人気芸人も登場!ゲスの極み乙女。川谷絵音 生誕祭『エノンの日』
ゲスの極み乙女。 | 2017.12.20
12月3日、日曜日。川谷絵音の生誕祭となるライブイベント『エノンの日』が、Zepp Tokyoで開催された。
生誕祭の最初を飾ったのはindigo la End。「瞳に映らない」でイベントはスタートした。サビでは絵音と一緒に頭上に掲げた手を揺らした。緩急がはっきりしたポップナンバー「想いきり」、フィリーソウルなサウンドアプローチも印象的な「見せかけのラブソング」と続く。「見せかけ~」では、ファルセットとはまた違うスタイルの高音から、急に声音を変えて歌うなど、ボーカリストとしてのスキルも見せた。
レゲエのリズムをアレンジに取り入れた「夏夜のマジック」へ。ハンドマイクを片手に、軽く腰を落とすように、リズムを取る川谷絵音。七色のムービングライトがゆっくり旋回する。サビで左手を挙げると、観客も一緒に両手を挙げ、曲に合わせて揺らした。「ありがとう」といい、このライブの日に配信リリースされたindigo la Endの新曲「冬夜のマジック」を紹介。4曲入り配信シングルを「どれもすごくいい曲なんで楽しんでいただけたら。今から歌います」と。ゲストボーカルに川谷がプロデュースを手がけるDADARAYのREISを呼び込み、新曲「冬夜のマジック」を観客にいち早く届けた。4声のハーモニーが登場するなど、このバンドのポップススキルが垣間見られる、ロマンチックな1曲だった。ライブの最後はファンキーなリズムとソリッドなギターがカッコいいアップナンバー「インディゴラブストーリー」。深いブルーを中心にしたライティングが、このバンドのディープさを現しているように思った。
indigo la Endのステージが終わると、スタッフが楽器を片付け始めた。ほどなくしてガランと何もなくなるステージ。そこに登場したのが芸人「ななまがり」。会場がざわつくほどのシュールなボケを、シチュエーションを変えながら繰り返すコントを展開。途中、ループするボケの決め台詞のタイミングで、絵音が登場すると、会場がどっかーんと大爆笑となった。
続いて登場したのは「にゃんこスター」。ゲスの極み乙女。の「キラーボール」を使い、お馴染みのリズム縄跳び芸を披露するなど、観客のツボを狙ったバリエーションで会場を沸かせる。最後は“さくらんぼ”をBGMに、日本中に一瞬で広まったお家芸を披露……と思ったら、ここで縄跳びを持った川谷絵音が登場だ。笑い声がワッと歓声に変わる。曲に合わせてひたすら縄跳びをする絵音の姿に、私の後ろにいた観客がポソッとひとこと。「なんか楽しそうだよね」確かに、川谷絵音は、非常に楽しそうであった。
お次に登場した芸人は「流れ星」。“肘神様”や“ゲートボールアニメの予告編”など、ヒットネタも多いベテランだ。テンポのいい漫談が彼らのスタイルだが、この漫談にどう絵音が絡んでくるのか……に注目が集まった。絵音は「流れ星」の漫談のエンディング、肘神様の踊りで絡んできた。ボケのちゅうえいとシンメトリーになり、雅楽のようなテンポで踊る。もはやシュールを通り越して何が起こっているのかわからないシーンであった。
この芸人ブロック(?)のトリを飾ったのは「ゲスの極み乙女。」だった。会場、困惑&絶叫からの歓喜。コントが終わると、本日の出演芸人を呼び込み、フリートークへ。次の仕事に向かった“にゃんこスター”の姿は無かったが、それぞれが、この日のステージの感想を言い合う姿は、既に打ち上げの雰囲気。緩く流れる、生誕祭ならではの時間に、生誕祭ならではのサプライズで運び込まれたのは、大きなケーキ。ケーキには、絵音が使うギターが描かれていた。観客にケーキの見た目を説明しながら「ギターが、ブランドまで同じなんですよ」と、興奮気味で話す絵音。最後には、観客をバックに記念撮影へ。うまく仕切ってまとめた絵音にも感心したが、ユーモアを忘れないこと、自分が面白いと思うことには躊躇せず時間を使うこと&身体をはることが、音楽家・川谷絵音の重要なファクターになっているとわかったことが、芸人ブロックの大きな収穫であった。
ざわめくZepp Tokyo。誰もいなくなったステージに、次々と運び込まれる楽器。時計は20時を回っていた。20時8分。「ゲスの極み乙女。」の登場だ。“エノン祭り”の大トリのライブは、彼らのキラーチューン「キラーボール」で始まった。イントロでバウンドする観客。ミラーボールが回り、Zepp Tokyoに無数の光の破片が舞い落ちる。絵音が「俺、誕生日おめでとう!」と叫ぶと、オーディエンスは、大きな歓声でレスポンスした。
ステージ前にT字型に設置されたランウェイ。電飾で囲まれたそのランウェイの中央に、休日課長が歩み出てくる。絵音の紹介を受けベースソロ。続けて「キーボード、ちゃんMARI!」と絵音が叫ぶと、ちゃんMARIのソロ。キーボードの前で彼女のソロを見ていた絵音は、近くにあったハンドタオルを彼女の頭に被せた後、客席に放り投げる大サービス。ミラーボールが、ドラムスのほな・いこかの後ろに、怪しげな影を作っている。まるで皆既日食のようだ。≪キラーボールと一緒に回るよ≫と歌いながら、ランウェイ中央、ミラーボールの真下に歩み出てくる絵音。その姿を追って、客席最前列の観客の頭もグルリと回った。エンディング。コンフューズする演奏。このバンドのライブならではの混沌、だ。
