前へ

次へ

THE BEAT GARDEN、デビュー後初となる待望のワンマンライブ“Sprout Tour”東京公演をレポート

THE BEAT GARDEN | 2017.10.11

 飽くなきチャレンジ精神と尽きぬ前進への意欲、それらを支えるたゆまぬ努力の積み重ねが豊かな土壌となって“音楽の庭”、すなわちTHE BEAT GARDENに撒かれたたくさんの種をここにきて一斉に芽吹かせた。まばゆいほどに瑞々しい新芽の青葉は、希望であり未来であり夢でもあり、そこに向かって歩みを止めない今の4人の姿そのものにも違いない。“Sprout(=芽を出す)”をタイトルに掲げてこの日、彼らが立ったステージに確信した。

 鮮烈なメジャーデビューから1年2ヵ月、8月にリリースされたばかりのニューアルバム『I’m』を携えて臨む待望のデビュー後初のワンマンライブ“Sprout Tour”。先の大阪公演を大成功に収め、満を持して迎えた9月23日、東京・渋谷O-WESTだ。この日のMCによれば、ここO-WESTにはかつてU、MASATO、REIが前身グループを結成して大阪から上京したての頃、右も左もわからずに「今日のライブに出させてほしい」と飛び込みで売り込みにいった過去があるらしい。さすがにそれは叶わなかったが、厚意でその日のライブを観させてもらい、目の当たりにしたステージに衝撃を喰らいながらも「いつか絶対ここに立とう」と3人で拳を合わせた思い出の場所だという。当時、彼らの手伝いをしていたDJ SATORUもメンバーに加わり、ついに今日、その念願を果たす。目指すは“あの日を超えるライブ”。チケットは即日ソールドアウトだ。客電が落ち、ブルーのライトに染め上げられたステージに真っ先に飛び出してきたのはSATORUだった。右手の人差し指を天高く突き上げ、漲る意気を敢然とアピール。持ち場のDJブースに着くと慣れた手つきで機材のスイッチをオンにする。続いてMASATO、U、REIが現れると客席の興奮は早くもピークに。

「始めようぜ、東京!」

 Uの渾身のシャウトを合図に迸った幕開けの1曲は最新シングル曲「FLOWER」だった。エッジ鋭くドライブするロック色の濃厚なトラックに乗ってフロントマン3人の肉体がダイナミックに躍動する。右へ左へ、後ろへ前へ。いわゆるダンスユニットのような定型的な動きはなく、それぞれが奔放にめまぐるしく行き交うのだから、そう広くはないステージとはいえ観ている側の視界はとにかく忙しい。そして、そう広くはないからこそメンバー同士のニアミスも多発、実際にぶつかることも二、三度はあっただろう。しかしまるで意に介することなく、“衝突上等!”とでも言わんばかりに1曲目から全力で歌いパフォーマンスする3人。後先を考えない一球入魂な姿勢がオーディエンスの熱狂をますます加速させてゆく。

「熱量が半端ないね! 今日は“Sprout Tour”ということで、新しいTHE BEAT GARDENも芽を出すし、新曲も芽を出す。そして、みんなの中の新しい自分が芽を出す! そういう日なのでとにかく楽しんでいきましょう!」

 ステージとフロアの全員で一体となってタオルをぶん回した「JUNGLE GAME」のあと、満面の笑顔でUが呼びかけると歓声が場内に渦巻いた。その声ときたらまだ3曲しかやっていないとは思えないほどにデカい。「今日のために新しいものもいっぱい持ってきたので楽しみにしててください」とREIが匂わせれば、「フロアを温めてくれてありがとうございます。今日は最高の1日にしましょう!」とMASATOが礼儀正しく煽り、SATORUも「待ってました、今日という日を! 頑張ります!」と握ったマイクに力を込める。この楽しい雰囲気のまま新曲を、と突入した「サイドディッシュ」ではMASATOがお手本となってサビでの振り付け指導。心地好く横に揺れながら“♪Like a groove”では両腕をぐるぐると「いとまきのうた」でするように回し、“♪ハンバーガーの脇にいるポテト”では“ポ”“テ”“ト”のところで右と左の人差し指を交互に上げ下げし、と満場の600人が一緒になって踊る光景のなんと温かで幸せなことか。曲の終わりに「ごちそうさまです!」とUが両手を合わせてペコリ。かわいらしいその仕草にまんまと身悶えさせられるオーディエンスだったが、Uが手を合わせたくなった気持ちはちょっとわかる気もする。

 東京ではライブ初披露となる「Carried away」、彼らにとって大切なバラード「君がいるから」としっとり歌い上げる楽曲もあれば、ロックのビートにエレクトロな四つ打ちのリズムを絡ませたダンスチューン「Alive」やギターリフを大胆にフィーチャーしてグルーヴィな「Don’t think, feel.」といったアグレッシブなナンバーもあり、また、4人で考えたという手を使った振りを導入した「Sky’s The Limit」に、家族や友人、大切なみんなへの想いを込めて作ったというアコースティックテイストの「Just Before Dawn」と絆や繋がりを感じさせる楽曲など、THE BEAT GARDENが音楽性として掲げる〈EDR(エレクトリック・ダンス・ロック)〉を多様なスタイルで肉感的に表現する4人にたしかな成長を感じずにはいられない。ただガムシャラで無鉄砲なだけではない、静と動のメリハリを効かせたステージングや何気ないフォーメーションなど洗練を垣間見せるパフォーマンスにも目をみはってしまう。

