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THE NOVEMBERS、大切な11月にベストアルバムを引っ提げ行った全国ツアーファイナルで魅せた熱い夜

THE NOVEMBERS | 2017.11.17

 THE NOVEMBERSにとって大切な11月、今年も彼らは記念すべきライブをマイナビBLITZ赤坂で8日に行った。初の2枚組ベスト・アルバム『Before Today』リリースを記念しての全国ツアー「TOUR - Before Today -」ファイナルである。

 ステージ後方から照らす照明にシルエットを浮かび上がらせながら4人は登場。センターに立った小林祐介が「今日は来てくれてどうもありがとう」と挨拶をし、「再生の朝」からスタート。吉木諒祐(Dr)がどっしりとしたビートを叩き出し、小林が「今日をいい日にしよう」と歌うこの曲はオープニングにふさわしく、小林とケンゴケンゴ(Gt)のギターがアグレッシヴに絡む「バースデイ」へと導いていく。幻想的な照明のなかで高松浩史(Ba)が体を揺らした「Misstopia」、歌詞は少々怖いが美しい響きに包み込む「keep me keep me keep me」と続けたところで、
「ここからゲスト・ミュージシャンを招いて特別なかたちで演奏します」
と小林は須賀裕之(Tb)、竹内悠馬(Tp)、鎌野愛(Key, Cho)を呼び込んだ。8月にキリスト品川教会グローリア・チャペルで行ったライブに参加した3人だ。管楽器と鍵盤が入って複雑な音の厚みが増した「美しい火」、穏やかに広がった「最近あなたの暮らしはどう」は、おなじみの曲がとても新鮮に響いた。さらに驚いたのは、ゴージャズといってもいいほど美しいアンサンブルでスケール感たっぷりに聴かせたdipの「human flow」。ベスト盤収録のテイクとはまた趣を変え、原曲の内省感を大きく解き放っていた。続くPlastic Treeのカバー「アンドロメタモルフォーゼ」も鍵盤と管楽器が鮮やかに色を添えて、改めてPlastic Treeのデビュー20周年を祝った。

 穏やかにおおらかなメロディに引き込んだ「Moiré」でバンドと一つになった鍵盤と管楽器の3人は、曲が終わると静かにステージを去り、再びバンドだけに。アブストラクトな映像に4人が浮かび上がった「Sky Crawlers」は小林がギターを持たずに歌い、ケンゴがシンセをプレイしてクールに聴かせた。メタリックでヘヴィなサウンドで空気を一転させた「dogma」は小林が鋭いシャウトでその空気を切り裂き、ソリッドなギター・カッティングにオーディエンスが揺れた「こわれる」になだれ込んだ。点滅する照明が照らすフロアは大きく揺れ、重くパワフルなグルーヴが渦巻く「dysphoria」に歓声があがり、小林のシャウトが続く。ケンゴのギターが暴れまわり、高松のベースは歪み続け、音のカオスにフロアは包まれた。熱を帯びていく演奏の手は緩むことなく、小林がギターのネックを真っ直ぐ立てて始まった「Xeno」で更にヒートアップ。そのまま突き進んだ「黒い虹」はダイナミックなサウンドと小林の絶叫ボーカルで、THE NOVEMBERSならではのソリッドでホットな瞬間を生み出し、この夜の絶頂を極めたかに思えた。歓声と拍手に応えた小林は穏やかな口調で言った。

「次で最後の曲なんですが、またフルメンバーで大事な曲をやって終わりにします。今日は本当に来てくれてどうもありがとう。THE NOVEMBERSでした」

 再び鍵盤と管楽器を迎えて始まった「今日も生きたね」。夕陽に光る海辺の景色が背景となり、管楽器がおおらかな黄昏感を醸し出すと、数分前の興奮を収めるようにゆったりと穏やかに歌う小林の表情も和らいで見えたが、それまでの興奮を残してバンドはテンションを落とすことはない。「これが最後の言葉になってもいいように歌いたい」と歌う気持ちは4人のなかに常にあるものなのだろう。余韻を残して曲が終わり、小林が「ありがとうございました」と礼をするとゲストの3人に続きバンドもステージを降りた。


