三部構成、全31曲を熱演!エレファントカシマシ、30周年記念ツアーファイナル!
エレファントカシマシ | 2018.04.02
エレファントカシマシが初めて全国47都道府県を回ったデビュー30周年記念ツアー。その最終日となった3月17日、さいたまスーパー・アリーナで『30th ANNIVERSARY TOUR “THE FIGHTING MAN” FINAL』が開催された。これまでも20周年、25周年とアニバーサリー・ライブをやってきた彼らだが、新たな記録となる30周年は、ひときわ感動的なライブになった。
場内が暗くなるとSEが流れ、ステージ両脇のスクリーンにデビュー当時から最近までの画像が次々に映し出される。自分とエレファントカシマシとの歴史を重ねたりしながらの数分間は、アニバーサリーにふさわしいオープニングだった。そして宮本浩次(Vo・Gt)、石森敏行(Gt)、高緑成治(Ba)、冨永義之(Dr)のメンバー4人とサポートのヒラマミキオ(Gt)と村山☆潤(Key)、金原千恵子が率いるストリングス・チームにホーン・セクションの山本拓夫グループが位置に付き、スケール感のあるインストゥルメンタル「3210」から、宮本浩次が大きく息を吸って歌い出す一瞬の緊張感がたまらない「RAINBOW」へと、この顔ぶれが揃ったから実現できた幕開けだ。
そのサウンドでぶちかました「奴隷天国」はワイルドにしてゴージャス。それを具現化するように天井からカラフルな風船が降り注ぎ、手にした人が次々にビートに合わせて振り出すと、フロアは揺れる絨毯のよう。その間に伸びる花道へ宮本が進みながら「今夜はここが真ん中さ!」を歌ったのだが、後半で歌詞を「今はさいたまスーパーアリーナがど真ん中!」と変えて歌うと、歓声が彼を包んだ。
「最高の1日にすべく、自慢の曲を聴いてもらうべく、たくさんのメンバーで皆さんに最高の歌をお届けに参りました!」 と言いながらメンバ-4人だけの演奏で聴かせた「悲しみの果て」、15歳の時に作ったと歌い終えて紹介した「星の砂」からは、宮本たちの強い思いが伝わってきた。そんな気持ちをを切り替えるように「アイム・ハングリー、おくちアングリー」とダジャレを言って歌いだした「i am hungry」は、ホーンズとのグルーヴィーな演奏に場内が揺れた。終盤で石森と肩を組んだりしてご機嫌振りを見せた宮本は、歌い終わるとこんなことを言った。
「6月6日にアルバムが出ることが決定しまして、曲も途中なんで必死の思いで。みんなにいい歌届けたいぜ!」 緊張が程よくほぐれたところで、しっかりと聴かせた「夢のかけら」「風に吹かれて」。どっしりしたバンドの演奏にドラマチックなストリングスが重なり、伸びやかな宮本の歌を引き立てた。1年前に始まった30周年ツアーの間にできた曲と紹介した「ベイベー明日は俺の夢」を、自動車で移動しながら撮影したという手作り感たっぷりの映像付きで挟んで、「笑顔の未来へ」。そして1部のハイライトというべき「桜の花、舞い上がる道を」は盛大に降り注ぐ花びらの中、宮本が花道をゆっくりと進み、力一杯歌い上げた。ちょうどその頃、気象庁は東京の桜の開花宣言を発表していた。
「ズレてる方がいい」「今を歌え」「風と共に」、そしてパワー全開の「ガストロンジャー」で暴れまわり、石森と共に花道の先端まで進み盛り上げた「俺たちの明日」で1部は終了。それぞれの曲への思いを反芻しながら、だがそれに浸りきることなく様々なシーンを見せた、見事な1時間半強だった。
宮本が黒シャツに着替えてきた2部は、ホーン・セクションと共にノリノリな演奏で楽しませた。軽快な「男餓鬼道空っ風」からキレのいいバンド・サウンドで聴かせた「この世は最高!」、ドッシリしたビートに合わせて火柱が何本も上がった圧巻の「RESTART」、その熱のままに宮本が歌った「夢を追う旅人」と、アグレッシブな構成。その中で、初の47都道府県ツアーで多くの力をもらったこと、紅白歌合戦も出られてよかったことなど、この1年を振り返り、「エレファントカシマシの代表曲、すごくいい曲なんで聴いてください」とアコギを弾いて歌いだした「今宵の月のように」は言うまでもなく紅白で歌った曲。宮本にとってこの曲は以前にも増して大切な曲のひとつになったことを、その真摯な歌いっぷりが物語っていた。
