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サプライズゲストも登場した、androp『one-man live tour 2017 “angstrom 0.8 pm”』セミファイナル

androp | 2017.07.14

 andropは、現在の自身の立脚地点を確認したり、新しいことを始める際には都度、あえて出自にいま一度立ち戻るかのように、ライヴハウスクラスでのライヴツアーを行ってきた。それは、お客さんと密な空間や距離でダイレクトな反応を確かめるが如し。そして、それを経ることで毎度、自信を確信に変え、更なる付加価値と共に再び飛躍していった。

 2年ぶりとなった今回の全国ツアーはライヴハウスクラス。彼らに再び足元を見つめさせ、ついてきてくれるファンと更なる硬いアライアンスを交わす為に、あえてこの狭い空間を選んだとも映る。
自身のレーベル「image world」の発足。そこからの発信と新側面の伝達。それは昨年発売したメンバー各人が楽曲提供を行ったアルバム『blue』しかり、今春発売のニューシングル「Prism」での身近さしかり、後述の今夏発売の次シングルの意外性しかり…。それらの反応や応答を確認、立証すべく、彼らはあえてライヴハウスという観客の反応をダイレクトに感じられる会場を選択し、全国行脚を行ったと言える。

 5月より全国21カ所のワンマンライヴハウスツアー『one-man live tour 2017 “angstrom 0.8 pm”』を行ったandrop。この日はその20本目。ツアーのセミファイナルであった。場所は恵比寿リキッドルーム。彼らが折につけ東京の会場として選んできたステージだ。
ドラムの伊藤彬彦によるシンバルの4カウントからポップ感あふれる「Dreamer」でライヴは幕を開けた。瞬間なんとなく“あっ、これまでと違う…”といった印象を受けた。いつもよりナチュラルで明るいとでも言うか…。サビで現われる解放感がたまらない同曲。<描いた夢は まだまだ 止まらない><探しに行こう まだ見ぬ未来へ走り出して!>とボーカル&ギターの内澤崇仁の歌声が、会場をここではないどこかへと誘っていく。
ベースの前田恭介によるスラップの効いたリフから「Boohoo」に入ると、彼らのファンキーな部分とハネる部分が冴え出す。内澤もファルセットを交え歌い、間のダウンビートがサビのバースの爆発力と融合。会場に盛り上がりを生んでいく。ストーナーロックな短いインタールードを挟み、2ビートの怒涛ナンバー「Lit」へ。ここでは伊藤のロールと手数の多いドラミングも魅せどころ。サビのストレートさが会場を走り出させる。続くジワジワとした上昇感も特徴的な「Meme」に入ると、前田のベースも楽曲にドライブ感を寄与。ギターの佐藤拓也も情景感たっぷりにギタープレイを魅せてくれる。

「セミファイナルだけどファイナルの気持ちでいく。お互い最高の夜にしましょう」と内澤。ルーズでスリリングなギターリフから「Corna」に入ると、合わせて会場もゆっくりと左右にたゆたうように揺れる。最新シングル収録の「Ryusei」では、ここまでストレートな歌詞表現はこれまでなかったとも言える、その赤裸々でいて生々しく、執拗なほどの“君にそばにいて欲しい”的なリリックが、作品以上にステージとフロアの距離を縮めていく。

 中盤では、ゆったりとした曲たちが耳を惹いた。ニューシングル収録の「BGM」(映画『君と100回目の恋』の挿入歌のバンド・リアレンジバージョン)では、3拍子を交え優しく柔らかく広がっていく楽曲に、会場の多くが自身の愛しい人の面影を広がらせていった。
その後、弓でギターを弾き、ノイジーな音質で不穏さやアバンギャルドさが顔を覗かせた「Kaonashi」、シンプルなビートとつま弾きをバックに、独特の符割の歌唱も特徴的だった「Irony」。緊迫感のある「Sensei」と、彼らの曲の中でも特異な曲が続けに放たれた。

 後半に入る前のMCでは、内澤がニューシングル「Prism」の意味について言及。「光の反射という意味と共に、自分の想いも反映された音楽。色々な心の傷があるからこそ鳴らせる音楽。それがプリズム」と語り、MCを佐藤に移すと、今回のツアーについて様々なエピソードが暴露され、その微笑ましいエピソードの数々に会場も和み、よりメンバーへの親近感も高まっていった。

