ヤバTの快進撃は止まらない!初の全国ツアー「“We love Tank-top” TOUR 2016-2017」東京公演をレポート!
ヤバイTシャツ屋さん | 2017.02.13
ド頭から打首獄門同好会の大澤敦史(Vo・Gt)が喋り倒すという、異例のオープニングで幕を開けたこの日の2マン。何かあるとは思っていたが、そう来たか!という展開に驚いた。
この日はヤバイTシャツ屋さん初の全国ツアー「ヤバイTシャツ屋さん“We love Tank-top” TOUR 2016-2017」ファイナル公演(後日追加公演も発表)となり、それと同時に打首獄門同好会の「やんごとなきツアー」のレコ発ツアーも絡んだ合同ライブとなった。
開演19時にまず打首がステージに現れると、冒頭で書いた通り、楽器をブラ下げたスタンバイ状態で大澤はずっと喋り続ける。「打首、初めての人?」と満杯の会場でアンケートを取ったり、また彼らのライブはステージ背面にスクリーンが設置されているのだが、それを活用して打首とヤバTの歌詞のわかりやすさを比較解説し、さらにヤバTの「喜志駅周辺なんもない」を「志木駅(大澤が生まれたところ)周辺なんもない」と曲名を替え、1曲目から対バン相手のカバーを堂々とやってのけた。そんなルール無用の先制パンチを観客に浴びせた後、ようやく自らの持ち曲をプレイ。観客にうまい棒を配ってからの「デリシャススティック」(スクリーンには様々な味のうまい棒が映される)で一体感を作り上げると、最新ミニアルバム『やんごとなき世界』から「きのこたけのこ戦争」、「歯痛くてfeat.Dr.COYASS」と新曲を次々に披露。後者では「歯が生えてる奴はどんだけいるんだよ?」と会場を煽りながら、現役歯科ラッパーDr.COYASSをステージに迎えてコラボレーションが実現! 大澤の演歌風の歌メロとDr.COYASSの鋭利なラップが絡む和のミクスチャー・サウンドはお見事だった。それから、猫好き以外も虜にする魅惑の歌詞世界に引き込まれる「猫の惑星」、最後は打首の代表曲とも言える「日本の米は世界一」で締め括り、会場を大いに沸かせた。
さあ、この打首のライブを受け、ヤバTはどんなステージングを見せてくれるのか。まず「We love Tank-top」から怒濤のメロコアで駆け抜け、間髪入れずに打首が歌詞を変えてカバーした「喜志駅周辺なんもない」に移ると、観客と曲名をコール&レスポンスする熱いやり取りを繰り広げる。こやまたくや(Gt・Vo)としばたありぼぼ(Ba・Vo)の男女掛け合い形式のツインボーカルも相性抜群で、曲調を華やかに彩っていた。それから「無線LANばり便利」に入ると、ここでメンバー紹介コーナーを挟んだ。もりもりもと(Dr・Cho)が「RADWIMPSです!」、「テイラー・スウィフトです!」と自己紹介するたびに、そのアーティストの曲をこやまが口ずさむ流れに観客も爆笑。
ヤバTはもともと大学のサークル内で結成されたバンドである。その後に数々の音楽イベントで結果を残し、昨年は1stフルアルバム『We love Tank-top』でメジャーデビューを果たした。今回のツアーも全公演ソールドアウトという凄まじい人気を獲得している。その一方で、「素人っぽさ」を大事にしたいと取材時に語ってくれたことがある。メンバーのキャラクター性、打首にも通じる日常あるあるネタを用いた歌詞、「恥ずかしがり屋なんで・・・かっこ良くない歌詞にかっこいい曲を乗せたい」と、こやまは自らの音楽性を分析していた。歌詞世界と楽曲クオリティのギャップを起爆剤にして、観客を巻き込んでいく衝動的グルーヴは他の追随を許さない。
「DQNの車のミラーのところによくぶら下がってる大麻の形したやつ」は歌い出しから大合唱が巻き起こり、「お前らすげえな!(笑)」と思わずこやまがツッコミを入れるほどの過熱ぶり。それからしばたがリードボーカルを務める「天王寺に住んでる女の子」ではキュートな歌声を響かせ、「メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲」ではメンバーも観客も一緒になってジャンプする壮観な光景が広がった。さらにゴリゴリのベースを合図に「ZIKKA」が披露されると、曲名を連呼するサビのキャッチーさも相まって、音源以上の破壊力をアピールする。
