7inchアナログ盤『The Letter』のリリースを記念して渋谷WWWでワンマン公演を行ったThe Wisely Brothersが、来年2月メジャーデビュー! 初フルアルバムも発売
The Wisely Brothers | 2017.11.29
7inchアナログ盤『The Letter』のリリースを記念して、11月17日(金)に行われたワンマンライブの会場は、渋谷WWW。開演時間となり、照明が暗転すると、ステージ上のスクリーンに映像が流れた。リュックサックを背負った真舘晴子(G・Vo)、和久利泉(B・Cho)、渡辺朱音(Dr・Cho)が向かったのは、東京の郊外にある高尾山。爽やかな緑に囲まれた山道を歩く3人の表情が実に楽しそうで、観客の間にも自ずと穏やかなムードが広がっていった。そして映像が終了し、SEと共にメンバーたちが登場。ドラムスティックのカウントを合図に、「Season(新曲)」がスタートした。躍動するビート、歌声のハーモニーが心地よい。鳴っている楽器の構成は、とてもシンプル。しかし、豊かな質感に溢れた空間を作り上げるThe Wisely Brothersの魅力が、鮮やかに開花したオープニングであった。
続いて「メイプルカナダ」「キキララ(新曲)」「アニエスベー」も披露。この時点で早くも新曲が2曲も演奏されていて、観客は大喜びしながらサウンドに身を委ねていた。そして迎えた最初のインターバル。「今のは、リミックスバージョンをさらにリミックスしたバージョンでした」、演奏し終えたばかりの「アニエスベー(7inchアナログ盤『The Letter』には“アニエスベー EMCAT Remix”が収録されている)」について真舘が説明した後、今回のワンマンライブのテーマを3人は語り合った。「テーマは“Letter Of Mountains”ということで、山を作ったんだよね?」(真舘)。「会場の入り口のところに手紙がいっぱい貼ってあったと思うんですけど、手紙の山を作りました。今回の企画が、“Letter Of Mountains”だから!(笑)」(和久利)。「よく見るとちゃんと手紙だったり、夢の話が書いてあったりするので、帰りにでも見ていってください」(渡辺)。手作りの飾りつけで出迎えてくれた彼女たちを讃える温かい拍手が、観客の間から湧き起っていた。
「今日はいろんな曲をやるので、楽しんでいってください!」、真舘の言葉を合図にして演奏を再開。起伏に富んだ展開で魅了してくれた「八百屋」。幻想的な音像が恍惚を誘った「グレン(新曲)」。美しいギターコードの響き、歌声のハーモニーが絶妙に融合していた「waltz」……曲が届けられる毎に、会場内は緊密に1つになっていく。曲に浸り切る観客の集中力が醸し出す雰囲気は、激しく身体を動かして盛り上がるのとはまた別種の濃厚な一体感を示していた。
「今年は3月にCD(『HEMMING EP』)も出して、1月にはもう1枚、7inch(『メイプルカナダ』)も出しました。高校の時に初めて作った曲をEPの1曲目にして出すというのは、なかなかないですよね。まさかこうなるとは思わなかった(笑)。そんな1年でした。では、後半戦ですが、楽しんでいってください」と真舘が言い、高校生の頃に作った曲「サウザンド・ビネガー」がスタート。この曲と共に歩んできた仲間同士である3人が時折笑顔を交わし合って演奏している姿が印象的だった。その後も「hetapi」「マリソン(新曲)」「Thursday」「鉄道」……新旧のサウンドが鳴り響き、このバンドの活動の軌跡が瑞々しく迫ってきた。
今年は例年以上に各地に行く機会が多かったのだと3人が語り合ったMCタイム。「美味しかったよね?」と、食べ物の話で一際盛り上がる姿が、とても微笑ましかった。「初めて海外にもライブで行きました。韓国で食べたソルロンタンが美味しかったです。東京にもソルロンタンのお店があるみたいなので、私たちは行きます!」(和久利)。「ソルロンタン、知ってますか? 韓国で、すごくたくさんお酒を飲んだおじさんが、翌日の朝に食べるっていう、日本のお茶漬けみたいなものです」(真舘)。「ほんとに美味しかったよね? また行きたい」(渡辺)……そして、「来年もいろんなところに行きたいよね?」「どこ?」「ほら、あそこだよ。行くよ!」という賑やかな掛け合いを経て、「モンゴル」へと突入。軽快なビートが観客を開放的に踊らせていた。
