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HOWL BE QUIET、赤坂BLITZから賑やかに幕を開けた「pre-HOLIC TOUR」初日公演をレポート!

HOWL BE QUIET | 2017.05.01

 これまではCDをリリースしてから、その作品のツアーを組むことが多かったHOWL BE QUIETが、初の試みとして、5月24日にリリースされるメジャー1stフルアルバム『Mr. HOLIC』のリリース前に、その前哨戦となるツアー「pre-HOLIC TOUR」を全国5ヵ所で開催した。「今回はどうしても先にライブで『Mr. HOLIC』の曲を聴いてほしかった」という想いで行われた今回のツアー。昨年3月9日に『MONSTER WORLD』でメジャーデビューしたハウルにとって、メジャー1周年のツアーということもあり、それは、ここ1年間のバンドの成長をしっかり刻みつけると同時に、『Mr. HOLIC』の傑作ぶりを予感させる充実の内容だった。ここでは3月18日に赤坂BLITZで行われた初日公演の模様をお届けする。

 SEのザ・ビッグ・ピンク「ドミノス」が流れ出して登場したメンバー。そのサウンドをかき消すように、竹縄航太(Vo・Gr・Piano)がピアノを弾き始めると、黒木健志(Gt)のギターが重なり、躍動感のある「From Birdcage」からライブをスタートさせた。岩野亨(Dr)のフォーカウントを合図に、未音源化ながらライブの定番曲になっている「PERFECT LOSER」でフロアからハンドクラップが湧き起こる。「今日は頭から最高に飛ばしてまいりますよー!」という竹縄の言葉のとおり、カラフルな光がステージに降り注いだ「MONSTER WORLD」では、キラキラとしたバンドサウンドが赤坂BLITZを多幸感で満たした。

「今日はすごく楽しみにしてきました!」(竹縄)と、最初のMCは手短かに終えると、“ダメダメな自分”を明るく受け入れるようなポップナンバー「Dousite」、新しい世界へと飛び込んでいくワクワク感を詰め込んだEDMナンバー「Wake We Up」を立て続けに披露。ハウルのベーシックな構成は、ボーカル&ピアノ、ギター、ベース、ドラムの4人だが、ホーンやストリングスの音色もガンガン同期で加えるため、そのサウンドはとても賑やかだ。「ウォーリー」ではベースの橋本佳紀(Ba)がアコースティックギターを弾き、岩野はエレドラを叩きながら、ハッピーな空間を作り上げた。
前半のハイライトは「My name is…」。“自分の名前”にまつわる半生をラップで綴り、ループトラック的なサウンドが次々に表情を変え、次第に楽曲をふくよかに彩ると、ピアノの静謐なイントロから「サネカズラ」へ繋いだ。別れ際に相手を傷つけたいとすら思う赤裸々のラブソング。圧倒的なメロディの良さと竹縄の物憂げな歌声だからこそ作り上げることのできる息を呑むほど狂おしい旋律に、バラードこそハウルの真骨頂だと改めて思う。

 ここまで、ライブの前半はメジャーデビュー以降のハウルの集大成のようだった。“バラードバンド”の誤解も、“ピアノバンド”という窮屈な価値観も、全てから解き放たれるために、デビュータイミングでぶち挙げた“アイドル宣言”。諸刃の剣とも言える選択をすることで自由を得たハウルがとった、ノージャンルを目指していくバンドの試みは、彼らの最大の武器である「サネカズラ」のようなバラード曲を、いっそう輝かせるものにもなっていた。

「盛り上がってますか?」(竹縄)、「言ってもいい?『サネカズラ』って別れの歌でしょ?“盛り上がってますか“って……」(黒木)、「『サネカズラ』のあとに、これを言うのがトレンドなんだよね」(竹縄)。そんなMCのあと、アコースティックで届けたのは「Merry」。ドラムの岩野も含めて4人が1列に並ぶミニマルなスタイルで、シャンシャンと鳴る鈴の音が季節外れのクリスマスソングを彩ると、リクエストコーナーではback numberの「繋いだ手から」もカバーするというスペシャルな演出で会場を温かい空気で包み込んだ。

