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東京カランコロン『夏祭りだよ全員集合!~ニューアルバム全曲披露フリーライブ~』

東京カランコロン | 2017.08.28

 ニューアルバム『東京カランコロン01』の完成を記念して、「早速、全曲をみんなに聴いてもらおう!」という主旨で企画された『夏祭りだよ全員集合!~ニューアルバム全曲披露フリーライブ~』。タオルを頭上に掲げ、元気いっぱいの様子で登場したいちろー(Vo・G)に続いて、せんせい(Vo・Key)おいたん(G・Cho)、佐藤全部(B)、かみむー氏(Dr)も現れ、待ちわびていた観客は一斉に歓声を上げた。「みなさん、楽しむ準備はできてますか? 始めます!」、いちろーの言葉を合図にして「321で」の演奏がスタート。手拍子をする観客のムードが、とても明るい。そして、強く実感させられたのは、メンバーたちが奏でるサウンドの骨太さと熱いエネルギーだった。力強く躍動し続け、サビに差し掛かるとメロディの爽やかさが一際鮮やかに浮き彫りとなる。最新アルバムの制作を通してメンバーたちが手にした確かな自信が伝わってくるオープニングであった。

「ビビディバビディ」と「シークレットランド」も披露された後に迎えたインターバル。「10月4日に1年9か月ぶりにアルバムを出します。良さをどういう風に伝えようかと考えて、ライブで生で聴いてもらうことにしました。発売前の曲をやるというこんなイベントに、たくさん集まってくれて嬉しいです。東京カランコロンのライブに初めて来る人も、そうじゃない人も、やる曲も企画自体も初めてのことばかりなので安心して、楽しんで帰ってください!」、いちろーがこのライブの主旨を改めて説明した後、さらに新曲が連発された。観客が掲げた掌を揺らしながら興奮を露わにしていた「つよがリズム」。甘酸っぱいメロディと、開放的に高鳴るビートが抜群に気持ちよかった「ハッピーエンディング」。いちろーとおいたんが向かい合ってギターソロを奏でたり、予測不能な動きをしながら佐藤がベースをプレイしたり、エネルギッシュなステージングが印象的だった「ラブソング」……初披露の新曲ばかりだったが、観客はお馴染みの曲であるかのように全力で盛り上がっていた。

 中盤のインターバルでは、レコーディングの思い出を5人が語り合った。メンバーそれぞれが別の楽器パートを担当したボーナストラック(ライブのアンコール時にせんせいと佐藤が繰り広げるのが恒例となっているシュールな寸劇を音源化したようなものになっている)は、特に印象深いものとなったらしい。「意外と頑張ってテイクを重ねたら、最後、ぜんちゃん(佐藤)の声がガラガラになっちゃって」というエピソードが明かされると、大爆笑が起こっていた。そんな和やかなひと時を経て再び演奏へ。「次の曲は、夏の環七を自転車で友達と爆走してる時に作りました。今の季節の曲です」、せんせいの言葉を添えて披露されたのは「アンサンブル」。彼女が奏でるピアノと歌で幕開け、やがて他の楽器も合流。瑞々しいメロディがじっくり広がっていく様が、とても気持ちよかった。

 既にリリースされている音源(5月にリリースされたシングル『ビビディバビディ』のカップリングとして収録された)ではアコースティックサウンドだったが、新しいアレンジが施されていた「AWESOME FRIDAYS」。「1人で部屋にいた夜、シャワーを浴びてる時に思ったことを描いた曲です」、いちろーが説明し、哀愁に満ちたメロディを響かせた「かさぶた」……サウンドと言葉のひとつひとつを存分に噛みしめられる曲が続いた。そして、再び迎えたMCタイム。アルバム制作に至るまでの日々や、現在の心境を語ったいちろーは、ニューアルバム『東京カランコロン01』のタイトルについても説明した。「“01”は所属してるレーベルのTALTOの1枚目っていう意味だけじゃないんです。パソコンの電源ボタンの丸と棒の模様があるじゃないですか。あれって“0”と“1”っていう意味なんですって“0”が “オフ”で、“1” が“オン”。今回のアルバムは、いろいろ悩んだ末に電源をまたオンにしてリスタートしたという想いをこめてます。大事なアルバムです。みなさんにとっても大切な1枚になったらいいなと思ってます」。彼の力強い言葉を聞いた観客は、拍手と歓声で応えていた。

「たくさん悩んだことの答えが詰まってる曲です。一歩踏み出すのに迷ってる人の背中を、ちょっと押せたらいいなという想いをこめて歌いたいと思います!」という言葉と共に突入した「トーキョーダイブ」は、観客の熱い大合唱を誘っていた。続いて披露された「どういたしまして」によってフロアは陽気なダンス天国と化し、本編のラストを飾ったのは「走り出せロンリー」。手拍子をして盛り上がる観客の一体感がものすごい。ニューアルバムを完成させ、雄々しく前進しようとしている東京カランコロンを、集まった全ての人々が心から祝福しているのを感じた。

 アンコールを求める歓声に応えて、ステージに現れたせんせい&佐藤。いつもながら文章化が非常に困難で、ライター泣かせの不思議なムードの寸劇(佐藤の家に学生時代の友人が遊びに来る……という設定だった。「海行こうぜ~!」と誘うせんせいに対して、「俺、インドアだし、ゲーマーだから」と断ったりしていた)の後、いちろー、おいたん、かみむー氏も登場。ツイッターで投票が行われた「カランコロン楽曲総選挙」の結果が発表された。第3位は「ラブ・ミー・テンダー」と「指でキスしよう」。第2位は「恋のマシンガン」。そして第1位は……「まさか「及川爆弾」(シングル『恋のマシンガン』に収録されている問題作。なんと1票入っていたという)じゃないの?」という佐藤のナイスなボケを経て発表されたのは「フォークダンスが踊れない」だった。この曲のイントロが始まるや否や、大喜びの歓声を上げた観客。牧歌的なサウンドに合わせて身体を揺らす人々の姿がまぶしい。間奏に差し掛かると、いちろーと一緒に踊ったせんせいが、クルクルと回転。大喝采が起こった。

 全曲の演奏を終えて、手を振りながらステージから去って行った5人の表情は、とても満足そうだった。ニューアルバム『東京カランコロン01』の全曲を一足先に体感した観客も、実に嬉しそう。10月4日のアルバムリリース、その後に予定されている『久々の全国ツアーですけど、再起ん動?』への期待が大いに高まるライブであった。

【取材・文:田中 大】
【撮影:中山 優司】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 女性ボーカル 東京カランコロン

リリース情報

東京カランコロン01

東京カランコロン01

2017年10月04日

TALTO

1.トーキョーダイブ
2.どういたしまして
3.ラブソング
4.ハッピーエンディング
5.AWESOME FRIDAYS
6.321で
7.ビビディバビディ
8.シークレットランド
9.かさぶた
10.アンサンブル
11.つよがリズム
12.走り出せロンリー
ボーナストラック.中華そば

お知らせ

■ライブ情報

アルバムリリースツアー『久々の全国ツアーですけど、再起ん動?』
11/03(金) 仙台enn2nd
11/05(日) 札幌duce
11/11(土) 福岡INSA
11/12(日) 広島Cave-Be
11/18(土) 高松DIME
11/19(日) 梅田クラブクアトロ
11/23(木) 名古屋APOLLO BASE
11/28(火) 金沢vanvan v4
11/29(水) ヘブンズロック宇都宮
12/06(水) 新潟GOLDEN PIGS RED
12/09(土) shibuya wwwx

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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