「トビラ」も届けられた後、再び迎えたインターバル。「私たちは結構“あれ? ん?”みたいなことをやってます(笑)。前は“バンドやってるのに、バンドっぽくできないな。かっこよくできない。向いてないんじゃないか?”ってことが本当に多くて。でも、ちょっと前から“これは向いてないんじゃなくて、自分たちなりのバンドをやればいいって気づいてなかったんだな”と思うようになりました。気づかせてくれたのは、私たちのやることを面白いと思ってくれる人たちがいてくれたおかげです。自由に楽しく、やりたいことを伸ばしていけばいいと教えてもらったような気がしてます。いつもありがとうございます!」。感謝の気持ちを観客に伝えた真舘は、昨晩、入浴中に腕から流れ落ちた大量の水滴についても唐突に語った。「“軒下みたいだ!”と思ったの。人生で、自分の腕が軒下みたいになることはあまりないのよ。“私はこういうことが好きなんだ!”と(笑)。でも、そういうのは“はっ?”って思う人がたくさんいる。それを“楽しい”と思ってくれる人がいるなら嬉しいんです」。The Wisely Brothersの独特な作風の源に触れたような気がするMCだった。そして、本編ラストを飾ったのは「The Letter」。身体を揺らす観客を眺めながら、彼女たちは明るい笑顔を浮かべていた。
アンコールを求める手拍子が起こった後、スクリーンに流れた映像。高尾山に登った彼女たちは、「発表」と書かれた大きな封筒を取り出した。すると、映像と同じハイキングの服装をした彼女たちがステージに登場。「発表します!」と声を合わせて言った。「2018年2月21日に1stフルアルバムを発売します。初めてのフルアルバムです。今の私たちが“これだ!”と言える、ちょっと不思議で楽しいアルバムになると思うので、お楽しみに!」。嬉しいニュースが届けられ、観客は大きな拍手で3人を祝福した。
「最後は“Letter Of Mountains”ということで、山で叫ぶ曲。あともう1つ新曲をやって、山に帰ろうと思います(笑)。なので“やっほー! やっほー!”と叫んでください。今日は本当にありがとうございました!」、真舘がメンバーを代表して挨拶。そして、「MOUNTAINS(新曲)」と「庭をでて(新曲)」を披露すると、3人は深くお辞儀をしてステージを後にした。ライブ中のMCの際に言い忘れていたようなので補足しておくが……来年の2月21日にリリースされるフルアルバムでThe Wisely Brothersはメジャーデビューする。大きな前進をしようとしている彼女たちに、引き続き注目してほしい。
【取材・文:田中大】
【撮影:石戸 ひな】
リリース情報
[7inch アナログ]The Letter
2017年11月08日
ラストラム・ミュージックエンタテインメント
B面 アニエスベー EMCAT Remix
セットリスト
7inchアナログ発売企画 「Letter Of Mountains」 ワンマンライブ
2017.11.18@渋谷WWW
- 01.Season(新曲)
- 02.メイプルカナダ
- 03.キキララ(新曲)
- 04.アニエスベー
- 05.八百屋
- 06.グレン(新曲)
- 07.waltz
- 08.サウザンド・ビネガー
- 09.hetapi
- 10.マリソン(新曲)
- 11.Thursday
- 12.鉄道
- 13.モンゴル
- 14.トビラ
- 15.The Letter 【ENCORE】
- EN1.MOUNTAINS(新曲)
- EN2.庭をでて(新曲)
お知らせ
下北沢にて’17
12/02(土) 下北沢ライブハウス+野外ステージ他
想う壺音泉
12/08(金) 梅田Shangri-La
E.L.L. 40th Anniversary special Light the light vol.1
12/20(水) 名古屋 ell.SIZE
二子玉川ライズ Winter Special Live 2017
12/23(土) 二子玉川ライズ ガレリア
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