とんでもなくファンキーでソウルフル! BRADIO初のZeppツアーファイナルをレポート!
BRADIO | 2017.11.24
10月にシングル「LA PA PARADISE」でメジャーデビューを果たしたBRADIOが、11月12日(日)、Zepp Tokyoで「LA☆PA!PA!PA!PARADISE TOUR 2017」のファイナル公演を行った。とんでもなくファンキーだったし、腹の底からソウルフルだったし、R&Bのエッセンスも最高だったけど、そんな形容を必要としないくらいこの日のBRADIOは「BRADIO」だった。何を求められているかとかどう見せるかではなく、俺たちは今何を鳴らしたいんだ? そんなストレートな問いに対するシンプルな答えが、すべて音になっているように感じたからだ。これまでずっとライブを見てきたFPP(Funky Party People:BRADIOファン)にとっても、何かまた新しいBRADIOの力強さみたいなものを感じたファイナルだったのではないだろうか。
色鮮やかな花と緑に覆われたステージで、水面の揺らぎのような光が泳いでいる。ジャングルの奥深くから聴こえてきそうなプリミティブなムードのSEが流れ始めると、フロアから自然と手拍子が沸き起こった。最初にステージに現れたホーン隊とキーボードが、ワイルドな音色を鳴らし始める。次に大山聡一(Gt)、酒井亮輔(Ba)、田辺有希(Dr)が登場し、ドラマチックな音を重ねていく。ひときわ大きな歓声に迎えられながら、真行寺貴秋(Vo)が現れた。
「音楽の楽園へようこそ!!」
真行寺のひと言をきっかけに、ライブは情熱的な「スパイシーマドンナ」からスタート。続く「オトナHIT PARADE」もそうだったが、FPP全員参加で歌って踊る景色は圧巻だ。スリリングなバンドサウンドを満喫した「Take Me Higher」から「シークレットコード」への流れも抜群で、ライブ開始早々とは思えない濃厚さ。演奏の端々から、このツアーに込めたメンバーの気合いや心意気が伝わって来る幕開け4曲だった。
「ファンキーしてるかい! ハッピーしてるかい!“ファンピー”を届けに来たぜ! BRADIOです、よろしく! 「LA☆PA!PA!PA!PARADISE TOUR 2017」ファイナル、東京のZEPPにやってきたぜ! 見渡す限り、キラッキラのミラーボールみたいなビッグスマイル! サンキューSOLD OUT!」
最初のMCで真行寺も伝えていたが、この日は名古屋、大阪と行ってきたZEPPツアーのファイナル。フロアの後ろの後ろまでとにかくギュウギュウで、会場には幸せな熱気が充満している。5曲目は、そんなハッピーな景色にぴったりのナンバー「All I Need Is You」だ。ステージから放たれる音にも、フロアから返ってくる声にも、ありったけの愛が込められている。ホーン隊と真行寺のソウルフルな掛け合いから始まった「-Freedom-」もそうだったが、音源の再現ではなく、ライブならではの息吹を大事にした演奏やアレンジで終始ワクワクさせられっぱなしだ。「久しぶりの曲ですけど」と真行寺が紹介した「雨恋」にも、きっと年を重ねてきたからこそ生まれる味のようなものがプラスされていたはず。最新シングル「LA PA PARADISE」のカップリングである「Baddest」も楽器の音の生々しさがより際立った仕上がりで、これからもっとディープに育ててもらいたいなと思わされた1曲だった。
この日3度目となるMCのコーナーでは、暗転したステージがなぜか学園ドラマ仕様にチェンジ(笑)。やんちゃな学生服姿の大山と酒井、気弱なダンス部員である田邊らが繰り広げたこのミニコントは、先日行われたニコニコ動画での体力測定で最下位だった田邊の罰ゲーム(!?)と思われる。ダンスの先生に習いながらガチで特訓した成果を披露すべく、田邊がTRFの「EZ DO DANCE」を全力で踊ると、会場は爆笑気味の声援と拍手に包まれていた。
キーボードが「Back To The Funk」のフレーズを奏で始めると、ビシッと衣装チェンジしたメンバーが登場。だがよく見ると大山の姿がない。なんでも大山のシャツが紛失したとかで(笑)、真行寺がコール&レスポンスや即興ラップでつないでいく。ハプニングも楽しみながら突入した「Back To The Funk」のダンス・レクチャー。FPPの仕上がりは言うまでもなく万全だ。そこから「真夏の悪魔」、「FUNKASISTA」へ。BRADIOにしか生み出せないファンクネスを全身で感じながら音に身を任せ、レスポンスの声を上げるFPPの高揚がメンバーのプレイをさらに盛り上げているようだ。「ナイス・ファンキー!」。真行寺のひと言に尽きる光景だった。
