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カノエラナ ワンマンツアー東京・渋谷WWWXレポート

カノエラナ | 2017.06.20

 今年3月からスタートした、弾き語りによるカノエラナご挨拶ワンマンツアー2017勇者を探して三千里~ぼっちで広げる旅の地図~」に続き、バンド編となるツアー「とうめいはーん!!!ふくをマネくぜ勇者たち。」に挑んできたカノエラナ。6月10日、渋谷 WWWXで行われたこの日のライブは、スタイルの異なる2つのツアーを経て大きく成長した彼女のパフォーマンスと、彼女の音楽を求め支えるオーディエンスの並々ならぬ熱意を感じる、素晴らしいツアーファイナルだった。

 紗幕の奥に現れたカノエラナとバンドメンバーたち。オープニングは、キーボードejiの伴奏に合わせて歌われた「私立カノエ厨学校校歌」だ。ライブの心得が綴られたこの曲は今回のツアーから歌われているそうだが、もうすぐリリースされる3rdミニアルバム「カノエ暴走。」にも収められているだけに、今後はそれこそ校歌斉唱のような大合唱となる可能性大(笑)。カノエラナらしい楽曲と演出、感心するし何より楽しい。そこから間髪入れずにバンドインして1曲目の「カノエラナです。」へ。「マネキネコ」、「トーキョー」と続いた頭3曲は、ボーカルはもちろん、ひとつの<バンド>として作り出すサウンドの生命力みたいな部分に圧倒されるばかりだった。そこで生まれる音の熱をさらに上昇させる、フロアからのリアクションも最高だ。

「すごい人がおらすですね!ありがとうございます!今、私、灼熱地獄で何気に死にそうなんですけど(笑)、みなさん大丈夫?まだ死んでない!?」

 ライブ開始からまだ10数分なのに、思わずMCで生存確認してしまうほどの熱気!東京に帰ってきた感が半端ないことや、あらためてこの人の多さに「すごかぁ!」と漏らしつつも、「今日は最後までよろしくお願いします!」と気合たっぷりの挨拶だ。大きなブレスを合図に歌い始めた「おーい兄ちゃん」、ビッグバンド風のサウンドとみんなのクラップが映える「恋する地縛霊」、そしてハンドマイクで曲に込めた思いをしっかりと歌い上げた「My World」への流れは、曲の中で描かれているストーリーを共有しながらの盛り上がりに。「私は恋する地縛霊♪」なんて冷静に考えたらとんでもないフレーズでのコール&レスポンスが毎回繰り広げられているけど、そういうことも「アリ」にしてしまうのがカノエラナのライブの醍醐味であり個性なのだと思う。自己紹介を歌にしたり、校歌を作ったり、数え歌を作ったり。挙げればきりがないけれど、そういう彼女の目の付け所や、それを抜群のセンスでポップソングにしてしまう才能に、これからもっともっと多くの人が気付いていくはずだ。

「暑っ!!このツアーでいちばん汗をかいている!ヤバい!もうアイデンティティーがどっか行っとる(笑)。私の大事な大事なアイデンティティーがもうないんですけど(笑)!」

 滝のような汗で前髪どころではなくなったことに触れつつ、水分補給などを促しながら次の曲を紹介するカノエ。7曲目の「星と太陽」は、4年くらい前、彼女がちょうど上京してきた頃に書いた曲で、もともとはこのセットリストに入ってなかったものだそう。すごく大事にしている曲で、バンドでやると原点に返ったなという気持ちになるんだと伝えていた。あの頃の自分自身と向き合いながらも、そこから一歩、また一歩と前進してきた今の自分に宿る力を信じるかのようなエモーショナルなボーカルが印象的だ。幻想的なプロローグから一転、疾走感溢れるバンドサウンドで確固たる思いを歌った「I」、そして真っ赤な照明がホラーかつダークなムードを盛り上げた「ひとりかく恋慕」。バンド編ならではパンチが効いた、カノエいわく「ゼエゼエ、ハアハアの灼熱ゾーン」を堪能した。

 ユルユルのメンバー紹介を経て、後半はオーディエンスのみんなも手拍子で演奏に参加した「こまか」から。「大事にしてもらえよ」はピアニカやアコギ、パーカッションでアコースティックに、「恋とか愛とかそーいうの」は芳賀義彦とのアコギ2本による弾き語りで披露された。途中のMCでは弾き語りツアーにも触れ、17本ひとりぼっちでやってると「途中で死ぬなコレと思った(笑)」と心が折れそうになったことを告白。「でもバンドにもつながるし、ちょっと耐えなきゃと思ってすごい気合いを入れた」と続け、武者修行と思って頑張ってきたことなどを伝えていた。「ピザまん」へと続いたこのゾーンでは、まさにその成果が表れたバンドツアーであり、今日のファイナルの手応えになっていることを確信。キラーチューン連発のラスト4曲が、とんでもない盛り上がりになっていったのは言うまでもないだろう。

 アンコールでは、7月19日に3rdミニアルバム「カノエ暴走。」がリリースされることや、そのリリースパーティーとして代官山UNITでのライブが決定したことなどを報告。アルバムからいち早く披露された「楽しいバストの数え歌」ではこの曲をプロデュースした日高央(THE STARBEMS)も登場し、カノエとともに爆笑のおっぱいトークを展開(笑)。ありそうでなかったパンキッシュなサウンドが、カノエラナのライブに新鮮な盛り上がりを加えていた。ラストは、あらためてバンドメンバーを紹介し、季節感やら一体感やらいろんなものを巻き込みながらの「真夏に片想い?」でフィニッシュ。その後は名物マネージャー「ヨリミツサン」が登場し、「せーの、おっぱい!」の掛け声で記念撮影(笑)。日高氏からはメンバー全員で手をつないでのカーテンコールを提案され、「やりたいやりたい!ライブっぽーい!」とはしゃぎながら、「ツアーファイナル、ありがとうございましたー!」と全員で挨拶。最後は「これで終了ということですが、カノエはまだまだ、マジやばいくらい全力で突っ走っていくので、皆さんも一緒についてきてくださると嬉しいです!その際は周りの人も巻き込んでいくように(笑)!今日は本当にありがとうございました!」と、キラッキラの笑顔でステージを後にしていた。

【撮影:久保永 隆二】
【取材・文:山田邦子】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル カノエラナ

リリース情報

「カノエ暴走。」

「カノエ暴走。」

2017年07月19日

ワーナーミュージック・ジャパン

01. 私立カノエ厨学校校歌
02. 沼に落ちて
03. たのしいバストの数え歌
04. ダイエットのうた
05. SNS
06. バレンタインのうた

お知らせ

■ライブ情報

見放題2017 -10th Anniversary-
07/01(土)大阪・心斎橋アメリカ村周辺19会場

JOIN ALIVE
07/15(土)北海道・いわみざわ公園

カノエラナ メジャー3rd mini album「カノエ暴走。」 発売記念イベント
07/17(月)東京・ららぽーと豊洲 シーサイドデッキ メインステージ
07/18(火)東京・タワーレコード渋谷店 4F イベントスペース

60th カローラ福岡 Presents NUMBER SHOT 2017
07/22(土) 福岡・海の中道海浜公園野外劇場

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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