豪華ミュージシャンが白熱のライヴを繰り広げた、スガ シカオのキャリア20周年を祝う「スガフェス!」の全貌をレポート!
スガ シカオ | 2017.05.29
2017年5月6日(土)、シンガーソングライター・スガ シカオのキャリア20周年を祝う音楽フェス『スガフェス!』が開催された。5月3日(水)~5日(金)の3日間に亘って開催されたロックフェス『VIVA LA ROCK 2017』の熱狂も冷めやらぬさいたまスーパーアリーナでは、彼を慕う豪華ミュージシャンたちが白熱のライヴを繰り広げたのはもちろんのこと、様々なイベントが開催され、ファンキーかつグルーヴィーにスガの20周年を祝福した。
今回のフェスティバルは、スガ シカオの20年を支えてきたファンの方々の力を感じる場面が特に多かった。その中でも「スガマニアって、パワフル……!」と鳥肌がたった企画が『スガフェスゴー!』である。
この企画は200km以上の距離を自転車で走破し、さいたまスーパーアリーナに来ることができれば、ライヴを無料で見られるというもの。「あくまでも自己責任で」というシビアなルールながら、当日、この企画に参加し制限時間内に会場にたどり着いたのは、22名! 中には北海道から来たというとんでもない猛者も。道中、スガ シカオの曲を聴きながら野宿をしつつ、埼玉を目指したのだという。
200km以上もの距離を走破したにもかかわらず、参加者は皆元気にフェスに参加。各々ライヴを楽しんでいたようだった。また終演後、バックステージでのスガ シカオ本人との記念撮影では、スガ シカオに対するほとばしるほどのアツい思いの丈を直接ぶつけていた。そんな彼らの姿をみて、スガ自身も嬉しそうな表情を浮かべていた。
また、『スガフェスGO』と同じくらいアツかったのが、『スガうた リアルダンジョン』だ。スガ シカオにそっくりなヴァイヴスを持った“なりきり王”を決定するという、この企画。事前にインターネットで審査が行われ、出場者が決定。また当日、飛び入り参加した人の中から最終決戦へと進める一人を決めるリアルタイム予選も併せて行われた。
11時半からモノマネ芸人のエハラマサヒロさんの司会で始まった予選は、とにかく濃かった! 何しろ、それぞれがかなりディープなスガ シカオのファンということもあり、あの手この手を使って彼の魅力を自分なりに再現しようとしていた(個人的にはmiwaとスガ シカオのデュエットを似顔絵を使って一人で再現していた主婦の方がツボでした)。
当日参加から結果的に最終決戦へと駒を進めたのは12歳の女の子。もともと両親がファンで生まれた時から、スガ シカオを聴いて育ってきたのだという。スガ シカオの20年という月日を感じさせるエピソードだ。そんな彼女は緑色のギターとサングラスを装備して、「アシンメトリー」を熱唱。審査員のプロデューサー・鹿野 淳曰く「立ち姿がスガ シカオそっくり」だった、とのこと。
決勝では厳しい予選を勝ち抜いてきた筋金入りのスガマニアが集り、しのぎを削った(みなさんそっくりすぎて驚愕!)ものの、結果はこの12歳の女の子が優勝! 本公演でスガ シカオと共にフロートに乗りさいたまスーパーアリーナを埋める大観衆を前に「したくてたまらない」を歌った。彼女にとって、そして、ご両親にとっても一生忘れられない思い出になったであろう。
アツいライヴを見ればお腹がすくもの。スガ シカオといえば、食べ物になんでもトッピングをかけすぎてしまうことでテレビ番組で特集されるほど有名なシンガーソングライターだが、今回のフェスティバルのオフィシャルフードコートでは、スガ シカオ好みの“かけすぎ”を味わえるブース『スガ シカオ名物かけすぎ部企画』が設置されていた。
ブースにはなぜか美人かつセクシーなメイドたちが待機(しかも、スガが選んだという超ミニなメイド服を着用)していて、会場で買ったフードにパルメザンチーズ、パクチー、温泉卵、岩下の新生姜などのトッピングを「かけちゃえ、かけちゃえ~♡」の掛け声と共に思い切りぶっかけてくれる背徳感溢れるサービスを展開していた。
ブースから出てきた“かけすぎ初体験”だという初々しい女子高生二人に話を聞いた。二人はそれぞれ牛丼とパスタを購入。岩下の新生姜が山盛りになった牛丼を一口食べた女性は一言「美味しいけど、生姜の味しかしない……」と複雑な表情を浮かべる。パルメザンチーズをかけすぎたパスタを口に含んだもう一人の女性は「口から水分が奪われていく……でも、なぜか(箸が)止まらないです……」と、白い粉を少し吹き出しながら教えてくれた。
最後に「かけすぎ部に入部する気持ちになりましたか?」と聞いたところ、二人とも質問には答えずに目の前の食べ物をただただ夢中で口に運んでいた姿が印象的だった。
多くのレジェンダリーな日本を代表するアーティストたちがスガ シカオのために集結した今回の『スガフェス!』。どのアーティストもスガとの温かな思い出や彼の楽曲に対する想いをMCで話していて、スガ シカオが20年という時間の中で創り上げてきたもの、そして、見せてきたクリエイティヴにかける真摯な姿勢は、同じ時を生きるアーティストたちに強い影響を与えているのだろうなぁ、ということがよくわかるステージばかりだった。
