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04 Limited Sazabys 初となる日本武道館、ソールドアウト公演をレポート

04 Limited Sazabys | 2017.03.03

 2017年2月11日(土)04 Limited Sazabysが初の日本武道館公演となるこの日を迎えていた。もちろんチケットはソールドアウト、大入り満員の観客が、今か今かとその時を待っていた。

 日本武道館――ステージに立つ者ならば誰しもが目標とする場所。近年、かなりハードルが下がったと言われるし、一部のビッグネームにのみ許される会場というイメージはいつの頃からか全くなくなってしまった。だからと言って、その価値まで下がったわけではない。日本のロックの歴史を知るバンドやアーティストにとってはいつまでも目標にすべき場所なのである。そんなバンドのひとつが04 Limited Sazabysなのだ。いや、「なのだ」と言い切ったものの、本当に彼らがそう思っているのか直接聞いたことはない。しかしだ、ライブのメインビジュアルにあれだけ武道館を押し出しながら、「別に気負ってはいません」なんてことはないはずだ。
 それはオープニングムービーが流れ始めてすぐに確信した。新宿ACBと思しきライブハウスに入るメンバーの姿が、ステージを覆い隠す白幕に映し出され、セッティング、リハと日常のライブ風景が展開。そして、いざステージへ向かおうとする瞬間に映像が途切れた。いつもと変わらぬ思いで“ライブハウス武道館”に立つんだ、と自らを奮い立たせるような映像が、この会場の“デカさ”を逆説的に物語っていた。
そもそも、こんな凝ったムービーを作っていたことすら驚きだった。世間はどうだが知らないが、少なくとも自分は彼らのことをパンクバンドだと思っている。だから、これはステレオタイプ的な見方かもしれないが、バシッとした格好良い演奏をシンプルに見せるという、いかにもパンク然としたライブになると思っていたのだ。しかし、それがとんでもない誤りであることを1曲目から最後まで痛感することになるとは、この時の自分はまだ想像だにしていなかった。

 オープニングナンバー「monolith」からロケットスタートをかます演奏と呼応するかのように、フロアにはいくつものサークルピットが生まれ、無数の拳が突き上げられる。ステージに背後の巨大スクリーンには星や街など様々な画像が矢継ぎ早に映し出されたかと思えば、続く「fiction」では6機のレーザーが場内の熱気を貫いていく。パンクのライブには華やか過ぎるほどの演出だが、GEN(B/Vo)をはじめ演奏には良い緊張感がみなぎっている。RYU-TA(G/Cho)が先導するコールアンドレスポンスから、「escape」「Chicken race」と立て続けにプレイ。演奏を止めたら死ぬ魔法でもかかっているんじゃないかと思わせるほどの性急さがスリリングでいい。

 それにしても、演出がとにかくすごい。同じ映像がスクリーンに映し出されることは2度となく、照明のパターンも曲によって全く違う。しかも、ライブ中盤戦では一旦クッションを入れるために、たくさんの有名人がビデオレターを送ってくれたという体で、メンバー自らコスプレをしたフレディー・マーキュリーやら、ルパンやら、くいだおれ太郎やら、“魔女の宅急便”のキキらが次々とスクリーンに現れる。一瞬たりとも飽きさせない、どの場面を切り取っても楽しいと思わせるような工夫がふんだんに盛り込まれていた。特に、ステージ上に置かれた4台のミラーボールが縦回転することで、まるで星が落ちてくるような効果を生んだ「midnight cruising」は幻想的で素晴らしかった。さらに、ダブルアンコールの「Give me」では、武道館入りの様子からライブのオープニングまでを含めたダイジェスト映像をスクリーンに映し出したのである。つまり、ライブの最中にこの映像をスタッフが編集していたということだ。この力技にはもうひっくり返りそうになった。当然ながら、これはフォーリミのメンバーだけでは実現できなかったこと。このライブに関わる全てのスタッフがこの公演に賭けていたのだ。04 Limited Sazabysを男にしようとしていたのだ。

