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FIVE NEW OLD 超満員、ソールドアウトの東京ファイナルをレポート

FIVE NEW OLD | 2018.04.24

「信頼関係」……。それに似た気持ちが、この日のライブ中、何度も胸に去来した。いわずもがな、信頼関係は一人の想いだけでは成立しない。向かい合う相手と手を伸ばし合い、触れ、繋がれ、力強くお互いの心中へと惹き寄せ合う中で育まれていくものだ。が故に、そこに至るまでには、ある程度の過程も要する。しかし、それが一度生まれれば、これほど心強いものはない。勇気や希望を与えてくれ、共に次や前へと進む為の目には見えない太い絆や手綱へと変わる。
 まさにこの日のFIVE NEW OLDのライブは、そんなステージとフロアとの互いの信頼関係がグッと更に強固になった一夜でもあった。

 FIVE NEW OLDの全国ツアー「Too Much Is Never Enough TOUR」が、渋谷WWWで幕を閉じた。本ツアーは今年初頭発売のメジャー1st アルバム『Too Much Is Never Enough』を携え行われたもの。今ツアーは16箇所に及び内6カ所はワンマンであった。この日のチケットは早期に完売。場内は超満員であった。

 80’sアメリカンロックな場内BGMが止みSEが響き渡る。合わせて起こる会場からのクラップに包まれ、まずはギター&キーボードのWATARU、ドラムのHAYATO、サポートベースのSHUNがステージに現われる。光量の高いバックライトが3人を神々しく照らし、その中で、まずはその3人で生命力と躍動感溢れるインストをプレイ。後に現れたボーカル&ギターのHIROSHIも歌でそこに加わり、1曲目の「By Your Side」が形作られていく。ゴスペルクワイアの持つ生命力と祝祭感のブレンドも特徴的な同曲。HIROSHIがハンドマイクにて身振り手振りも交え歌う「一緒に行こう感」が、サイドバイサイドさを場内に広げていく。続く「Hole」では、アダルティな雰囲気が育まれた。HAYATOの生み出すビートが横ノリを寄与し、SHUNのファットなベースにWATARUのファンキーなギターカッティングが嬉嬉さを生み出していく。80’sっぽいシンセの同期音が加わり、「Gold Plate」が映え出すと、会場も自然とスウェイを始める。ここでの聴きどころはトリルを交えた、WATARUによる’80’sな景色感のあるフュージョンギターソロでもあった。
「みんなと想い出を作りに来ました。嫌なことも忘れて楽しみましょう!」とHIROSHI。いつも心に太陽をとの気持ちを込めて、『Too Much Is Never Enough』の1曲目を飾っていた「Sunshine」に入る。この曲が擁するブロークンビーツの連れて行くぞ感が会場をグイグイ惹き込んでいく。
「もっと馬鹿になろうぜ」とHIROSHI。快楽的な「Not Too Late」に入ると、満場も楽しそうに、そのトロピカル性も交えたビートに身を委ねていく。対して「Liberty」ではWATARUもエレピを弾き、HIROSHIのボーカルもしっとり且つソウルフルに歌う場面も。しかし最後までウェットにさせないところが彼ららしい。中盤からはSHUNのプルを活かしたベースの躍動と共に会場を走り出させた。

 メンバー各人がこのファイナルへの思いを語ったMC部を経て、 「1人で踊る夜があってもいいけど、今日は俺たちと踊ろう!」(HIROSHI)と誘ったニューソウルな「Dance with Misery」では、ファルセットを交えたHIROSHIの歌声に、三声のコーラスが楽曲を優しく包み、深海性のあるイントロから豹変。パッと明るく景色を変えるように「Black & Blue」に入ると、一瞬で身近にぐっと彼らが寄ってきてくれたような錯覚をおぼえた。また、よりメローに響いた「The Dream」では、歌の巧みさが楽しめ、HAYATOによるハイハットを駆使したトリッキーなドラミングから「Stay (Want You Mine)」にインすると、ハンドマイクに持ち替えたHIROSHIが、「まだまだ踊ろう」と、会場も交え更なる共創の絆を強めあっていった。