 後半は、いよいよ来月リリースとなるアルバム『Mr. HOLIC』を届けていった。「ライブで最初に聴いてほしくて、ライブの印象を植えつけたくて、こういうツアーを組みました」と、黒木。ここで披露された「ラブフェチ」も「ギブアンドテイク」も、一聴した瞬間にお客さんも体を揺らしたり、声を出したりできるような訴求力のあるナンバーだった。そして、ライブの初聴きでも、しっかりと歌詞を聴きとれる竹縄の歌から感じられるのは、少し嫉妬深くて、束縛気味で、愛をこじらせた、重い男の恋愛観……だろうか。その後は「Higher Climber」と「レジスタンス」という既出曲で踊らせるパートもありつつ、再び、『Mr. HOLIC』から、「特に思い入れの強い曲」と紹介されたバラード「208」でライブを締め括った。これもまた、切ない終わりのラブソング。『Mr. HOLIC』とは、“Mr. 依存症”。何に依存して、何を表現するアルバムなのか、その片鱗が少しだけ見えた気がした。

 アンコールでは「アルバムのツアーでまた遊びましょう!」と約束をすると、インディーズ時代からのライブアンセム「孤独の発明」へ。黒木が間奏でギターソロを決める間にも、鍵盤を弾く竹縄のところに笑顔で絡みにいくベース橋本。さりげない瞬間に、ハウルは本当に仲の良いバンドだなと思う。「最後は盛大に歌って帰りましょう!」と、竹縄が叫んで、岩野の気合いの入ったカウントでなだれ込んだ「ライブオアライブ」。特大のシンガロングとともに、“決められたシナリオがあろうとも 命懸けで戦うんだ”と、力強く歌うメッセージは、ここから新たな未来を切り拓こうとする彼らのライブを締め括るのに相応しかった。

 赤坂BLITZいう会場はハウルにとって、単独ライブとしては、これまででいちばん大きなハコだった。だが、MCでメンバーはそこに対する感慨を口にすることはなかった。実際に見ていても、正直、特別に広いと感じないぐらい、その場所に馴染んでいた。いまのHOWL BE QUIETが鳴らす音楽は、大きな会場によく似合う。それは、この1年の大きな成長だったが、彼らにとっては通過点だろう。間もなく発売されるアルバム『Mr. HOLIC』、そして、7月から開催されるツアー「Mr. HOLIC ~僕が虫で、君が男でも恋したいのです~ TOUR」で、この先、HOWL BE QUIETが私たちにどんな景色を見せてくれるかが楽しみだ。

【取材・文:秦 理絵】
【撮影:ヤオタケシ】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル HOWL BE QUIET

リリース情報

Mr. HOLIC

Mr. HOLIC

2017年05月24日

ポニーキャニオン

01. ラブフェチ
02. MONSTER WORLD
03. ギブアンドテイク
04. にたものどうし
05. My name is...(ALBUM Ver.)
06. サネカズラ
07. PERFECT LOSER
08. Wake We Up
09. 矛盾のおれ様
10. Higher Climber
11. 208
12. ファーストレディー

セットリスト

HOWL BE QUIET
pre-HOLIC TOUR
2017.03.18@赤坂BLITZ

  1. 1.From Birdcage
  2. 2.PERFECT LOSER
  3. 3.MONSTER WORLD
  4. 4.Dousite
  5. 5.Wake We Up
  6. 6.ウォーリー
  7. 7.My name is...
  8. 8.サネカズラ
  9. 9.Merry(Acoustic)
  10. 10.back number「繋いだ手から」
  11. 11.ラブフェチ
  12. 12.ギブアンドテイク
  13. 13.Higher Climber
  14. 14.レジスタンス
  15. 15.208
 ENCORE
  1. EN 1.孤独の発明
  2. EN 2.ライブオアライブ

お知らせ

■ライブ情報

Mr. HOLIC 〜僕が虫で、君が男でも恋したいのです〜 TOUR
07/20(木) 仙台 LIVE HOUSE enn 2nd
07/26(水) 名古屋 CLUB QUATTRO
07/28(金) 大阪 Umeda TRAD
08/01(火) 高松 DIME
08/03(木) 福岡 DRUM Be-1
08/04(金) 広島 セカンドクラッチ
08/16(水) 東京 AKASAKA BLITZ


NIIGATA RAINBOW ROCK 2017
05/04(木祝) 新潟12会場
05/05(金祝) 新潟・朱鷺メッセ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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