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WANIMA バンド初となる、さいたまスーパーアリーナでのワンマンをレポ

WANIMA | 2017.04.11

 レーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」から初の全国流通盤である1stミニ・アルバム『Can Not Behaved!!』を発売したのが2014年10月22日。それからバンド初となる、さいたまスーパーアリーナでのワンマン公演に辿り着いたのが、この日2017年3月19日であった。僅か2年5ヶ月だ。この駆け上がりっぷりに驚きながら、そうだよな、と妙に納得。ライブが終わると、何の違和感もなく会場を後にする自分がいた。  開演時刻16時半を少し回ると、冒頭からKENTA(Vo/B)は「これ何人おるん?」、「その場でジャンプ!」と演奏する前から熊本の兄ちゃんみたいな普段着MCでご挨拶。「Hey Lady」で火蓋を切ると、KO-SHIN(G/Cho)、FUJI(Dr/Cho)を含むメンバー3人の姿を巨大スクリーンに映され、それを追っているうちに1曲目が終わった。そう、彼らの曲はとても速いのだ。「雨あがり」、「つづくもの」と立て続けに見舞うと、「曲が短いから、持つかな・・・」と冗談交じりに不安を漏らしていたけれど、ド頭から観客の心に火をつける過熱ぶり。楽曲は長さではなく、そこに込められた感情が大事なのだと気づかせてくれる。

 そこにミクスチャー色の強い「Japanese Pride」がいいフックをもたらす。「今は立派なパパも、1度は聴いてたんだHi-STANDARD」の歌詞にビクン!と反応した元キッズのパパも多かったことだろう。この日も小さな子供にピザオブデスのレーベルロゴ入りTシャツを着せた親子連れを、あちこちで見かけた。それからスカのリズムが心地いい「1CHANCE」へ。「Bitch!」と連呼するフレーズには思わず苦笑してしまうものの、小さい子供には訳がわからないだろう。それでいいのだ。大人になれば自然と理解するのだから。それも音楽の楽しみ方のひとつで、年齢と共に楽曲に対しての見方が変わることは、ほかのアーティストでもよくあること。さらにWANIMAの場合は大前提として、音楽そのものがなによりポップで親しみやすい。それが幅広い年齢層に届いている理由に違いない。

 歌心をグッと高めた「エル」に入ると、前方と後方のアリーナでサークル・モッシュが起き、会場の温度も一段と高まっていく。それからショート・チューン「昨日の歌」、歌い出しメロディで引っ張りつつ煽る「夏の面影」へと畳み掛け、煌びやかなレーザー光線が飛び交う中で披露された「BIG UP」は、さいたまアリーナをすっぽりと覆い尽くすエネルギーを放出していた。

 中盤に差し掛かると、ファイナルらしい特別な仕掛けが待ち受けていた。ステージからアリーナ中央に設置された小さな円形ステージに巨大な橋を架け、FUJIが長渕剛のモノマネで観客の大爆笑を誘った後、メンバー3人で「ちょっとでも近くなるように」と、その円形ステージにてアコースティック・セットを行った。KENTAは「ラララ~♪」と鼻歌風にハンドマイクで歌い始まると、カヴァー曲「切手のないおくりもの」が始まり、KO-SHIN、FUJIのコーラス・ワークも妙味たっぷり。リラックスしたムードに満ちた「SLOW」では中学生ぐらいの女の子二人組が、肩を横に揺らして楽しそうにノっていた。「終わりのはじまり」を含む3曲をしっとり聴かせると、スクリーンにはKO-SHINの経歴に引っ掛けて、自衛隊の格好に身を包んだ3人が登場。バンジージャンプにトライする姿などが映像で流れ、これにて謎の「訓練」(?)終了。

