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「俺たちとバカになってロックンロールパーティーだ!」go!go!vanillas『FOOLs』Tour 2017ついにファイナル!

go!go!vanillas | 2017.12.18

7月リリースした最新アルバム『FOOLs』を引っ提げ、9月の横浜 Bay Hall公演を皮切りに、25公演にわたる全国ツアー「go!go!vanillas『FOOLs』Tour 2017」を開催したgo!go!vanillas。アルバムタイトルにのっとり、全国を“バカ”にすべく各地で熱演を繰り広げてきた彼らの集大成、Zepp Tokyoでのツアーファイナルの模様をレポートする。

完全ソールドアウトにより、会場は超満員。カラフルなバニラズグッズを身に着けた観客たちがひしめき合う様は、まるでアイスクリーム屋の巨大なショーケースのようだ。SEの「We are go!」が鳴るや否や、熱烈な手拍子が巻き起こり、そのリズムに乗ってメンバーが踊り出て来ると、今度はSEを掻き消すほどの歓声が会場を満たした。「俺たちとバカになってロックンロールパーティーだ!」と牧達弥(Vo・Gt)が言い放ち「サクラサク」でスタート。風に舞う桜のように軽やかな牧の歌声が心地よいポップチューンだ。そのまま痛快なギターリフが印象的な「ヒンキーディンキーパーティークルー」をお見舞いし、のっけからハイテンションに攻める。思わず体が動くような曲を並べることで、“バカになる”ためのウォーミングアップを狙ったのだろう。

「FUZZ LOVE」では、レコーディングにも参加したホーンセクション・FIRE HORNSの3人が登場。そのファンキーな流れを受けて始まった「ラッキースター」では、それまでタテに刻んでいたグルーヴを一変させる。長谷川プリティ敬祐(Ba)によるグルーヴィーなベースラインにつられた観客たちも、体をスウィングさせながら楽しむ様子を見せた。そして「みんなの腹の中にある黒いもの、一緒にぶち壊そうぜ!」とポップなムードをガラリと変えたのは柳沢進太郎(Gt)。「かかってこいや!」と男臭く煽ると、男性客からの歓声が一際大きくなる。そのまま自身がヴォーカルを務める「ストレンジャー」に突入。ハイトーンな牧の歌声とは対照的などっしりとした歌声が響き渡る。ヴォーカルのバトンは牧へ帰るかと思いきや、そのままジェットセイヤ(Dr)へ。スポットライトを浴びながら、観客たちとのコールアンドレスポンスを存分に楽しんだ後、「Ready Steady go!go!」をロックに歌い切った。

バカ騒ぎ対応のハイテンション・ロックチューンから、ホーンセクションとのコラボ、熱血漢タイムと、ここまでも様々な顔を見せてきたgo!go!vanillas。「音の深いところに一緒に旅をして行きましょう」という牧のMCと共に始まった「サウンドエスケープ」では、幻想的な世界へと導く。揺蕩うようなメロディーと共に会場に現れたのはなんと、大小のシャボン玉。コバルトブルーの照明とあいまって、まるで深海の中にいるかのような感覚に陥る。そして「平成ペイン」では、ミュージックビデオにも登場した男女のダンサーが登場。これにはフロアからも驚きの声が上がる。歌う前、「平成って良い時代だったと思うよ、俺は。戦争もなかったし」と口にした牧。奇しくもこのライヴの前日に、平成が31年で終了することが発表されたのだ。

シングルとして「平成ペイン」が発売されたときは、自ら時代を背負うのか、と驚いたが、『FOOLs』に収録された「平成ペイン」を聴いてハッとした。彼らは時代を“背負った”のではなく、自分たちが生きる時代を“愛した”のだと。そしてこの日の牧の言葉とステージが、その想いを確信へと変えてくれたのだ。加えて、彼らが時代を“愛する”だけで終わらせる気がないことも、良く分った。牧はMCで、たとえ気力が要ることだとしても、自分は誰かを前に引っ張っていきたいのだと言い切る。そして「(人は)楽しい人のところにしかついて来ないと俺は思ってます。だから僕たちはそれを自分たちで示していきたい。それでみんなが“なんかこいつバカだけど面白いな”ってついて来てもらえたら。そんな音楽をこれからも続けたいと思う」と、『FOOLs』というタイトルに込めた想いを語った。続けて「みなさんも日常生活の中で、めんどくさがらずに自分で率先してバカになって楽しんでいってほしいな。そして、疲れたらまた、俺たちのライヴに遊びに来てください」と語りかけると、牧の想いを受け止めた観客たちの温かな拍手が、会場を包み込んだ。

