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BIGMAMA、初めての日本武道館ライブで魅せた10年間の集大成。

BIGMAMA | 2017.10.19

 BIGMAMAが10月15日(日)、東京・日本武道館でワンマンライブ「BIGMAMA in BUDOKAN」を行った。金井政人(Vo・Gt)、柿沼広也(Gt・Vo)、安井英人(Ba)、リアド偉武(Dr)、東出真緒(Violin)の5人体制となって10周年を迎えたBIGMAMA。全キャリアを網羅したセットリストで臨んだ初の日本武道館公演でBIGMAMAは、バンドの“これまで”と“これから”をダイナミックに見せつけた。

 満員のオーディエンスが「BIGMAMA」のタオルを掲げるなか、ベートーヴェンの「交響曲第9番」の旋律とともに登場したBIGMAMA。オープニングナンバーはもちろん、このクラシックの名曲をマッシュアップした「No.9」だ。ダブルカルテットによるストリングスとバンドのグルーヴが有機的に融合し、壮大なサウンドが出現する。さらに彼らのライブアンセムのひとつとして知られる「the cookie crumbles」、イントロのギターが鳴った瞬間に大歓声が巻き起こったアッパーチューン「Paper-craft」、観客の大合唱が生まれた「Make Up Your Mind」、さらに「まだちょっと大人しいかな? 全員でいくぞ!」(金井)というMCからチャイコフスキーの「白鳥の湖」の旋律を活かしたアグレッシブなダンスナンバー「Swan Song」、ロマンティックなラブソング「最後の一口」、巨大なミラーボールが白い光を放った「ダイヤモンドリング」と人気曲を連発。オープニングから8曲を続けざまに演奏し、日本武道館をBIGMAMAの世界観で染め上げていく。
「(日本武道館が)似合ってるといいんだけど。いきなり今日があるわけではなくて10年間いろんなところでライブをして、ここまで来ました。(観客が)ガラガラのときもあったけど、手を抜いたことは一度もありません」「今日は忘れられない夜にしよう。10年間でいちばんデカい声を聞かせて!」(金井)というMCの後も、10年間のキャリアを彩る名曲を惜しげもなく披露していく。繊細なギターフレーズとバイオリンから始まり、パンキッシュに疾走していく「Neveland」、アコギの弾き語りから始まる穏やかなナンバー「春は風のように」、東出のバイオリン、柿沼のエモーショナルな歌声が心に響いた叙情的な楽曲「かくれんぼ」。そして「ここにいる一人一人がスペシャルなんだ」という金井の言葉に導かれた「SPECIALS」、「あなたの心が晴れますように」(金井)という願いとともに“僕らの愛に一点の曇りなし”というフレーズが響き割った「CRYSTAL CLEAR」(ビジョンにはこの曲のために制作されたショートフィルムが投影された)はライブ前半のハイライトだったと言っていい。
BIGMAMAの音楽は本当に個性的だ。ギターロック、メロコア、ダンスミュージック、クラシックなどを取り入れたバンドサウンドはまさにジャンルレス。金井が紡ぎ出すメロディは徹底してドラマティックで、日常の風景と普遍的な世界観を繋ぐ歌詞もワン&オンリーだ。ひとつのスタイルやジャンルに拘らず、きわめて独創的な音楽性は、もしかしたら“わかりづらい”と思われたこともあったかもしれない。それでも5人は自分たちの音楽に誇りを持ち、胸を張ってステージに立ち続けてきた。そして10年が経ち、BIGMAMAは日本武道館のステージに登りつめたのだ。この日のライブからも5人の心のなかにしっかりと根付いた“BIGMAMAに対する矜持”がはっきりと伝わってきた。

「メンバーに“せっかくの武道館だから、何かしゃべる?”って聞いたら、“いい。いつも通りやろう”って(笑)。でも、正しいと思う。しゃべるより曲をやったほうがいいよね。自分たちの気持ちは曲の中に全部入ってるから」(金井)というMCを挟み、ライブは後半へ。まずはドヴォルザークの「交響曲第9番『新世界より』」をモチーフにしたアグレッシブな楽曲「荒狂曲“シンセカイ”」。さらにヘビィメタルのテイストを反映した「BLINKSTONEの真実を」、現体制のBIGMAMAの原点とも言える「CPX」、カラフルなレーザービームが放射された「MUTOPIA」など高揚感溢れる楽曲によってオーディエンスのテンションを一気に引き上げる。本編ラストは「僕たちを見つけてくれて本当にありがとう。これからもよろしくお願いします」(金井)という感謝の言葉にリードされた「愛はハリネズミのように」。ドラマティックな楽曲が高らかに響き、会場全体から大きな拍手が巻き起こった。

