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キュウソネコカミ ワンマンツアー『DMCC REAL ONEMAN TOUR 2018 -Despair Makes Cowards Courageous』

キュウソネコカミ | 2018.04.20

 3月2日のZepp Sapporo公演を皮切りにスタートした『DMCC REAL ONEMAN TOUR 2018 -Despair Makes Cowards Courageous-』も、いよいよ佳境へと差し掛かり、今日のライブを除くと、神戸ワールド記念ホールと台湾・台北WALLでの公演を残すのみ。前回の『ヒッサツマエバ~とぎなおし~’17-18ツアー』とは趣を変えて、「よりエンターテインメント感満載!」となっている旨がアナウンスされていたが、果たしてどういうライブなのか? 会場内に入ると、ステージが大きな紗幕で完全に覆われているのが目に留まった。あの内側では、どのような準備が進められているのだろう? フラッシュライトの光が時折紗幕の向こう側で点滅しているのが見えて、膨らむ期待を心地よく刺激してくれた。

 オープニング映像を経て、ついにライブがスタート。爆音が響き渡り、紗幕の表面に揺らめいたヤマサキ セイヤ(Vo・G)、オカザワ カズマ(G)、カワクボ タクロウ(B)、ヨコタ シンノスケ(Key・Vo)、ソゴウ タイスケ(Dr)のシルエット。そして、紗幕が切って落とされ、露わになったステージから「5RATS」が怒涛の勢いで押し寄せてきた。飛び交うレーザービームと爆音を浴びながら踊る観客のエネルギーがすさまじい。続いて「サギグラファー」「ファントムヴァイブレーション」「メンヘラちゃん」なども炸裂し、会場全体が圧倒的な熱気で満たされていった。

「究極に簡単な曲です。ついてこいよ!」とセイヤが観客を煽り、《家!》という明快極まりないコールを巻き起こした「家」が2回披露された後に迎えたインターバル。「都会の喧騒を忘れて、優しい音楽に耳を澄ませてみるのはどうですか? キュウソからの提案です」――「G線上のアリア」の穏やかな調べが流れる中、シンノスケが落ち着いたトーンで観客に語りかけて和やかな笑いを誘った後、セイヤがハイテンションな様子でマイクに向かった。「東京、2日目です! 新木場と間違ってすみませんでした(序盤で本来“お台場!”と煽るべきところを、前日の会場と間違えて“新木場!”と叫んでしまう場面があった)。でも、今日は“お台場!”と言っても、“新木場!”って言っても適当に盛り上がってくださいね。ほとんど一緒なんでね。「家」、めっちゃ盛り上がったな。でも、まだ隠し玉があるんですよ。今日はいっぱい装置があんねん。そういうのを次の「家」という36秒の曲に全てぶち込んでみたいと思います!」。そして始まった3回目の「家」は、吹き上がった大量のスモーク、レーザービームで背景に描かれた家の絵、華々しい照明に彩られたゴージャス版。この曲がCMソングとなっているタマホームのジングル「ハッピーライフ」のカバーも届けられて、観客は握手喝采を送った。

 シンノスケが手にしたノズルから妖しい白いスモークを噴射した「性ビジネスは不滅」。裸の上半身に金ラメのジャケットを羽織ったセイヤが、歌謡曲テイストのメロディを熱唱した「ギラギラおじさん」。地球の被り物を頭に着用したセイヤが、ボード型セグウェイに乗って自転している姿が神々しかった「俺は地球」……などなど、小道具を使ったパフォーマンスが異彩を放った場面を経て、再び迎えたインターバル。セイヤとシンノスケは一旦ステージから去り、オカザワ、タクロウ、ソゴウによるMCが始まった。音楽雑誌の写真撮影の際、メンバーの身長差によって起こったささやかなハプニングについて語り合った後、新曲「越えていけ」がオープニングテーマとなったTVアニメ『メジャーセカンド』の話題へと移り、元野球部のオカザワとタクロウによる「実は俺は肩が強いんだ」というトークがユルユルと繰り広げられた。セイヤとシンノスケがなかなか戻ってこないので、「あいつら遅いな」と、落ち着かない様子であった3人。そして、ようやくステージに5人が揃ったのだが、「『メジャーセカンド』の話の後の野球の話、何?」とシンノスケにツッコミを入れられていた。

