Lastrum設立20周年『ニューカマー発見伝』予選第一回 ライブオーディション
Lastrum | 2017.03.08
◆予選第一回 ライブオーディション・東京◆
今年、設立20周年を迎える「Lastrum」が、新しい才能を見つけ出すために企画したオーディション『ニューカマー発見伝』。「優勝賞金100万円」と「CDリリースに向けた育成契約」を獲得できる最優秀アーティストを目指して、全国から多数の応募が寄せられた。東京の第一回予選ライブを通過したのは「afloat storage」「Bluems」「Now on ever 」「 THE COLT GOVERNMENT」。この4組による予選第一回 ライブオーディションが1月26日、東京 下北沢 LIVEHOLICで行われた。
【afloat storage】
2015年5月に結成され、東京を中心に活動している4人組のギターロックバンドafloat storage。ステージに登場した稲見繭(Vo・G)、水野達斗(G)、佐々木大輔(B)、浜辺未輝也(Dr)は、互いの掌を重ね合った後、「あの子になりたい」の演奏をスタートさせた。稲見がミュートしたギターを刻みながら歌い始め、やがて他のメンバーのサウンドも合流。彼らは自分たちのバンドの音楽性に関して「触れたら消えてなくなってしまいそうな形のない、溢れ出る気持ちを言葉に、音に。あなたの心に」と公式サイトで書いているが、様々な想いがサウンドに託されているのを感じる演奏だった。続いて、「刹那に灯たる」も披露した後、「これからもいろんなところで音楽をやろうと思ってます」、稲見のMCを挟んでラストに届けられたのは「そのまま」。展開するにつれて徐々に光量を増していくかのような音像が清々しかった。
【Now on ever】
2013年3月に高校の同級生を中心に結成され、精力的なライブ活動を重ねてきたNow on ever。Ryo!(Vo)、Yuki(B)、亮ちん(G)、Ko-shi(Dr)が登場し1曲目「S.O.Sです…」がスタートした。ハンドマイクで力強く歌うRyo!、響き渡る熱いバンドサウンドに誘われ、手拍子をしながら盛り上がる観客の輪が徐々に広がっていく。そして、「挑戦する強さを次の曲で届けたいと思います。たった一度の人生、悔いのないように」という言葉を添えて2曲目に披露した「バックロックスター」も熱い一体感を生み出した後、MCタイムへ。亮ちんが「最近、リハに猫耳がついた帽子をかぶって来るの」とRyo!のユニークなファッションを観客に報告し、和やかな笑いを起こしていた。リラックスしたムードの場面を経て、最後に届けられた「Brand New Way」。歌い始める前にRyo!は、「みなさんが笑顔になれますように」と言っていたが、その願い通りの明るい空間が生まれていた。
【THE COLT GOVERNMENT】
2014年1月、埼玉県越谷市で結成されたTHE COLT GOVERNMENT。メンバーは、横田一樹(Vo)、金井勇真(G)、塩川隼人(B)、押見光(Dr)。「今晩は! あなたたちの心をブチ抜きに来ました。飛ばしてくぞ!」、金井が気合たっぷりの言葉を放ったのを合図に「Imitation」がスタート。シャープなビート、メランコリックな風味のメロディが怒涛の勢いで迫ってきた。身体を激しく動かし、昂ぶりながら演奏をするメンバーたちに囲まれ、冷静な佇まいで歌い続ける横田の姿が目を引く。彼らは「視覚と聴覚が合わさることによって生まれる力」を信じて音楽をやっているそうだが、まさにその考えを体現しているステージだった。そして、「終わりの鐘」「風を待つ」も届けられ、ますます異彩を放っていた独特な存在感。海外のギターロックバンドを彷彿とさせる硬派なサウンドを下地としつつも、親しみやすい往年のポップス的な哀愁を漂わせる「微睡み」を最後に演奏して去って行ったメンバーたちを、大きな拍手が見送っていた。
【Bluems】
「恋する円盤」の元メンバー、大塚真太朗(Vo・G)、大塚薫平(Dr)、中村直人(key)が中心となり、山中卓人(G・Cho)、辻本秀太郎(B・Cho)も加わった編成で2016年1月から始動したBluems。『でれんの!? サマソニ!? 2016』への出演を果たすなど、着々と前進を続けているバンドだ。演奏は「ショート・トリップ」からスタートしたが、序盤から実力の高さを実感させられた。爽やかな大塚の歌声に対して山中と辻本のコーラスも重ねられ、生み出されたハーモニーが心地よい。2曲目「ビターズ・エンド」に至る頃には、たくさんの観客が彼らに魅了されているのを感じた。そして、「肩ひじ張らずに楽しんでいってください。短い時間だけどよろしくお願いします」、大塚の挨拶を経て「Wednesday Escape」。ラストに届けられたのは「Better Days」。豊かなハーモニーで彩られたメロディはもちろん、互いのフレーズを絶妙に融合させているアンサンブルも素晴らしかった。
こうして4バンドの演奏が終了。観客は気に入った2バンドを選んで、投票用紙に記入した。
この投票結果とLastrum社内の審査も踏まえて、後日発表された “予選第一回・東京”の優秀バンドにはBluemsが決定した。彼らは9月に行われる最終審査ライブへと進む。『ニューカマー発見伝』の予選ライブは今後も東京と大阪で続き、計6回が行われるが、最優秀アーティストに輝くのはいったい誰なのか? 今後も要注目しつつ、大阪編へ。
◆予選第一回 ライブオーディション・大阪◆