 振り返れば昨年3月に行われた赤坂BLITZでのワンマンライブでTHE BEAT GARDENはメジャーデビューを発表した。もちろん彼らのポテンシャルがそのキャパシティに充分に見合っていたからこそだが、一方でそれは周囲によって用意された場所でもあり、彼らがいわば鳴り物入りのルーキーであることを示すものでもあっただろう。だが彼らはそこに胡座をかくことなく、真摯に自分たちの音楽を追究し、ジャンルに縛られないスタンスで多くのイベントやフェスへ出演して研鑽を重ね、熱い想いを着実に形にしながら、応援してくれる人たちとの関係性をひとつ一つ大切に築き、積み上げてきた。この約1年半ぶりとなるワンマンライブはそうした弛まぬ歩みの中でたどり着いたかけがえのないステージだ。4人の力だけで、とは言わない。素晴らしいスタッフに囲まれ、ファンに恵まれたからというのは前提の上で、彼らがここまでに蓄えた力がこのワンマンを実現させたのだとはやはり思う。音楽も人柄ももともと求心力の高いグループではあったが、この1年半で人を巻き込むエネルギーは格段に上がった。ステージに釘付けになるフロアと、その視線に応えて全身全霊で魅せる4人の、固く結ばれた信頼と愛情は実に綺麗で羨ましくさえあった。

「絶好調じゃん、みんな! どうした!? 後ろまで全部見えてるからね。マジ、テンション最高です!」

 天井知らずで盛り上がるオーディエンスにUもさらに火をつけられたらしい。「次は『神撃のバハムート』の曲をやるんだけど……観た? めっちゃカッコいいよね、あのアニメーションにこの曲」と興奮気味に自画自賛。ちなみに『神撃のバハムート』の曲とは現在放映中のアニメ『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』のオープニングテーマ曲に抜擢された「Walk This Way」のことだ。「でもテレビで観てもカッコいいけど、ライブはマジで破壊力が半端ないから」と断言して客席を大喜びさせる。自らハードルを上げてしまった格好だが、MASATOも「やるしかない!」と苦笑い。しかして勢いよくなだれ込んだ「Walk This Way」の鬼気迫る迫力はUの言葉をも遥かに上回って破壊的だった。

 本編ラストを「Sky Drive」で締めくくり、お揃いのグッズTシャツに着替えて再び登場した4人は「SHAKE IT OUT」でアンコールをスタート、客席をまたもアッパーな熱で包み込む。

「新たな景色が見えたし、もっとみんなと一緒にいけるなって実感できました」(REI)

「みんなが見つめてくれる先が僕らであることがうれしいです。これからは一緒にこのSproutした芽を咲かせていきましょう」(MASATO)

「これからももっとこういう景色が観たいので……やりましょう、どんどん!」(SATORU)

 それぞれに告げた今日への想いを引き継いだUは、前回の赤坂BLITZでのワンマンライブ時に“みんなを東京ドームに連れていく”と約束したことに触れ、「もちろん絶対立つけど、まずは来年、Zeppにいきたいです。みんなで一緒にいきたいから、これからも僕たちと歩んでください」とTHE BEAT GARDENが向かうべき次をはっきりと示した。オーラスを飾ったのはデビュー曲の「Never End」だ。エンディングにして高らかに鳴り渡る“終わらない歌”。これ以上に粋な意志表明があるだろうか。すべての音が止み、清々しい表情で手を繋いで深く一礼する4人に万雷の拍手が贈られる。

「今日を絶対忘れない! THE BEAT GARDENでした!」

 マイクを通さぬ生の声で誇らかに叫ぶリーダー、U。背中を見せず4人でひと塊になって後ろ歩きしながらステージ袖に消えるという去りがたそうな去り際がまた彼ららしくてよかった。ここからがまたTHE BEAT GARDENの新しい始まりとなるのだ、きっと。

【取材・文:本間 夕子】
【撮影:Yoshika Horita】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル THE BEAT GARDEN

リリース情報

I‘m

I‘m

2017年08月23日

ユニバーサルシグマ

1. Don’t think, feel.
2. Promise you
3. Alive
4. Sky’s The Limit
5. Heart beat
6. FLOWER
7. answer
8. 君がいるから
9. サイドディッシュ
10. Never End
11. Walk This Way
12. Just Before Dawn

お知らせ

■ライブ情報

第42回 淑楓祭(愛知淑徳大学祭)
10/28(土) 愛知淑徳大学 長久手キャンパス 体育館

ASTRO HALL presents "New Wave"
11/02(木) 原宿ASTRO HALL

産業医科大学 医生祭 SPECIAL LIVE
11/03(金・祝) 産業医科大学 ラマツィーニホール

金沢星稜大学流星祭2017
11/05(日) 金沢星稜大学稲置記念講堂5F

鹿児島志學館大学 第39回銀杏祭
11/19(日) 志學館大学体育館

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る