Hilcrhyme、1年半ぶりとなる全国ツアー「Hilcrhyme 10th Anniversary TOUR 2016 BEST10」ファイナル公演をレポート!
Hilcrhyme | 2016.12.23
全国20か所にて開催された『Hilcrhyme 10th Anniversary TOUR 2016 BEST10』が、振替公演である12/25の京都を除き、この12月11日のTOKYO DOME CITY HALLで一旦のファイナルを迎えた。
タイトルの『10th Anniversary』『BEST10』に表れている通り、今回のツアーは彼らの10周年を記念し、事前にファンからリクエストを募り、そのトップ10が披露されたもの。しかも、順位がそのままカウントダウン式に披露されるとあって、その選ばれた曲の興味に加え、それがどのような流れやドラマを持って現れるかも楽しみなところであった。
“100曲近くある彼らの楽曲の中、どんな曲たちが選ばれたのだろう...”
結果、偶然とは言え、まさにファンが選んだ楽曲たちが、まるで一緒にセットリストを組んでいるかのような相思性を見せ、選曲にしても曲順にしても、ものの見事に相愛を見せていたのが印象的であった。しかも、その選ばれた楽曲たちも、どちらかと言うと彼らが信条としているライブ活動の中でも登場頻度が高かったり、人気の高い曲たちが多く選ばれていたところも、まさにファンによる選曲と言える。
Hilcrhyme自身にとっても『FIVE ZERO ONEツアー』以来となった今回の会場、TOKYO DOME CITY HALL。10周年の祝福ムードに加え、会場には自分たちが選んだ楽曲や好きな曲が、どのようなタイミングで現れるかを楽しみにしているかのように、ざわざわとした胸中の3000人(チケットは完売)が開演を待っていた。
オープニング映像は彼らの人気曲のメガミックスであった。曲が移るごとに各箇所で歓声が涌く。それぞれの時代や楽曲で思い入れも違うのだろう。その辺りが歓声毎にも表れていて面白い。
順位がバックスクリーンに映し出される。第10位は「トラヴェルマシン」。アッパーでオープニングにはピッタリのライブでの人気曲にして、<どこにでも連れて行く!!>宣言的な同曲は、まさしくこの日のオープニング曲に最適。”一緒にライドオンしようぜ!!”と促されるのと同時に、"このマシンに乗り、今日はどんな絶景を見せてくれるのか?"、ワクワクしてくる。
9位の「エール」では、<失敗してもいいんじゃない? 俺がついているから大丈夫!!>的な曲が会場とステージの距離をグッと近づけ、続くドラムンベース曲の「New Era」では、TOCのトリッキーなラップが会場を沸かせていった。
「自分たちで決めてないだけに、予想以上にバラエティに富んでいる選曲 (笑)」とTOC。その言葉通り、意外性も含めファン投票ならではの幅広い選曲の中、会場に集まった各々の心の第一位が次々と飛び出していく。
各曲に入る前に、その選ばれた曲の感想や当時の背景、そして楽曲にまつわるエピソードを交え歌われた、この日。現れる一曲一曲に、メンバーそれぞれの想いが込められて伝えられたのも印象深かった。これまで以上に饒舌に、熱く各曲に対しての想いを語っているTOCを見るにつれ、自身にとっても思い入れの深い曲たちが選ばれていたのであろうことを憶測する。
序盤の後半2曲は、偶然にもDJ KATSUの鍵盤も見どころのナンバーが続いた。ミディアム曲「Your Smile」では、歌につられ笑顔の花が会場の至るところで咲き誇り、KATSUの鍵盤にビートが加わり、「Lost love song」が出現すると、”どうしてこんな人を好きになってしまったんだろう…”との引き返せない想いが、この楽曲を選んだファンの気持ちと重なっていく。
恒例のKATSUのDJプレイでは、ダブステも交え、楽曲がリミックスされていく。また、時折加わる鍵盤では、センチメンタルさを会場の隅々にまで広げていたのも印象深い。
ここからは15分で10曲、「10th Anniversary Ballad Mix」と題され、トップ10圏外の曲の中からしっとりとした楽曲が短いスパンで繋がれ、歌われていく。彼らがアマチュア時代、多くのライブでの持ち時間であったその15分の中で、どれだけ自分たちらしさ、楽曲の良さや流れやドラマ性を詰め込めるか。その当時の気概を、あえて今ここに組み込むことで、自分たちの出自を確認するとの意図を含んでのことだ。KATSUが繋いでいくバラード曲のビートに、TOCの描く愛しい者への気持ちのこもった伝えられない言葉の数々や想い、そして秘めた決意が次々に紡がれていく。
本編中盤に入ると、友に向けてのナンバーが会場を並走させる。会場も一緒に歌った「友よ」。大切なあなたの中でずっと生きていくと歌われる「想送歌」と、共に大切な誰かに向けられた楽曲が偶然にも続く。また、”きっと古くからの代表曲ばかりだろう…”との選曲予測の中、現れた2016年の彼らの活動を象徴するかのような近曲「パラレル・ワールド」の登場には、今も昔も彼らの行動と共にファンの気持ちが同行していたことを改めて確信させてくれた。