そしてライヴはとうとう後半戦へ。メンバー全員がリレー形式でヴォーカルを担当する「デッドマンズチェイス」では、それぞれの個性豊かな歌いっぷりと、楽器隊の自由な振る舞いに、お祭りムードが漂う。続く「エマ」では、ミュージックビデオを彷彿とさせる制服姿のダンサーとFIRE HORNSが再登場。総勢15人によるステージは、ライヴハウスで観る景色とは思えぬ賑やかさだった。流石にもう、ネタは尽きただろう……と思った矢先に迎えた最終ターン。「バイバイカラー」にやられた。手拍子を誘うも、どこか妖しげな雰囲気をまとった重たいビート。そして牧はギターを置き、ハンドマイクのスタイルで、どこか歌謡曲を思わせるメロディーをセクシーに歌う。フロアに乗り出しコールアンドレスポンスを仕掛ける際も、勢いに乗じた冒頭のそれとは異なり、あくまでエロティックに煽る。ポップな印象が強いだけに、このギャップは破壊力大だ。そして迎えた本編ラストの「おはようカルチャー」。メンバーとフロアが一体となっての大合唱は、楽器の音を掻き消さんばかりのボリュームで、バンドと観客たちが築いてきた絆の強さを表しているようだった。

この日、全編を通してメンバー4人の作り出す音楽や個々の演奏が素晴らしかったことは勿論だが、この日はひとつのショーとしての構成も見事だった。ほぼ2~3曲という短いスパンでMCを挟み、その度に演出や曲調を変えてくる。そうすることで、約2時間にわたったステージを一瞬の中だるみもなく、最後までテンポよくやりきったのだ。しかし、これはどんなバンドにもできることではない。バラエティ豊かな楽曲を持つgo!go!vanillasだからこそ、実現できたステージなのだ。本編最後のMCで牧は、自分をあくまで音楽リスナーのひとりだと言った。そして観客に対しても、友達同士で「この音楽良くない?」と言い合うような関係を築きたいのだ、と。そして「だから好奇心を持って、色んな音楽に挑戦していきたい」と、これからも色とりどりの音楽を届けることを観客たちに宣言してみせた。

熱烈なアンコールに応えて、再びステージに登場したメンバーは「ナイトピクニック」を演奏し、『FOOLs』の楽曲をコンプリート。するとバンドのロゴが描かれたバックドロップが降り、「アクロス ザ ユニバーシティ」「ホラーショー」と懐かしいナンバーが披露された。そしてラストの「ギフト」。飛び交う銀テープの間から、4人の良い笑顔が見える。その笑顔はきっと、観客たちにも伝染していたことだろう。こうして愛すべきFOOLsたちの旅は、ひとまず大団円を迎えたのだった。

そう、彼らの“バカ騒ぎ”はまだ終わらない。2018年3月からは対バンツアー(初日の沖縄公演はワンマン)「FOOLs Tour 2018~音楽馬鹿達と春のナイトピクニック~」が開催される。2018年、そして残りの平成を彼らはどんな風に駆け抜けてくれるのだろう。今以上にgo!go!vanillasから目が離せなくなりそうだ。

【取材・文:イシハラマイ】
【撮影:浜野カズシ】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル go!go!vanillas

リリース情報

FOOLs

FOOLs

2017年07月26日

ビクターエンタテインメント

1.We are go!
2.サクラサク
3.FUZZ LOVE
4.ヒンキーディンキーパーティークルー
5.ラッキースター
6.平成ペイン
7.サウンドエスケープ
8.バイバイカラー
9.ストレンジャー
10.グッドドギー
11.パペット
12.ナイトピクニック
13.おはようカルチャー

セットリスト

go!go!vanillas『FOOLs』Tour 2017
2017.12.02@Zepp Tokyo

  1. 01.サクラサク
  2. 02.ヒンキーディンキーパーティークルー
  3. 03.ニューゲーム
  4. 04.FUZZ LOVE
  5. 05.ラッキースター
  6. 06.ストレンジャー
  7. 07.Ready Steady go!go!
  8. 08.パペット
  9. 09.グッドドギー
  10. 10.サウンドエスケープ
  11. 11.平成ペイン
  12. 12.デッドマンズチェイス
  13. 13.エマ
  14. 14.バイバイカラー
  15. 15.カウンターアクション
  16. 16.マジック
  17. 17.おはようカルチャー
     【ENCORE】
  1. EN 01.ナイトピクニック
  2. EN 02.アクロス ザ ユニバーシティ
  3. EN 03.ホラーショー
  4. EN 04.ギフト

お知らせ

■ライブ情報

FOOLs Tour 2018〜音楽馬鹿達と春のナイトピクニック〜
03/10(土) 沖縄 Output
03/22(木) 宇都宮 HEAVEN’S ROCK VJ-2
03/23(金) 郡山 HIP SHOT JAPAN
03/25(日) 青森 QUARTER
03/29(木) 周南 RISING HALL
03/31(土) 大分 DRUM Be-0
04/01(日) 長崎 DRUM Be-7
04/14(土) 新潟 LOTS
04/21(土) なんば Hatch
04/22(日) 名古屋 DIAMOND HALL
05/05(土) 新木場 STUDIO COAST



[2017]
MERRY ROCK PARADE 2017
12/23(土) ポートメッセなごや1号館~3号館

RockDaze! 2017 Xmas Special
12/25(月) 福岡国際センター

FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY
12/28(木) インテックス大阪

COUNTDOWN JAPAN 17/18
12/29(金) 幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール

[2018]
CONTORT SESSION (ジェットセイヤ主催)
01/04(木) 下北沢GARAGE

SHE’S Tour 2018 〜Wandering〜
02/09(金) 神奈川 F.A.D YOKOHAMA

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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