FIVE NEW OLDツアーファイナル公演、5年ぶりに実現した盟友バンドとの競演をレポート!
FIVE NEW OLD | 2017.03.06
FIVE NEW OLDが、1月にリリースした「WIDE AWAKE EP」を携えたツアーファイナル公演を盟友SWANKY DANKとBRADIOを迎えて開催した。この3組による競演は、5年前の大阪・心斎橋DROP以来で、お互いバンドとしてステージアップしたときには必ず対バンするつもりでいたのだという。
SWANKY DANKとBRADIOが熱演でもって、FIVE NEW OLDのリリースツアーを祝福し、ライバル心と友情も相まってフロアが十分熱くなったところへ勢いよく登場した4人。フォーマルな黒いジャケットやオーバーサイズのカットソーなど、各々の個性が際立つ黒い衣装で統一している。オープナーは「WIDE AWAKE EP」収録曲である「Burned in The Fire」。HIROSHI(Vo、Gt)のスムーズでエモーショナルなボーカル、音源より格段に強靭なビートを叩き出すYOSHIAKI(Ba)とHAYATO(Dr)のリズム隊は、彼らのエモ、ラウドといったバックボーンを実感させる。そこに洗練されたWATARU(Gt)のリフが乗ることでFIVE NEW OLDにしかないグルーヴが生み出されるのをのっけから目の当たりにした。そのままブルーアイドソウル的な「Hole」「Foxtrot」と、横に乗れるナンバーが続く。HIROSHIのイマジネーションに富むアクションを交えたボーカルは、英語詞であることを忘れさせるし、何より華がある。華奢なルックスに鋭い眼光。時々、彼が菅田将暉に似ていると言われるのも腑に落ちた。
EPのリード曲である「Stay(Want You Mine)」では、ハンドマイクで、さらに自由に自己表現するHIROSHI。80年代~90年代初期のシンセの反復するビート感を生ドラムでも表現し、コーラスワークもなかなかセンシュアル。クラップしながら揺れるフロアはリラックスしたムードだ。そして大きなうねりを感じさせる「Black & Blue」「Poison」でムードを一転させたあとはメンバーのキャラクターがうかがえるMCへ。
満々の笑顔で「めっちゃナニワ感あるわ~」と切り出したYOSHIAKI。「BRADIOとSWANKY DANKと再び3マンをやるときは、お互いに大きくなってからにしようなって言ってて。5年続けてるってこと自体、簡単じゃないから、今日、一緒にここに臨めるのがめっちゃうれしい!」と、感慨も伺える。オーディエンスもそうしたバンド同士の関係性を知る人も多い様子。もちろん、今日初めて知った人も、FIVE NEW OLDがジャンルではなく、音楽そのものの良さやバンドの姿勢で横の繋がりを大切にしていることを知ったことだろう。そのことは彼らが様々な音楽を吸収して、いいものはジャンルを超えるという信念を持つに至るバックボーンも可視化してくれた気がするのだ。
ウォームなムードに包まれるフロアに鳴らされたのは、ラテンテイストもあるマイナーR&B調の「Tango on the Edge」。真っ赤なライトがひたひたと迫るような情熱を演出する。HIROSHIのボーカルもサビではエモーショナルに、地メロでは淡々と、落差のある表現で曲の世界観に引き込む。実に「戦えるボーカリスト」だ。また、WATARUのテレキャスとHIROSHIのストラトが抜群の絡みを聴かせるEPからの「P.O.M.」の、切なさを含んだメジャーキーは、夜明けのイメージも伴って、心地よさとともにリスナーの感覚の深いところに触れるようなアレンジがライブでも実現していた。物理的にビートも上物もシンプルで、隙間を楽しみながらグルーヴを作ることは、言葉以上に難易度の高いことだが、それをフロアと共有できるのは、やはりメロディの良さだろう。アーバンなムードはたっぷりありつつ、単に90年代好きにとっての懐かしいテイストじゃない。4人で表現するという物理面でも、バンドの意思においても、いい意味で彼らの試行錯誤の跡も見えて好感を持ってしまった。
