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THE YELLOW MONKEY、17年ぶりの東京ドーム公演『THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2017』は大成功!

THE YELLOW MONKEY | 2017.12.25

 12月9,10日、東京ドームで行われたワンマンライブ『THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2017』。17年前にここでのライブを最後に活動を休止したTHE YELLOW MONKEYが、再びこのステージにやってきた。約2年前に再集結しアリーナ・ツアーなどを経てきた彼らだが、今度はここがスタートになる。10日に見たのは、そんな気持ちに溢れたライブだった。

 会場に入ると開演前から驚かされる仕掛けが用意されていた。広いステージの両脇からアリーナをぐるりと一周するランウェイが設置され、ステージと反対側に置かれた大きな卵がライトアップされている。ステージ脇には昨年のアリーナ・ツアーから定番となった大きなカウントダウンの表示。100秒前から手拍子が起こり、5秒前からカウントダウンの声が上がった。そして「0」が並んだ瞬間、「大きな犬小屋へようこそ。Welcome!」の声と同時に球体がはじけ、中から4人が現れた。この言葉で始まるのは「WELCOME TO MY DOGHOUSE」。17年前にここでラストナンバーとして演奏した曲だ。17年のブランクを繋ぎ合わせると同時に、卵からもう一度生まれたTHE YELLOW MONKEYの産声でもあるようだった。狭いランウェイの真ん中で演奏する4人はライブハウスのステージさながらの近距離に立って演奏し、すぐ目の前にいるオーディエンスと気持ちを一つにしていた。その位置で演奏したもう1曲は「パール」。活動休止前に発表された『8』からの曲で彼らは歴史の輪を結んだ。そして拍手の中メインステージへと4人は進み、「最高の夜にしようぜ!」と吉井和哉(Vo)が叫んで、EMMAこと菊地英昭の歯切れのいいギターが響く「ロザーナ」へ。5月にリリースした新録ベスト盤にスペシャルシングルCDとして特典付けされた新曲が一気に時間を進めた。そのノリのままに続けた「嘆くなり我が夜のFantasy」は吉井がソロで歌ったこともある隠れた名曲だ。

「改めまして東京ドーム、2日目の夜です。おかけさまで今日も超満員、最高です。昨日も良かったけど2日目のTHE YELLOW MONKEY、最高の夜にしないか!」と吉井が声をかけた「TVのシンガー」はANNIEこと菊地英二のドラムが生み出す骨っぽいビートが小気味よく、「サイキックNo.9」でHEESEYこと廣瀬洋一のグルーヴィーなベースに踊らされる。すっかり自分たちのペースになった「SPARK」は、吉井が呼びかけるように《抱き合って確かめたい~》などと歌いかけ、オーディエンスの熱気を高めていった。  4色のレーザーが会場を彩った「天国旅行」は異世界を描き出し、後半のドラマチックなEMMAのギターと、サポートキーボーディスト鶴谷崇との掛け合いが圧巻だった。その先に待っていたのは「真珠色の革命時代~Pearl Light Of Revolution~」。後方の一段高いステージにストリングスが計20人現れ、さらに別世界へと誘う。ハンドマイクで伸びやかに歌う吉井が、大きく体を動かしながらギターフレーズを弾くEMMAに寄り添う。曲が終わると、クラシック・コンサートのように厳かな拍手がステージに送られた。

 衣装を変えた4人は10月に配信シングルとなった「Stars」をゾクッとするようなタッチで聴かせていく。EMMAとHEESEYが演奏しながらランウェイを歩き、その周辺のオーディエンスが次々に手を振り声をかける。続く「SUCK OF LIFE」では、EMMAとHEESEYが曲の間中ランウェイを進み続けて真ん中ですれ違い、そのままステージに戻る趣向。それを見て会場全体が一段と湧いたのを受け、吉井もさらにドラマチックに歌い上げる。終盤で吉井が「あなたたちのLIFE!俺のLIFE!」と思い切り声を出すと、歓声がどよめきになった。歓声が落ち着いた頃、穏やかなピアノをバックに吉井が話し始めた。

「僕が個人的にここで初めてロック・コンサートを見たのは、1990年にHEESEYと行ったDavid Bowieでした。このメンバーになったばかりで、こんなでかいところで俺たち絶対無理だなと思ってた。その後デビューすることになって、活動休止を発表したライブをここでやることになるとは夢にも思わなくて。それから17年もして復活して、今度は2Days!あの頃の自分に言ってやりたいです。何も心配はないと。僕は運が良かったのかな、素敵な仲間とファンに囲まれて、こうして立つことができました。メンバーを代表して言わせてください、どうもありがとう!皆さんも未来に希望を持って、うまくいくと信じて、これからも突き進んでいってほしいと思います。これからもこのメンバーと皆さんと、ロックンロールし続けたいと思います。一緒にこの曲を歌いましょう!」

