様々なサプライズが届けられた、KREVA CONCERT TOUR 2017「TOTAL 908」ファイナル!
KREVA | 2017.06.30
『KREVA CONCERT TOUR 2017「TOTAL 908」』のファイナルを飾ったTOKYO DOME CITY HALL公演。ステージを覆っている紗幕の向こう側で、近田潔人(G)、白根佳尚(Dr)、岡雄三(B)、柿崎洋一郎(Key)、熊井吾郎(MPC・DJ)が演奏を始めた後、KREVAがついに登場。やがて紗幕が切って落とされ、「ってかもう」がスタートした。艶めかしいサウンドに彩られたラップの切れ味がものすごい。続いて「神の領域」も高いラップスキルと豊かな表現力を惜しげもなく炸裂。オープニング早々から、猛烈な興奮を味わうことができた。
ポーズを決めながらサングラスを外し、鋭い視線を送って歓声を浴びる……という、恒例となっている場面を経て最初のMC。「“TOTAL 908って何?”って人もいると思う。安心して。知らない人も楽しめるように、知ってる人は復習のために大きい声で教えてあげましょう」と言って歌い始めたのは、“嘘と煩悩”というフレーズを16回繰り返す「嘘と煩悩」の一節。一緒に大合唱して、観客はすっかりトランス状態となっていた。「嘘800+煩悩108で908(クレバ)になる。トータルでKREVAを感じてほしい。だからメドレーを作ってきました。第一印象って大事じゃん?」。そして、彼の別名をタイトルに冠した「Dr.K」を皮切りに「H.A.P.P.Y」「ストロングスタイル」「K.I.S.S.」「基準」「SPACE」という順番でメドレーが展開したのだが……ファンはおそらく途中から選曲の理由を悟っただろう。「Dr.K」は1stアルバムの1曲目であり、その後も歴代のアルバムの1曲目がセレクトされていた。このメドレーを締めくくったのは、最新アルバムの1曲目であり、先ほども少し歌った「嘘と煩悩」。粋な表現の自己紹介に、観客はますます盛り上がっていた。
「俺が見せたいのは想い出の向こう側なんですよ!」という言葉を聞いて、次にどの曲が始まるかを知って歓声を上げた観客。するとAKLOが登場してKREVAとハグを交わした。2人で歌ったのは、もちろんあの曲「想い出の向こう側feat. AKLO」。そして「FRESH MODE」と「あえてそこ(攻め込む)」も披露された後に迎えたインターバル。「いい感じでみんなが攻め込んでくれたところで、敢えてリラックしてもらう時間です。いつもだったらガンガン行く曲をバラード調にアレンジしてきました」と言い、届けられた「成功」「KILA KILA」「アグレッシ部」は、リリックの言葉の1つ1つをじっくり噛み締めさせてくれた。
「毎回、ライブ会場はドラマチック。ここに来るために海越え、山越え、親の批判を越え(笑)、いろんなドラマを持ってみんながここに集まってると気づきました。みんなそれぞれの想いを受け止めるのが俺の役割。強靭なグルーヴを作るべくバンドと各地を回って、ここに帰ってきました。グルーヴを強化してみんなを受け止めたい」。このMCを経てスタートしたサウンドは、とても美しかった。熊井が放ったトラックに対して、ベース、ギター、キーボード、ドラムが順番に重ねられ、グルーヴィーさが高まっていく様にワクワク! そして「ここに一番重なってほしいのが、みんなの歌と動き」と言い、「タビカサナル」が届けられた。アルバム『嘘と煩悩』に収録されているこの曲のサウンドも素晴らしいが、KREVA、バンドメンバーたち、観客が持ち寄った想いがライブ会場で直に重なり合うと、また一味違う美しい響きを生み出していた。
「イッサイガッサイ」と「Have a nice day!」の後、再び迎えたインターバル。「このツアーはアルバムを出して回ったツアー。オリジナルアルバムは4年ぶり。次のアルバムは“ちょっと焦ったんじゃない?”って言われるくらい早めに出せたらいいなと思ってる。心配しないで。かっこ悪いものを作るのが苦手だから(笑)。アルバムは“俺はこういう男だ”と示すのに合ってる」と、想いを語ったKREVAは「居場所」を披露。自分が作った音楽を観客に届け、共有できることへの喜びが真っ直ぐに伝わってきた。そして、「スタート」と「音色」も歌うと、KREVAは手を振ってステージを後にした。
アンコールを求める手拍子が打ち鳴らされ、やがて湧き起こった「♪ハッピーバースデー トゥ ユー」という歌声。実はこの日、6月18日はKREVAの誕生日。祝福する歌声が響き渡った後、ステージに戻ってきたKREVAとバンドメンバーたちがまず届けた「Na Na Na」は、とても明るいムードを生んでいた。そして、「お返しと言っては何ですが、都合上、なかなかできなかった曲を」と言って、呼び込まれたゲストは増田有華。「Sanzan feat. 増田有華」が披露され、観客はうっとりしながら耳を傾けていた。
