Ivy to Fraudulent Game ツアーファイナル 東京 マイナビBLITZ赤坂
Ivy to Fraudulent Game | 2018.02.15
会場内が暗転して、背景に浮かび上がった“Ivy to Fraudulent Game”というバンドロゴ。そして、SEが流れる中、寺口宣明(G・Vo)、大島知起(G)、カワイリョウタロウ(B)、福島由也(Dr)が登場。逆光で彩られたステージから最初に届けられたのは「dulcet」だった。幻想的な趣きの音のベールが広がっていくのが、何とも言えず心地よい。シューゲイザーへの敬愛を感じる音像、メランコリックなメロディに耳を傾けながら、フロアを埋め尽くした観客たちは皆、恍惚の表情を浮かべていた。
「夢想家」「!」「Utopia」も披露され、完全に彼らの色に染まっていたマイナビBLITZ赤坂。緻密に構築されるアンサンブル、コーラスのハーモニーによって浮き彫りにされる甘美なメロディが、観客を夢見心地の興奮へと引き込んでいた。そして、「E.G.B.A.」のアグレッシブな爆音で突然揺らいだ会場内。時折シャウトをしながら歌う寺口の姿に刺激され、フロアの全面で一斉に掲げられた拳が激しく揺れる。その後、「trot」と「Dear Fate,」も連発され、エモーショナルなバンドサウンドは、一際熱を帯びていった。
「昨日から緊張がすごくて。眠れたといえば眠れたんですけど、ものすごく眠りが浅くて」と、最初のインターバルで語り始めた寺口。「眠れた?」とカワイに問いかけたところ、「俺も全然眠れなくて。7時間くらいしか眠れなかった」という睡眠不足の心配はなさそうな答えが返ってきて、観客は大爆笑。その後も、この2人を中心にして、ウィットに富んだやり取りが繰り広げられた。そして、「今日は自分たちの今までのワンマンの中で、一番広い会場なので、みなさんも固くなってると思う。素晴らしい日にするので、どうぞ、ついてきてください」と、寺口が観客に呼びかけた後、演奏が再開。「+」の瑞々しいサウンドが、耳を傾けている人々の心を穏やかに震わせているのを感じた。
「水泡」「徒労」「Contrast with your beauty.」「最低」「何処か/somewhere」も披露された後、再び迎えたインターバル。「今日はソールドアウト。ありがとう! もっと自由にやりたいんですけど、どうですか? とにかく今日でツアーは終わり。全部出して帰りましょう!」。寺口が観客を煽って雪崩れ込んだ「劣等」は、興奮を露わにした観客がひしめき合いながら揺らぐ様が壮観だった。「楽しい? 来てよかったですか? 俺も、ここに来られて嬉しいです。ブリッツが決まった時、あんまり実感が湧かなかったんだよね。どこか、弱気になってたのかもしれない。いざ蓋を開けてみれば、ソールドアウトでツアーファイナルを迎えられました。改めて幸せを感じてます。歌える幸せ、目の前にお客さんがいる幸せ、みんなが幸せでいてくれる幸せ……。でも、その上が見たい。その上で音楽を鳴らしたい。俺は、ここにいる全員を連れて行きたいよ」。力強い言葉を経て「青写真」と「アイドル」も届けられ、観客は全力で演奏するステージ上の4人に釘づけとなっていた。
「16歳の頃にこのバンドを組みました。今、23歳です。何もかも捨ててきました。他のやつらが死にものぐるいで部活や、勉強とかをやってる間、音楽ということを理由にして、逃げてきたんです。16歳の時の俺が23歳の俺を見てどう思うか。多分、青ざめるんじゃないかな。もっと上にいると思ってました。音楽が好きなくせに、ただの逃げ道にしかなってなかった。高校もやめて、そんな人生を送ってきました。でも、今日現在、俺の人生は正解だなと思えてます。他の人に何と言われようが、今、正解の上に立ってます。でも、正解にしてくれているのは、俺であり、メンバーのおかげでもあるけど、目の前にいるみなさんのおかげです。本当にありがとう。17歳の頃の曲を連れてきたので、歌わせてください。青い曲です。あの頃の自分に言いたい。“ここまで来たぞ。お前のやってるその曲、2018年2月3日、ブリッツでやるぞ”と。まだまだ理想には追いつかないけど、きっとあいつは喜ぶと思う」……抱える想いを語ってから寺口が歌い始めた「error」が、とても感動的だった。そして、力強い手拍子を誘った「革命」によって本編は締めくくられた。