「最近は自分たちの曲たちが、ゆっくりだけど広がっていくのが実感できて嬉しい。今回のツアーで最も学んだことは、自分で正直にいることの大切さだった。ある意味、それを目指して作ったアルバムだったしツアーでもあった。止まらなくて良かった。進めたからこそ、このツアーファイナルも迎えられたし、あなた方がどんなに特別な存在かも改めて分かった。もっと自分自身を愛して欲しい。その先には絶対にいい人生が待っているから。それを信じ、一緒に進んでいこう!!」的なHIROSHIの長く熱いMCが更に会場をぐいっとステージへと抱き寄せる。そして、その言葉後に入った後半ゾーンは、さらにその信頼関係が強固になった分、それを信じ、メンバーも心置きなく自身の多彩さや幅、多才さを放射させていく。
「これはみんなの曲だ! みんなで一緒に歌って、作っていこうぜ!!」(HIROSHI)と、会場と共に一緒に歌い、楽曲を完成へと導いた「Good Life」、壮大でダイナミズム溢れる、幻想性を擁したインスト「My Sacred Chamber」を抜け、その幻想性を上手く受け継いだまま「Liar」に入ると、壮大さとダイナミズムが場内いっぱいに広がっていく。そして、「Halfway Home」では、会場内をいやが上にもフライハイで高みに引き上げてくれ、「Ghost In My Place」の際には、再び楽しさが呼び込まれ、間での用意されたプラカードに書いてあった「Thanks」をHIROSHIが掲げ歌う場面も印象深い。
「難しいことかもしれないけど、お互い自分らしく生きてみましょう」(HIROSHI)と、本編ラストに選ばれたのは「Gateway」であった。鍵盤と歌声、生命力溢れるフロアタムとバスドラ。そして会場中で響かせた雄々しい歌声によって開かれたその扉は、まさに次のステージへの満場全員への誘いでもあった。

 アンコール…、と、その前にステージ後方の幕が開き映像が流れ出す。秋にはワンマンツアーを敢行。ファイナルは、彼らの単独ライブ史上最大規模の恵比寿リキッドルームで行われる告知が映し出され、会場中から驚喜と祝福の歓声があがる。
ここからのHIROSHIのMCでは、さらに場内をステージへと惹きつけ、一心になっていく様を見た。「FIVE NEW OLDのFIVEは、存在しないもう一人のメンバーとの意味を込めてつけた。その5人目のメンバーはまぎれもなく皆さんです」的な言葉を残し、「がっつり馬鹿になって帰ろうぜ!遊んで帰ろう!!」と入った、ラテンポップビートも交えた「Undercover」が会場をバウンスさせる。HIROSHIも「楽曲をみんなと一緒に完成せしめん!」とばかりにステージを降り、客席後方まで来て、友軍たちの中で誇らしげに歌う。ステージ/フロア問わずの一心が楽曲を完成へと導いていく。と、予定ではここで終了のはずだったが、この日はファイナル。100%以上の力を出し尽くしたくなったのだろう。急遽「Ashes To Ashes」も放たれた。自身の出自を彷彿とさせたナンバーを以て会場を並走させた彼ら。アメリカンな疾走ポップパンクナンバーが、さらにぐっと二者の距離を近づけていく。誰一人離さず、ぐっと抱き寄せたままゴールのテープを一緒に切った感覚をおぼえたのは私だけではなかっただろう。

「良い景色を見せてやるからこっち来いよ」とステージへと惹き寄せられ、引き寄せられつつも、逆に「こっちが良い景色を作ってあげるから全身で受け止めてよ」と惹き戻す…そんな相互の交歓を目の当たりにした1時間半。そこには、これまで以上の「さぁ、ここから一緒に連れていくぜ!!」といった気概と伴侶感。また、ここから先に進むにはみんなの力が必要だと素直に伝え、求める真摯さがあった。結果、そこには更に強固で強靭な信頼関係にも似た連帯感を生み出すに至った。
「FIVE NEW OLDのFIVEは、5人目のメンバーのこと。それは、聴き手でありオーディエンスのことでもある」と、ことある毎に告げてきた彼ら。ここにきて次へのステップに向かう為にも、ここは本気で5人目のメンバーたちの力の必要性を感じ、アンコールのMCへと導いたのだろう。
だが、安心して任せて欲しい。ここには「一緒にいい景色を観るゾ!!」との気概に溢れた5人目のメンバーたちがこんなにも大勢いるのだから。

