BUMP OF CHICKEN全国ツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」 2月10日さいたまスーパーアリーナ公演
BUMP OF CHICKEN | 2018.02.15
BUMP OF CHICKENの全国ツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」のファイナル公演が、2月10日、11日に埼玉・さいたまスーパーアリーナで開催された。昨年9月からスタートし、全国16会場29公演で約30万人を動員する今回のツアー。バンド結成22年目の最後の日に行われた10日の公演で彼らは、壮大なスケール感とバンドとしての生々しさ、温かい親近感と華やかなエンターテインメント性を兼ね備えた、素晴らしいステージを見せてくれた。
人間という存在の神秘と無限の宇宙空間を同時に描くようなオープニング映像が映し出されるなか、升秀夫(Dr)、増川弘明(G)、直井由文(Ba)、藤原基央(Vo,G)がステージに登場。大きな歓声を受けながら、「pathfinder」(このツアーのために制作されたインスト曲)を演奏、ライブをスタートさせた。
“(未開地の)探検者、(学問などの)開拓者”を意味する“PATHFINDER”というタイトル通り、今回のツアーでBUMP OF CHICKENは、22年間に及ぶ自らのキャリアを改めて見つめ直しながら、この先のバンドのビジョンを予感させるようなステージを体現した。その中心にあるのは、バンドの歴史を振り返るような、さまざまな時期の楽曲によるセットリストだ。
たとえば「GO」「天体観測」「ray」といったアンセム級のナンバーを次々と披露した下りでは、レーザー、紙吹雪を効果的に使った空間演出、アリーナ中央の花道そのものをスクリーンにした映像などを交え、大スケールの祝祭感を生み出していった。
藤原、直井、増川が花道に移動して演奏するなど、2万人を収容した会場のなかでも“近さ”を感じさせるステージングも印象的だった。
BUMP OF CHICKENがさいたまスーパーアリーナでライブを行うのは、2008年5月の全国ツアー「ホームシップ衛星」以来、約10年ぶり。メンバー自身も久しぶりの“たまアリ”を心から楽しんでいたようだ。
また、最新の配信シングル「記念撮影」、今回のツアーで初めて披露された「pinkie」(2010年のシングル「HAPPY」のカップリング曲)、2016年12月リリースのシングル「アンサー」など、時代を行き来するような新旧の楽曲も演奏。最新の楽曲と初期の楽曲を並べてもまったく違和感がなく、オーディエンスはイントロが始まるたびに歓声を上げ、じっくりと楽曲の世界に向き合っている。すべての楽曲が観客ひとりひとりの心に真っ直ぐに伝わっていることが手に取るようにわかる。
「これまでで最長」(直井)というロングツアーのなかで、バンドのアンサンブルもさらに深みを増していた。藤原が紡ぎ出す普遍的なメッセージ、ブルースとムエキゾティシズムとポップが混ざり合ったメロディをしっかりと支え、有機的なバンドサウンドへと導く4人の演奏は、結成から22年経過した今、もっとも充実した時期を迎えていると言っていいだろう。MCのなかで直井は「何よりもこの4人で音を出すのが楽しい」と言っていたが、まるでバンドを始めた頃のような瑞々しい感覚を失っていないことも驚きだった。さらに特筆すべきは、どんなにバンドのスケールが大きくなっても、観客と1対1で向き合おうとしていること。筆者が彼らのライブを初めて見たのは1999年夏の下北沢CLUB251だったが、メンバーとオーディエンスの心理的な距離の近さは、いまもまったく変わってない。
「fire sign」「リボン」などを丁寧に演奏した際には、会場全体を圧倒的な高揚感で満たしていった。すべての言葉、すべての音が有機的に絡み合い、生きることの本質と直結するような歌へとつながる。この圧倒的なカタルシスは、BUMP OF CHICKEN以外では絶対に味わえない。アンコールの最後の曲で、生まれた大合唱の素晴らしさは、今回のツアーの充実ぶりを象徴していたと思う。
すべての演奏が終わったあと、藤原は改めて観客に話しかけた。
「明日(2月11日)もライブがあるっていうのに、すごく寂しいです。何よりも君たちとライブを作れたことが、とってもとっても嬉しいことでした。僕達にとってすごく幸せな時間でした。本当にどうもありがとう」
藤原のインフルエンザ罹患のために延期となった福岡公演(3月17日、18日/マリンメッセ福岡)をもって全国ツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」は終了。
初期の楽曲、代表曲、最新曲をまんべんなく披露したこのツアーによって、彼らは“BUMP OF CHICKENとは何か?”というテーマに自ずと向き合ったはず。その後で4人がどんな音楽を生み出すのか、いまから楽しみでしょうがない。
【取材・文:森 朋之】
【撮影:古溪 一道】
リリース情報
[配信]記念撮影
2017年07月05日
TOY’S FACTORY
お知らせ
BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER
03/17(土) マリンメッセ福岡(振替公演)
03/18(日) マリンメッセ福岡(振替公演)
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。