FABLED NUMBER ALBUM『THUNDER』レコ発ツアーファイナル、代官山UNIT
FABLED NUMBER | 2018.03.30
今の彼らの勢いや伝えたいこと、伝えなくてはいけないことが、使命感や焦燥感と共に放出され、会場もその想いに呼応。互いに「今後も一緒に走って行く!!」という、改めての力強いアライアンスが交わされた一夜であった。
アルバム『THUNDER』のレコ発ツアーが、3月20日にファイナルを迎えた。場所は代官山UNIT。そこでは、「眺めの良い景色を必ず見せるから、信じて共に走り続けて欲しい」とのメンバーからの誓いと、それに呼応し、賛同したオーディエンスたちとで、誠に美しく、この上ない極上の景色の数々を見ることが出来た。
高揚感や登場への期待値を煽るBGMが突如ピタリと止む。一拍間を置き、登場を告げるSEが場内に響き渡る中、走り出すようにステージに次々と駆けつけるメンバーたち。フロアもそのSEに合わせてクラップで歓迎する。少しズラしてボーカルのEitaもステージに登場。おっ、今日は珍しくキャップ姿じゃないか。
メンバー全員が揃い、開始の狼煙を上げるが如く各位が誇らしげにその腕を天に掲げる。そんな中、ベースのTaichiがこの日もノンマイクで、「東京行くぞ~!!」とひと煽り。続けて、「全身全霊で、これまでで一番いいライブをする」とEitaがライブ開始を宣誓し、1曲目の「The Lights」に突入する。見事にアッパー化された同曲。この時点から、この日のライブが勢いのあるものになりそうな予感が走る。《「会いたい」だけで生きれるの》のキラーフレーズは、この日も快調。いきなりフロアとステージが距離をグッと近づく。更にライブを走り出させるように「MOVE」に入ると、突っ込んでくるような臨場感がフロアを強襲。煽るようなビートとそこを超えた開放感を寄与してくれる。
「本日は俺たちの最もカッコイイところを見せに来ました」とはEita。「The night let us dance dance dance」に入ると、フロア頭上に配された2基のミラーボールが幻想さと刹那感を交えていき、会場をここではないどこかへと誘った「ザ・クロスレインボー」では、楽しげな感じを会場全体に広げていった。
神々しさを感じたのは、「夜の鼓動」の際であった。フロアが力強い四つ打ちに合わせてバウンスし、一緒に声を合わす場面も印象的であった。また、場内を楽しそうに弾ませた「AAO」では、会場一体となってのワイパーが、そして、「Sing in a night」では、EitaとDJのIkkiが共に並び、フロアのオーディエンスたちを扇動する場面も見られた。
中盤に差し掛かるゾーンでは、グッとくる曲が連射された。Taichiのスラップベースも冴え、大阪弁の強がりが胸をグッと締めつけた「Good-Bye」、Chii,pucchiのシンセの分厚い音色も印象的であった「Keep on killing me」では、センチな気持ちをシャウトで振り払うが如くの切なさを場内に広げていき、「Ride the Sound」では後半、歌メロのBPMはキープしつつも、バックのビートのBPMが倍テンを見せるライブならではアレンジも際立った。
また、8ビートが会場を並走させた「one time」、また、「Encounter」に於いては、ダブステ要素と駆け抜けていく疾走感の同居を味わうことが出来た。
しかし、この日の凄さは後半のブロックにあった。ほぼ立て続け、ノンストップに10曲のアッパーチューンが披露され、高揚感のあるダンサブルな世界へとグイグイ会場を惹き込んでいく。
フロアに楽しげなバウンスを生んだ「Don`t let me go」では、Mako-Albertのギターを中心に楽器類もユニゾンを魅せ、Ikkiもフロアに降りて一緒に踊り、歌い、また、作品以上の怒涛性を擁した「YES」では、激しくアグレッシブに、まさにこの勢いは誰にも止められないと言わんばかりにライブを激化させていった。加え、「Idon`t wanna write this story」に於いては、Mr,Donuld Betchによる四つ打ちと8ビートを交えたドラミングがライブを激しく転がし、革ジャンを羽織ったEitaがトリッキーな歌い方を魅せた「Push me」も会場をぐいぐいと締め上げていった。
ラストに向けて、「会場との大合唱と共に楽曲を作り上げる!!」と言わんばかりの曲たちが連射された。サビのクラップと共に皆が歌った「world joke」、作品より勢いを増し、ストレートに響かせた「Two」、「Sorry I beyond the scene」では、勢いとダイナミズムの同居も楽しめた。