アンコールを求める歓声に応えてステージに戻ってきたメンバーたち。「ツアーが終わるのが寂しすぎて、今、一旦ハケた時点で俺、葬式モードに入ってるから(笑)。マネージャーが、うんと寂しそうにしてた。お前(カワイ)も“終わっちゃうのかあ”って言ってたな?」(寺口)。「聞かれてた?(笑)」(カワイ)。2人の会話が和やかなムードを醸し出した後、7月1日にZepp DiverCityでワンマンライブを行うことが発表され、観客は大喜び。「ここにいる全員、来てくれよ。このツアーは終わりですけど、めちゃくちゃ楽しかったです。すごく“生きてるなあ”と思わせてくれる数ヶ月間でした。個人的なことだけど、今日、地元の友だちとかも来てて、こういう景色をそいつらに見せられるのも嬉しい。群馬で生まれて、群馬に住んでるんですけど、みんなそれぞれ頑張ってます。なんとか生きようとしてます。俺も、これからいろいろあると思う。でも、必ず音楽がなんとかしてくれると、俺は信じてます。どんなに広い会場でも、狭い会場だったとしても、必ず俺たちの目の前にいる時は、幸せにします。居場所にしていってください。そして、これからも居場所であってください」――寺口のMCの後に届けられた「故郷」は、観客を優しく包み込んでいた。そして、ラストを飾ったのは、2度目の披露となった「革命」。手拍子、大合唱、掲げられた掌が揺れる会場内を眺めながら、メンバーたちはとても嬉しそうな表情を浮かべていた。
「革命」の演奏が終了した瞬間、ステージへと押し寄せた歓声は特大級だった。Ivy to Fraudulent Gameがメジャーデビューしたのは昨年の12月だが、既にたくさんの観客と素晴らしい空間を生み出せるバンドとなっている。2018年は、彼らの大躍進が繰り広げられる日々となることを確信させられるライブであった。
【取材・文:田中 大】
【撮影:佐藤広理】
リリース情報
回転する
2017年12月06日
Getting Better
02. 最低
03. 何処か / somewhere ※読み/どこか
04. 青写真
05. dulcet
06. + ※読み/プラス
07. アイドル
08. 何時か / sometime ※読み/いつか
09. 革命
セットリスト
2018.2.3@マイナビBLITZ赤坂
- 1.dulcet
- 2.夢想家
- 3.!
- 4.Utopia
- 5.E.G.B.A
- 6.trot
- 7.Dear Fate,
- 8.+
- 9.水泡
- 10.徒労
- 11.Contrast with your beauty.
- 12.最低
- 13.何処か / somewhere
- 14.劣等
- 15.青写真
- 16.アイドル
- 17.error
- 18.革命 ENCORE
- EN1.故郷
お知らせ
Ivy to Fraudulent Game_Zepp Divercity TOKYO公演
07/01(日) Zepp DiverCity(TOKYO)
スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2018
02/22(木) 福岡BEAT STATION
02/23(金) 広島CLUB QUATTRO
02/25(日) 高松MONSTER
02/28(水) 札幌cube garden
03/03(土) 仙台MACANA
03/04(日) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
03/07(水) 名古屋CLUB QUATTRO
03/08(木) 大阪BIGCAT
03/11(日) マイナビBLITZ赤坂
「SANUKI ROCK COLOSSEUM」~BUSTA CUP 9th round~
03/18(日) 高松市内イベント会場
I ROCKS 2018 stand by LACCO TOWER
04/01(日) 群馬音楽センター
本当の事を歌うツアー
05/12(土) 高崎club FLEEZ
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。