 アンコールに応えステージに4人が揃うと、小林が再び
「最後にまた全員で、一番綺麗な曲をやって終わりにしようと思います」
とゲストの3人を呼び込んだ。小林のギターに吉木のドラムが重なり「Hallelujah」がスタートすると、背中に「HOPE」とプリントされたロング・ジャケットを着たホーンズの二人がステップを踏みながらハンドクラップを始めた。オーディエンスも一緒に手を叩き、THE NOVEMBERSのライブでは珍しい陽気な雰囲気を楽しんでいる。小林も楽しそうに歌い、「ありがとう、いい未来で会いましょう。これからもよろしくね」と締めくくった。

 それでも鳴り止まない拍手の中、再びメンバーがステージに戻ると大きな歓声が起こった。
「やる予定なかったんですけど、1曲わがまま聞いてもらっていいですか」
と小林が問いかけると一段と大きな歓声が起こり、瞬時にフロアの気温が上がったように感じられた。
「一番大きい爆音でやりたかった曲が、爆音でなかった気がする」
そう言って小林がギターを手に取り始めたのは、先ほど聞いたばかりの「黒い虹」。よもや同じ曲を1つのステージで2度聴けるとはオーディエンスにとっては何よりのサプライズだ。このサプライズはひときわラフでラウドで、小林の喉が裂けんばかりの絶叫とマックスまで響く爆音バンド・サウンドで極上のカオスにオーディエンスを巻き込んだ。思いの丈を吐き出すような演奏が終わると、小林はもう一声あげて、
「大人気なくてすみません、また会いましょう」
と頭を下げた。演奏と裏腹にクールなアティチュードを保っているように思えたTHE NOVEMBERSが見せた熱い一面は、このステージを見た人たちの記憶に強く残ったことだろう。THE NOVEMBERSの未来には、まだ見知らぬものがたくさんありそうだ。

【取材・文:今井 智子】
【Photo by Daisuke Miyashita】
【Photo by Atsuki Umeda】

tag一覧 ライブ THE NOVEMBERS

リリース情報

Before Today

Before Today

2017年09月13日

MAGNIPH / Hostess

【Disc1】
1.Romance
2.美しい火
3.Blood Music.1985
4.鉄の夢
5.human flow(dip cover)
6.Flower of life
7.きれいな海へ
8.mer
9.Misstopia
10.はじまりの教会
11.こわれる
12.最近あなたの暮らしはどう(Before Today ver.)

【Disc2】
1.黒い虹
2.Xeno
3.dogma
4.Sky Crawlers
5.keep me keep me keep me
6.GIFT
7.再生の朝
8.永遠の複製
9.dysphoria(Before Today ver.)
10.アマレット
11.バースデイ
12.今日も生きたね

セットリスト

TOUR - Before Today -
2017.11.8@マイナビBLITZ赤坂

  1. 01. 再生の朝
  2. 02. バースデイ
  3. 03. Misstopia
  4. 04. keep me keep me keep me
  5. 05. 美しい火
  6. 06. 最近あなたの暮らしはどう
  7. 07. human flow
  8. 08. アンドロメタモルフォーゼ
  9. 09. Moire
  10. 10. Sky Crawlers
  11. 11. dogma
  12. 12. こわれる
  13. 13. dysphoria
  14. 14. Xeno
  15. 15. 黒い虹
  16. 16. 今日も生きたね
  17.  <アンコール>
  18. 17. Hallelujah
  19.  <ダブルアンコール>
  20. 18. 黒い虹
※09.「Moire」はeの上にアクサン・テギュが正式表記

お知らせ

■ライブ情報

TODAY
17/11/25(土) 宇都宮HEAVEN’S ROCK

2017.12.2演奏会 ※ケンゴマツモト ソロ出演
17/12/2(土) 浅草橋ツバメスタジオ

DECEMBER’S CHILDREN
17/12/3(日) 赤坂BLITZ

情けの庭
17/12/8(金) 渋谷CLUB QUATTRO

a flood of circle presents “BATTLE ROYAL 2017”
17/12/11(月) 新宿LOFT

uri gagarn presents 月刊ぼくら “THE MONSTER GAGARN II”
17/12/17(日) 渋谷TSUTAYA O-nest

Vandalism ※小林祐介ソロ
18/1/27(土) CIRCUS OSAKA

Stranger than paradise vol.2 ※小林祐介ソロ
18/1/28(日) 浜松zoot horn rollo

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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