同世代バンドIvy、シャウト、SHE’Sが集結!TOKYO FM「ジャパネクレディオライブ powered by EMTG MUSIC」Vol.3を完全レポート!
ジャパネクレディオ | 2017.02.07
ROCKIN’ON JAPANによる新世代先取りプロジェクト「JAPAN’S NEXT」から派生したラジオ番組「ジャパネクレディオ powered by EMTG MUSIC」。この番組が主催するライブイベントが渋谷WWWで行なわれた。出演はIvy to Fraudulent Game、Shout it Out、SHE’Sという3組。いずれもフレッシュな感性で新しい音楽を鳴らす同世代の共演は、ライブハウスで互いに切磋琢磨しながら成長する彼らの大きな可能性を感じさせるものだった。
ピーッと不吉に終わりを告げる心電図のような機械音から1曲目「水泡」でライブをスタートさせたIvy to Fraudulent Game。いまライブハウスを中心に少しずつ名前が広がりつつある群馬発の4人組バンドだ。シューゲイザーやポストロックといった狂気的で歪な美しい音像をモチーフに、ボーカル寺口宣明(Gt・Vo)がなぞるメロディアスなフレーズは、ファルセットと地声を行き来しながら強烈な色気を放っていた。銃声のような効果音から混沌とダークネスに彩られた「Dear Fate,」に続けて、「歌詞は暗いけど、ノリやすいかなと思う曲を……あんまり得意ではないんですが」という寺口の前置きと共に届けた「劣等」。その“ノリやすい”という楽曲も単純なダンスロックでないところがIvyらしい。
ステージを真っ赤な狂気に染めた「青写真」、「全然足りない、つまんねえよ!」と寺口が熱く挑発した「アイドル」のあと、寺口がギターを掻き鳴らして語りかけた。「不器用で、想像通りにできなくて、焦りやもどかしさを日々抱えて生きてる。これしかないけど、二十歳やそこらの俺たちだけど、ここから逃げることはない。ここで鳴ってる音楽があって、それを見てくれることだけが、唯一俺に見える光というか……そんなように思います」。決して流暢ではないが、その胸の奥にブレない芯の強さを感じさせるMCのあと、フロアが優しい光に包まれたラストナンバー「故郷」。これまで見せていた鋭利な風貌から一転して、抗えない運命を受け入れる静謐なバラードは、触れれば崩れそうなほどに儚かった。
山内彰馬(Vo・Gt)と細川千弘(Dr)による2人組ロックバンドShout it Outは、サポートメンバーを加えた4人でステージ中央に向き合い、気持ちをひとつにしてからライブをスタートした。「大阪・堺、Shout it Outと言います。よろしく!」と、山内の前のめりな挨拶。1曲目「光の唄」で細川が繰り出すシンプルで力強いリズムにのせて、フロアからは一斉にハンドクラップが湧き上がった。山内の噛み付くようなハイトーンがティーンエイジャーの葛藤を痛快に歌い上げる「17歳」や「若者たち」。昨年メジャーデビューを果たしたシャリラは、山内が8月、細川は12月に二十歳を迎えたばかりで、そのほとんどが10代で作った楽曲だ。そこには大人たちが作った社会の中で、もがきながら生きる若者の衝動が詰まっている。
MCでは「今年は僕らを信じて“ネクスト”と呼んでくれる人のためにも頑張ります」と、山内。そこに若さゆえの焦りを感じなくもないが、いまの彼らにはそのぐらい貪欲さがちょうどいい。全身を大きく使うアグレッシヴなパフォーマンスのまま曲を重ねていくシャリラ。「新曲を!」と宣言して繰り出した「青年の主張」で、大人と子どもの間で揺らぐ想いをパワフルに届けると、ラストは「あなたの“いま”を、あなたが過ごしてる“いま”を、もっと大切に思えるように」と言って、「青春のすべて」で締め括った。演奏した曲数は出演者のなかでいちばん多い全9曲。同世代に生きる若者の代弁者であり続ける覚悟を込めたシャリラのステージは、荒削りだがとてもリアルだった。
SEがニューヨーク発のピアノエモバンドThe Morning Ofの「Let Your Spirit Soar」という、共鳴度の高いナンバーをセレクトして登場したSHE’S。洗練されたピアノのフレーズ、泥臭くてダイナミックなバンドサウンドにのせて、井上竜馬(Vo・Pf)が歌い上げるエモーショナルなボーカルがフロアに響き渡った。何かが始まる夜明けの瞬間を描いた「Morning Glow」から、躍動感溢れるサウンドに自由への衝動を綴った「Freedom」。奏でる音色ひとつでモノクロの日常を色彩の溢れた歓喜に満ちた世界へと変えるようなパワーがSHE’Sの音楽にはある。MCでは、共演者であるシャリラとアイビーをイジりながら、井上は「良い世代でしょ?」と誇らしげな表情を見せた。シャリラもアイビーも含めて90年代生まれのバンドが作る新しい世代の音楽の広がりはいまとても面白いが、なかでもSHE’Sはその先頭を引っ張っていけるバンドだ。
