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「何かを企む」バンド ポルカドットスティングレイ、即日ソールドアウトの『大正義』レコ発ツアー追加公演をレポート!

ポルカドットスティングレイ | 2017.07.28

「ポルカドットスティングレイ×東京キネマ倶楽部」。コラボレーション風に書き記したのは、この両者の相性は暗黙の了解的にハマるはず!という確信めいたものがあったから。JR鶯谷駅から徒歩1分、元グランドキャバレーという成り立ちを活用し、大正ロマンのオペラハウスを再現した場内は、通常のライブハウスとは一線を画した大人びた雰囲気に包まれている。  ポルカドットスティングレイ(以下ポルカ)は楽曲はもちろん、視覚に訴えるストーリーテリングに長けたMVで、いままでバンド名さえ知らなかった人たちをオセロのごとくひっくり返し、SNSを含むYouTubeを駆使した空中戦で多くのリスナーを開拓してきた。

 ミニアルバム『大正義』レコ発ツアーは全6公演即日ソールドアウト。追加公演となった東京キネマ倶楽部も完売御礼状態だ。場内に入ると、ファンにはおなじみの雫(Vo・Gt)の飼い猫・ビビがでっかくプリントされたフラッグが上手側に飾られ、扇形のステージを取り囲んだ形のフロアは観客で立錐の余地なく埋め尽くされている。エジマハルシ(Gt)、ウエムラユウキ(Ba)、ミツヤスカズマ(Dr)、そして、雫が最後に表れ、「オバケ、信じる?」と告げると、「シンクロニシカ」で始まった。いきなりエジマの高速ギターが火を吹くと、会場は早くも盛り上がる。「チケット取りづらい中、来てくれて・・・楽しみましょう! ダンス・チューンをぶち込もうかと。我々の名刺みたいな曲」と雫が言うと、「ポルカドット・スティングレイ」を披露。観客も手を上げてジャンプし、曲中にベース、ドラム、ギターとソロリレーで繋ぐパートも聴き応えがあった。  「ミドリ」を経て、アカペラで囁くような歌い出しに耳をとらわれると、「ベニクラゲ」へ。薄青色の照明が曲調の雰囲気を盛り立て、ハスキーなシャウトで感情の高ぶりを表現する雫の声音にもドキッとした。それからバンド初のネタ曲で、朝ベロベロで隣に知らない人が寝てたって曲と説明すると、新曲「顔も覚えてない」をこの日初披露した。シンガロング要素が強く、観客との一体感漲るカオスな熱気を演出。エジマもステージを所狭しと動き回り、その勢いで「まだまだ行くぞー!」と煽ると、「ハルシオン」は活気にさらなる火を注いだ。  そして、空気をガラッと変質させたのはバラード調の「心ここに在らず」だ。情念のこもった雫の歌声は時に繊細、時に粗暴とも言える感情の爆発ぶりを発揮する。その危機迫るエモーショナルをより一層高める才気迸るバンドアンサンブルにも魅了された。それから音源未収録曲「フレミング」、「人魚」と立て続けにプレイすると、ポルカの名刺的なアンセム曲「テレキャスター・ストライプ」をここで披露。ひときわ大きなオイオイ・コールが沸き起こり、ダンスフロアと化した会場は大フィーバー。メンバー4人の表情もイキイキとした笑顔に満ち溢れ、眼前のリアクションを心底楽しんでいるように映った。ちなみに、この曲のときにキネマ倶楽部に設置している極小のミラーボールがさりげなく回転し、仄かな情緒を醸し出していたのも見逃せなかった。  「残り2曲・・・アンコールもあるからね」と雫が言うと、会場は笑いに包まれ、さらに彼女は次の曲について解説を挟む。「私、恋愛の曲は得意じゃない。でも恋愛のバラードとか、ヒットするじゃないですか?(笑) 直球のバラード」とぶっちゃけると、新曲「極楽灯」を放つ。女性らしさを前面に押し出したケレン味のない歌声は、いままでありそうでなかったアプローチではないだろうか。手で触れただけで壊れそうな、繊細な表現力に引き付けられた。本編ラストはダンサブルな「本日未明」へと繋ぎ、エジマがステージ前方でギタープレイを猛アピール。雫とウエムラが向き合って演奏する様も絵になっていた。

