チケットは全公演SOLD OUT!注目の女性シンガーあいみょんツアーファイナル初日をレポート!
あいみょん | 2018.04.10
あいみょんのワンマンツアー「AIMYON TOUR 2018 -TELEPHONE LOBSTER-」のファイナルが、3月30日と31日、東京・渋谷CLUB QUATTROで開催された。名古屋、福岡、大阪と続いてきたこのツアー。チケットはもちろん全公演SOLD OUTだ。ファイナル初日(追加公演)の30日も、入場規制寸前のフェス会場並み。フロアに流れるモータウン・サウンドが、期待感をつのらせたオーディエンスの熱気に吸い込まれていく。
会場の明かりが落ち、鳴り響く黒電話のベル。<ハロー ダーリン>!フィンガー5の「恋のダイヤル6700」が流れる中、メンバーが現れた。ひときわ大きな歓声の中、あいみょん登場。「かわいー!」「ヤバーい!」あちこちから声が上がる。サクッと手を上げ、笑顔で応えるあいみょん。
「東京よろしく!」
そう挨拶して始まった1曲目は、昨年9月にリリースされた1stアルバム「青春のエキサイトメント」に収録されている「ふたりの世界」だ。アコギをかき鳴らしながら歌う表情は本当に嬉しそうで、見ているこっちまで幸せな気分になる。アイリッシュテイストなギターリフが印象的な「幸せになりたい」、歌詞を口ずさんでいる女の子がたくさん目に付いた「ジェニファー」。あいみょんのメロディーと言葉を楽しみにやって来たたくさんの人たちの瞳がキラキラしていた。
「「TOUR 2018-TELEPHONE LOBSTER-」へようこそ!晴れててよかった!みなさんに会えてよかった!今日は最後まで楽しんでいってください!」
バンドの音がどんどんグルーヴしていった「好きって言ってよ」。「マトリョーシカ」では、ベースの井嶋啓介がジェスチャーでグッズの光るリング(指輪)を点灯させるよう促すと、フロアのあちこちで赤や青の光が点滅し始めた。なるほど、たとえば拳を突き上げるとか、両手を掲げたりといったライブでのリアクションに慣れていない人でも、こういうグッズがあれば自然と反応が出来るということか。地上波のテレビ番組などであいみょんを知ったライブ初心者のお客さんも多かったと思うが、さりげなく取り入れられたこの演出の効果はてきめん。「踊れますか?踊れるのですか(笑)!?」という彼女のMCで始まった「愛を伝えたいだとか」では、あいみょんも、そしてオーディエンスも、気持ちよく体を揺らしながらファンキーなグルーヴを満喫していた。
ここで一旦バンドメンバーがステージを降り、あいみょんはひとり、ひと言も発さずにアコギを鳴らし始めた。会場の空気が一瞬で張り詰める。彼女のデビュー曲であり、聴くたびに彼女の脈打つ心臓そのものを突きつけられているような感覚に襲われる曲、「生きていたんだよな」。まくし立てるように歌うその言葉をひと言も聴き逃さないように、オーディエンスは耳と心をぐっと傾けていた。
「めっちゃ暑い(笑)!楽しんでますか!」
全力で歌い終えたあいみょんが、スッと空気を切り替えて喋り始める。お客さんがどこから来たのかを聞いていくくだりでは「香川」を「SAGAWA」と聞き間違えたり、博多の「キャナルシティ」が「ハナミズキ」にしか聞こえなかった話など、あいみょんのハイレベルな空耳ぶりが発覚(笑)。「ツアー結構まわってこれ毎回やってるのに、上達してない(笑)。今後もやっていこうと思ってるけど、地名のこと知っとかへんと無理やからもうちょっと勉強しますわ」とボヤいていた(笑)。
そしてここでもう1曲、「原点って言うとかっこつけてるみたいですけど、こうやってお家でゆるゆると、ソファに座りながら曲を作っています」と言葉を添えて「わかってない」を弾き語り。これは4月25日にリリースされるニューシングル「満月の夜なら」のカップリングに収録される曲だ。次は再びバンドメンバーが加わって、ミドルテンポの「分かってくれよ」。虚像と実像の狭間で揺れたり、本音を飲み込んでいたり、愛しているからこそ生まれる葛藤を男女それぞれの視点から描いた2曲が続けて披露されていた。具体的な描写がなくても、一方的な感情の吐露であっても、それぞれの曲の中にいるカップルがどれくらい付き合っていて、どんな風に暮らしているのかまで浮かんでくるよう。あいみょんの表現力の深さをあらためて感じさせてくれた中盤戦だった。
大好きだという画家サルバドール・ダリの作品「ロブスターテレフォン」から今回のツアータイトルを付けたことや、会場の下にあるブックオフの常連で、いつも今日は誰のライブなんだろうと気にしていたこのクアトロでワンマンができる喜びを語ったあいみょん。また”あいみょん”と名付けてくれた大好きな地元の友達が大阪のライブに来てくれたことを嬉しそうに話し、その子のことを思って作ったという「◯◯ちゃん」が披露された。アコギ1本の歌い出しから骨太なバンドサウンドへの展開が鮮やかだ。「憧れてきたんだ」はほぼ1コードで歌を支えるアコギとドラムのみのパンキッシュなナンバー。「貴方解剖純愛歌~死ね~」を歌い出すとフロアからは歓声が上がり、大盛り上がりのまま新曲「夢追いベンガル」へ突入。クラップのタイミングもばっちりだった「RING DING」まで、ステージもフロアもひとつになって音楽を楽しんだ。