間髪入れず「ドレスを脱げ」へ。会場中から大合唱が起こる。途中のブレイク「ほー!」も、会場にいた全員でばっちり決まった。続いて「餅ガール」。曲終わりのメンバー餅まきは、生誕祭であることも含め、目出度いパフォーマンスになった。絵音のジャンプでエンディングを決めた後、前曲の余韻をぶった切るように「crying march」へ。メランコリックなピアノとマーチングドラムが、軽やかに跳ねる。ジャンプしながらクラップするちゃんMARIに合わせ、観客からも大きなクラップが沸き起こった。
人力テクノの要素や、ボーカルのヒップホップ的なアプローチが特徴のディープチューン「星降る夜に花束を」では、同じフレーズをループするベース休日課長を筆頭に、それぞれが演奏のスキルを発揮する。時代を捉え、音楽と向き合い、バンドと向き合ったことで得られる音楽の真髄。スキルを越えたところで鳴り響くようなグルーヴがあった。絵音が「お待たせ―!」と叫び「シアワセ林檎」へ。ハンドマイクを持っていた絵音が両手を客に向ける。観客が一斉に歌う。いい音楽を共有するシアワセ。多幸感がむくむくと大きく成長していく。
ちゃんMARIが「次の曲で最後です」と言い、恒例の“コポー!”コール。絵音が「新曲やりますよ、盛り上がれますか!」と煽り、観客が歓喜。さらに「本当に? 新曲だけど、盛り上がれるんですか?」と叫ぶ。それぞれの歓声で応える観客。サウンドが走りだす。複雑なイントロ。短い間で作り出す、乱反射するようなサウンドアート。このバンドの専売特許だが、本当に綺麗だといつも思う。新曲「戦ってしまうよ」。前述したサウンドアートをばっさりと潔く切って、メロディー中心のポップスに持っていくのもまた、このバンドの得意技だ。エネルギーが、メロディーへ向け、ひとつにまとまり、力強くのびていく。音楽の真髄と音楽の可能性をカラフルに撒き散らしながら。≪チェックメイト≫というひとことで曲は終わった。タイトルといい、自らの経験を歌にしたのだろうか。そんなことを匂わせる、ポップナンバーだった。
アンコールでは「キラーボール(REMIX)」や「ルミリー」など、BPM遅めの楽曲をじっくり聴かせた。絵音がマイクをとる。
「今日は本当に来てくれてありがとうございます」と言った後、この日の出演者の名前を挙げ、感謝の言葉を口にする。そしてこう続けた。
「こんな風に誕生日を迎えるなんて幸せだと思います」
会場から温かい拍手。休日課長、ちゃんMARI、ほな・いこかも、拍手を送っている。この日の最後を飾ったのは「だけど僕は」であった。
明るくなる客席。拍手と歓声の中で、最後は深々とお辞儀してステージを後にした川谷絵音。この姿も間違いなく、彼の本質なのだと思った。
【取材・文:伊藤亜希】
【撮影:井手康郎】
リリース情報
達磨林檎
2017年05月10日
ワーナーミュージック・ジャパン
2. 影ソング
3. DARUMASAN
4. 某東京
5. id2
6. 心地艶やかに
7. 午後のハイファイ
8. いけないダンスダンスダンス
9. 勝手な青春劇
10. 小説家みたいなあなたになりたい
11. id3
12. Dancer in the Dancer
13. ゲストーリー
このアルバムを購入
セットリスト
川谷絵音 生誕祭『エノンの日』
2017.12.03@Zepp Tokyo
-
■indigo la End
- 01.瞳に映らない
- 02.想いきり
- 03.見せかけのラブソング
- 04.夏夜のマジック
- 05.冬夜のマジック
- 06.インディゴラブストーリー ■ゲスの極み乙女。
- 01.キラーボール
- 02.ドレスを脱げ
- 03.餅ガール
- 04.crying march
- 05.星降る夜に花束を
- 06.シアワセ林檎
- 07.戦ってしまうよ 【ENCORE】
- EN 01.キラーボール(REMIX)
- EN 02.ルミリー
- EN 03.だけど僕は
お知らせ
ゲスの極み乙女。全国ワンマンツアー「ッアーーー!!!」ツアーファイナル
~絵音の誕生日から20日たったぜ?Go!Go!Go!~
2017/12/23(土) 沖縄 ナムラホール
FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY
2017/12/29(金) インテックス大阪
COUNTDOWN JAPAN 17/18
2017/12/30(土) 幕張メッセ 国際展示場1~11ホール、イベントホール
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。