真行寺が「もうこれ以上の作品は出来ないんじゃないかと思うくらいハイクオリティーな仕上がりだった(笑)」という先ほどのコントやシャツがなくなっていた件について触れつつ、大山が「これから、3本の(ライブの)中でいちばんいいギター弾くんで!」と宣言して始まった後半戦。「Overnight Superstar」の気持ち良すぎるグルーヴから、メンバーの白熱したソロを経ての「KAMISAMA」へ。「Flyers」ではカラフルなバルーンが舞い降り、最高の景色が広がった。頭で考えるのではなく、百戦練磨のステージを経験して体に染み込んだ呼吸感がちゃんと生かされているのだろう。“盛り上がる”とか“踊れる”とかいうよりもっと本能的なところを刺激されているような、湧き上がってくる興奮だけに支配されるような3曲を堪能した。
「自分のわがままでひとつのバンドを潰してしまったけど、やっぱり音楽がやりたいという気持ちが残っていることに気付いた。最後のチャレンジだと思って電話をかけたら、全員がOKしてくれた。それがこいつらだった」と、結成当初を振り返る真行寺。「クソほど辛かったけど、こいつらと音楽やるのが楽しかった。売れる売れないは関係なく、かっこいいと思う曲を作ってきた。そこから7年後、Zepp Tokyoソールドアウト。BRADIOを見つけてくれてどうもありがとう」と言葉を続けると、会場からはなんとも言えないグッとくる拍手が沸き起こった。「この曲は、スタッフも含め、みんなで愛を育んできて作り上げた曲。俺たちの、最高のソウル・アンセムです」と言って本編最後となる「LA PA PARADISE」が歌われた。泣き笑いのようなキラッキラの笑顔で一緒に口ずさみながら、体を揺らすFPPたち。当たり前かもしれないが、あの時音楽の道を諦めていたら絶対に見られなかった景色だ。CDで聴いていた時とはひと味もふた味も違う感動が押し寄せ、思わず胸が熱くなるエンディングだった。
アンコールでは、まずひとりひとりに感謝の気持ちを伝えるように「Thanks」を披露。真行寺は「これから世界にも行けるくらいの最高のミュージックをどんどん作って発信していきたい。とにかく音楽に正直にやっていこうと思っているので、これからも俺たちのソウル・トレインに乗ってってください!」と気持ちを伝えていた。最後は「Tonight! Tonight! Tonight! -決戦は今夜-」。愛と感謝がいっぱいの18曲を歌い終え、BRADIOにとって初となるZeppツアーは、幸せな余韻を残しながら幕を閉じた。「音楽って素晴らしい!」。お台場からの帰り道、きっと誰もが真行寺のこの言葉を噛み締めていたはずだ。
【取材・文:山田邦子】
【撮影:ヤマダマサヒロ】
リリース情報
LA PA PARADISE
2017年10月11日
ワーナーミュージック・ジャパン
2.Baddest
3.LA PA PARADISE(HIDDEN AFRO ver.)
4.Baddest(HIDDEN AFRO ver.)
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セットリスト
LA☆PA!PA!PA!PARADISE TOUR 2017
2017.11.12@ Zepp Tokyo
- 01.スパイシーマドンナ
- 02.オトナ HIT PARADE
- 03.Take Me Higher
- 04.シークレットコード
- 05.All I Need Is You
- 06.Bring It On!
- 07.-Freedom-
- 08.雨恋
- 09.Baddest
- 10.Back To The Funk
- 11.真夏の悪魔
- 12.FUNKASISTA
- 13.Overnight Superstar
- 14.KAMISAMA
- 15.Flyers
- 16.LA PA PARADISE 【ENCORE】
- EN 01.Thanks
- EN 02. Tonight! Tonight! Tonight! -決戦は今夜-
お知らせ
ZENKOKU-O-BAN-DOSS TOUR
11.25(土) 旭川 CASINO DRIVE
11.26(日) 帯広MEGA STONE
MAGIC OF LiFE presents
「utsunomiya merry night 2017
~祝!初の対バン編だよメリークリスマス~」
12.16(土) HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
MERRY ROCK PARADE 2017
12.23(土) ポートメッセ名古屋1号館〜3号館
rockin’ on presents COUNTDOWN JAPAN 17/18
12.29(金) 幕張メッセ国際展示場1〜11ホール、イベントホール
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。