急成長を続ける注目のニューエイジ・ポップ・ユニット、Maison book girlのツアーファイナルをレポート
Maison book girl | 2017.05.19
メンバーの地元(矢川葵は大阪、井上唯は福岡、和田輪は北海道、コショージメグミは新潟出身)や愛知を巡り、ついに迎えたツアーファイナルの会場は東京・赤坂ブリッツ。昨年の11月6日に行ったワンマンライヴの会場はshibuya WWW Xだったので、目に見えて規模が大きくなっている。スタート前からフロアで待っていたファンたちのウキウキした様子も、ここ数ヶ月で急速に高まったMaison book girlの人気をハッキリと示していた。
インストナンバー「ending」が始まり、ステージを覆っている紗幕に投影された映像。その向こう側に4人が登場したのがぼんやりと見えると、観客は歓声を上げた。そして「sin morning」がスタート。真っ白な紗幕はステージを覆い続け、歌いながら踊るメンバーたちの黒いシルエットがミステリアスに揺らめいた。曲が終盤に差し掛かると幕は切って落とされ、姿を現した矢川、井上、和田、コショージ。ドラマチックなオープニングであった。
その後も「end of Summer dream」「veranda」「faithlessness」……メジャー1stアルバム『image』の順番通りにライヴは進行していった。サウンドを聴いているだけでも様々な風景や物語がイメージできる同作だが、メンバーたちの歌やダンスを観ながら噛み締めると、より立体的に迫って来た。特に息を呑まされたのは、中盤で展開したインスト曲の「int」。フォーメーションを多彩に変化させ続け、優雅に踊りながら空間を構築する彼女たちの姿が、とても神々しかった。
「townscape」を皮切りに突入した後半も美しい場面の連続だった。“時の経つのも忘れる”という表現がよく使われるが、あの場にいた全ての人が、まさにそんな感覚を味わったのではないだろうか。荒れ狂うように鳴り響くピアノ音色が観客を熱く興奮させていた「karma」。激しいクラップが巻き起こっていた「screen」。抒情的なメロディが壮大に広がった「blue light」……MCなどを間に一切挟むことなく、ひたすら曲を届け、本編を締め括ったのはメンバーたちのポエトリーリーディング「opening」。コショージ作の詩が、温かい感動を呼んでいた。
アンコールを求める観客の手拍子(「bath room」に盛り込まれている印象的なリズムを打ち鳴らすのが恒例)に応えて再登場したメンバーたち。「平日だから仕事とかあったと思うんだけど、頑張って来てくれてありがとうございます」、感極まった様子でコショージが挨拶をした後、4人それぞれが順番に想いを語った。
「私はずっと自信がなさすぎて、大勢の人の前で喋るのが怖くて。でも、みなさんが見つけてくれて。自分で自分を悪く言うのは失礼かなと。みんなの自慢の和田輪になりたいと思いました。これもひとえにみなさんのおかげだと思っています。これからも和田輪とMaison book girlをよろしくお願いします」(和田)
「昔から1人で行動するのが好きで、友だちも少ないんですけど(笑)。人と密に接するのが苦じゃないのが珍しくて。くさいことを言うけど……この3人のメンバーと会えたのは運命じゃないかなと。喧嘩とか、一緒に山を乗り越えたとかいう話はないんですけど(笑)。この3人となら一緒にやれると思います。ここにいるみんなも運命だと思います」(矢川)
「初期から観てる方々は知っていると思いますが、私は何もできなくて(笑)。昨年デビューできて、ブクガのことを考えることが増えました。地元がめっちゃ好きだったのに、自然とブクガがある東京が同じように好きになっています。ブクガのこと、3人のこと、スタッフさん、みんなのことが好きなんだなと。ブクガをもっと広めたいと思いました」(井上)
「何話そうかなと昨日の夜、お風呂で湯船に入りながら考えたら、出るタイミングが分からなくなって具合が悪くなった(笑)。音楽を続けられたらいいね?アイドルの2年半はバンドだと7年くらいの価値があるのかもしれない。犬の年齢みたいに(笑)。みんなの手を離さないようにするので、応援をよろしくお願いします!」(コショージ)
コショージが想いを語った時、4人が照れくさそうにしつつも、笑顔を交わして手を繋ぎ合っていたのが微笑ましかった。そして、お馴染みのナンバー「cloudy irony」「lost AGE」「bed」「snow irony」「bath room」を連発したアンコール。「今日の景色をみんなの角膜に閉じ込めて、一生消えませんように!」とコショージが言い、最後に披露されたのは「lastscene」。一緒に振り付けを踊り、大合唱する観客の一体感が圧倒的であった。
「以上、Maison book girlでした。ありがとうございました!」と挨拶をして、ステージを後にしたメンバーたち。スクリーンに「Maison book girl 2017.0719 new single release」という文字が浮かび上がると、観客は大喜びしていた。現代音楽的な変拍子、先の読めない展開、幻想的な旋律、様々な解釈を誘う歌詞、ユニークな動きを取り入れたダンスなど、独特な要素をたくさん持っているブクガだが、J-POPシーンのど真ん中に飛び出し得る強烈な輝きを持っていることを、このライヴは鮮やかに証明していた。ファンタジー映画のような華やかさ、精緻に構築されたサウンドの刺激、メンバーたちの親しみやすい存在感が絶妙に融合しているブクガは、今後さらに幅広い層のファンから支持されるようになるはずだ。
【取材・文:田中 大】
【撮影:稲垣謙一】
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リリース情報
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image
2017年04月05日
徳間ジャパンコミュニケーションズ
2. sin morning
3. end of Summer dream
4. veranda
5. faithlessness
6. int
7. townscape
8. karma
9. screen
10. blue light
11. opening
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セットリスト
Solitude HOTEL 3F
2017.5.9@赤坂BLITZ
- 01. ending
- 02. sin morning
- 03. end of Summer dream
- 04. veranda
- 05. faithlessness
- 06. int
- 07. townscape
- 08. karma
- 09. screen
- 10. blue light
- 11. opening ENCORE
- EN 1.cloudy irony
- EN 2.lost AGE
- EN 3.bed
- EN 4.snow irony
- EN 5.bath room
- EN 6.lastscene
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06/04(日) 渋谷TSUTAYA O-nest
『SKA×iDOL SUMMITvol.2』
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06/17(土) 下北沢SHELTER
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06/17(土) 渋谷内複数会場
『中野ロープウェイ開店8周年記念ライブ! 千秋楽』
06/22(木) 新宿LOFT
アイドル横丁夏まつり!!〜2017〜
07/08(土) - 07/09(日) 横浜赤レンガパーク
ピエールフェス 2017
07/16(日) 恵比寿LIQUIDROOM
TOKYO IDOL FESTIVAL 2017
08/04(金) - 08/06(日)
お台場・青海周辺エリア
JAM EXPO 2017
08/26(土) - 08/27(日) 横浜アリーナ
夏の魔物2017 in KAWASAKI
09/10(日) 川崎市東扇島東公園・特設会場
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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