開演を告げるSEが流れ、『フレンズのフレンズ大集合！～日比谷野音でコラボ祭～』という横断幕が掲げられているゲートをくぐって、おかもとえみ（Vo）、ひろせひろせ（Key）、長島涼平（Ba）、三浦太郎（Gt）、SEKIGUCHI LOUIE（Dr）が、元気いっぱいの様子で飛び出してきた。全員がオレンジ色を基調とした衣装を着ているのが目を引く。大歓声に迎えられたフレンズが、最初に届けてくれたのは「ビビビ」。爽やかに躍動するサウンドに合わせて踊る観客の笑顔がまぶしい。あいにくの小雨交じりの天候であったが、肌を濡らす水滴も何だか非常に心地よく感じられるオープニングであった。

　先述の通り、このライブのタイトルは『フレンズのフレンズ大集合！～日比谷野音でコラボ祭～』。フレンズの音楽仲間（フレンズ）をたくさん招くことが事前にアナウンスされていたが、2曲目の「夏のSAYにしてゴメンネ♡」で、早速コラボレーションが実現。山崎正太郎（Czecho No Republic）、HIROKAZ（04 Limited Sazabys）、RYU-TA（04 Limited Sazabys）が加わり、ダブルドラム＆トリプルギターという分厚い編成で演奏が繰り広げられた。そして、おかもとが“どう？ 最高だよね？ もう1人呼んでしまいましょうか。お呼びいたしましょう！”と言い、彼女の友人のシンガーソングライター、関取花も合流（おかもととアルバイト先が一緒だったこともあるのだという）。披露された「Hello New Me!」は、温かいメロディをじっくり堪能させてくれた。

　TGMX（FRONTIER BACKYARD）、NARI（HEAVENLY BOYS/SCAFULL KING）、P→★（TEMPURA KIDZ）、YU-KA（TEMPURA KIDZ）が登場して、観客を巻き込んだ陽気なダンスを繰り広げた「塩と砂糖」。TGMXとNARIがホーンの洗練されたサウンドで彩った「喧噪」が披露された後、関取花が再登場。彼女の歌が加わった「雨のフライデー」の時、雨は一際強くなっていたが、野外ライブならではの素敵な演出となっていた。

　マナミ（Goose house）、えつこ（DADARAY/katyusha）を迎えて、瑞々しいハーモニーを響かせた「咲かないで」と「DON’T STOP」の頃には日没を迎えて、華やかな照明に包まれたステージがとても幻想的な色合いを浮かべていた。「tonight」を歌った菅原卓郎（9mm Parabellum Bullet）は、「元気D.C.T～プロローグ～」にも参加。元気をすっかり失ったフレンズの三浦を復活させるために“タタンパ！ タタンパ！ プピプピプピ”という呪文を観客が一斉に唱えるのが、曲中の恒例行事となっているが、この寸劇に菅原が加わるという意表を突く展開となった。“タタンパ！ タタンパ！ プピプピプピ”の効果で、“なんか元気になってきた～！”と回復した三浦であったが……菅原はさらに元気を失い、倒れ込んでしまった。“大変だあ～”ということになり、9mm Parabellum Bulletの曲「Black Market Blues」の1節をフレンズのメンバーたちが演奏したところ、ピクリと少し反応を示した菅原。そして、中村和彦（9mm Parabellum Bullet）も合流した編成で再び「Black Market Blues」を演奏した瞬間、菅原は立ち上がって力強く熱唱……という凝った演出による「元気D.C.T～プロローグ～」は、観客を大喜びさせていた。

　サッポロビールの『ホワイトベルグ』のCMソングとして書き下ろされた曲で、ライブでの初披露となった「NO BITTER LIFE」は、TEMPURA KIDZ のP→★とYU-KAのダンスが加わり、軽快な手拍子とコール＆レスポンスを巻き起こしていた。中村和彦（9mm Parabellum Bullet）と一緒にステージに現れ、“伝説のライブをするために今やってます。この後も思いっきり盛り上がってください！”と観客に呼びかけた芹澤優真（SPECIAL OTHERS）は、「NIGHT TOWN」を演奏した後、「夜にダンス」にも参加。一斉に踊る観客の姿が壮観であった。

　ふと気づくと雨が上がっていた頃に登場したゲストは、フレンズと対バンをする機会が多いCreepy Nuts。DJ松永がターンテーブルの前に立ってスタンバイした後、ひろせが“何の曲をやろうか考えた。彼（DJ松永）は本物のラッパーとやってる。俺のエセ感を本物にしてもらいたいと思います”と言い、R-指定も合流して届けられた「パーティーしよう！」は、切れ味抜群のラップとターンテーブルの炸裂が観客を刺激。《パーティーしよう パーティーしよう》という大合唱が起こり、すさまじい盛り上がりとなった。

　そして、「Love, ya！」もCreepy Nutsとの共演が実現したのだが、なんとサプライズゲストとして、芸人の斎藤司（トレンディエンジェル）も登場。“誰だと思ってんだ、ばかやろう。斎藤さんだぞ！”、お馴染みのセリフで大爆笑を起こした後、元気いっぱいに飛び跳ねながらフレンズ、Creepy Nutsと一緒に歌った彼は、ステージ後方に置かれていたミラーボールに負けないくらい輝いていた。

　“自慢のフレンズをみなさんに紹介できて嬉しいです。また会いに来てくれる？ みんなのために歌い続けるので、ずっとついてきてください。大切な曲をやります。みなさんにとっても大切な曲になりますように！”という言葉をおかもとが添えて、本編の最後を飾った「ベッドサイドミュージック」。温かいメロディが観客を完全に1つにしているのを感じた。

　そして、アンコールは、このライブに参加したゲストが勢揃いした「夜にダンス」。ステージ上の全員、客席の全員がジャンプをして迎えたエンディングは、“あの場にいた誰も彼もがフレンズとなった瞬間”と言っても過言ではないだろう。音楽を通じてたくさんの人の心を繋いでいくフレンズの輪が、着実に広がっている様を強く実感したライブであった。

【取材・文：田中 大】
【撮影：Midori Kondoh / @RayOtabe / スズキメグミ】