新曲も初披露! GLIM SPANKY全国ツアー「BIZARRE CARNIVAL Tour 2017-2018」ファイナル
GLIM SPANKY | 2018.01.12
「今日はツアーファイナル、日本全国まわってきました。今日は最強にいけてるロックの夜にしたいと思うので、皆さんよろしくお願いします!」
これまで本編ではほとんどMCをしたことがなかった松尾レミ(Vo・Gt)が、3曲ほど演奏したところでこう言った。GLIM SPANKYがワンマンでもイベントでも何度も立ってきた新木場スタジオ・コーストは、二人にとってホームと言っていいほどのステージかもしれない。そこで二人は全国18カ所20公演のライブで得たものを全開に、今まで以上に素晴らしいライブを見せてくれた。柔らかなロング・ワンピースに身を包んだ松尾と、ゆったりしたチュニックを着た亀本寛貴(Gt)は、『BIZARRE CARNIVAL』で示したリアルなGLIM SPANKYのロックを体現してみせたのだった。
お馴染みのSEに乗って登場したバンドのメンバーとGLIM SPANKYの二人を待ち構えていた満杯のオーディエンスは、期待に満ちた拍手で彼らを迎えた。それに応えるようにオープニングの「THE WALL」の途中で松尾が「新木場~!」と呼びかけると、オーディエンスは腕を高く上げ、声を出して応える。のっけから新曲だというのに、あっという間に会場はひとつになった。けれども熱くなるだけがGLIM SPANKYのライブではないことを知っているオーディエンスは、ツアーのタイトルにもなった最新作のタイトル・チューン「BIZARRE CARNIVAL」のサイケデリックなムードにスイッと馴染んでいく。ステージ後方に飾られたバンドのロゴがカラフルなライトで照らされた幻想的な「The Trip」は、伸びやかな松尾のボーカルがオーディエンスの体を揺らした。ツアーを経て一体感を増したバンドの演奏は半端なく心地いい。ALBUM『BIZARRE CARNIVAL』と同じ曲順で始まったライヴは、記憶を立体的に増幅していく。
前述のMCに続き、彼らの起点とも言える「ダミーロックとブルース」で腰の座ったロックを聴かせ、「いざメキシコへ」はイントロからステップする人も。そして映画『ONE PIECE FILM GOLD』主題歌になった「怒りをくれよ」では、親子エリアのキッズたちがジャンプした。GLIM SPANKYのライブには幅広い年齢層のオーディエンスが集う。そのため、このツアーでは大阪と東京で、親子エリアが用意されていたのだ。元気に跳ねているキッズたちと親御さんたちが一緒にGLIM SPANKYのライブを楽しんでいる姿は見ていて心地いい。そんな盛り上がりを受けるように今日は「END ROLL」へ。イントロで歯切れのいいパーカッションが響くと松尾が「パーカッション、朝倉真司!」と紹介。グルーヴィーな演奏にフロアが揺れた。
思い切りアガって一息いれ、アコギを持った松尾が軽く爪弾いて音を取り、大きく息を吸って歌い始めたのは「闇に目を凝らせば」。ゆったりした曲だが緊張感があり「Velvet Theater」「お月様の歌」と彼女ならではの歌が描く幻想に引き込まれた。
ここでのMCは「明けましておめでとうございます」と新年らしい挨拶から、1月31日にリリースするシングル「愚か者たち」を「私たちはシングルもフル・アルバムと同じ気持ちで、曲もアートワークも作っています」と紹介。そして「5月12日、日本武道館ワンマン決まりました!」というと、大きな拍手が送られた。嬉しそうにそれを受けながら松尾は「武道館ももちろん嬉しいことなんですけど、気張らずナチュラルに、とにかくかっこいいロックのライブをやろうと思っているので、ぜひ皆さん来てください! 私たちはロックとしてガツンと見せつけてやりたいんですよ。ロックは生きてるんだぞって」
松尾のロック魂は燃え盛っているようだ。高まり過ぎた熱を冷ますように、亀本が昨日のライブの来場者からのメールについて話し出す。初めて来たらしいお客さんが、どこで「レミさんかっこいい!」とか言っていいかわからなかったとのこと。「いつ言っていただいても大丈夫です、“レミちゃんかっこいい!”はわきまえて欲しいけど、“カメちゃんかっこいい!”はいつでも」と笑いを誘う。松尾も「GLIM SPANKYのライブはとにかくフリーダム、ラブ&ピースで決まりごとはないの。自由に楽しんでもらうのがロックのライブ。今日も楽しんでください」
