go!go!vanillas流の“カルチャー”とは――。2017年一発目の全国ツアーより、東京・Zepp Tokyo公演をレポート!
go!go!vanillas | 2017.02.21
「今日は見たことのない東京を見ることができてます!」 牧 達弥(Vocal、Guitar)。
go!go!vanillasが1月20日から開催してきた2017年一発目の全国ツアー“おはようカルチャーツアー2017”の “~クライマックス今夜の僕ら編~”の東京公演がZepp Tokyoで行なわれた。今回のツアーの主役でもあるニューシングル「おはようカルチャー」は、あらたなカルチャーの夜明けをテーマにした作品だった。音楽でバニラズだけのカルチャーを作るという意志を込めて、「おはようカルチャー」という曲は生まれた。だからこそ今回のライブでは“バニラズだけのカルチャーとは何なのか”、その答えを自分たちの音楽とパフォーマンスをもって示す、強い決意が込められたものだった。
会場に入るとステージ前面に垂れ下がる白い幕に大きな月が映し出されていた。夜=ふくろうのジャケ写も印象的だった「おはようカルチャー」にかけて、会場を夜に仕立てあげた演出だろう。開演と同時にその幕の後ろにメンバー4人のシルエットが浮かび上がると、バサリと幕が落ち、大きな歓声に包まれた。バンドの始まりの衝動を込めた「アクロス ザ ユニバーシティ」からライブはスタート。アッパーなビートに乗せて退屈な日常を一瞬にして忘れさせる軽快なロックンロールがZepp Tokyoに響き渡った。
“ヨホホー”“ヨーソロー”と海賊たちの陽気な歌声を思わせる賑やかな「ヒンキーディンキーパーティークルー」では、長谷川プリティ敬祐(Bass)と柳沢進太郎(Guitar)が向き合いながらプレイしたかと思えば、ジェットセイヤ(Drums)が立ち上がってスティックを突き上げる。「騒げー!」という声を合図にオーディエンスが波打った「ニューゲーム」では、曲のキメで牧がドラム台から大ジャンプ。今回はツアー前半で“カルチャーショック編”と題して、THE ORAL CIGARETTESや夜の本気ダンスらとの対バンを終えてから突入したワンマンという流れもあってか、初っ端からメンバーのテンションはかなり高かった。
3曲を終えてMCで早くも上着を脱ぎ捨てた牧が「やっとここでワンマンです。しかも今日はソールドアウトです!」と歓びを爆発させた。メジャーデビューから数えれば2年だが、結成から7年間活動をしてきたバンドだ。一段一段、飛び級をせずに階段をのぼってきたバニラズにとって、Zeppという会場はひとつの目指すべきステージだった。イントロで進太郎がステージ際まで出て印象的なイントロのフレーズを奏でた「スーパーワーカー」では美しい光が会場全体に照らし出され、軽やかなビートに乗せて瑞々しいメロディが弾んだ「バイリンガール」ではブルーの照明がステージを踊った。楽曲に合わせて様々な表情を見せる照明の演出も大きな会場ならでは。その大きな会場に相応しいダイナミズムを兼ね備えて、自分たちの音楽を届けることができるまでに成長したバニラズはとても頼もしい。
熱狂に包まれた会場をクールダウンしたのは、進太郎が「さっきまでのタテ乗りからヨコ乗りの曲を使って盛り上げていきますか」と言って届けた、穏やかなミディアムテンポの「12:25」だった。シングル「おはようカルチャー」のカップリングで初めて進太郎が作詞作曲を手がけ、メインボーカルを務めたナンバー。バニラズはほとんどすべての作詞作曲をボーカルの牧が手がけるが、メンバー全員が曲を作れるバンドになりたい、それがバニラズの理想だ。およそ牧曲とはテイストの違うスイートな進太郎曲がフックになり、続く「非実在少女」で見せたメンバー4人の美しいハーモニーから始まるという斬新なアレンジはとても素晴らしかった。そんなショートチューンから鉄板の「ホラーショー」へ。この流れはライブ前半のハイライトだった。
