直人（Guitar・Chorus）、あっきー（Bass・Chorus）、アサケン（Drums・Chorus）が元気いっぱいに飛び込んで来たのに続いて、ステージに現れたmick（Vocal・Guitar・Piano）。彼女が「楽しむ準備はできてますか？　どうぞよろしく！」と挨拶をしたのを合図に「honey」がスタートした。ストラップで肩からかけたエレキギターを背中の方へと回し、キーボードの前に立った彼女が奏でる軽快なイントロが気持ちいい。メンバー全員が一丸となって放つエネルギッシュなサウンドを浴びながら、観客は全力の手拍子で応えていた。続いて「GuruGuru」と「アネモネ」も披露されたことにより、急速に上昇した会場内の気温。キャッチーなメロディを軸としつつ、ドラマチックな展開、パワフルな歌声や演奏でワクワクさせてくれるAmelieの醍醐味を、早くも存分に体感させてくれた。

　Amelieのライブは耳はもちろん、目も最大限に楽しませてくれる。キーボードを弾いていたと思ったら素早くエレキギターを構えてシャープな音色を奏でるmick。時折、まるで格闘家のように激しく足を振り上げたり、ジャンプをしながらドラマチックなフレーズを連発する直人。身体を揺らしつつ全力で演奏している姿が鮮烈に迫って来るあっきー。変幻自在にスティックを操りながらビートを叩き出す姿がかっこいいアサケン。そして、観客が共に歌い、踊っているフロアの風景が美しい。「月夜に君とランデヴー」「リリィ」「WONDER」……多彩な曲が伸び伸びと響き渡り、会場内の誰も彼もが明るい表情を浮かべていた。

　バンド史上、最大規模の会場でワンマンライブができる喜びをMCで語っていたmick。O-WESTは彼女が初めて足を踏み入れたライブハウスであり、「いつかここで自分もライブをやりたい！」という夢を抱いていたのだという。そして、ライブというものに象徴される人間同士のコミュニケーションについても語っていた。「SNSや電話も必要。でも、直接こうやって会いたいなと思う。大好きな人には触れたいじゃないですか」、そんな言葉を添えて披露された「手をつないだ」のメロディが、優しく観客を包み込んでいたのが印象的だった。

　新曲「タイムライン」、明るいクラップを巻き起こした「グッバイハロー」を経てMCタイム。「楽しい？　良かった！　私も楽しいです。歌うのがすごく好きで、人に会うのが好きで、気づいたらバンドをやって、Amelieをやってました。みんなと一緒に歌いたい曲があるんだけど」とmickが言い、スタートしたのは「手紙」。大合唱しながら手のひらを掲げる観客の姿が眩しい。そして、ダイナミックに高鳴る爆音が刺激的だった「parade」。スリリングな展開でワクワクさせてくれた「さよならバイバイ」……強力なナンバーの連続が興奮を加速したところで、mickは力強く観客に呼びかけた。「ツアーファイナルです。終わりじゃなくて始まりの日。始まりの合図は自分で鳴らすもの」、この言葉と共に突入した「君が為に鐘は鳴る」の盛り上がりは、一際熱いものだった。

　「今日イチの景色を作りたいの！」という言葉に応えて、観客が全力で拳を振り上げ、大合唱をしていた「メグリメグル」の後に迎えたインターバル。「あのね。今日、チケットが売り切れなかったの。今までのワンマンは売り切れてたけど。かっこ悪いと思って、ここに立つまでビビってた。でも、そういうことじゃないなと……」と想いを語り始めたmickは、関わってくれる様々なスタッフたちと力を合わせて進みながら感じる愛、たくさんの人々がライブに来てくれる幸せを、今日のライブの中に改めて実感したのだという。「でも、今度はもっと大きな会場を売り切るぞ！という気持ちでやってくので、これからもついてきてください」という言葉を聞いた観客は、心のこもった声援を送っていた。

　本編を締め括ったのは、「大切な1人1人にこの歌を捧げます」という言葉を添えて届けられた「ヒーロー」。mickが奏でるギターと歌のみでスタートした後、直人、あっきー、アサケンも合流。エモーショナルに高鳴っていくサウンドは、4人の中に漲る熱いエネルギーを生々しく示していた。演奏を終えると、彼らはステージから去ったが、すぐに起こった手拍子。アンコールに応えてメンバーたちは戻ってきた。mickが持っている“重大発表”と書かれた封筒が目を引く。「ボスに渡されたんですけど、こわーい（笑）」と言って彼女が読み上げたのは、“2017年1月11日に1stミニアルバム『ドラマチック』をリリース”“全国ツアー決定”という2つの嬉しいニュースだった。そして、来年リリースするミニアルバムに収録される「ドラマチック」を披露。爽やかに躍動するサウンドに刺激されて、観客は夢中になって手拍子をしていた。


　「ほんとにどうもありがとう！　また一緒にライブハウスで遊びましょう。また子供みたいな笑顔で会えますように」とmickが言い、ラストに届けられた「monster」の盛り上がり方は、とても清々しいものだった。歌声と演奏を噛み締めながら、観客は心底気持ちよさそうに身体を揺らす。「気をつけて帰ってね！」という言葉と共にエンディングを迎えたと同時に湧き起こったのは、特大級の拍手。手を振りながら去っていったメンバー4人は、とても満ち足りた表情を浮かべていた。ファンと一緒に素敵な空間を作り上げることができた喜びを感じつつ、今後、さらに力強く前進する決意を抱いていたのだと思う。

【撮影：JUNPEI HIYOSHI】
【取材・文：田中 大】