「NO MORE 劣化実写化」を皮切りに幕開けた後半戦は、美メロの宝庫でもあるこのバンドの魅力を再確認させてくれた「GALAXY」と「サクランボウイ」を経て、「KMDT25」と「わかってんだよ」がエネルギッシュに轟いた。「一言物申したいことが世間に対してありまして。昨日、上半身裸の写真をSNSに上げたんです。ギャランドゥ(男性の下腹部に生える毛の俗称)が写っていたんですね。それを見たある人が“セイヤさんは体毛は薄いのに、ギャランドゥは立派なんだね”と。あたかも俺の全身を見たことがあるような! わたくし、剛毛でございます。世の中のイケメンたちは、ほとんど毛がない。あいつらのせいで、俺のギャランドゥが邪魔になってしまってるんです。目を覚ましてください。男性は毛がモジャモジャなんですよ!」――切実な魂の叫びと共にスタートした「MEGA SHAKE IT !」は、観客の目をシャキっと覚まさせたに違いない。

 大合唱を巻き起こした「KMTR645」「DQNなりたい、40代で死にたい」「NEKOSAMA」「ハッピーポンコツ」が披露されて本編は終了。観客の歓声に応えてアンコールが行われたのだが――ステージに戻ってくる直前、バックステージでタクロウの顎が外れるという前代未聞の事件が発生していたのだという。そして、4月25日にリリースされるニューシングル『越えていけ/The band』、4月14日に神戸ワールド記念ホールで行うライブの告知の後、アンコールでまず届けられたのは「ビビった」。ラストは新曲「The band」が飾った。ステージ上のメンバーもフロアで飛び跳ねる観客も汗だく。抱えているフラストレーションを負けん気へと転じるかのようなギラギラした熱気が漂っていた。

 全曲の演奏を終えたメンバーたちは、フロア内でひしめき合って笑顔を浮かべている観客を背景として記念撮影。「ありがとうございました!」と挨拶をして、手を振りながらステージを後にしたメンバーたちの表情は、充実感に満ちていた。今回のツアーも彼らにとってかけがけのない経験となっているのだろう。今後のキュウソネコカミの活動も、ますます刺激的なものになっていきそうだ。

【取材・文:田中 大】
【撮影:Viola Kam (V’z Twinkle)】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル キュウソネコカミ

リリース情報

越えていけ / The band

越えていけ / The band

2018年04月25日

ビクターエンタテインメント

01.越えていけ
02.MUKI不MUKI
03.The band

お知らせ

■ライブ情報

DMCC REAL ONEMAN TOUR 2018
04/21(土) 台湾・台北WALL

ARABAKI ROCK FEST.18
04/29(日) みちのく公園北地区・エコキャンプみちのく

COMING KOBE’18
04/28(土) みなとのもり公園

JAPAN JAM FES 2018
05/04(金・祝) 千葉市蘇我スポーツ公園

VIVA LA ROCK 2018
05/05(土・祝) さいたまスーパーアリーナ

ROTTENGRAFFTY PLAY ALL AROUND JAPAN TOUR 2018
05/08(火) HEAVEN’S ROCK熊谷

coldrain『ANOTHER DECADE IN THE RAIN TOUR 2018』
05/11(金) 滋賀U STONE

METROCK2018
05/19(土)[大阪]METROCK大阪特設会場
05/26(土)[東京]新木場・若洲公園

THE NAKAJIMA HIROTO SHOW 802 LIVE MASTERS -Birthday Special-
05/23(水)なんばHatch

百万石音楽祭 -ミリオンロックフェスティバル-
06/02(土)石川県産業展示館(1-4号館)

MONOEYES『Mexican Standoff Tour 2018』
06/06(水)福岡BEATSTATION
06/07(木)福岡BEATSTATION

coldrain「ANOTHER DECADE IN THE RAIN TOUR 2018」
06/12(火) 山梨 甲府CONVICTION

BRAHMAN『Tour2018 梵匿-bonnoku-』
06/13(水) 東京Zepp Tokyo

DMCC REAL ONEMAN TOUR 2018-越えていけ編-
07/04(水)[東京]NHKホール
07/13(金)[大阪]NHKホール 大阪

OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL VOL.9
07/28(土)秋田県男鹿市船川港内特設ステージ
07/29(日)秋田県男鹿市船川港内特設ステージ

MONSTER baSH2018
08/18(土)国営讃岐まんのう公園
08/19(日)国営讃岐まんのう公園

SUMMER SONIC2018
08/19(日)ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ

山人音楽祭2018
09/22(土)ヤマダグリーンドーム前橋
09/23(日)ヤマダグリーンドーム前橋

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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