 アンコールに入ると、スクリーンに「事件発生」というタイトルの映像が流れる。東京キネマ倶楽部のシチュエーションとリンクした内容で、虚実入り交じった世界観へと観客を導く。やはり「何かを企む」バンドだ。常に綿密な仕掛けを施し、飽きさせない工夫を凝らし、こちらの心をワクワクさせてくれる。ただ、今日は凝った映像の延長線上に・・・重大発表が待ち受けていた。メンバー3人の男性陣がシルバーのスーツにビシッと着替え、その後にキネマ倶楽部の小ステージから白いブーケとドレスをまとった雫が登場! 彼女はそのままゆっくりと階段を下り、「ポルカドットスティングレイ、メジャーデビューします!」と堂々宣言。会場は歓喜に包まれ、間髪入れずに新曲「レム」をプレイ。ポジティブな明るさを運ぶ踊れる曲調により、再びフロアを激しく揺さぶった。  「ユニバーサルシグマからデビューで、ヤバイTシャツ屋さんの後輩です。外タレ系だと、マライア・キャリー、レディー・ガガの後輩です。今年の冬にリリースする、それがメジャーデビューです!」と告げると、観客から「おめでとう!」の声援が飛び交っていた。  また、雫は所属していた会社を辞めたらしく、今後はフリーのゲームクリエイターと音楽の二足の草鞋で活動することを明言。「両方やってる人にしかできないことをやる。メジャーデビューしても無駄に変わらないから。だって、結成から2年・・・お客さんのことしか考えてなかったから」と胸中を赤裸々に語り、「夜明けのオレンジ」、最終曲「エレクトリック・パブリック」においてはこの日最大級の盛り上がりを見せ、キネマ倶楽部の会場をひとつに束ねていた。

 陰に陽に、アッパーにディープに、表情をコロコロと変えるポルカの楽曲はキネマ倶楽部というステージでより一層輝き、より奥深い形で迫ってきた。また、ビジュアル面にもこだわるバンドだけに、この会場の雰囲気は見事にマッチしていた。ライブ終了後、いつの日か、またこの会場で観てみたいとつくづく思った。   

【取材・文:荒金 良介】
【撮影:橋本塁(SOUND SHOOTER / STINGRAY)】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル ポルカドットスティングレイ

リリース情報

大正義

大正義

2017年04月26日

PCI MUSIC

1. エレクトリック・パブリック
2. ミドリ
3. シンクロニシカ
4. ベニクラゲ
5. 本日未明
6. 夜明けのオレンジ (大正義 ver.)

セットリスト

ポルカドットスティングレイ 2017 TOUR 大正義
『ポルフェス12 “#正義と踊れ ワンマン”』追加公演
2017.7.13@東京キネマ倶楽部

  1. 1.シンクロニシカ
  2. 2.ポルカドット・スティングレイ
  3. 3.ミドリ
  4. 4.ベニクラゲ
  5. 5.顔も覚えてない ※新曲、初公開
  6. 6.ハルシオン
  7. 7.心ここに在らず
  8. 8.フレミング
  9. 9.人魚
  10. 10.テレキャスター・ストライプ
  11. 11.極楽灯 ※新曲
  12. 12.本日未明
 ENCORE
  1. EN1.レム ※新曲
  2. EN2.夜明けのオレンジ
  3. EN3.エレクトリック・パブリック

お知らせ

■ライブ情報

未確認フェスティバル 2017
07/29(土) 東京・TSUTAYA O-WEST

tricot VS 47
07/31(月) 千葉LOOK
08/01(火) 熊谷HEAVEN’S ROCK

WEST GIGANTIC CITYLAND`17
08/05(土) 大阪 舞洲スポーツアイランド

GLICO LIVE “NEXT”
08/09(水) 大阪・Music Club JANUS

rockin’on presents
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017

08/11(金・祝) 国営ひたち海浜公園

WILD BUNCH FEST. 2017
08/20(日) 山口きらら博記念公園

RUSH BALL 2017
08/27(日) 大阪・泉大津フェニックス

BEAT PHOENIX 2017
09/23(土) 福井・福井フェニックスプラザ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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