孤独な夜の気配を漂わせた透明感のあるバラードナンバー「Tonight」から、その夜道で決して道を失わないようにと光の在り処を示すような「Night Owl」へ。必ず最後には聴き手を希望のある終わりへと導いてくれるSHE’Sのステージは、「遠くまで」で清々しいシンガロングと共にフィナーレを迎えた。
アンコールでは3回目の「ジャパネクレディオライブ」開催に触れて、「Vol.100とかまで続いていったら、俺たちも大きくなって帰ってきたい」と、嬉しい言葉を残してくれた井上。
「みんなを貶したり、悲しませたりするものはここにはきっと1個もないから。音楽に頼って、音楽を聴いて、また自分の足で立ち上がってください」と言うと、ラストは音楽によって生かされる人生を祝福する「Curtain Call」を届けた。やがてライブは終わるけれど、ライブハウスを出たあとにも続いていく毎日に、それは勇気の火を灯してくれる歌だった。
【取材・文:秦 理絵】
【撮影:山川 哲矢】
お知らせ
Ivy to Fraudulent Game
2nd mini album “継ぐ” release tour “告ぐ”
2017/04/01(土) 高崎clubFLEEZ(ワンマン)
2017/04/08(土) 千葉LOOK
2017/04/09(日) 横浜Baysis
2017/04/14(金) 金沢vanvanV4
2017/04/15(土) HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
2017/04/21(金) 水戸LIGHT HOUSE
2017/04/28(金) 札幌COLONY
2017/05/12(金) 岡山 CRAZYMAMA 2nd Room
2017/05/13(土) 福岡CB
2017/05/21(日) 新潟 CLUB RIVERST
2017/05/27(土) 広島CAVE-BE
2017/05/28(日) 神戸太陽と虎
2017/06/09(金) 京都MUSE
2017/06/10(土) 静岡UMBER
2017/06/17(土) HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
2017/06/18(日) 仙台 LIVE HOUSE enn 2nd
2017/06/23(金) 高松DIME
Shout it Out
1stフルアルバム『青年の主張』リリースツアー
2017/02/25(土) 大阪・OSAKA MUSE
2017/03/5(日) 名古屋・APOLLO BASE
2017/03/21(火) 松山・松山Double-u Studio
2017/03/25(土) 仙台・spaceZero
2017/03/26(日) 札幌・SOUND CRUE
2017/03/31(金) 金沢・LIVE HOUSE vanvanV4
2017/04/2(日) 新潟・GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2017/04/8(土) 福岡・DRUM SON
2017/04/9(日) 広島・広島BACK BEAT
2017/04/14(金) 神戸・MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2017/04/16(日) 高松・高松DIME
2017/04/22(土) 松本・松本ALECX
2017/05/7(日) 東京・TSUTAYA O-WEST
SHE’S
SHE’S One man Tour 2017 "プルーストの欠片"
2017/03/04(土) 広島・セカンド・クラッチ
2017/03/05(日) 岡山・イマージュ
2017/03/11(土) 福岡・DRUM Be-1
2017/03/17(金) 札幌・KRAPS HALL
2017/03/19(日) 仙台・MACANA
2017/03/20(月・祝) 新潟・CLUB RIVERST
2017/03/22(水) 金沢・vanvan V4
2017/03/24(金) 大阪・BIG CAT
2017/03/26(日) 名古屋・NAGOYA CLUB QUATTRO
2017/04/09(日) 東京・赤坂BLITZ
※全公演SOLD OUT
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。