Halo at 四畳半、初のワンマンツアー“途絶えた交信の捜し方”初日公演をレポート!
Halo at 四畳半 | 2016.12.12
開演を待ちわびたオーディエンスの大きな歓声の中、登場した齋木孝平(Gt、Cho)、渡井翔汰(Vo、Gt)、片山 僚(Dr、Cho)、白井將人(Ba)の4人。1st EP「万有信号の法則-EP」の発売を記念したワンマンツアー、初日となる渋谷CLUB QUATTROは超満員のソールドアウトという最高のスタートを切った。冒頭では渡井が「千葉県佐倉市から来ました、最後までどうぞよろしく!」と挨拶し、齋木と白井が両サイドでモニターの上に立ってプレイで魅了すると、彼ら4人の精一杯の想いがたちまち伝わって、客席からたくさんの手が挙がった。Halo at 四畳半ならではの初々しさや衝動はそのままに、迫力のある片山のドラムがサウンドに力強いビートを添えて場内を満たしていく。かと思いきや2曲目では青い光に包まれた序盤から、曲が進むに連れてエモーションが剥き出しになっていくような楽曲世界でグイグイと引き込んでいく。
「ツアー初日です、来てくれてありがとう。なんとなくではなく、間違いなく皆さんの一番になるためにここに立ってます」という渡井のMCを挟み、ていねいなアンサンブルとていねいなストーリーテリングで会場いっぱいに生の大きなドラマを生み出していく。ロマンチックなムードのあるギターの音色や、エンターテインメント性のある楽曲など、Halo at 四畳半はカラフルな曲の世界観が魅力のバンドである。目の前にいるオーディエンスを楽しませること、に対して、安直な答えを用いることなく、自分たちが持っている文体やアプローチの仕方を大切に守り抜いてきたという印象もある。「万有信号の法則-EP」は特に、明確なメッセージ性と、巧みな表現力が、ポップに実を結んだタイミングでもあった。だからこそ、今のHalo at 四畳半のバンドとしての勢いとエネルギー、そんな彼らの音楽を求めるオーディエンスの熱気がひとつにぶつかるような、そんな心地良さが一気にはじけた。ツアー初日の緊張感が「楽しい!」に少しずつ変わっていく。その証拠に渡井がうれしそうにニコリと笑い、メンバーと目配せをしたり、かと思えば歌詞を飛ばしてしまい、すかさず「ごめんな!」と客席に向かって叫んだり。その後は彼らの代表曲のひとつでもある楽曲を堂々たる熱さで披露し、そこに客席からのハンズクラップも重なって、見事なハイライトを生み出した。
「今日はチケットがソールドアウトです! うれしいです! メンバーが一度も変わることなく、ここまで来れました!」と白井もうれしそう。そして「今日は珍しくみんな緊張していました。普段はあんまり歌詞も飛ばさないのにね!」と笑った。
続けて、齋木が10月に足を骨折したという話題に。「折れちゃいました!」とあっけらかんと語る齋木だが、白井は「全治2ヵ月って言われて、ワンマンツアーもできないんじゃないかって心配してたんですけど。でもなんとかこうして4人でステージに立つことができてうれしいです」とホッとした表情を見せた。ちなみに渋谷には2年前にcinema staffのワンマンを観に来たそうで、そのときはこうしてのちに自分たちがワンマンライブを行うなんて思ってもみなかったと、感慨深そうに語っていた。そこから「クアトロ、まだまだ行けますかー!」と渡井が叫び、ライブは中盤へ。高速回転のギターリフが炸裂するイントロを擁するナンバーなど、4人の演奏はアグレッシブに熱を増していきながら、楽しさも全開。温かなムードの楽曲ではたっぷりと貫禄すら感じさせる演奏力で聴かせる場面も。
そこから「万有信号の法則-EP」に収録された楽曲への想いを渡井が語っていく。「モールス」は人に何かを伝えるということがテーマになっていること、「カイライ旅団と海辺の街」では人間同士の衝突を表現し、4曲でひとつの感情の流れを示すような作りになっていることなど。作品に込めたメッセージをここでていねいに伝えるその姿勢も、実に彼ららしい。
攻撃力の高いナンバーを連発した後半戦。渡井による、まさに全身全霊の歌と、4人の覚悟すら感じさせる熱演が光る。そして「僕らワンマンライブは2回目なんです」から始まる渡井のMCは、とても心に残った。それまで毎日毎日、勉強してようやく入った高校で出会った、バンド。そこからは勉強よりもバンドを選んで生きてきたけど、今は「俺は本当にこの人生で良かったって心から思えている」と。そう言える“今”まで、どれだけの迷いや葛藤や苦しさの中にいたことだろう。そんな風に、いつか自分自身を肯定したいから人は頑張れるのかもしれない。渡井は改めて会場を見渡してこう言った。「こんな人間を愛してくれてありがとうございます。みんなのことが大好きです」と。彼らの精一杯の想いはこの夜、音楽になって放たれた。本編ラスト、「歌ってくれ!」という言葉を合図に大きな歌声が会場に響いた。それはまさに音楽と心の交信。この先、何度途絶えたとしても、また捜すことが出来る。Halo at 四畳半の4人とオーディエンスにとって、そんな道標みたいな一夜になったのではないだろうか。
アンコールでは「フェスやサーキットのときは戦いみたいな気持ちで行くんだけど、今日のワンマンはすごく居心地の良い空間でした」と語った白井。なかなかライブでMCをしない片山も「みんなのおかげで楽しいです!」と言葉を残した。最後は名残惜しそうに「ツアーから帰ってきたときは成長していたいけど、今のこの気持ちも忘れたくないです」と渡井が言う。そんな想いに応えるかのように、オーディエンスは最後の最後まで、彼らの演奏に力強く手を振り上げていた。途中で渡井は「カリスマ性のない4人ですが」と自虐気味に語っていたけれど、Halo at 四畳半という、この4人のひとつの塊には、人の心を揺さぶる魅力と可能性がまだまだある。そう、まだまだここからが楽しみなバンドの、大事な旅の始まりだった。
【取材・文:上野三樹】
リリース情報
万有信号の法則-EP・【CD+DVD(ライブ映像・17曲収録)】
2016年11月09日
SPACE SHOWER MUSIC
01.モールス
02.カイライ旅団と海辺の街
03.メル・ユース
04.ユリーカの花
【DVD収録曲】
01.ep
02.春が終わる前に
03.アメイジア
04.天文薄明の街へ
05.トロイメライ
06.硝子の魔法
07.水槽
08.アンドロイドと青い星の街
09.ウユニの空へ
10.孵化
11.ペイパームーン
12.海鳴りのうた
13.リバース・デイ
14.アストレイ
15.箒星について
16.飛行船
17.怪獣とまぼろしの国
お知らせ
Halo at 四畳半 1st E.P Release ONEMAN TOUR「途絶えた交信の捜し方」
2016/12/03(土) 渋谷 CLUB QUATTRO
2016/12/09(金) 心斎橋 Club JANUS
2016/12/11(日) 名古屋 CLUB UPSET
2016/12/13(火) 仙台 FLYING SON
2016/12/17(土) 新潟 CLUB RIVERST
2016/12/18(日) 前橋DYBER
2016/12/25(日) Sound Stream sakura
2017/01/05(木) 福岡 graf(対バン有り)
2017/01/07(土) 広島 BACK BEAT(対バン有り)
2017/01/08(日) 高松 DIME(対バン有り)
Halo at 四畳半 1st E.P Release TOUR
「途絶えた交信の捜し方」追加公演 "万有信号の発見”
2016年01月15日(日)渋谷WWW X
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。