カノエラナ、初ワンマンツアー渋谷CLUB QUATTRO公演をレポ!
カノエラナ | 2016.12.18
「時は2016年12月2日(金)。約1年ぶりの渋谷クラブクアトロ城にて、再び悪の帝王に呪われてしまったヨリミツサンを救い出すべく、勇者たちが立ち上がる。ヨリミツサンを元に戻すには勇者たちの盛り上がり、音楽スキルが必要である。さあ、ここに集いし勇者たちよ!再び結束し、力を合わせてこのライブを全力で楽しむのだ!」
「とうめいはーん!!!さがすぜ勇者たち。」と銘打った、カノエラナ初のワンマンツアー。彼女の21歳の誕生日であり、地元・佐賀でのファイナル(=12月4日)の直前に行われた東京・渋谷クラブクアトロ公演は、カノエ自身のこんなナレーションからスタートした。渋谷クラブクアトロといえば、今年3月に彼女が人生初のワンマンライブ「カノエクエスト~クアトロ城に集いし、500人の勇者達~」を開催した場所でもある。ライブを全力で楽しむことが結果的にミッションを遂行することになるなんて、もうそれだけでワクワク。いつものライブハウスが特別な空間になり、不思議な一体感まで生まれてしまうのだから楽しくないわけがない。
いつものように自己紹介ソング「カノエラナです。」から始まり「恋する地縛霊」へ。オーディエンスをグイグイと引っ張っていく彼女のボーカルと、ツアー3本目といういちばん脂が乗った状態に違いないバンドのサウンドがものすごいグルーヴ感を生み出している。うかうかしてたら置いていかれそうな勢い、かなりロックだ。繰り返される「私は恋する地縛霊!」というコール&レスポンスの最後を「クアトロワンマン最高!」と言い換えたあの瞬間の歓声は、ライブ開始から数分とは思えないほどの熱量だった。
最初のMCでは、東名阪そして佐賀と続く「とうめいはーん!!!さがすぜ勇者たち。」の東京編には「クアトロ城と呪われしヨリミツサン」というサブタイトルが付いていることに触れ、ファンの間でもすっかり有名になった彼女のマネージャー”ヨリミツサン”を、<味噌カツサンドによる胃もたれ>という名の呪いから救おうという趣旨の説明を(笑)。一致団結した全員の士気をさらに高めるべく次に披露された曲は、応援団風の演出が楽しい「シャトルラン」だ。続く「あたしの彼氏は二次元の人」は、彼女のボーカルの魅力のひとつであるファルセットの大人っぽさと歌詞の世界観とのギャップが面白い1曲。スライドギターを取り入れたカントリーテイストの「こまか」、アコギやピアニカでほのぼのと聴かせる「大事にしてもらえよ」といった流れでは、バンドメンバーそれぞれの人柄までもが伝わってきそうなプレイであったかい空間を作り上げた。
「行けますか東京!?」「イエーイ!」
「行けるのか東京!?」「イエーイ!」
「太陽サンサン!?」「ヨリミツサーン!」
遊び心というか悪ノリというか(笑)、すっかり定着してしまったコール&レスポンス団結力を確認しつつ、ここからはアップテンポなナンバーを連発。ステージとフロアがひとつになっての盛り上がりを見せていくが、自叙伝のような歌詞が綴られた「My World」では、何かを忘れないように、自分自身に言い聞かせるように、真っ直ぐ前を見つめて歌う表情がとても印象的だった。歌というアイテムを手に入れて動き出した彼女のストーリー、その原点ともいうべきシーンが詰まった名曲だ。
ゲームは何派かというゆるーいMCを挟んだあとは、11月25日から配信されている新曲「おーい兄ちゃん」を披露。アコギ1本、ドスの利いた声で歌いだしたかと思ったら、バンドインした途端にファンキーな曲調へ。偉そうに人生を語る酒臭い先輩と、話なんて聞いてない後輩たちがいる居酒屋での光景を切り取った歌詞は、カノエ流の風刺がきいていてオチも痛快。アカペラから始まった「星と太陽」は、アコギを弾きながらエモーショナルに歌い上げられた。「I」では幻想的なイントロから一転、疾走感溢れるサウンドに呼応して突き上げられる拳が「もっと!もっと!」と彼女を煽っているようだった。
「次の曲はもっともっと!もっともっとテンション上げませんか!スーパーハイテンションに行き着くまで、ガンガンテンション上げていこうぜ!」
カノエラナのトリセツともいうべき「ヒトミシリ」から「モットアタシヲ」と、オーディエンスも全員参加型の楽曲が続く。
本編ラストは「START」。サビの間、客席をグリーンで染め上げたサイリウムは、ファンから彼女への嬉しいサプライズプレゼントだ。
ミッション遂行のための旅路を共にした勇者たちは、サビの歌詞を何度も何度も大合唱。新しい1歩を踏み出す勇気の印を歌声に刻みながら、本編を終えた。
「うわ!元に戻ったわ。ホンマありがとう!みんなの盛り上がりのおかげやわ」
呪いが解けたヨリミツサンからのメッセージが会場に響き渡る。と同時に、来年2月15日に2nd mini album「カノエ上等。」がリリースされること、3月18日から全国16カ所をまわる「カノエラナ ご挨拶ワンマンツアー2017[弾き語り編](仮)」が開催されることが告げられた。そして大歓声の中、再びステージに上がったカノエからも重大なお知らせが。
「ちょっとね、言わないかんことがある。さっきの本番中、ずっとチャック開いとった(笑)!でも見えとらんなら、よかよか(笑)!」
あっけらかんと笑い飛ばしてからのアンコールは、「ここでやるべき曲をやろうと思うのですが!」とカノエ。「私の曲ではあるのですが、これから先、いろんなことが始まるって方に聴いて欲しいなと思う曲です」と続け、次のミニアルバム「カノエ上等。」のリード曲になっている「トーキョー」を披露した。故郷があるからこその東京生活を明るいメロディーに乗せ、みんなの手拍子も巻き込みながら歌うハッピーな楽曲だ。ミニアルバムに収録されるその他の新曲が気になりながらも、早いものでライブはいよいよラスト1曲を残すのみ。佐賀でのファイナル、そして21歳の誕生日を控えたカノエラナ20歳最後のステージは、みんなでタオルを回してお祭り騒ぎのライブ定番曲「夏の祭りのわっしょい歌(か)」で締めくくられた。パフォーマンスも、歌も、そして出来上がってくる楽曲も、文句無しの右肩上がりで突き進んでいるカノエラナ。来年の彼女も楽しみで仕方ない。
【取材・文:山田邦子】
【撮影:後藤壮太郎】
リリース情報
カノエ参上。
2016年08月31日
ワーナーミュージック・ジャパン
02. 恋する地縛霊
03. My World
04. 夏の祭りのわっしょい歌(か)
05. あたしの彼氏は二次元の人
06. 大事にしてもらえよ
セットリスト
カノエラナ 初ワンマンツアー『とうめいはーん!!! さがすぜ勇者たち。』
2016/12/2@渋谷CLUB QUATTRO
- カノエラナです。
- 恋する地縛霊
- シャトルラン
- あたしの彼氏は二次元の人
- こまか
- 大事にしてもらえよ
- YES WOMAN
- 真夏に片想い?
- My World
- おーい兄ちゃん
- 星と太陽
- I
- モットアタシヲ
- ヒトミシリ
- START
- EN01.トーキョー(新曲)
- EN02.夏の祭りのわっしょい歌(か)