ラストスパートは、美しささえも擁した神々しいアンセムたちが連射された。歪んだギターのかき鳴らしのみで歌われた、「世界一の歌うたいにはなれないけど、お前のために歌うよ」と、感謝の気持ちを込めて歌われた弾き語り曲とその後突入した「トワイライトシティ」、「お前らの時間は無駄にせえへんから」(Eita)、「俺らがまだまだ上に上がってやるぜ!!」(Taichi)の言葉の後に放たれた「世界は君に鳴り響く」は、より誇らしげに雄々しく響き、それに同調するように会場も暴発を魅せる。その様はまるで、同志たちによる革命賛歌のようにも感じられた。そして本編ラストを締めた、ニューアルバムのキー曲と言える、「Like a Thunder」で、拳を上げながらフロアがバウンスしている光景は、この上なく美しい名場面を生み出していった。
アンコールは2曲のみであった。ここでは「We don`t care what break my mind」「The king」。フロアとの信頼を裏切らずにしっかりと、「ここに集まった全員を、眺めの良い場所へと引き連れていく」そんな宣言のような、これからを感じさせる楽曲が連射された。中でも「The king」は、まさにアンセム。みんなが自分のために歌われているかのように、一緒に歌っている場面も深く記憶に残っている。ラストは感極まったEitaがシャツをかなぐり捨て、上半身裸でフロアに飛び込み歌う珍しい場面も現れ、それはアッパーでアグレッシブ、それでいて強引にでも、みんなを景色の良いところに引き連れてやる! そんな気概の表れのようにも映った。
正直、この日プレイされたミディアムな曲の中には、激しさを交えずキチンと聴かせて欲しかった楽曲もあった。しかし、それらも交え、“こんなライブがあってもいい”との思いに今は変わっている。この日ならではの勢いや荒々しさは、それらをも凌駕するしっかりとした一体感と、「何が何でもいい景色を見せてやる!!」との彼らの強引さと、その向こうにしっかりと見える確信と自信、それらの裏付けがあったからこそだったのだから。
会場を後にするキッズたちの満足そうな表情と、何かをやり終え、達成した感があふれる表情の終演後のメンバーたちの顔には、今が故のがむしゃらさがみなぎっていた、この日のライブも、それはそれで正解だった……と今は思える。
FABLED NUMBERはこれからも走り続けていく。この日、この地に集まったキッズたちとの固く約束した誓いを果たすためにも。
【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:NAOTO SONODA】
リリース情報
I Bet My Life(or Death)
2018年06月20日
日本クラウン
2. Windshield
3. 夜の鼓動(The night beat remix)
セットリスト
FABLED NUMBER presents 2nd album"THUNDER"release tour 2017-2018
2018.03.20@代官山UNIT
- 01.The Lights
- 02.MOVE
- 03.The night let us dance dance dance
- 04.ザ・クロスレインボー
- 05.夜の鼓動
- 06.AAO
- 07.Sing in a night
- 08.Good-Bye
- 09.Keep on killing me
- 10.Ride the Sound
- 11.one time
- 12.Encounter
- 13.Don’t let me go
- 14.YES
- 15.Idon’t wanna write this story
- 16.Push me
- 17. world joke
- 18.Two
- 19.Sorry I beyond the scene
- 20.トワイライトシティ
- 21.世界は君に鳴り響く
- 22.Like a Thunder 【Encore】
- En-01.We don’t care what break my mind
- En-02.The king
お知らせ
1st SINGLE”I Bet My Life(or Death)”release tour ~FABLED NUMBERのメジャー初シングルを盛大にお祝いしまSHOW!!~
06/22(金) 下北沢ReG
07/26(木) 名古屋APOLLO BASE
08/03(金) 大阪アメリカ村DROP
BACK LIFT presents "Seeding Continues" Tour 2018
04/20(金) 岡山CRAZYMAMA 2nd Room
SUMMER TIME LOVER CIRCUIT「サマラバ!」2018
06/30(土) 仙台Rensa、仙台darwin、仙台CLUB JUNK BOX、仙台MACANA、SENDAI HooK、LIVE HOUSE enn2nd
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。