【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:Umihayato】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル FIVE NEW OLD

リリース情報

Too Much Is Never Enough

Too Much Is Never Enough

2018年01月31日

TWILIGHT RECORDS

1. Sunshine
2. Ghost In My Place (Album ver.)
3. Gold Plate
4. Dance with Misery
5. Liberty feat. 踊Foot Works
6. Stay (Want You Mine)
7. Good Life feat. STAMP
8. My Sacred Chamber
9. Halfway Home
10. By Your Side
11. Young & Dumb
12. Gateway

セットリスト

Too Much Is Never Enough TOUR
2018.4.14@shibuya WWW

  1. 1.By Your Side
  2. 2.Hole
  3. 3.Gold Plate
  4. 4.Sunshine
  5. 5.Not Too Late
  6. 6.Liberty
  7. 7.Dance with Misery
  8. 8.Black & Blue
  9. 9.The Dream
  10. 10.Stay (Want You Mine)
  11. 11.Good Life
  12. 12.My Sacred Chamber
  13. 13.Liar
  14. 14.Halfway Home
  15. 15.Ghost In My Place
  16. 16.Gateway
  17.  Encore
  18. En-1.Undercover
  19. En-2.Ashes To Ashes

お知らせ

■ライブ情報

COMING KOBE18前夜祭 ~前日から参加して仮眠具神戸2018~
04/27(金)[兵庫] 神戸 music zoo KOBE 太陽と虎

COMING KOBE18
04/28(土)[兵庫] みなとのもり公園(神戸震災復興記念公園)、神戸ポートターミナルの2会場同時開催

THE PARKING TOY|Too Much Is Never Enough Tour EXTRA SHOWS in Bangkok
05/13(日)[THAILAND Bangkok]THE PARKING TOY

ANOTHER DECADE IN THE RAIN TOUR 2018
05/19(土)[山口]周南RISING HALL
05/21(月)[島根]出雲APOLLO
05/22(火)[鳥取]米子laughs

FONS 7UP
06/01(金)[北海道]Sound lab mole

ミタケオアシン
06/05(火)[京都] LIVE HOUSE GATTACA

INTACT RECORDS TOUR 2018
06/06(水)[大阪] BIGCAT

SUMMER TIME LOVER CIRCUIT「サマラバ!」
06/30(土)[宮城] 仙台市内ライブハウス6会場

FIVE NEW OLD pre Easy Come, Easy Go vol.11
07/06(金)[東京]渋谷 CLUB QUATTRO

FIVE NEW OLD pre Easy Come, Easy Go vol.12
07/12(木)[大阪]梅田 CLUB QUATTRO

CORONA SUNSETS FESTIVAL 2018
07/14(土)[沖縄]沖縄美らSUNビーチ 野外特設ステージ

FIVE NEW OLD pre Easy Come, Easy Go vol.13
07/19(木)[愛知]名古屋 CLUB QUATTRO

MONSTER baSH 2018
08/18(土)[香川]仲多度郡まんのう町 国営讃岐まんのう公園
08/19(日)[香川]仲多度郡まんのう町 国営讃岐まんのう公園

FIVE NEW OLD / ONE MAN TOUR 2018 "ONE MORE DRIP"
09/30(日)[宮城]仙台 enn 2nd
10/08(月・祝)[石川]金沢 vanvan V4
10/14(日)[北海道]札幌 Sound Lab mole
10/26(金)[香川]高松 TOONICE
11/01(木)[広島]広島 Cave-Be
11/02(金)[福岡]福岡 DRUM Be-1
11/08(木)[愛知]名古屋 CLUB QUATTRO
11/10(土)[大阪]梅田 TRAD
11/18(日)[東京]恵比寿 LIQUID ROOM

SiM/GODRiの姫路凱旋 TOUR 2018
10/16(火)[滋賀]滋賀 U-STOE
10/18(木)[奈良]奈良NEVERLAND
10/19(金)[和歌山]和歌山SHELTER

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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