 アンコールではまず、金井がこれまでのキャリアについて改めて振り返った。就職をしないでバンドを続けることを決めた際に父親から「おまえが巻き込んだ人たちを不幸にするな」と言われ、その言葉を常に意識しながら活動してきたこと。不幸を遠ざけるために何ができるかを考え続けてきたこと。さらにバンドメンバー全員の人となりを丁寧に説明した後、「僕は自分が憧れているロックスターのような存在にならなかったと思う」「失敗だらけの人生だったけど、それを歌に散りばめて歌ってきました」と語った。自分自身の後悔や葛藤を歌に込めることで聴いてくれる人の力に少しでもなればーーその誠実な姿勢こそがBIGMAMAの核になっていることは間違いないだろう。 
続いて「We have no doubt」「HAPPY SUNDAY」「神様も言う通りに」という深いメッセージ性を込めたナンバーを演奏。さらに金井は「2018年、BIGMAMAは引っ越します。下北沢から青山に。ユニバーサルミュージックにお世話になります」と来年の展開についてコメントし、最後の「until the blouse is buttoned up」へ。オープニングと同様に観客がBIGMAMAのタオルを高々と掲げ、カラフルな紙吹雪とともに武道館全体が祝祭ムードに包まれた。
メンバーは一礼して退場したが、2度目のアンコ―ルを求める声は鳴りやまず、再びステージに登場。いま制作中という新曲(ポップで親しみやすいメロディを軸にしたアッパーチューン)、「I Don’t Need a Time Machine」を演奏し、記念すべき初の日本武道館ライブはエンディングを迎えた。

 2018年からメジャーシーンに本格的に進出するBIGMAMAは、2月14日からワンマンツアーを行うことが決定。初めての日本武道館ライブで10年間の集大成を見せ付けた5人はここから次のフェーズに突入する。来年以降のBIGMAMAが実現するであろう新しい光景を心待ちにしていたいと思う。

【取材・文:森 朋之】
【撮影:Azusa Takada】

tag一覧 男性ボーカル BIGMAMA ライブ

リリース情報

BESTMAMA

BESTMAMA

2017年09月06日

RX-RECORDS/UK.PROJECT

【Disc1】2006~2010
01 We have no doubt
02 Look at me
03 CPX
04 CHAIN
05 Do you remember ?
06 Neverland
07 the cookie crumbles
08 Cinderella~計算高いシンデレラ~
09 『それはきっと天使が長く勤まらない理由』
10 "MISSION 481"
11 Dowsing For The Future
12 Paper-craft
13 ダイヤモンドリング(2035/09/02)
14 かくれんぼ
15 I Don’t Need a Time Machine
16 No Way Out
17 Lovescape
18 虹を食べたアイリス
19 走れエロス
20 荒狂曲“シンセカイ”


【Disc2】2011~2016 + New Song
01 秘密
02 until the blouse is buttoned up
03 #DIV/0!
04 最後の一口
05 アリギリス
06 俯瞰show
07 Mr. & Mrs. Balloon
08 Jeffery Campbellのスケートシューズで
09 春は風のように
10 君想う、故に我在り
11 Sweet Dreams
12 Swan Song
13 No.9
14 alongside
15 A KITE
16 ワンダーラスト
17 神様も言う通りに
18 MUTOPIA
19 SPECIALS

セットリスト

「BIGMAMA in BUDOKAN」
2017.10.15@日本武道館

  1. 01. No.9
  2. 02. the cookie crumbles
  3. 03. #DIV/0!
  4. 04. Paper-craft
  5. 05. Make Up Your Mind
  6. 06. Swan Song
  7. 07. 最後の一口
  8. 08. ダイヤモンドリング
  9. 09. alongside
  10. 10. Neverland
  11. 11. (50)days of flower
  12. 12. 春は風のように
  13. 13. 君想う、故に我在り
  14. 14. かくれんぼ
  15. 15. SPECIALS
  16. 16. CRYSTAL CLEAR
  17. 17. 荒狂曲“シンセカイ”
  18. 18. BLINKSTONEの真実を
  19. 19. 秘密
  20. 20. CPX
  21. 21. ファビュラ・フィビュラ
  22. 22. Sweet Dreams
  23. 23. MUTOPIA
  24. 24. 愛はハリネズミのように
  25. <アンコール>
  26. 25. We have no doubt
  27. 26. HAPPY SUNDAY
  28. 27. 神様も言う通りに
  29. 28. until the blouse is buttoned up
  30. <ダブルアンコール>
  31. 29. 新曲
  32. 30. I Don’t Need a Time Machine

お知らせ

■ライブ情報

ファビュラ旅行記 in TAIWAN
11/04(土) THE WALL TAIPEI(台湾)

八王子天狗祭2017
11/11(土) 東京 エスフォルタアリーナ八王子

ストレイテナー 「BROKEN SCENE TOUR 2017 AW」
11/25(土) 福岡DRUM LOGOS
11/26(日) 広島クラブクアトロ

Jumpin’jack Special 2017
11/28(火)大阪 なんばHatch

MERRY ROCK PARADE 2017
12/23(土)愛知ポートメッセなごや1〜3号館

FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY
12/28(木) / 29(金)インテックス大阪

SHE’S Tour 2018 “Wandering”
2018/02/07(水) 長野 松本ALECX

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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