 ライブ終盤のMCでGENはこんなようなことを話した。「僕たちは特別金があったわけでもないし、(メディアなどに)プッシュされたわけでもない。(だけど)このチームにはたくさんの人がいて、(自分たちが)ラッキーだったのは人に恵まれたこと。ここに来るまでいろんな別れがあった。一人で立っているような気がしません。何人ものバンドマンが成仏している気がします」と最後は涙ぐみながら、思いを吐き出した。
 演出を削ぎ落とし、シンプルに演奏一本で見せる事もできただろう。しかし、このMCに象徴されるように、この日はチームフォーリミが全精力をつぎ込んで作り上げたステージだということは痛烈に伝わってきていた。どうやって4人を格好良く見せ、パンパンに詰まった武道館のファンを楽しませるのか、本公演が決まったであろう1年前から、皆が一丸となって向き合ってきたのだろう。そんな裏側に思いを巡らせながら、このバンドがいかにして成長を遂げたのかというところまでありありと想像できた。絶対的にチームの力、周囲のサポートによって成り立っているのである。
 そして、そんなチームの期待に応えてきたのがこの4人。この日の演奏には全く危なげがなく、若さ溢れる疾走感に満ちていたし、中堅バンドに成長しつつあることを感じさせる安定感も見せていた。それぞれが鳴らす音の粒立ちもよく、爆音ながらも心地の良いアンサンブルを聴かせていた。大仕掛けの演出に全く引けを取らないパフォーマンスをしたのだから大したものである。ギリギリのところで演出過多に陥らなかったのはバンド力の賜物だ。

「このままだと大赤字だから物販買ってください」と自嘲気味にGENは話していたが、これだけのことをやればそりゃあ儲けは出まい。でもそれでも構わないと言わんばかりの屈託のなさで終始貫かれたフォーリミ初の武道館公演は、この日関わったすべての人間にとって(もちろん、ファンも含めて)特別なものとなったのである。見事なソールドアウトショーだったが、それ以上のものを彼らは得たはずだ。そして、彼らの後に続く若手バンドに、「武道館でやるならこれぐらいのことをやってみせろよ」というプレッシャーを与えたのである。こうして日本のパンクシーンは進化をしていくし、フォーリミは新たな道を作っていくのだ。

【取材・文:阿刀 “DA” 大志】
【撮影:Viola Kam (V’z Twinkle Photography)】
【撮影:ヤオタケシ】

tag一覧 04 Limited Sazabys 男性ボーカル ライブ

リリース情報

eureka[初回盤(CD+DVD)]

eureka[初回盤(CD+DVD)]

2016年09月14日

日本コロムビア

01.Horizon
02.Feel
03.drops
04.Warp
05.paradise
06.climb
07.Night on
08.mahoroba
09.discord
10.Telepathy
11.Letter
12.eureka
[初回盤DVD収録内容]
・AIM tour 2016 final @TOYOSU PIT
・AIM tour Diary
・NEWS 04
・AIMツアー 慰安旅行?

セットリスト

04 Limited Sazabys
2017/2/11 Sat Nippon-Budokan

  1. 01.monolith
  2. 02.fiction
  3. 03.escape
  4. 04.Chicken race
  5. 05.Warp
  6. 06.drops
  7. 07.Now here, No where
  8. 08.labyrinth
  9. 09.nem...
  10. 10.Grasshopper
  11. 11.knife
  12. 12.Lost my way
  13. 13.imaginary
  14. 14.Buster call
  15. 15.Remember
  16. 16.Any
  17. 17.compact karma
  18. 18.bless you
  19. 19.Night on
  20. 20.mahoroba
  21. 21.cubic
  22. 22.discord
  23. 23.Letter
  24. 24.milk
  25. 25.hello
  26. 26.eureka
  27. 27.Horizon
  28. 28.Terminal
  29. 29.swim
<Encore>
  1. EN1.climb
  2. EN2.Feel
<Double.Encore>
  1. D.EN1.midnight cruising
  2. D.EN2.Give me

お知らせ

■ライブ情報

Ken Yokoyama "The Rags To Riches Tour ?"
03/07(火) 仙台MACANA
03/08(水) 仙台PIT

スペースシャワー列伝 ASIA TOUR 2017 powered by MCIP
03/14(火) タイ王国 バンコク Live RCA Bangkok
※会場が変更となりました
03/16(木) シンガポール共和国 MILLIAN SINGAPORE

JAPAN’S NEXT TURBO 2017
03/19(日) 豊洲PIT

uP!!! SPECIAL LIVE HOLIC extra -LIVE HOLIC vol.10-
03/20(月) 新木場STUDIO COAST

YON FES 2017
04/01(土) モリコロパーク
04/02(日) モリコロパーク

ARABAKI ROCK FEST.17
04/29(土) みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく

VIVA LA ROCK 2017
05/03(金) さいたまスーパーアリーナ

JAPAN JAM 2017
05/04(木) 千葉市蘇我スポーツ公園

NIIGATA RAINBOW ROCK 2017
05/05(金) 朱鷺メッセ

OSAKA METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2017
05/13(土) 大阪府堺市・海とのふれあい広場
05/20(土) 新木場・若洲公園

マキシマム ザ ホルモン 耳噛じる真打 TOUR
06/06(火) 新潟LOTS
06/08(木) 仙台PIT

SATANIC CARNIVAL’17
06/17(土) 幕張メッセ ※日割りは後日発表

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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