後半に入る前に、先程のバラードノンストップに続き、今度は「10th Anniversary Live Mix」と題された、同じトップ10圏外ながらも、こちらは盛り上がるナンバーの数々が15分で10曲ノンストップで次々と飛び出した。ストーリーと流れが作られる中、会場もタイプの違う楽曲ながら、どの曲でもバウンスを見せ、逆にこのコーナーでは、彼らの幅とバリエーションの多彩さが味わえた。
2位、1位は、やはり譲れない鉄板の曲たちが現れた。彼らの特性のひとつでもある季節感溢れる曲の代表曲とも言える「春夏秋冬」。そして、寄り添ってくれるかのような曲に会場からも合わせて大合唱が起こった「大丈夫」が、盛り上がりのうちに本編を締めた。
ここまでで、“これまで”のHilcrhymeを堪能させてくれた2人だったが、アンコールはそのエクストラ。この日ならでは&“これから”のHilcrhymeが次々と飛び出してきた。
“彼らの楽曲の中でも、ここまでの痛快さは過去になかったのでは?”と思わせた、ビッグバンドジャズの大ネタ中の大ネタをラップ・カバーして話題となった最新シングル「WARAE~In The Mood~」。そして12月7日発売のニューアルバム『SIDE BY SIDE』から本邦初公開となった、男性にとっては女性落としの指南、そして女性にとっては、やっぱりお決まりだけどこんな言葉を言われたいとの気持ちを渦巻かせた「クサイセリフ」。そして、「いつまでもあなたの人生のそばにHilcrhymeがありますように、との想いを込めて。そのアンサー的な曲」とのTOCの言葉から、“これからも一緒に歩いていこう”と歌う「Side By Side」が気高く誇らしく響いた。また、この時期ならではの更なる響きのあったクリスマスソング「マイクリスマスキャロル」、ラストは自身の第一歩とも言えるナンバー「らいおんハート・Rap」が、彼らのこれまでの道のりを振り返らせると同時に、これからの道への想いも馳せさせた。
「10年ありがとう! 11年目以降もよろしく!!」(TOC)
10周年は一つの通過点。これからも歩みを緩めず進んでいく。そんな、“これまで”と“これから”を全37曲に渡り披露してくれた彼ら。次のエポックは3月25日、2人の地元、新潟・朱鷺メッセ新潟コンベンションセンターでの10周年記念のスペシャルライブだ。
彼らはこれからも聴く者の気持ちを乗せたり、同化させたり、鼓舞したり、省みたりさせながら我々と一緒に進んでいく。これからもそんな彼らの歌に気持ちを乗せたり、重ねたりしながら、ついて行こう。そんなことを帰路に思った。
【取材・文:池田スカオ和宏】
リリース情報
SIDE BY SIDE
2016年12月07日
ユニバ―サル ミュージック
2.パラレル・ワールド
3.HINOTORI
4.言えない 言えない
5.クサイセリフ
6.WARAE ~In The Mood~
7.DENDROBIUM -Instrumental-
8.ドレス
9.鼓動 -Magnificent Remix-
10.ソノママ
11.Little Samba ~情熱のRemix~
12.LUCIFER -Interlude-
13.Side By Side
セットリスト
Hilcrhyme 10th Anniversary TOUR 2016 BEST10
2016.12.11@TOKYO DOME CITY HALL
- 1.トラヴェルマシン
- 2.エール
- 3.New Era
- 4.Your Smile
- 5.Lost love song
- 6.10th Anniversary Ballad Mix
言えない 言えない~Shampoo~Please Cry~My Place~雨天~YUKIDOKE~changes~光~鼓動~ツボミ - 7.友よ
- 8.想送歌
- 9.パラレル・ワールド
- 10.10th Anniversary Live Mix
ルーズリーフ~LAMPLIGHT~臆病な狼~押韻見聞録~続・押韻見聞録~ライジングサン~ヒルクライマー~East Area~TOKYO CITY~NOISE - 11.春夏秋冬
- 12.大丈夫
- En-1.WARAE
- En-2.クサイセリフ
- En-3.ソウサ
- En-4.Side By Side
- En-5.マイクリスマスキャロル
- En-6.らいおんハート・Rap
お知らせ
Hilcrhyme 10th Anniversary TOUR 2016 BEST10
2016/12/25(日) 京都・KBSホール
10周年記念特別公演「朱ノ鷺二〇一七」
2017/03/25(日) 朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。