2部を締めた最新曲「Easy Go」を「新曲、バシッと決まったと思うんですけど」と言って始めた3部は、「あなたのやさしさをオレは何に例えよう」からスタート。ホーンズがソロを回しストリングスを紹介、エレカシの4人もソロを披露するという、今までにない構成が圧巻。続く「so many people」の熱量もいつも以上で聴かせ、余韻を残しながらゆったり歌った「友達がいるのさ」では「埼玉中の電気を消して」と歌詞を変えて観客を喜ばせた。宮本が一人で弾き語りをした「涙」を句読点に、メンバー3人を呼び込んで4人で演奏した「ファイティングマン」は、エレファントカシマシというバンドそのものだった。
アンコールに応え、「大好きな歌です、聴いてくれ」と「四月の風」を歌いだした宮本の声が1番の中盤で詰まり気味になった。スクリーンに映された彼の瞳からは涙がこぼれ落ちていた。そんな彼を見たのは初めてだったが、震える声で歌う彼は、どんな時よりもピュアに見えた。間奏で少年のようにタオルで顔を拭き、最後まで歌い終えると、ホッとしたように会場を見渡した。大切な30周年というアニバーサリーイヤーの全てをやり遂げた安堵だったのだろう。
デビュー30周年だが、宮本と石森、冨永が出会ったのは中学1年。高校に進み高緑が加わったバンド結成時から数えても37年だ。最も多感な時期を共に過ごし、希望に燃えたデビューから不遇の時代を経て不動の人気を築いてきた彼らは、常に戦い続け、宮本が何度も連呼したように「行こうぜ!」と進み続けてきたのだ。それはきっとこれからも変わらない。そう確信させてくれた夜だった。
【取材・文:今井智子】
【撮影:大森克己】
リリース情報
Wake Up
2018年06月06日
ユニバーサル シグマ
2. Easy Go
3. 風と共に
4. 夢を追う旅人
5. 神様俺を
6. RESTART
7. 自由
8. i am hungry
9. 今を歌え
10. 旅立ちの朝
11. いつもの顔で
12. オレを生きる
セットリスト
30th ANNIVERSARY TOUR "THE FIGHTING MAN" FINAL 2018.03.17@さいたまスーパーアリーナ
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■1部
- 01. 3210
- 02. RAINBOW
- 03. 奴隷天国
- 04. 今はここが真ん中さ!
- 05. 悲しみの果て
- 06. 星の砂
- 07. i am hungry
- 08. 夢のかけら
- 09. 風に吹かれて
- 10. ベイベー明日は俺の夢
- 11. 昔の侍
- 12. さらば青春
- 13. 笑顔の未来へ
- 14. 桜の花、舞い上がる道を
- 15. ズレてる方がいい
- 16. 今を歌え
- 17. 風と共に
- 18. ガストロンジャー
- 19. 俺たちの明日 ■2部
- 20. 男餓鬼道空っ風
- 21. この世は最高!
- 22. RESTART
- 23. 夢を追う旅人
- 24. 今宵の月のように
- 25. Easy Go ■3部
- 26. あなたのやさしさをオレは何に例えよう
- 27. so many people
- 28. 友達がいるのさ
- 29. 涙
- 30. ファイティングマン 【ENCORE】
- 31. 四月の風
お知らせ
エレファントカシマシ TOUR 2018
06/25(月)[愛知]Zepp Nagoya
06/26(火)[愛知]Zepp Nagoya
06/30(土)[大阪]Zepp Namba
07/01(日)[大阪]Zepp Namba
07/05(木)[東京]Zepp Tokyo
07/06(金)[東京]Zepp Tokyo
07/13(金)[宮城]仙台 PIT
07/14(土)[宮城]仙台 PIT
07/16(月祝)[北海道]Zepp Sapporo
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。