 そして、「みんなに歌ってほしい」と呼びかけると、「ともに」は観客の大合唱を促し、WANIMAの楽曲が持つ求心力をまざまざと見せつけられた。「毎日ご飯食べてるか?」、「苦手な親父とうまくやってるか?」とKENTAは温かく語りかけ、普段言えないことも、音楽なら言えると付け加え、今日集まった観客の感謝の意を示すと、「Hey yo…」、「1106」と繋ぐ。まさにこの2曲は聴き手に寄り添う温かいサウンドに満ち、壮大なスケールで響いていた。

 そこからさらに「オドルヨル」、「いいから」とアッパーな曲調で攻め続けると、ストレートな歌詞が突き刺さる「THANX」をここで披露。「これからもずっと応援しとるけん!」と言うと、本編最後は「For you」で盛大に締め括る。「信じて良かった こんな日が来るなんて」の歌詞が鼓膜を叩き、この曲自体が大きなメッセージとなり、観客一人ひとりの心に伝わっているようだった。

 アンコールでは5月17日にニュー・シングル「Gotta Go!!」を発表することを告げると、そこから一足早く新曲「CHARM」を放つ。「進学、就職・・・この歌をお守りに」と口にしていたが、WANIMAの人間味が詰まったいい曲だった。その後、「TRACE」、「やってみよう」と続け、WANIMAも"ここから"という意志と共にラスト曲「ここから」をプレイし、約2時間半に渡る初のアリーナ・ワンマンをやり遂げた。

 会場の規模感を踏まえ、バンドとしては過去最長のショウとなり、あらゆる仕掛けやお楽しみ要素も満載だった。だが、一番の主役はWANIMAの楽曲であり、彼らの人間性そのものが多くの観客を惹き付けていたように思う。さいたまスーパーアリーナを越えて、もっともっとデカい存在になっていくことだろう。それを裏付ける記念碑的な、さいたまスーパーアリーナ公演であった。

【取材・文:荒金良介】
【撮影:瀧本 JON... 行秀】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル WANIMA

リリース情報

Gotta Go!!

Gotta Go!!

2017年05月17日

ワーナーミュージック・ジャパン

1.CHARM
2.ララバイ
3.これだけは

※「Gotta Go!!」は“ガラゴー”と読みます

セットリスト

JUICE UP!! TOUR
2017.3.19@さいたまスーパーアリーナ

  1. 1.Hey Lady
  2. 2.雨あがり
  3. 3.つづくもの
  4. 4.Japanese pride
  5. 5.1CHANCE
  6. 6.エル
  7. 7.昨日の歌
  8. 8.夏の面影
  9. 9.BIG UP
  10. 10.切手のないおくりもの
  11. 11.SLOW
  12. 12.終わりのはじまり
  13. 13.ともに
  14. 14.リベンジ
  15. 15.Hey yo...
  16. 16.1106
  17. 17.オドルヨル
  18. 18.いいから
  19. 19.THANX
  20. 20.For you
 Encore
    1. En-1.CHARM(新曲)
    2. En-2.TRACE
    3. En-3.やってみよう
    4. En-4.ここから
  • お知らせ

    ■ライブ情報

    ARABAKI ROCK FEST.17
    04/30(日) エコキャンプみちのく

    NIIGATA RAINBOW ROCK 2017
    05/05(金) 朱鷺メッセ

    POP HILL 2017 in 金沢
    05/07(日) 石川県産業展示館4号館

    METROCK 2017
    05/14(日) 大阪府堺市・海とのふれあい広場
    05/21(日) 新木場・若洲公園(東京)

    阿蘇ロックフェスティバル2017
    05/27(土) 熊本野外劇場アスペクタ

    マキシマム ザ ホルモン "耳噛じる真打 TOUR"
    05/29(月) BLUE LIVE HIROSHIMA
    05/31(水) 松山市総合コミュニティーセンター 文化ホール(キャメリアホール)

    SATANIC CARNIVAL’17
    06/17(土) - 06/18(日)
    幕張メッセ国際展示場9-11ホール
    ※出演日はどちらか1日のみとなります。

    ※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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