レキシツアー2017 日本武道館2days、両公演をレポート!
レキシ | 2017.11.01
今年6月から全国14ヶ所を回ってきた「レキシツアー2017 不思議の国のレキシと稲穂の妖精たち」。10月1日にはツアー特別編として念願であった大阪城西の丸庭園での野外ライブを成功させたレキシが、ツアーのクライマックスとなる日本武道館公演「不思議の国の武道館と大きな稲穂の妖精たち」が10月10・11日に開催された。
レキシにとって武道館ワンマンは2年連続通算3度目。なんと今回は『稲穂の日』『キャッツの日』と2日間にわたってライブを繰り広げるという。チケットは早々に売り切れ、相変わらずの人気の高さを見せつけた。
いよいよ1日目『稲穂の日』はレキシが若君、いとうせいこうが父上、みうらじゅんが母上に扮した時代劇映像からスタート。家督を譲り受けた若君へ、レキシ家に代々伝わるオルゴールが手渡される。元服するまで蓋を開けてはならぬと禁じられていたが、若君が我慢できずにオルゴールの蓋を開けると不思議の国へと迷い込んでしまう……というストーリーだ。ステージ上に鎮座する大きな玉手箱のようなオルゴールの蓋が開くと、眩しい光とともにレキシが登場。1曲目「KATOKU」で客席じゅうがコブシを挙げて盛り上がると、2曲目「大奥~ラビリンス~」でミラーボールが回り武道館をダンスホールにすると、先だって対バンしたばかりのPerfumeの「ポリリズム」をダンスとともに披露してみたりと、大いに楽しませる。
「レキシのライブは曲が少ないとdisられるので画期的な方法を見つけた!」と前置きして演奏された「妹子なぅ」「真田記念日」「RUN 飛脚 RUN」3曲のメドレー「飛脚記念日なぅ」では、ただ順番に曲をつなげただけでなく、目まぐるしく曲が入れ替わるアレンジで聴かせたが、ここでもやっぱり他のアーティストの曲もたくさん織り込んで歌ってしまい、普通に3曲演奏するよりも余計に時間が長くなるという本末転倒ぶりがまたレキシらしくて最高だ。
今回の武道館公演はツアーの一環にあるということで、あらかじめゲストは出てこないものと思っていたが、なんと中盤にサプライズゲストとしてニセレキシことU-zhaanが登場。会場じゅうから割れんばかりの拍手で迎えられたのは、2014年発表のアルバム『レシキ』のリリース以来、一度も演奏されたことがない「Takeda’」が初めてU-zhaanとともにライブで披露されるため。レキシ池ちゃんの自由奔放なちょっかい出しに邪魔されながらも、素晴らしいタブラ演奏を披露していくU-zhaan。CDの再現とはいかなかったが(そもそも再現すること自体不可能)、レキシとニセレキシの息のあったタッグで初めての生「Takeda’」は無事成功、客席からは大きな歓声が送られた。そしてU-zhaanがそのまま残り、バンド・メンバーとともにファンク・チューン「salt & stone」をセッション。ドラムの蹴鞠Chang(玉田豊夢)とU-zhaanのタブラによる白熱した打楽器バトルで大いに沸かせた。
ニセレキシの余韻が醒めやらぬ中、名バラード「最後の将軍」や「アケチノキモチ」を感動的に歌い上げたかと思えば、元気出せ!遣唐使(渡和久)との熟練した漫才コンビのようなやりとりで大爆笑を誘い、さらに「憲法セブンティーン」ではバンド・メンバーたちが凄まじい演奏力で聴き手を圧倒したり……と、めくるめくエンタテインメントが繰り広げられるレキシのステージ。ライブも終盤、「年貢for you」では、途中でリクエストコーナーと称してチェッカーズ「涙のリクエスト」を挟み込むと、サックスのTAKE島流し(武嶋聡)が華やかなソロを武道館に響かせた。最後はミラーボールが煌めき銀テープが舞い散る中「きらきら武士」で賑やかに締めくくり、本編は終了した。
アンコールが起こる中ふたたび流れ出した映像には、稲穂の妖精に扮した岡井千聖とキャッツの妖精に扮したやついいちろうが登場。「狩りから稲作へ」での稲穂コールとキャッツコールを、池ちゃんが最近飽きてきたと釘を刺す。稲穂の妖精が池ちゃんに、これからも稲穂コールは続けると誓わせると、レキシを不思議の国から元の場所へ連れ戻すための魔法をかける……するとエレクトリカルなパレード曲にのって、稲穂の妖精に姿を変えられたレキシとメンバーが登場。ティンカーベルのような衣装に身を包んだ中年ミュージシャンたちのなりふり構わぬパフォーマンスで、拍手と笑いの渦が起こる。そしていよいよ武道館が稲穂で埋め尽くされると、ラストの「狩りから稲作へ」に突入。すると歌の途中で池ちゃんにそっくりすぎる「大稲穂様」が乱入。一緒に登場したやついいちろう、そして大稲穂様とともに高床式からのキャッツのくだりを見事に成し遂げ、レキシ武道館『稲穂の日』は幕を下ろした。
明けて翌日『キャッツの日』。今回2daysはツアーの内容を踏襲したものなので、1日目とほとんど変わらないのだろう……と思っていたら、全体の大筋の流れは共通しているが、セットリストは大幅に変えてきていたのにビックリ。「KMTR645」で(いつもより多めに)イルカが舞い泳ぐテンション高めのパフォーマンスに続いて披露されたメドレー・コーナーは、「妹子なぅ」「やぶさめの馬」「LOVE弁慶」とラインナップが変わっていて、あの複雑な展開のメドレーをもう1パターン用意していたのか!と驚き、そのやりすぎなサービス精神とメンバーの対応力に思わず脱帽した。
