ズダッパ(ex.音×AiR)定期公演“ズダッパダッパ”月イチレポート特集 第2回
ズダッパ | 2017.07.26
ねつ造エンタテインメント ズダッパ による、待ちに待った2回目の定期公演「ズダッパダッパseason1 ~虚構のフォルテッシモ~vol.02」。
前回をご覧になった方は、何を期待したらいいのか、タイトルを見ただけでお分かりだろう。そう、この定期公演は、彼らの新しいエンタテインメント形式の提示の場なのだ。
今回も、新宿の関交協ハーモニックホールには、若いファンが押しかけていた。前回よりもさらに若い女子が多い気がする。その中に、男性ファンもちらほら。聞けば、ストリートライブを見てファンになり、この定期公演に集まった方たちも多いとか。確実にファン層を広げていることが窺い知れる。
幕開け前のアナウンスは、ボーカル楓によるもの。普通の注意事項かと思えば、いきなりラップとなり、客席がざわめく。不意に韻を踏まれて、にやつくファンたち。もう、心が鷲づかみにされている。
オープニングは、もはやお馴染み「ズダッパのテーマ」。前回から気になっていたのだが、このメロディは、昭和調とでも言えば良いのだろうか。楽しさの中に、ノスタルジックな要素がある。「ここから先は笑っていいよ」というメッセージにも思える。
そしてバンド演奏。削ぎ落とされた音の中で、3人の演奏が映える。ドラムスの竜之介の演奏はタイトで、ベースを弾くDJ mAsAyA (以降「mAsAyA」)の演奏は躍動感がある。1曲ではなく、予想を裏切り2曲演奏。2曲目の「ポッポコポッポ」には単純な振り付けもあり、知ってる人も知らない人もすぐに踊ることが出来る。生演奏だからこそ得られる、客席との一体感が、そこにはある。
楓による、バンド紹介のMCが始まったと思いきや、mAsAyAがアルバイトの話を始める。いや、mAsAyAは喋ってはいない。クールな表情で、サンプラーを押すだけのMC。喋らない存在だったmAsAyAの声が、空気を読まずに客席に響き、その存在感を増す。
そして楓がバイト先での心境を吐露する新曲「仕事DEKIHEN」。シリアスなのかコミカルなのか、いやどっちにでも取れる悲哀に満ちた曲だ。店長に「サラダ、ラップして」と言われ、間違えて「ラップ」を歌い始める楓。そう言えば、会場入り口にラップが無造作に置かれていたのは、この伏線だったのか。いや、開演前のアナウンスも伏線だったのか。「バイトあるある」的な曲に、終始、映像が伴い、目でも楽しめる。客席からの笑い声が、会場を良い空気に包む。
今回のゲストは、ユーチューバーのあさぎーにょ。女性が登場することで、彼らのステージが華やぐ。音×AiR時代からも演奏していた「むちゃぶりレシーバー」のコーナーでは、楓が体を張って笑いを誘う。また、あさぎーにょのリラックスしたトークが、客とのキャッチボールとなり、まるで笑っていいとも!のような和やかな雰囲気を醸し出す。
歌が得意なあさぎーにょをフィーチャーしたマッシュアップソングでは、既存の複数曲をミックスさせて楽しませる。ミュージシャンならではの、高度な音楽遊び。彼らの本領発揮だ。あさぎーにょの透明感ある歌声を引き立たせるためか、楓がいつもとは違う歌い方で笑わせてくれる。
ゲストが去ったあと、竜之介があさぎーにょへの愛を込めて、ドラムスと歌だけの言わば「叩き語り」。ドタバタでハイテンションなキャラクターが一層際立ち、会場が沸く。
そして、この後のクライマックスが、この日ふたつめの新曲「ラブライム!」。楓とmAsAyAが、ラップバトルをするというだけの曲なのだが、これが新境地。そもそも喋らないmAsAyAが、サンプラーならではの手法で攻め立てる。ギミック満載な声に、それを補強する映像。楓のまっとうなラップが普通に見えてしまうという演出だ。また、内容もあさぎーにょへのアピールではなく、自分自慢になるmAsAyAのラップは「空気を読まない」キャラクターをますます印象付けて面白い。サンプラーでのコールアンドレスポンスも行い、客席のテンションがマックスに達した。
ここからは、怒涛のライブ演奏。選曲は、恋にまつわるものばかり。夏らしい疾走感溢れる演奏は、客席を一層高ぶらせる。mAsAyAは激しく踊りながら髪を振り乱してベースを弾き、竜之介のドラムスは会場の隅々の空気を楽しく揺らす。総立ち見になったファンの手拍子につられて、楓のボーカルも、より一層昂揚していく。
第二回目ということもあり、前回の公演をどう膨らませていくのかが気になっていたのだが、これはむしろ良い裏切りだった。これは、まぎれもなく音楽ライブだ。音×AiR時代から培ってきた演奏力を活かし、すでにCD化されている持ち曲たちを更に輝かせる演出。ここを目指して、ねつ造エンタテインメントという手法に、彼らは辿り着いたのだ。畳み掛ける3曲の演奏を聴きながら、そう感じた。
そして最後に、またあさぎーにょが登場し、エンディングソング「笑いのフォルテッシモ」。ゲストと交代しながら歌われるこの曲は、もはや安定感がある。昔懐かしいバラエティ番組をテレビで観ているような既視感にとらわれる。
前回の公演のあと、こんなに密度の濃い上演を、月一回というペースで続けていくことが出来るのだろうかと心配したが、それは杞憂だった。終演後、彼らも観客も目がキラキラしていた。この調子で、もっともっと多くの人に届けてもらいたい。
【写真・文:服部旭】
お知らせ
「ズダッパダッパseason1 ~虚構のフォルテッシモ~vol.03」
■日時:2017年8月18日(金)
OPEN18:30 / START19:00 / CLOSE20:00
■会場:関交協ハーモニックホール(新宿)
■会場住所:新宿区西新宿7-21-20
関東交通共済共同組合ビル 地下2階
(03-6904-7052)
■料金:前売・当日 ¥500
(先着順の入場となります)
■出演:ズダッパ(ex.音×AiR)
■問い合わせ先:zudappa@gmail.com
■チケット購入方法
(1)渋谷のストリートライブで直接ご購入いただけます
(2)チケット取り置きをご希望の場合は「vol.03」「お名前」「人数」を明記の上zudappa@gmail.comまでご連絡をお願いします
(3)プレイガイド
イープラス http://eplus.jp
チケットぴあ 0570-02-9999 【Pコード 336-772】