THE ORAL CIGARETTES、超満員の観客と熱気を共有する中で魅せた “闇”と“光”
THE ORAL CIGARETTES | 2017.12.19
2017年はアルバム『UNOFFICIAL』のリリース(2月)や日本武道館単独公演の大成功(6月)、さらには9月にリリースしたシングル「BLACK MEMORY」が映画『亜人』の主題歌に抜擢されるなど、大きな話題を振りまいてきたTHE ORAL CIGARETTES。快進撃を続ける彼らがこの秋、注目の唇ワンマン2017 AUTUMN「Diver In the BLACK Tour」を行った。全公演ソールドアウト、そしてファイナルの地となった東京・新木場STUDIO COASTは2DAYSながら、ともに大入りの超満員。身動きができないくらいの盛況ぶりだ。2日目の12月6日に足を運んでみたが、冬本番の気候にもかかわらず、会場内は季節を吹き飛ばすような熱気! 開演直前にはステージ前方に押し寄せる観客の渦が起こるなど、期待の大きさがうかがえた。
開演のキッカケは“1本打って……2本打って……”という山中拓也(Vo・Gt)のコールに観客が手拍子で応えるおなじみのかけあいでスタート。
1曲目の「ONE’S AGAIN」から、堰を切ったような勢いでフロアがうねる。「跳べよ!」と山中がけしかけ、「カンタンナコト」へ。山中もベースのあきらかにあきら、ギターの鈴木重伸も、激しく体を前後に折りたたんで熱演。そして3曲目の「DIP-BAP」にはイントロで歓声が上がり、モッシュピットも出現……と、容赦ない盛り上がり。中西雅哉(Dr)のスピード感あふれるビートで展開する「Uh...Man」は、ライブで鍛えられたせいか、痛快な聴き応えに仕上がっていた。5曲目には圧倒的キラーチューンである「起死回生STORY」が飛び出し、前半ブロックのヤマ場を作る。ダイバーも続出し、前半戦とは思えぬ攻めっぷりに圧倒される。
「よくも……お前ら、素晴らしい!」と、山中がパワフルなオーディエンスに賛辞を送る。さらにツアータイトルの“Diver In the BLACK”についても、「ブラックの感情を持つのは悪くないんです」と言及。思えば、オーラルの曲には“闇”を感じさせるものが多い――というか、かなり多い。そこは彼らが多くのバンドと一線を画すところなのではないだろうか。このあとに披露したのは負の感情全開の「接触」、「嫌い」に加え、鈴木の個性的なギターリフで始まる「マナーモード」など、オーラルらしい楽曲達がダークで激しい空気感を作り出す。
このあとのMCでも山中は「負の感情で曲を作ってます」と告白しながらも「真っ黒にならないと、光が見えないんです――でも、どんどん悩めばいい。俺は自分のバンド、このメンバーと出会ったことで、ひとつの光を掴みました」と、思いを語り、バンドに感謝を込めて書いたという「Flower」をプレイした。素直にメロディーを打ち出した楽曲には、メンバーの突き抜けた成長が感じられる。続く「エンドロール」も切なさが際立つナンバーで、荒ぶっていた観客はその美しい楽曲にじっと耳を傾けていた。
このあと、再びアグレッシヴに「気づけよBaby」を聴かせたが、中盤には珍しい趣向が展開した。あきら、山中、鈴木はスツールに座り、アコースティックなスタイルにスタンバイ。さらには山中の“引っ越し、洗濯機の排水ホース、セッティングミス”という和やかなトークもあって、場内はアットホームな空気に包まれる。観客からもメンバーに声が飛び、山中もそれに答えるなど、ファンとの距離感の近さを感じさせた。そしてアコースティック・バージョンにアレンジした「トナリアウ」を、お披露目。ライブにアクセントをつけた。
さて、ここからは後半戦の幕開けである。「Shala La」でフロアはたちまちうねり始め、長いことライブで揉まれてきた「mist...」でもダイバーが次々と最前線に押し寄せる。荒れ狂う観客の熱気を浴びながら、このあとのMCで山中は、子どもの頃に体験したイジメの話を交えつつ、「人生8割は苦しいと思います。でも、その8割をみんなと共有して過ごしたい!」と、ファンの気持ちに寄り添った。その流れで、本編は後半戦へ。「See the lights」に続き、「5150」「CATCH ME」「狂乱Hey Kids!!」と、キラーチューンがこれでもかと飛び出す。「CATCH ME」では山中とあきらが揃いの2ステップで息の合ったところを見せた。こうして「狂乱Hey Kids!!」でカオスとなったフロアにラストナンバー、トドメの「BLACK MEMORY」が響く。観客の反応も完璧で、すっかりライブでも曲の良さが引き出されたようだ。山中はフロア最前に乗り出し、観客と熱気を共有。ライブをガッチリとコントロールした。
アンコールでは、THE ORAL CIGARETTESにとって、大きな意味を持つことになるであろう新曲を届けてくれた。その思いについては、また機会を改めてじっくりメンバーに訊いてみたいと思う。
ワンマンツアーを大盛況で終えた彼ら、2018年はソールドアウトで挑む初の大阪城ホール単独公演2018 WINTER「Diver In the BLACK Tour~ReI of Lights~」が待っている。ここでバンドはどんな光を掴むのか……。見逃せないヤマ場はまだまだ続きそうだ。
【取材・文:海江 敦士】
【撮影:Viola Kam (V’z Twinkle Photography)】
リリース情報
BLACK MEMORY
2017年09月27日
A-Sketch
2.Flower
3.接触
セットリスト
唇ワンマン2017 AUTUMN
「Diver In the BLACK Tour」
2017.12.6@新木場STUDIO COAST
- 01.ONE’S AGAIN
- 02.カンタンナコト
- 03.DIP-BAP
- 04.Uh...Man
- 05.起死回生STORY
- 06.接触
- 07.嫌い
- 08.マナーモード
- 09.Flower
- 10.エンドロール
- 11.気づけよBaby
- 12.トナリアウ
- 13.Shala La
- 14.mist...
- 15.See the lights
- 16.5150
- 17.CATCH ME
- 18.狂乱 Hey Kids!!
- 19.BLACK MEMORY [ENCORE]
- EN-1.ReI(新曲)
お知らせ
[2017]
MERRY ROCK PARADE 2017
12/23(土)ポートメッセなごや 1号館~3号館
cross fm 25th Pre-Anniversary RockDaze! 2017 Xmas Special
12/25(月)福岡国際センター
FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY
12/28(木)インテックス大阪
rockin’on presents COUNTDOWN JAPAN 17/18
12/30(土)幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール
[2018]
MASH A&R presents 「MASHROOM 2018」
01/21(日)新木場STUDIO COAST
唇ワンマンライブ 2018 WINTER「Diver In the BLACK Tour~ReI of Lights~」
02/15(木)大阪城ホール ※SOLD OUT
YON FES 2018
04/07(土)モリコロパーク(愛・地球博記念公園)
VIVA LA ROCK 2018
05/03(木/祝)・04(金/祝)・05(土/祝)
さいたまスーパーアリーナ
rockin’on presents JAPAN JAM 2018
05/04(金・祝)・05(土・祝)・06(日)
千葉市蘇我スポーツ公園 (千葉市中央区)
※出演日未定
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。