第一部は、怒髪天、THE BACK HORN、UNISON SQUARE GARDEN、Mr.Childrenら名うてのロックバンドが登場し、数々の名曲、そしてスガ シカオをステージに招き入れ、数々のここでしかみられないパフォーマンスを見せてくれた。また、RADIO FISH、ふなっしー、稲川淳二という、ちょっと他の音楽フェスではありえないアクトたちも登場。稲川淳二の怪談を、ロックフェス用の音響を使ってアリーナで聞くというのは、相当な異次元体験だった。
第二部ではハウスバンドを据え、SKY-HI、スガンプーユ(山村隆太(flumpool)& 高橋優×スガ シカオ)、水樹奈々、ポルノグラフィティがスガ シカオと共に熱演を見せた。現在、封印中の「夜空ノムコウ」をアコースティックで披露したり、メドレー形式で数々の名曲を叩きつけたりと、リミットなしのライヴだった。後半、武部聡志ら国宝級のミュージシャンを擁するスーパーバンド・kōkuaも登場。彼らが演奏した、小倉博和(G)のギターリフが胸を熱くする「Progress」は、会場に集まった人々の涙腺を決壊させた。
そして何よりも、1日の終わり、最後の最後に披露されたスガ シカオのライヴが、この日一番熱がこもっていたことは言うまでもない。菅波栄純(THE BACK HORN)らをバックバンドに迎え、ハードロックとファンクにフォークの歌心がハイブリッドされた、どこまでも激しく濃厚で官能的なグルーヴを会場に巻き起こしていく。
一日中数々のアーティストとコラボレーションを繰り広げ、その他、フェス自体の企画・運営もしていたにもかかわらず、元気かつ笑顔でとにかく楽しそう。このスガ シカオのおそるべきバイタリティーは20年と言う月日の中で培われてきたものなのは、間違いない。97年に「ヒットチャートをかけぬけろ」でメジャーデビューし、数々のヒット曲を生み出しながらも、2011年に自分自身と向き合うため独立。そして、2014年、再び、メジャーの舞台へと舞い戻ってきたスガ シカオ。そんな勇気ある彼の姿に、ファンはもちろんのこと、この日出演したアーティストたちも背中を押されているのだろう。
一日中「おめでとう!」の祝福の声が止むことはなかった「スガフェス!」。大阪で「スガフェス! WEST」なる新たなるフェスティバルが開催されることが発表され、アニバーサリーイヤーはまだまだ終わらないようだ。次の20年が楽しみで仕方がない、そんな想いにさせられる、まさに「20年に一度のミラクルフェス」だった。
【取材・文:小田部 仁】
【撮影:半田安政/西槇太一】
【イベント撮影:大田真一郎】
ライブ スガ シカオ 怒髪天 THE BACK HORN UNISON SQUARE GARDEN ふなっしー RADIO FISH 稲川淳二 SKY-HI flumpool 高橋優 ポルノグラフィティ 水樹奈々 kokua
セットリスト
スガフェス!
〜20年に一度のミラクルフェス〜
2017.05.06@さいたまスーパーアリーナ
メインステージ 第一部怒髪天
- 1. セイノワ
- 2. オトナノススメ
- 3. グライダー(The ピーズ カバー)
- 4. 赤ら月
- 5. 酒燃料爆進曲
- 6. 夜空ノムコウ(with スガ シカオ)
- 1.罠
- 2.刃
- 3.あなたが待ってる
- 4.With You(with スガ シカオ)
- 5.コバルトブルー
- 1. 桜のあと(all quartets lead to the?)
- 2. オリオンをなぞる
- 3. オトノバ中間試験
- 4. 天国と地獄
- 5. シュガーソングとビターステップ(with スガ シカオ)
- 1. ふな ふな ふなっしー♪〜ふなっしー公式テーマソング〜
- 1. 黄金時代
- 2. ULTRA TIGER
- 3. 進化論
- 4. PERFECT HUMAN
- 1. オープニングトーク
- 2. 脂ぎった顔
- 3. エンディングトーク
- 1. fanfare
- 2. 擬態
- 3. Tomorrow never knows
- 4. 跳べ
- 5. 終わりなき旅
- 6. ファスナー(with スガ シカオ)
メインステージ 第二部
SKY-HI
- 1. Double Down
- 2. 19才
- 3. スマイルドロップ
- 1. 夜空ノムコウ
- 2. 福笑い
- 3. 星に願いを
- 4. 家族になろうよ(福山雅治 カバー)
- 1. ETERNAL BLAZE
- 2. はじまりの日 feat. Mummy-D
- 3. 恋想花火
- 1. アゲハ蝶
- 2. スガ シカオ メドレー
- 黄金の月〜SWEET BABY〜コノユビトマレ
- 3. ハネウマライダー
- 1. 午後のパレード
- 2. Progress
- 1. アイタイ
- 2. Real Face〜ドキドキしちゃう〜91時91分
- 3. アストライド
- 4. 奇跡
- 5. Re:You
- 6. 19才
- EC. したくてたまらない