「このツアー、練習を重ねてプレイリストを作った。じゃあ、これがTOTAL 908なんですか? 否! このあとの流れを決めるのはお前だあ!」。と、これから行う企画の主旨を説明したKREVA――箱から取り出したチケットの半券の整理番号、座席番号の持ち主から、歌ってほしい曲のリクエストを募るのだという。但し、バンドが演奏できない曲に関しては、熊井がトラックを流したり、iPadで歌詞を見ながら歌うシステムとなっていた。その結果、選ばれたのは「ACE」「So Sexy」「BESHI」「トランキライザー」。リクエストコーナーを経て、突然、柿崎が弾き始めた「おたんじょうびのうた」。花束を抱えた三浦大知が歌いながら登場し、「来ちゃった」と照れくさそうに笑顔を浮かべた。「こんなところで歌唱力の無駄遣いをすんなよ!」と言いつつ、大喜びしていたKREVA。お礼を言いつつ大知を送り出した彼は、改めて観客に語りかけた。「みんなも同じ気持ちだったら嬉しい。みんなにすぐまた会えるのを楽しみにしてます」。そして届けられたラストの曲「もう逢いたくて」は、とても優しく会場全体を包み込んでいた。
バンドメンバーたち、ゲストのAKLO、増田有華を改めて紹介したKREVAは深々とお辞儀。「一旦放った投げキッスを自分でキャッチして取り戻す」という、いかにも彼らしいことをした後、笑顔を浮かべながらステージから去った。そして、ステージ上のスクリーンで、KREVA主催の“音楽の祭り”『908 FESTIVAL 2017』の告知が流れ、これにて終演かと思われたのだが……特大ニュースが突然発表された。9月7日にKICK THE CAN CREW『復活祭』を日本武道館で開催、8月30日に14年ぶりとなるオリジナルアルバムをリリースするのだという。びっくり! 観客が沸きに沸いたところで流れ始めたのは、初公開となったキックの新曲「千%」のミュージックビデオ。これだけでも大興奮であったが、ミュージックビデオが終わると、スモークが立ち込めるステージにKREVA、LITTLE、MCUが立っていた。
「誕生日おめでとう、KREVA。この場を借りて自分たちの口から言わせてください。KICK THE CAN CREWのアルバム発売が決定しました。キックのKREVAも最高なので、期待して待っててください」(LITTLE)
「9月7日に『復活祭』というスペシャルイベント、12月からツアーも決定してます。みんなで楽しみましょう!」(MCU)
「9月7日の『復活祭』、とんでもないですよ。超レアなイベントになると思う。武道館で会いましょう!」(KREVA)
3人それぞれが観客に呼びかけて、久しぶりに本格的に動き始めるキックへの意欲を滲ませていた。こうして終了したKREVAの全国ツアーのファイナル公演。最初から最後まで内容が濃かった。今年の後半に向かって、まだまだお楽しみが続きそうだ。
【取材・文:田中 大】
【撮影:半田安政】
リリース情報
嘘と煩悩
2017年02月01日
ビクターエンタテインメント
02. 神の領域
03. 居場所
04. 想い出の向こう側 feat. AKLO
05. FRESH MODE
06. Sanzan feat. 増田有華
07. ってかもう
08. あえてそこ (攻め込む)
09. タビカサナル
10. もう逢いたくて
<Bonus Track>
11. 君に夢中
セットリスト
KREVA CONCERT TOUR 2017
「TOTAL 908」
2017.6.18@TOKYO DOME CITY HALL
- 01. ってかもう
- 02. 神の領域
- 03. Dr.K
- 04. H.A.P.P.Y
- 05. ストロングスタイル
- 06. K.I.S.S.
- 07. 基準
- 08. SPACE
- 09. 嘘と煩悩
- 10. 想い出の向こう側 feat.AKLO
- 11. FRESH MODE
- 12. あえてそこ(攻め込む)
- 13. 成功
- 14. KILA KILA
- 15. アグレッシ部
- 16. タビカサナル
- 17. イッサイガッサイ
- 18. Have a nice day!
- 19. 居場所
- 20. スタート
- 21. 音色
- EN 1.Na Na Na
- EN 2. Sanzan feat. 増田有華
- EN 3.リクエストコーナー(「ACE」「So Sexy」「BESHI」「トランキライザー」)
- EN 4.もう逢いたくて
お知らせ
5th Anniversary
「908 FESTIVAL in OSAKA 2017」
08/19(土) 大阪城ホール
908 FESTIVAL 2017
09/08(金) 日本武道館
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。