設立20周年を迎える「Lastrum」が企画したオーディション『ニューカマー発見伝』。1月26日、東京 下北沢 LIVEHOLICで行われた第一回予選ライブオーディションに続き、大阪 心斎橋 Pangeaにも4バンドが集結。ザ・モアイズユー、fuzzy apple store、ロマネ、the browniesが全力の演奏を繰り広げた模様をレポートする。
【fuzzy apple store】
2013年に徳島で結成されたfuzzy apple store。佐伯翔太(Vo・G)、石川慶子(B・Cho)、宮本慎也(Dr)が登場し、1曲目「二月の枯れた空」の演奏がスタートした。瑞々しいメロディが会場全体に広がり、バンド全体の演奏の熱量は徐々に上昇。終盤に差し掛かると、エネルギッシュに炸裂……という起伏に富んだ展開が印象的だった。そして、「灰の街で」と「砂の城」も届けられたが、3ピース編成というシンプルな編成を軸に最大限のドラマを構築し、メロディを真っ直ぐに届けることを大事にしている彼らの音楽性が窺われた。そして、「最後の曲です。ありがとうございました。またお会いしましょう」と佐伯がメンバーを代表して挨拶。最後に届けられたのは「花とアリス」。力強く響き渡るサウンドに合わせて身体を揺らす観客が、爽やかな風景を作り上げていた。
【ロマネ】
2016年10月、藤原カズキ(Vo・G)、小林弦太(B)、平山梢(Dr)によって結成された京都のバンド「ロマネ」。力強いドラムのビートが先陣を切り、ギターとベースもすぐに合流。1曲目「ブリーチ」の演奏が始まった。ドライヴ感に溢れたバンドサウンドが猛烈に力強い。攻撃性と哀愁を絶妙に渦巻かせている藤原のささくれ立った声質が、とても魅力的だった。その後も「DOWN」「ミッドナイト・コールガール」「picture」が連発され、熱い興奮に包まれた会場内。骨太で硬派な音楽性が示され続けたことにより、最初は様子を窺っていた観客も、どんどんと引き込まれている様子だった。そして、「僕は他の人がどんなことを言おうと勝ちたいと思ってます。勝って幸せになりたいと思ってます」と想いを語った藤原。ラストに披露した「ロマンス」には、このバンドの逞しい意志がこもっているのを感じた。
【the brownies】
京都を拠点として2015年から活動しているthe brownies。飯野大介(Vo・G)、加瀬ロメオ(G)、オカムラソウタ(B)、ピヨ田中(Dr)がステージに登場し、スタートした1曲目は「造花の蜜に溶けて」。シャープなビート、ギターのアルペジオ、揺らめく残響が心地よい。続いて披露された2曲目「holga」は、繊細なコードの響き、メランコリックなメロディが印象的だった。そして、「今日、一番かっこいいライブをしに来ました。あと2曲やって帰ります」と飯野が言い、後半では「サナトリウムのすべて」と「holy」を披露。演奏が終わった時、会場内に漂っていたのは穏やかな余韻。UKロックへの敬愛が窺われる抒情性、90年代辺りのシューゲイザーのバンドにも通ずるサイケデリックでドリーミーな味わいを届けてくれるバンドであった。
【ザ・モアイズユー】
2011年7月に始動して以降、作品リリースとライブ活動をコンスタントに重ねてきたザ・モアイズユー。スタート時間となり、幕が上がると、ステージ上に既に本多真央(Vo・G)、以登田豪(B・Cho)、峰松慧(Dr・Cho)が立っていた。「全ての中途半端なやつに俺らの音楽を!」、本多がギターを掻き鳴らしながら叫んだのを合図に、1曲目「歌う声は」がスタートした。3人が一丸となって放つサウンドの迫力がすごい。続いて、甘酸っぱいサウンドを情熱的に鳴り響かせた「トーキョー・トレイン」。美メロが抜群に際立っていた「花火」……盛り上がる観客の輪が、どんどん広がっていった。そして、「俺たちに光を照らしてくれた音楽で、いつかあなたを照らせますように」と本多が言い、ラストに届けたのは「光の先には」。ガムシャラな演奏の狭間から伝わってきた温かな優しさは、彼らの音楽の核にあるものを示している印象がした。
後日、予選第一回ライブオーディション・大阪の優秀アーティストとしてザ・モアイズユーが発表された。この『ニューカマー発見伝』今後も東京と大阪で予選が第三回まで行われる。9月のファイナル審査にまで勝ち進むのは、どのバンドなのか? 未来の音楽シーンを担う存在が現れるに違いないこのオーディションから、これからも目が離せそうにない。
【取材・文:田中 大】
【撮影・東京:CatsAX】
【撮影・大阪:松本いづみ】
ニューカマー発見伝特設サイト
http://new.lastrum.co.jp/feature/newcomer
セットリスト
◆予選第一回ライブオーディション・東京
出演バンド・セットリスト
afloat storage
- 1.あの子になりたい
- 2.刹那に灯たる
- 3.そのまま
- 1.S.O.Sです…
- 2.バックロックスター
- 3.Brand New Way
- 1.Imitation
- 2.終わりの鐘
- 3.風を待つ
- 4.微睡み
- 1.ショート・トリップ
- 2.ビターズ・エンド
- 3.Wednesday Escape
- 4.Better Days
◆予選第一回ライブオーディション・大阪
出演バンド・セットリスト
fuzzy apple store
- 1.二月の枯れた空
- 2.灰の街で
- 3.砂の城
- 4.花とアリス
- 1. ブリーチ
- 2.DOWN
- 3.ミッドナイト・コールガール
- 4.picture
- 5.ロマンス
- 1.造花の蜜に溶けて
- 2.holga
- 3.サナトリウムのすべて
- 4.holy
- 1.歌う声は
- 2.トーキョー・トレイン
- 3.花火
- 4.光の先には