indigo la End 東京・EX THEATERで行われた「Play Back End Roll」ライブレポート
indigo la End | 2017.07.07
“普遍的な魅力を持った歌”と“先鋭性、前衛性を感じさせるサウンド”を共存させながら、独自のポップミュージックを体現する。昨年9月の新木場STUDIO COAST公演以来、約9カ月ぶりのワンマンライブとなったこの日のステージでindigo la Endは、自らのアデンティティを改めて示してみせた。
開演前のBGMはUKのインディーロックバンド、Foals。研ぎ澄まされたサウンドとポップなメロディのバランスはindigoと共通しているかも――などと思っていると会場の照明が落とされ、ライブが始まる。最初の楽曲は「渇き」。長田カーティス(G)の華麗なギターフレーズとともに奥深いバンドグルーヴが立ち上がる。続いて「瞳に移らない」「悲しくなる前に」などのシングル曲を次々と披露し、オーディエンスも手を挙げて応える。最初は少し緊張が感じられたメンバーも、曲を重ねるごとに本来のペースを取り戻し、個性と技術に裏打ちされた質の高いアンサンブルを生み出していく。
観客からの「おかえりなさい!」という声に対して川谷絵音(V/G)が「ただいま」と答えると、フロアから大きな拍手が巻き起こる。さらに「後鳥(亮介/Ba)さん、どうしたの? その服装。チカチカするんだよ、そっち見ると」などと衣装(この日のステージ衣装は“BLACK EYE PATCH”だったそうです)のことに触れながらメンバー(サポートのササミオ、えつこを含めた6人体制)を紹介した後、抑制の効いたリズムを軸にしたファンクチューン「ココロネ」を披露。さらに軽快なギターカッティングが印象的な「ダンスが続けば」を続け、観客も気持ち良さそうに体を揺らす。一体感をムリに演出するのではなく、あくまでもクールに踊らせるようなこの雰囲気もまた、indigo la Endの大きな魅力だ。
この日のライブのポイントのひとつは、ニューアルバム「Crying End Roll」の収録曲をいち早く披露したこと。洗練されたサウンドメイクとファルセットを活かしたボーカル、「I love you/怖くなった」というフレーズがひとつになった「見せかけのラブソング」、
後鳥、佐藤栄太郎(Dr)がジャズ/フュージョン的なプレイを繰り広げ、開放的なサビのメロディにつなげる「プレイバック」。どちらも高い演奏術が求められる楽曲だが、そのグルーヴはどこまでも滑らか。今後のライブでも大きな武器になることはまちがいないだろう。
その後もこのバンドの奥深い音楽性を体感できる場面が続く。タイトル通り(?)エクスペリメントかつアバンギャルドなギターフレーズと前衛的なベースラインがひとつなったロックチューン「実験前」、映画のサントラを想起させる壮大なバンドサウンドのなかで“自分の目で見たものを僕は信じて生きていく”というフレーズがじんわりと伝わってくる「eye」、淡々としたメロディとともに恋人同士の繊細な関係性を(現代詩にも通じる言葉遣いで)描いた「彼女の相談」、そして、ソウルミュージック、ファンクのテイストを感じさせるギターカッティング、美しくも切ない旋律、“愛”“命”といった本質的なテーマをリリカルに映し出す「インディゴラブストーリー」。すべての音、言葉、声を有機的に融合させながら、他のどこにもないポップソングへと導くこのバンドの在り方は、やはり唯一無二だ。
この後のMCで川谷は、ニューアルバム「Crying End Roll」について言及。「レコーディングも1年半くらいやってたんですけど、indigo la Endの今後の広がりを想像できる作品になったと思います。次の作品、その次の作品にもつながる大事な作品です」と自信を見せた。その後も川谷は(“新曲「プライバック」のMVの撮影エピソード”“ほな・いこかさんが女優をやるみたいですね”など)先が見えないトークを続行。メンバーに「もういいんじゃないかな」促され、シングル曲「雫に恋して」からライブは終盤へ。バウンシーなビートとドラマティックなボーカルがひとつになった「藍色好きさ」、“「私が何人目なの」”という印象的なワードで始まる新曲「想いきり」、ライブアンセムのひとつであるアッパーチューン「夜明けの街でサヨナラ」といった名曲を重ね、会場全体を豊かな音楽で包み込む。さらに美しいメロディが広がるミディアムバラード「心ふたつ」で本編は終了した。
アンコールで川谷は「こうやってファンのみなさんと顔を合わせるのは、ライブくらいしかないので。それがないというのはすごく寂しかったので、今日を迎えられて本当に嬉しいです。ありがとうございます」と改めて感謝の気持ちを表し、会場から大きな拍手が巻き起こった。さらに「映画のエンドロールは見逃しがちだけど、じつはすごくこだわって作られていて。僕らも目に見えなところまでこだわって作ってるから、そういう部分もちゃんと聴いてほしいなという思いを込めて」と「Crying End Roll」とうタイトルの由来を説明した後、新曲「鐘泣く命」(ドラマ「ぼくは麻理のなか」オープニングテーマ)を演奏。そしてラストは「渚にて幻」のロングバージョン。爆発的なサウンドが響き渡るなか、ライブはエンディングを迎えた。
7月12日(水)に3rdアルバム「Crying End Roll」をリリース。9月からは全国ツアー「始藍」をスタートさせるindigo la End。これまで以上の音楽的充実を感じさせる新作によって彼らは、新たなフェーズへと向かうことになりそうだ。
【取材・文:森朋之】
【撮影:浜野カズシ】
リリース情報
Crying End Roll
2017年07月12日
ワーナーミュージック・ジャパン
02.見せかけのラブソング
03.猫にも愛を
04.End Roll I
05.鐘泣く命
06.知らない血
07.ココロネ (Remix by Qrion)
08.End Roll II
09.プレイバック
10.天使にキスを
11.エーテル
12.夏夜のマジック (Remix by ちゃんMARI)
セットリスト
Play Back End Roll
2017.6.23@EX THEATER ROPPONGI
- 渇き
- 瞳に映らない
- 悲しくなる前に
- ハートの大きさ
- ココロネ
- ダンスが続けば
- 見せかけのラブソング
- 夏夜のマジック
- プレイバック
- 実験前
- eye
- 彼女の相談
- インディゴラブストーリー
- 雫に恋して
- 藍色好きさ
- 想いきり
- 夜明けの街でサヨナラを
- 心ふたつ Encore
- EN-1.鐘泣く命
- EN-2.渚にて幻
お知らせ
全国ツアー『始藍』
09/15(金) 大阪 なんばHatch
09/17(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
09/20(水) 名古屋 ダイアモンドホール
09/22(金) Zepp Tokyo
09/25(月) 高崎 club FLEEZ
09/26(火) 仙台 Rensa
09/28(木) 札幌 ペニーレーン24
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。