 後半戦に入ると盛り上がりナンバーの数々が会場を更にひとつにしていく。ベースのスラップから入った「Sunny day」で再びライヴを走り出させると、クラップを巻き起こし、サビの部分のコーラスを会場にゆだねて一緒に光のある方へと誘った「Yeah! Yeah! Yeah!」。EDM曲「MirrorDance」では、会場全体が跳ねるかのように、みなが楽しそうにジャンプをし、スタジアムアンセム曲「Voice」のサビでは会場も大合唱&バウンス。佐藤もカオシレータを弾き、後半は会場に起爆がおこり、会場中が楽曲のフレーズ同様プライマルスクリーム(産声)をあげる。

 本編最後は「心の中で何回も鳴って欲しい」(内澤)と「Prism」をプレイ。ダイナミズム溢れるサウンドが生命力溢れるバイタリティを場内に呼び込み、まだまだ掴み切れていない自身の夢を掴みに行く、改めての所信証明のように響かせてくれた。輝きだした未来へ向かう勇気を与えてくれるかのような同曲が、順風満帆ではないが、ただ信じて突き進んできた彼らのこれまでと重なり、“現状を打破してやる!!”との力強い意志が感じられた。

 アンコールでは新側面と、“これから色々とフレキシブルに行く”宣言のような新曲たちが初披露された。これまでの彼らにはなかったタイプで各々驚かされた、この2曲。まずは「Sunrise Sunset」。8/23発売のニューシングルのC/W曲だ。ファンデーション感たっぷりのレゲエチューンな同曲。声を合わせられる部分も多く、全体的なユニティを感じさせてくれた。

「今年のandropは攻めていく」「もっともっと音楽に真摯でいたく、その為にレーベルを立ち上げた。これからも色々やっていく!!」と熱く語ってくれた内澤。続くアンコール2曲目には、この日最も驚かされ、且つ興奮させられた。8/23発売の次シングルでフィーチャーされるCreepy Nutsとの共演が眼前で繰り広げられたからだ。曲はそのタイトル曲の「SOS! feat. Creepy Nuts」。「andropの歌でもあるし、Creepyの曲でもあるし、みんなの歌でもある」(内澤)と紹介された同曲。夏好き派をandropが、夏嫌い派をCreepyがディベート。グルーヴ感溢れる生ビートの上、彼らなりの夏への思うところが繰り出されていく。両者の良いところや特性、これまで見受けられなかった部分が互いに引き出されあっているのも特筆的な同曲。最後の怒涛の高揚感まで会場をぐいぐい惹き込み、みな初見ながら大盛り上がりを見せた。

 照明や演出のシンプルさと選曲により、これまで以上に身近でいつもよりもブライト、自然でナチュラルな印象を受けたこの日。装飾やライティングに頼ることなく、まさに丸腰で挑んだかのような姿勢に、今回のツアーに向けての彼らの真摯さが伺えた。これまで以上に彼らが近くに感じられたのも、単にフロアとステージの距離の関係だけではなかったはずだ。

 彼らは次に向かっていく為の助走の地で、強く確信するものを得たに違いない。そして、それを糧にまた飛翔していく。そこに夢を馳せさせてくれたライヴでもあったこの日。10月28日には、彼らにとって初の野外ワンマンとなる日比谷野外大音楽堂も控えている。この身近さが、あの地ではどのような関係性や距離感を生み、育まれていくのか? ちょっと早いが今からそれが楽しみでならない。

【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:Taichi Nishimaki】
【撮影:Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル androp

リリース情報

SOS! feat. Creepy Nuts

SOS! feat. Creepy Nuts

2017年08月23日

ZEN MUSIC

1. SOS! feat. Creepy Nuts
2. Sunrise Sunset
ほか収録予定

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お知らせ

■ライブ情報

one-man live 2017 at 日比谷野外大音楽堂
10/28(土) 日比谷野外大音楽堂

MURO FESTIVAL 2017
07/22(土) お台場野外特設会場

WEST GIGANTIC CITYLAND’17
08/05(土) 大阪 舞洲スポーツアイランド

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017
08/11(金) 国営ひたち海浜公園

MY FIRST STORY ’MMA’ TOUR 2017
09/30(土) Zepp Sapporo

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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