十二単に身を包んだ「SHIKIBU」で盛り上がったところで、なんと前日に引き続きスペシャル・ゲストとしてニセレキシ(U-zhaan)が登場。1日目は池ちゃんの容赦ないボケ連発と自由すぎるアドリブに翻弄され気味なU-zhaanだったが、2日目はどっしり構えて御館様を迎え撃つ。1日目よりも余裕を見せながら「Takeda’」を演奏するU-zhaanに対して、さらに予想外のアドリブをぶっ込む池ちゃん。スリリングながら完成度の高い「Takeda’」セッションが成功すると、感嘆混じりの大歓声が送られた。この日はU-zhaanを交えて「古墳でGO!」も演奏。ここでも素晴らしいタブラのソロを聴かせたのだが、さすがレキシのライブはカッコいいまま終わらせない。曲はいつしか「マツケンサンバ」に変わり、池ちゃんに無理矢理前に出されたU-zhaanたちが、一緒に踊り出すという貴重な光景が繰り広げられた。
胸に染み入るバラード「墾田永年私財法」でブルージーなギター・ソロを聴かせる健介さん格さん(奥田健介)、「憲法セブンディーン」で超絶技巧なベース・ソロを見せつけた御恩と奉公と正人(鈴木正人)など、腕利きが揃ったメンバーそれぞれの見せ場も挟みながらライブは進み、あっという間に終盤へ。「刀狩りは突然に」では、いつの間にか「ラブストーリーは突然に」に変わってしまう〈魔法〉が。そう、今回のツアーでは曲が途中で変わってしまう仕掛けが随所に織り込まれていて、それはタイトルにもある〈不思議の国〉に迷い込んでしまったから、という設定だったのだ。何度やっても「刀狩り」から「ラブストーリー」に変わってしまうボケ(いわゆる天丼)もずっとツアーでやって来たからか、ネタとしての完成度に磨きかかりまくっていたのも、武道館2日目ならでの面白さであった。
そしてアンコールはもちろん「狩りから稲作へ」。やはり今回も途中で大稲穂様が降臨! しかし1日目はちょっとぎこちなかった大稲穂様の動きも軽やかで、妖精らしく飛び回る姿(1mほど浮いたように見えただけだが)まで見せたりと、すべての場面で前日とは違った楽しさを味わってもらおうという、レキシのエンターテイナーとしてのこだわりを感じさせた充実のライブとなった。
「おかげ様でレキシも10周年。私一人のものではございません。メンバー、スタッフ、そして(客席を一人ずつ指差しながら)あなた、あなた、あなたのおかげです」と感謝の気持ちを伝えたレキシ。あらゆる人々に愛されるレキシは、この次の10年で何を見せてくれて、我々をどう楽しませてくれるのか? ますます楽しみになった武道館2daysであった。
【取材・文:宮内 健】
【撮影:田中聖太郎】
リリース情報
KATOKU
2017年04月26日
ビクターエンターテインメント
2. 眠れるレキシ〜オルゴールで聴くリレッキシミュージック〜
3. トロピカル源氏〜レキシ変〜
4. きらきら武士〜Live ver.〜
セットリスト
レキシツアー2017不思議の国の武道館と大きな稲穂の妖精たち
2017.10.10-11@日本武道館
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■10月10日『稲穂の日』
- 01.KATOKU
- 02.大奥~ラビリンス~
- 03.KMTR645
- 04.飛脚記念日なぅ (メドレー)
- 05.SHIKIBU
- 06.Takeda’ w/ U-zhaan
- 07.salt & stone w/ U-zhaan
- 08.最後の将軍
- 09.キャッチミー岡っ引きさん
- 10.アケチノキモチ
- 11.憲法セブンティーン
- 12.年貢 for you
- 13.きらきら武士 【ENCORE】
- EN 01.狩りから稲作へ
- 01.KATOKU
- 02.年貢 for you
- 03.KMTR645
- 04.妹子の馬 LOVE (メドレー)
- 05.SHIKIBU
- 06.Takeda’ w/ U-zhaan
- 07.古墳へGO! w/ U-zhaan
- 08.最後の将軍
- 09.古今 to 新古今
- 10.墾田永年私財法
- 11.憲法セブンティーン
- 12.刀狩りは突然に
- 13.きらきら武士 【ENCORE】
- EN 01.狩りから稲作へ
■10月11日『キャッツの日』
お知らせ
KOYABU SONIC 2017 supported by タウンワーク
11/04(土) インテックス大阪5号館&2号館
ラジド10年祭/ラジド新年会
2018/01/06(土) 渋谷O-EAST
ビクターロック祭り2018
2018/03/17(土) 幕張メッセ国際展示場
レキシ10周年!凱旋ライブ!!「レキシのライブに遊びに来(き)ねの〜〜」
2018/04/29(日) 鯖江市・西山公園
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。