「このツアー、めちゃめちゃ楽しくてどうしようかと思った。音楽やっててよかったよ」
少しだけ照れ臭そうに胸の内をつぶやくと、彼女はこんな風に話を続けた。音楽がなくても生きていけると思ってるけど、音楽があったほうがちょっと生活が楽しいなと最近は思ってる。家で作詞作曲して歌ってるだけの頃は実感がなかったけど、今は人前に立つと引き締まる何かがあって、自分は音楽を作る人間だと思えてる。毎日死ぬほど言葉が溢れてくるから、歌えなくなっても、死ぬまで曲は作ってるはず。これからも、ずっと残るような曲を作っていきたいーー。心からの感謝とともに伝えられた正直な気持ちに、あたたかい拍手が寄せられた。上京して辛いことがあったわけじゃないけど、家族に会いたくなった時に書いたという「風のささやき」、そして映画「恋愛奇譚集」の主題歌として書き下ろされた「漂白」。深い郷愁にかられる2曲をエモーショナルに歌い、本編は「君はロックを聴かない」で締めくくられた。
「みんなにちょっと聴いて欲しい曲があるんだわ」
ということで、アンコールはまず新曲「満月の夜なら」を披露。タイトなリズムとワウの効いたギター、浮遊しながらきらめくようなキーボードやタフ&スウィートなあいみょんのボーカルがなんとも心地いいナンバーだ。ラストは大きな声で真っ直ぐ、アカペラで歌い始めた「どうせ死ぬなら」。たくさんの魅力の持ち主だけど、あいみょんの武器はやっぱりこの声の存在感。ホール、アリーナへと会場の規模を広げても、決してブレることなく力強い声で堂々と歌うあいみょんが目に浮かんでしまうような、なんとも頼もしい余韻を残すエンディングだった。
【取材・文:山田邦子】
【撮影:鳥居洋介】
リリース情報
満月の夜なら
2018年04月25日
ワーナーミュージック・ジャパン
2.わかってない
3.満月の夜なら (Instrumental)
セットリスト
AIMYON TOUR 2018 -TELEPHONE LOBSTER-
2018.03.30@渋谷CLUB QUATTRO
- 01.ふたりの世界
- 02.幸せになりたい
- 03.ジェニファー
- 04.好きって言ってよ
- 05.マトリョーシカ
- 06.愛を伝えたいだとか
- 07.生きていたんだよな
- 08.わかってない
- 09.分かってくれよ
- 10.〇〇ちゃん
- 11.憧れてきたんだ
- 12.貴方解剖純愛歌〜死ね〜
- 13.夢追いベンガル
- 14.RING DING
- 15.風のささやき
- 16.漂白
- 17.君はロックを聴かない 【ENCORE】
- EN 01.満月の夜なら
- EN 02.どうせ死ぬなら
お知らせ
AIMYON TOUR 2018-TELEPHONE LOBSTER- 番外編 「BOIL」
04/10(火)[神戸]MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
04/12(木)[広島]広島CAVE-BE
04/15(日)[鹿児島]鹿児島SR HALL
04/27(金)[北海道]札幌KRAPS HALL
AIMYON TOUR 2018 -TELEPHONE LOBSTER-ADDITIONAL SHOW"TAIWAN"
06/22(金)[台湾]LEGACY TAIPEI
ARABAKI ROCK FEST.18
04/29(日)[宮城]みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく
J-WAVE & Roppongi Hills present TOKYO M.A.P.S YOSHIKI MIZUNO EDITION
05/05(土)[東京]六本木ヒルズアリーナ
La.mama 36th anniversary 『道玄坂異種格闘技戦 vol.103』
05/09(水)[東京]恵比寿LIQUIDROOM
Love sofa Tokyo
05/13(日)[東京]代官山UNIT/UNICE
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2018
05/26(土)[東京]新木場・若洲公園
LOVE MUSIC FESTIVAL 2018
06/01(金)[東京]新木場Studio Coast
JOIN ALIVE 2018
07/15(日)[北海道]いわみざわ公園
MONSTER baSH 2018
08/18(土)・19(日)[加川]国営讃岐まんのう公園
※出演日は後日発表
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。