牧のアコースティックギターの弾き語りから約2年半ぶりに披露されたという「ルーシア」、お客さんのハンドクラップにバンドの演奏を合流させたカントリーっぽい雰囲気の「ビートクラブ」。ステージからの一方通行ではなく、お客さんの声も借りて一緒に温かい空間を作り上げたところで、「日本の裏側からきたブラジルのサンバのリズムで踊ろうぜー!」という牧の煽りから、プリティのサンバホイッスルを合図に披露されたのは「あの素晴しい愛をもう一度」(ザ・フォーク・クルセダーズ)のカバーだ。昭和の日本が持つ哀愁を独自に解釈するのも、人の声や手拍子という生の熱量を大切にするのも、どちらもバニラズが大事にするカルチャーの在り方だ。
そして、牧&進太郎のギターが痛快なユニゾンを決めた「エマ」から、ライブはフィナーレに向けて、さらに激しさを増していった。
プリティが中心になって作詞作曲を手がけた「デッドマンズチェイス」では全員が交互にボーカルをとり、サビの爆発力でフロアがもみくちゃになった「カウンターアクション」では、進太郎の痛快なギターリフが楽曲をリードした。バニラズが今の4人で再スタートを切ったこの曲を聴くと、当時、新メンバーだった進太郎がバンドに欠かせない存在になったこと、メンバーそれぞれの存在感が増していることに改めて気づく。
「あらたな場所に導いてくれる最高の曲ができました」と紹介して、今回のツアーの主役でもある「おはようカルチャー」へ。まさに“カルチャーの夜明け”を表すようなオレンジ色の光を背中に浴びながら、メンバー全員がウォーウォーと歌い出した。曲中でいくつもの展開を重ねながら、圧倒的な開放感と昂揚感でフィナーレへと向かうバニラズの新しいアンセムだ。そして、最後は牧がギターを掻き鳴らしながら語りかけた。「ライブハウスとしていちばんデカいところに、僕らは立っています。ここまで来られたのはみんなのおかげです」。そう言って、感謝の歌「ギフト」へと繋げた。
♪綺麗なその目 曇らせないように僕は歌を唄ってる♪
メンバーがステージから見る光景を活写したその歌のとおり、この瞬間、おそらく2,700を超す最高の笑顔が4人に向かって注がれていただろう。
アンコールでは「新曲やるぞー!暴れようぜ!」という牧の紹介から、まだCDには収録されてない楽曲が披露された。そして、セイヤが叩き出す祭囃子のようなリズムのなかで、お客さんが色とりどりのタオルを頭上に掲げた「ヒートアイランド」でライブは終了。最後はメンバー全員がドラム台から大ジャンプを決めて、初のZepp Tokyoワンマンを締め括った。「もっともっと今年も楽しみにしておけよ!」(牧)。その言葉のとおり、go!go!vanillasというカルチャーは、2017年さらに大きな輪になって広がっていくはずだ。
【カメラマン:浜野カズシ】
【取材・文:秦 理絵】
リリース情報
セットリスト
おはようカルチャーツアー2017
~クライマックス今夜の僕ら編~
2017.2.5@Zepp Tokyo
- 01.アクロス ザ ユニバーシティ
- 02. ヒンキーディンキーパーティークルー
- 03. ニューゲーム
- 04. 人間讃歌
- 05. スーパーワーカー
- 06. バイリンガール
- 07. 12:25
- 08. ホラーショー
- 09. 非実在少女
- 10. ルーシア
- 11. ビートクラブ
- 12. あの素晴しい愛をもう一度
- 13. エマ
- 14. デッドマンズチェイス
- 15. カウンターアクション
- 16. おはようカルチャー
- 17. マジック
- 18. ギフト
-
――アンコール――
- 19. 新曲
- 20. ヒートアイランド
お知らせ
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