデパートガールのナレーションを織り込む演出も効果的で、ライブで一段と映えていた。いやぁ、楽曲のアイデアもズバ抜けて面白いバンドだ。「墜落 / 上昇」を挟み、中盤もバンドの勢いは加速する一方である。ミュージカルちっくな雰囲気も漂う「リフレインはもう鳴らない」の曲世界に魅了されると、続く「文學少女」では熊谷と石川が掛け合いボーカルを披露し、各楽器の音色も立った沸点の高い演奏に引き込まれた。
それから「大切なお知らせ」と石川は前置きすると、会場はザワザワする。大好きなローリング・ストーンズが結成50数年ということで、「僕らもずっとバンドを続けたい。それが大切なお知らせ!」とMCする場面もあり、これには思わず笑ってしまった。イントロのコーラスから耳を奪われる「ヒカリアレ」は、曲名通りにキラキラした至福のメロディを解き放ち、ライトハンドも曲の光彩度を高めていた。そして、本編ラストを飾る「Sign」がこれまた素晴らしかった。最初は熊谷一人にスポットライトが当たり、アコギ弾き語りでゆったり始まると、途中から石川のベース、廣瀬のドラムがそっと寄り添い、聴く者の内面に沁み込むような静謐なアンサンブルを聴かせる。躍動感溢れるタフなサウンドを叩き付ける反面、針穴に糸を通すような繊細な表現力にも唸らされた。
「楽しませるはずが、めっちゃ楽しい!」と廣瀬が屈託のない言葉を発し、観客の「タイコソロ!」という声に応える形でドラムソロまで披露。それからアンコールに応えると、ムソルグスキーの"展覧会の絵"を織り込んだイントロにドキッとする「檸檬」を演奏する。音源で聴いてもインパクト絶大だったが、ライブではより一層輝きを放っていた。廣瀬がサンタクロースの帽子を被ると、次は「月光サンタクロース」へ。この季節にピッタリの曲調に盛り上げると、最後は「ラブレター。」で明るくライブを締め括った。2時間強に及び、バンドにとっては初・渋谷クアトロとなったワンマン公演だったが、中弛みさせずに演奏、MC、楽曲でガンガン観客を引っ張っていくパフォーマンスを展開した。
冒頭でも書いたけれど、歌や演奏のうまさはもちろん、飾らない人間味が火に油を注ぐ形となり、無垢な少年っぽさと成熟した大人の魅力の両面を猛烈にアピールしていた。この日、彼らのライブを観たのは二度目になるのだが、また現場に足を運びたい!と思わせるものを持っている。これでメンバー全員がまだ20代前半というのだから、ちょっと信じられない。これからの飛躍が本当に楽しみなバンドだ。とりあえず、1stアルバム『檸檬』を聴いて、彼らのライブに一刻も早く触れてほしい。驚きしかありませんから。
【取材・文:荒金 良介】
【撮影:山本佳代子】
リリース情報
檸檬[通常盤]
2016年11月09日
Epic Record Japan
2.Bottle Ship Boys
3.FLY HIGH!!
4.アタシインソムニア
5.エレベーターガール
6.ナイトサイクリング
7.君は僕のRainbow
8.君のためのMusic
9.ヒカリアレ
10. 人工衛星
11. エアギターガール
12. タイムカプセルに青空を
13. Sign
セットリスト
ヒカリアレ~未来への祈りを合図に火蓋を切る~
2016.11.25@渋谷クラブクアトロ
- 01. Bottle Ship Boys
- 02. エアギターガール
- 03. FLY HIGH!!
- 04. PIANOTUNE
- 05. セツナヒコウキ
- 06. むー
- 07. 君は僕の Rainbow
- 08. 君のための MUSIC
- 09. エレベーターガール
- 10. I am a HERO
- 11. 墜落 / 上昇
- 12. リフレインはもう鳴らない
- 13. 文學少女
- 14. ヒカリアレ
- 15. 人工衛星
- 16. LOSTTIME
- 17. ナイトサイクリング
- 18. Sign
- EN1. 檸檬
- EN2. 月光サンタクロース
- EN3. ラブレター。
お知らせ
ジャンプフェスタ2017
2016/12/17(土) 幕張メッセ 国際展示場 展示ホール1〜8
MERRY ROCK PARADE 2016
2016/12/24(土) ポートメッセなごや1〜3号館
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。