 ピアノが「バラ色の日々」のフレーズに変わって吉井が歌い出し、オーディエンスが後を続けた。バンドとの演奏で曲が進む中、何度も吉井は歌うよう促し5万人が、そしてこの中継を見ていた人たちもひとつになった。その熱気そのままにスクリーンに燃え盛る炎とメンバーの姿が重なった「太陽が燃えている」は、ホーンセクションとコーラス隊がサウンドに厚みを加えて熱量を上げ、畳み掛けるように「ROCK STAR」を続けるとオーディエンスが見事なタイミングで腕を上げ体を揺らした。スクリーンに巨大なミラーボールが現れた「MY WINDING ROAD」はバブル期のディスコさながらにレーザーが飛ばされ、ダンサブルなリフを弾きながらEMMAがランウェイを進んでいった。
吉井が「世界のお姉さん!」と声をかけるとランウェイにドレスアップした外国人モデル達がずらりと並び、歌いながら吉井が一人一人に絡んでいく。ファッショナブルな演出は新鮮で楽しく、その余韻を塗り替えた「プライマル。」が活動休止時の24thシングルであり、続いた「ALRIGHT 」が17年を経て発表された新たなスタートを示す楽曲であること、その2曲の間に何の齟齬(そご)もないことに感慨を覚えた。間奏で吉井はメンバーを紹介しHEESEYが吉井を紹介した。曲を進めながら吉井がランウェイの真ん中に、EMMAとHEESEYが左右中央に立ち、ANNIEと4人で四方を描く形になった。THE YELLOW MONKEYというバンドは、こういう形なのだと改めて見た気がした。

「去年から始まった再集結のアニバーサリー、たくさんの人たちに祝福してもらいました。感謝しかない2年間だったんですけど、いつまでも祝福ムードで活動するわけにはいきません。我々は更なるチャレンジをしていかなければ。来年のミッションは、我々のニューアルバムを完成させなければなりません。来年からレコーディングに本格的に入ろうと思います。ヤフオクドーム公演が終わったら気合いを入れ直して、日本に今までなかったバンドになっていこうと思いますので、これからも応援してください」  2日間の感謝に続けて、こう語った吉井に盛大な完成と拍手が送られると、感無量といった表情で4人は会場を見渡した。再び吉井が語りかける。 「ここで東京ドームでやるのが個人的に大好きな曲をやりたいと思います。皆さんに聴いてもらいたいけど、一人一人に、今日は歌いたいと思います」

 「JAM」が始まり、上手スクリーンに現れた歌詞の一部が中央のスクリーンに流れて歌う吉井の姿と重なる。吉井がオーディエンスに声をかけシンガロングが起こる。THE YELLOW MONKEYにとって大きな転機になったこの曲が伝える、やるせない思いが胸を打った。

 メンバーが降りたステージにアニメーション映像とともに流れた「Horizon」が終わるとメンバーは再び登場し、「SO YOUNG」「砂の塔」と緊張感のあるナンバーから「BURN」「悲しきASIAN BOY」と一気に進めた。盛大に打ち出された紙吹雪が舞う中、演奏を終え楽器を置くと鶴谷を含む5人でランウェイを手を振ったり笑顔を見せたりしながら1周し、去りがたそうにステージを後にした。東京ドーム2Daysを終え肩の荷は一つ降りたが、それは新たな始まりでもある。THE YELLOW MONKEYのミッションはまだまだ続くのだ。

【取材・文:今井智子】
【Photo by KEIKO TANABE】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル THE YELLOW MONKEY

リリース情報

THE YELLOW MONKEY IS HERE. NEW BEST

THE YELLOW MONKEY IS HERE. NEW BEST

2017年05月21日

日本コロムビア

01.悲しきASIAN BOY
02.パール
03.太陽が燃えている
04.プライマル。
05.WELCOME TO MY DOGHOUSE
06.追憶のマーメイド
07.BURN
08.SPARK
09.楽園
10.真珠色の革命時代~Pearl Light Of Revolution~
11.SO YOUNG
12.天国旅行
13.SUCK OF LIFE
14.花吹雪
15.JAM
16.バラ色の日々

セットリスト

THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2017
2017.12.10@東京ドーム

  1. 01. WELCOME TO MY DOGHOUSE
  2. 02. パール
  3. 03. ロザーナ
  4. 04. 嘆くなり我が夜のFantasy
  5. 05. TVのシンガー
  6. 06. サイキックNo.9
  7. 07. SPARK
  8. 08. 天国旅行
  9. 09. 真珠色の革命時代~Pearl Light Of Revolution~
  10. 10. Stars
  11. 11. SUCK OF LIFE
  12. 12. バラ色の日々
  13. 13. 太陽が燃えている
  14. 14. ROCK STAR
  15. 15. MY WINDING ROAD
  16. 16. LOVE LOVE SHOW
  17. 17. プライマル。
  18. 18. ALRIGHT
  19. 19. JAM
  20. 20. SO YOUNG
  21. 21. 砂の塔
  22. 22. BURN
  23. 23. 悲しきASIAN BOY

お知らせ

■ライブ情報

THE YELLOW MONKEY SUPER メカラ ウロコ・28 -九州SPECIAL-
2017/12/28(木) 福岡ヤフオク!ドーム

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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