東京パフォーマンスドール(以下TPD)が、昨年9月からスタートさせたライブシリーズDREAM CRUSADERSのファイナル公演を、3月26日に中野サンプラザで行った。

「“DREAM CRUSADERS”～最高の奇跡を、最強のファミリーとともに！～」と銘打たれたこのライブはTPDにとって、過去最大キャパでのホールライブを成功させる事と、1月に全50曲収録の1stアルバム『WE ARE TPD』をリリースし、6月で結成4年目を迎える今の集大成を見せるという2つの課題への挑戦があった。以前アルバム取材時にリーダーの高嶋は「ここがスタートなんだっていう公演をしたい」と語ってくれていた。

　開演時間を少し過ぎ照明が落ちると、アッパーなダンスビートにのって「ようこそ聖地へ」とファンに呼びかけるイントロダクション的なナレーションが流れ、映像とシンクロしたメンバー紹介のアピールダンスからライブはスタートした。推しメンの登退場ごとに客席から大きな歓声が上がる中、曲が切り替わったタイミングでTPD DREAM CRUSADERS の文字が輝く後方一段高いパフォーマンススペースにアルバム衣装の9人が現れ、1曲目はこのライブシリーズでメンバー、ファン両方の気持ちのギアを一段上げる曲として常にオープニングで歌われてきた「STAY GOLD」。続く2曲目、それぞれがメンバーカラーのフラッグを振りながらパフォーマンスする「La La Flags!」では、彼女達のあおりに合わせサイリウムを振り上げるファンの「Hey!Hey!」の掛け声が、9人の先導者を称える十字軍(CRUSADERS)の歓喜の雄叫びのごとくフロアーに響き渡り、会場は序盤から一足飛びでトップギアの熱量に包まれた。

「BRAND NEW STORY」、「DREAM TRIGGER」、「It’s Up To Me」と両手を使っての大きな振りや、真っ白なサイリウムを使ってのダンスで魅了した前半では、櫻井紗季、浜崎香帆、脇あかり、神宮沙紀が小太鼓、上西星来、飯田桜子がドラム缶を叩く「predawn」とタイトルされたパーカッションパフォーマンスが披露され、8曲目TPD DASH!!を入れての「PEOPLE」前には、左手を負傷して名古屋、大阪のツアーを休演していた小林晏夕が、橘二葉、浜崎香帆とのハイスピードダンスで完全復活をアピール。オープニングからここまでの11曲で彼女達は、肉体的なパフォーマンスでの表現力とグループとしての成長を見せつけた。

　Barの店内セットがステージに組まれた中盤は、バーレスク風衣装に着替えたメンバーが登場し、DREAM CRUSADERS恒例の撮影コーナーFLASH TIMEからの「CATCH!!」。途中LEDで光る四角い枠を使ったアート色の強いパフォーマンス「WINDOW」を挟んで展開されたこのパートは、小林をメインボーカルに浜崎と高嶋の3人で大人っぽく歌い上げる「RUBY CHASE」、セットを使ったシチュエーションダンスから高嶋、浜崎のデュエット曲「Linger」、傘を使ったダンスが目を引くメインボーカルの櫻井と、飯田、橘による「Raining」、「Play×Live 『1x0』」公演で披露された高嶋、小林の「Lost Without You」に脇、上西の「In The Wonderland」と、個々のメンバーにスポットがあてられ、それぞれが持つ歌声での表現力の進化が受け取れる作りになっていた。

　前半、中盤とあらゆる形で今のTPDを披露してきた彼女達だったが、再び「Stay Gold」の激しいビートがフロアーに鳴り響き、「やっと掴んだこのステージ、これからがTPDのスタートラインだー！」という神宮の絶叫から始まった後半では、ここから先に向かうメンバーの気持ちが爆発。既に21曲を披露して来たとは思えない、「TIME」「BE BORN」「東京ハッカーズ・ナイトグルーヴ」「逆光×礼賛」「SURVIVAL!!」「HEART WAVES」「純愛カオス」というキラーチューン連発の圧倒的なパフォーマンスには、積み重ね鍛え上げて来たグループの強さと未来が詰め込まれ、ファンと共に道を切り開いて進んで行く決意も感じられた。ラストはDREAM CRUSADERSの会場をいつも笑顔でいっぱいにして締めくくってきたナンバー「RAISE YOURE HANDS」。全32曲をノンストップという驚異のパフォーマンスで見せた2時間弱の本編は、この曲で大団円となった。

　鳴りやまない拍手と「TPD!」コールの中、デビュー前から着ていたワンピース衣装で登場したアンコールでは、高嶋が昨年9月に中野サンプラザ公演を発表して以降の気持ちを振り返りながら、「こんなにたくさんのお客さんの前でワンマンライブをするのは初めてです。ありがとうございます！」とファンへの気持ちを語り、「今日はどうやったらみなさんに最大の力で感謝の気持ちが伝えられるかなと考えて、私達がずっと大事にしている曲を気持ちを込めて9人で歌いたいと思います」と、神宮のピアノ演奏とメンバーの美しいハーモニーだけで「DREAMIN’」を披露。♪この声を羽ばたかせて世界中にFullな愛を今ここから伝えたいよ♪と思いの全てを込めて歌われたこの曲は、途中で結成当初からのオリジナルトラックへとスイッチされ、そこをきっかけにしてメンバーの気持ちに応えるような歌声が客席から沸き起こると、「皆さんで一緒に「DREAMIN’」歌いましょう。せーの！」という高嶋の呼びかけでアカペラの大合唱に。客電で照らされステージとの境がなくなったホールいっぱいに広がった「DREAMIN’」。その歌声は次へと繋がるメンバーとファンの希望へと昇華され、大きな多幸感に包まれた中野サンプラザはこの時TPDにとっての真の聖地となった。

　オリジナリティを追及しながらがむしゃらに進んで来たTPDのこれまでと、ここからが詰まっていたこの日のライブ。最後に再びパフォーマンスされたメジャーデビューシングル「BRAND NEW STORY」を歌う前に浜崎は、「今日がゴールではなくて私たちの新たなスタートラインだと思っています。これからも私達9人全員とスタッフさん、そしてここにいる皆さん、全国で応援して下さっているファンの皆さんと一緒に輝くストーリーを築いていきたい」と宣言していたが、先代の書き上げたストーリーと比べれば新生TPDのそれは、まだ第一章の途中に過ぎない。しかし中野サンプラザを経て次の高みを目指す9人の今には、この日につかんだファンとの絆と大きなステージから見えたであろう未来への強い気持ちがある。この日発表された今後のライブでTPDはどんな成長と変化を見せてくれるのか？既に次へと走り出している彼女達のこれからに注目したい。