アンダーグラウンドからオーバーグラウンドへ。Xmas Eileenが刻んだ新たな変化の“兆し”
Xmas Eileen | 2017.07.12
「僕はポップをネガティヴとはとらえてないし、ポップ最高! という気持ちですからね」とVo右が、最新1stシングル「99.9」表題曲について語ってくれた。これまで以上に爽快なサビとスケール感を帯びた楽曲を携え、今年はXmas Eileenにとって大きなターニング・ポイントになるのではないか。アンダーグラウンドを出発点にオーバーグラウンドにどんどん斬り込み、幅広い客層を獲得している彼ら。今日は新たな変化の"兆し"を刻むライヴになった。
そのシングル「99.9」レコ発ファイナルは恵比寿リキッドルームで開催された。ツアーのたびに会場のキャパは大きくなっていくが、この日も多くの観客で溢れ返り、今か今かとステージを凝視している。開演19時を少し回った頃、白い仮面に黒いトレンチコートを羽織ったメンバーが登場。「Kiss me Kill me tonight」で幕を開けると、腹に底に響くデジタル音と肉体性を高めた激しい演奏が融合し、ド頭からフロアを焚き付けていく。続いてキャッチーな歌メロが冴え渡る最新作カップリング曲「Are You Free?」を挟んで、「Still a Liar」へ。鋭いラップ調のヴォーカルに加え、スラップ・ベース~ギターソロと楽器隊の見せ場も設け、ヘヴィに攻め立てるパートにも引き込まれた。またパフォーマー、DJが両手を上げると、観客もそれに呼応し、会場に熱い一体感が生まれていく。そう、ステージとフロアに境目がなく、ぐちゃぐちゃになって溶け合う様も、Xmas Eileenのライヴではごく当たり前の風景と言っていい。誰一人置いておかない牽引力と煽動力は、ライヴを重ねるごとにパワーアップしている。
「謎のバンドだけど、頑張ろう! スタイリッシュなしで行こう!」とVo右は飾らない言葉でオーディエンスに話しかけ、心と体の距離をより一層縮めていく。確かに謎に包まれたバンドではあるが、ロック・スター気取りは皆無。どこまでも等身大で語りかける目線も彼らが愛される理由だろう。その後も「No Justice in this world」、「Calling Rainy Days」と高揚感に満ちたナンバーを容赦なく畳み掛ける。
7曲を突っ走った後、パフォーマーがお笑い芸人・ブルゾンちえみのネタを披露。また、「あなたのポジション何なの?」と母親に聞かれたというエピソードを伝えると、場内は笑いに包まれた。それから最新作カップリング曲「Growing Crime」をここで披露。ライヴで聴くと、音源以上に超ヘヴィな出だしで圧倒されてしまった。鍛え上げてきた筋肉を振りかざすような生々しいバンド感により、凄まじいダイナミズムを生み出し、ラウドにしてキャッチーなギャップを叩き付けていた。
そして、不気味なサイレン音が鳴り響くと、「Zombie」をプレイ。この曲はもはやライヴで欠かせない必須曲と言えるだろう。ホラー風味のパーティ・サウンドで、KORNばりにヘヴィな重厚リフもアクセントになっている。曲名を多くの人たちが合唱する光景は壮観な眺めだった。中盤過ぎには「Don’t say good-bye」で「素晴しい未来に行こう!」と呼びかけ、「Future Song」と繋ぐ。ヘヴィにアジテートするだけではなく、こうした歌ものの曲調でもしっかり聴かせる手腕はさすがの一言。後半戦に向けて、「March」では観客がタオルを一斉に回す光景が広がると、雄大なスケールを描く「Darling」においては、エモーショナルな歌を存分に響かせていた。この曲は「死ぬまで側いてね」とストレートに綴られた歌詞が印象的だ。最近、なぜ仮面を被っているの? と聞かれることが増えてきたようで、「意味ない」と簡潔に答え、「ただ照れ屋なだけ」とVo右は弁明。この曲を歌い終えた後に「素で言えない(笑)」と零し、仮面の下に潜む人間味がダダ漏れするところも彼ららしい。
メンバー全員が黒いトレンチートを脱ぎ、思い思いのファッションセンスの出で立ちで最新シングル表題曲「99.9」を披露。この曲もいい意味で音源を裏切るストリート感漂うヘヴィさを放ち、抜けのいいサビと見事なハーモニーを奏でていた。アングラ感とポップ性がオンリーワンの魅力となり、フロアは異常に盛り上がっていた。本編は「Fly High」、「Before the Skyfall」、「Walk the Talk」、「Keep on A・B・C・ing」と鉄板の灼熱ナンバーを繰り出し、観客の余力を振り絞って大団円。
バンドはアンコールにすぐ応えると、「Good-bye Summer day」、「Kiss me Kill me tonight」でこちらの息の根を止める怒濤の攻撃力を見せつけた。このファイナル公演にて、Vo右より『ONLY HOLY NIGHT 2017』と題し、クリスマスの夜(12月25日)にZepp DiverCity TOKYOでワンマン公演を行う情報が解禁された。ベールに包まれた謎の仮面バンドという立ち位置にも関わらず、精神の仮面をどんどん脱ぎ去るXmas Eileen。人間臭い表情が露になってきた今日のライヴを観て、これからまたどう変貌を遂げていくのか、俄然楽しみになってきた。
【取材・文:荒金良介】
【撮影:新保勇樹】
リリース情報
99.9
2017年04月19日
ビクターエンタテインメント
2.Are You Free?
3.Growing Crime
4.NANANA -NAOtheLAIZA Remix-
5.Before the Skyfall -HIDE Remix-
6.Still a Liar -HIDE Remix-
セットリスト
Xmas Eileen「99.9」TOUR 2017
2017.6.22@恵比寿LIQUID ROOM
- 01.Kiss me Kill me tonight
- 02.Are You Free?
- 03.Still a Liar
- 04.No justice in this world
- 05.Calling Rainy Days
- 06.Wonderful Life
- 07.And be My Friend
- 08.Growing Crime
- 09.Zombie
- 10.Escape to Paradise
- 11.Don’t say good-bye
- 12.Future Song
- 13.March
- 14.Darling
- 15.99.9
- 16.Fly High
- 17.Before the Skyfall
- 18.Walk the Talk
- 19.Keep on A・B・C・ing
- EN 01.Good-bye Summer Day
- EN 02.Kiss me Kill me tonight
お知らせ
NUMBER SHOT 2017
07/22(土) 海の中道海浜公園野外劇場
PassCode“bite the bullet” Short Tour 2017
07/29(土) UMEDA TRAD(旧:梅田AKASO)
FREEDOM aozora 2017 淡路島
07/30(日) 神戸淡路島・国営明石海峡公園芝生広場
PPP[Pre Party in PIT] road to SS2017
08/02(水) 豊洲PIT
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017
08/11(金) 国営ひたち海浜公園
SUMMER SONIC 大阪
08/19(土) 舞洲SONIC PARK
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