そして打首のカバー曲にも触れ、「音圧の差がバレるから、やめてほしい!」とこやまが嘆く場面もあったが、打首は10年以上のキャリアを持つバンドだ。ヤバTにとっては大先輩にあたるわけで、バンド歴が違う。とはいえ、今や両者の人気はうなぎのぼりで、この日も会場に入れなかった人がたくさんいたに違いない。誰も手を付けないど真ん中の素材(歌詞ネタ)を、ポップかつラウドに聴かせるという意味で、この2バンドは共通点も多い。ただし、そのアウトプットの仕方は似て非なるセンスと遊び心が光っている。打首は食べたものがおいしい!と思えばその実感を歌にする“体験型”ならば、ヤバTは「流行りのバンドのボーカルの男みんな声高い」の例で言うと、ああいう風にはなれないという感情をそのまま歌にする“ぶっちゃけ型”かもしれない(ド直球の“本能型”の歌詞も多いけれど)。どちらにせよ、ほかのバンドが安易にマネたら、大ヤケドすることは間違いない。
ヤバTは後半も勢いを加速させ、「ウェイウェイ大学生」、バンド初期に作られた「ネコ飼いたい」と豪快なサウンドを叩き付け、会場をカオティックに掻き回していく。「スプラッピ スプラッパ」でサークルモッシュを作り上げ、続く「Tank-top of the world」で本編を終えると、アンコールでは新曲「ヤバみ」をプレイ。これは4月5日にリリースされる4thシングル「どうぶつえんツアー」表題曲で、しばたのスラップベースが炸裂する曲調が初耳のファンをガッチリと捉えていた。そして、最後はキラーチューン「あつまれ!パーティーピーポー」を放ち、大団円を結ぶ。
ヤバTのフックを張り巡らせた楽曲たちは、ライブでより一層魅力的に輝いていた。これからも快進撃は止まることはないだろう。それにしても、貴重な2マンだった。いつかまたこの組み合わせでやってほしいものだ。
【取材・文:荒金 良介】
【撮影:オイケカオリ】
リリース情報
We love Tank-top(初回限定盤)
2016年11月02日
ユニバーサルシグマ
01.We love Tank-top
02.Tank-top of the world
03.あつまれ!パーティーピーポー
04.無線LANばり便利
05.DQNの車のミラーのところによくぶら下がってる大麻の形したやつ
06.週10ですき家
07.ZIKKA
08.喜志駅周辺なんもない
09.ウェイウェイ大学生
10.天王寺に住んでる女の子
11.L・O・V・E タオル
12.流行りのバンドのボーカルの男みんな声高い
13.ネコ飼いたい
【DVD】※初回盤・ヴィレッジヴァンガード盤
―ヤバイTシャツ屋さん ワンマンライブ「まだ早い。」(2016年8月12日 @大阪・心斎橋BIGCAT)ライブ映像DISC―
・We love Tank-top
・Tank-top of the world
・メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
・―MC1―
・DQNの車のミラーのところによくぶら下がってる大麻の形したやつ
・〜フリップ説明〜
・喜志駅周辺なんもない
・ウェイウェイ大学生
・―MC2―
・スプラッピ スプラッパ
・あつまれ!パーティーピーポー
・―アンコールMC―
・ネコ飼いたい
リリース情報
どうぶつえんツアー
2017年04月05日
ユニバーサルシグマ
02.寝んでもいける
03.肩 have a good day
04.ヤバみ(岡崎体育 remix)
お知らせ
ヤバイTシャツ屋さん "どうぶつえんツアー" ツアー 2017 ~ワンマン~
2017/05/08(月)広島CAVE-BE
2017/05/10(水)福岡CB
2017/05/13(土)仙台MACANA
2017/05/14(日)札幌cube garden
2017/05/16(火)新潟GOLDEN PIGS RED
2017/05/20(土)心斎橋BIGCAT
2017/05/21(日)名古屋CLUB QUATTRO
2017/05/28(日)恵比寿LIQUID ROOM
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。