そんなMCもあって「吹き抜く風のように」はイントロから手拍子が起こって腕が高く上がり、「Freeder」ではアンセムさながらにコーラスが起こった。そんな熱気を少し落ち着かせるように落ち着いたトーンの「美しい棘」になり、「白日夢」は松尾が歌いながら前に置いた鳴り物を使い、バンドのメンバーもいろいろな楽器を鳴らし出した。こんな遊びが出来るのもGLIM SPANKYならではだろう。
そのあとのMCで松尾が説明したところでは、この曲は決め込まずに演奏しているそうで、彼女が使ったのは百均のトライアングルやアフリカ製のキーホルダーなど。そして12月に上海でのライブ後にベルリンとパリに行ったのだけれど、パリではフェニックスのメンバーと遭遇したり、飛行機の欠航など尋常ではないトラブルに巻き込まれたそうだ。
「前回パリとベルリンに言ってたくさん曲が書けたので、今年作るアルバムは、みなさん期待してください」と締め括り、拍手を受けていた。そして「次の曲は一昨年ベルリンに行った時の体験をそのまま歌にした曲。ドイツ語で日曜日と言う意味です」と「Sonntag」へ。危なげな地域を通り抜けて楽しいところへ行く歌だ。エンディングは亀本がエフェクターを操作して、そんなムードを描き出した。自由を歌う「ビートニクス」をステップボードに「NEXT ONE」で助走をつけ、ラスト・チューン「アイスタンドアローン」へ。この日の全てを引き受けたようなスケール感のある演奏で歌いながら、松尾は「ありがとう新木場!」と叫んだ。
アンコールに応えた彼らは、初の2デイズを無事終えた安堵感を漂わせながら、それぞれのコメントとソロ演奏入りでメンバー紹介。そこからCMで使われている(シングルにも収録の)「I Feel Earth Move」、さらに「Move Over」も歌詞をうろ覚えながら聴かせる大サービス。やはりツアー・ファイナルとあって気持ちも解放されていたのだろう。そして1月31日リリースのシングル「愚か者たち」を初披露。松尾が大人になることについて思っていることを語ったあとで「大人になったら」をじっくり聴かせ、フィナーレはキッズたちも大喜びの「褒めろよ」。緩急をつけて自分たちらしさを示したこの日の流れは、最後までオーディエンスの心を掴んでいた。この流れはそのまま日本武道館に続いているはずだ。
【取材・文:今井智子】
【撮影:HAJIME KAMIIISAKA】
<配信情報>
■iTunes 「愚か者たち」先行配信&バンドル予約
※バンドル価格4曲 500円
URL:http://po.st/it_glim_oroka
■レコチョク 「愚か者たち」
URL:http://po.st/it_glim_oro
リリース情報
愚か者たち
2017年01月31日
ユニバーサルミュージック
02. In the air
03. I Feel The Earth Move(原曲:キャロル・キング)
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セットリスト
BIZARRE CARNIVAL Tour 2017-2018
2018.1.6@新木場STUDIO COAST
- 01.THE WALL
- 02.BIZARRE CARNIVAL
- 03.The Trip
- 04.ダミーロックとブルース
- 05.いざメキシコへ
- 06.怒りをくれよ
- 07.END ROLL
- 08.闇に目を凝らせば
- 09.Velvet Theater
- 10.お月様の歌
- 11.吹き抜く風のように
- 12.Freeder
- 13.美しい棘
- 14.白昼夢
- 15.Sonntag
- 16.ビートニクス
- 17.NEXT ONE
- 18.アイスタンドアローン 【ENCORE】
- EN 01.愚か者たち
- EN 02.大人になったら
- EN 03.褒めろよ
お知らせ
【台湾】「BIZARRE CARNIVAL Tour 2017-2018 in Taipei」
01/20(土) 台北THE WALL
GLIM SPANKY LIVE AT 日本武道館
05/12(土) 日本武道館
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。