すっかり4人が作るグルーヴに熱くなったフロアに向けて、HIROSHIが「改めてありがとうございます!」と感謝を述べる。そして「WIDE AWAKE EP」のテーマについてちょっと長めのMC。「夜でも聴けるっていう、そういうコンセプトを立てて作ったのは初めてで。夜なのに”WIDE AWAKE”=目覚めるって、なぜかというと、夜っていろんなものをさらけ出せる時間だと思うし、”目覚める”って気づきとかでもあると思うので、そういう想いも込めてEPのタイトルにつけました」と、サウンドの志向だけでなく、さらに踏み込んだ今回のEPについて彼なりの視点を話す。インタビューでもロマンティックなリアリストぶりを垣間見せてくれたHIROSHIの筋の通ったパーソナリティはFIVE NEW OLDの心臓部だと感じた。
タイトルコールから、BPMも上がりギターロック感が溢れる「Hush Hush Hush」へ。特にサビ前のラウドロックばりの低音のタメから一気に解放されるサビのシンガロングが痛快。まさにFIVE NEW OLDならではのミクスチャー感が溢れ、フロアもはじける。さらにスケールの大きなミディアムチューン「Liar」が、音源でのエレクトロニックな印象とはまた違う、ギターロック・バンドの音圧で、HAYATOのシュアで強いドラミングが演奏にフィジカルな快感を与えているのがわかる。エンディングとともに大きな拍手が起こり、そこにムーディなピアノが重なり、HIROSHIが「またどこかで会いましょう!」と、高度なスキルも自然に湧き上がってくるように思えるスリリングなボーカルでフロアをぐいぐい牽引する「Ghost In My Place」。WATARUもYOSHIAKIもお立ち台からフロアを煽る。細かいアレンジの要であるWATARUがこれほど体育会系なノリを見せるとは意外ではあったが。そして本編ラストはイントロからクラップが起こる「Undercover」。USインディー的なシンガロング、プリミティブなビートが、さらに会場全体を一つにしていく。もう、こうなるとオシャレも90年代も何もかも飲み込んで、ただただFIVE NEW OLDだ。HIROSHIが最後に掲げたピースサイン、それがボーダレスな音楽と人間性を象徴していた。
すかさず起こったアンコールに応えて再登場したメンバー。感謝を述べながら、「ひとつお知らせがあります」と、今夏のメジャーデビューを報告するとこの日最大の歓声が上がった。その高揚した気分を乗せて、彼らの要素のひとつであるメロディック全開の「Ashes to Ashes」で、記念すべき夜は幕を閉じたのだった。この曲のサビでフロアの手が上がる様子を見て、演奏に触れて「ジャンルなんてバンドがよければ、いとも軽々と超える」と、彼らのキャッチフレーズではなく、自分自身の言葉が頭に浮かんだ。まるで仮説が実証されたような手応えを見ている人間に感じるバンドなんてなかなかいないんじゃないだろうか。
【カメラマン:Shingo Tamai】
【取材・文:石角友香】
リリース情報
WIDE AWAKE EP
2017年01月11日
TWILIGHT RECORDS
2. Hush Hush Hush
3. P.O.M.
4. Burned in The Fire
お知らせ
I-RabBits “アイクロニクル”リリースツアー
03/10(金) 出雲アポロ
TENJIN ONTAQ2017
03/11(土) 福岡サーキットイベント
RADIO BERRY haruberrylive
03/18(土) 宇都宮HELLO DOLLY
OTOEMON FESTA
03/19(日) 福島LIVE SQUARE 2nd LINE
Nite Club JANUS
03/21(火) 心斎橋JANUS
POREHEAD pre ELECTRICAL CIRCUS
04/04(火) 斎橋VARON
04/05(水) 名古屋IMAIKE CLUB 03.TAR
04/09(日) 代官山LOOP
MOTHBALL“WE ARE THE WORLD” TOUR
04/28(金) 新潟RIVERST
04/29(土) 宇都宮HELLO DOLLY
COMIN’KOBE17
05/07(日) 神戸ワールド記念ホール、神戸国際展示場1号館、2号館、3号館etc
FIVE NEW OLD ”MAJOR DEBUT EP” Release TOUR
07/21(金) 名古屋ell.FITSALL
07/30(日) 新代田FEVER
08/06(日) 仙台enn2nd
08/18(金) 金沢VANVAN V4
08/25(金) 福岡Queblick
08/27(日) 梅田Shangri-La
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。